【序曲】

Last-modified: 2024-02-18 (日) 10:31:19

概要

【ドラゴンクエスト】タイトル画面で流れるオープニングテーマ。
 
ドラゴンクエストシリーズでは基本的にこの曲、あるいはそれをアレンジした共通のメロディがメインテーマとして使われている。サントラには作品ごとに異なる曲名で収録されているが、これらも含めた総称として『序曲』と呼ばれることもある。
 
単に『序曲』を名乗る作品はDQ1の他にナンバリングタイトルでは【ドラゴンクエストIV 導かれし者たち】【ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君】の3作で、これらも全てアレンジが異なる。モンスターズシリーズなどの外伝作品は『序曲』の場合が多い。
それ以外の作品のオープニングテーマについては、関連楽曲を参照。

『序曲』シリーズの共通事項

まるでこれから大作オペラが開演するような、そして壮大なストーリーを予感させるような勇壮かつ華やかな曲。
基本的には「何らかのファンファーレの後にメインメロディが流れる」という構成をしている。
ファンファーレは時代と共に何度か変わっている。メインメロディは行進曲。
 
メインテーマはほとんどの作品で共通だが、曲名やアレンジは多岐にわたる。
ドラクエに関係するCMでも流されまくっている為、日本では知名度が高くドラゴンクエストシリーズの中で最も有名な曲であろう。
特に1960年代末期以降に生まれた、家庭用テレビゲームが娯楽のひとつとして定着した世代の日本人男性の間では知らない人の方が少ない。
 
タイトル画面以外でもゲーム中の特定の場面、特にエンディングをはじめとした宴等の晴れ舞台を演出するシーンで流れることも多い。
ただしエンディング以外でこの曲が流れる(あるいは流れそうになった)場合、何か良くない事が起きる前触れになっていることも多い。
また、後述するが作品によってはラスボス戦のBGMとして流れる事もある。
 
【すぎやまこういち】はテレビ朝日「題名のない音楽会」に出演したときに、「理屈で捏ね回したメロディはあまりよくない。スラッといったメロディのほうが自然。ドラクエの序曲は5分で書き上げた。」と語っていた。
ただ、5分で思い浮かんだのはそれまでの作曲家としての長い経験があってこそだとも語っている。
また、2017年8月6日の同番組『ソドレミで始まる音楽会』において、ソドレミで始まる人気曲の一つとして少し紹介された。番組ではソドレミで始まるとドラマチックになるとか勢いがつくとか分析されていた。どちらも当てはまるといえよう。
 
DQ5発売後の【ドラゴンクエストマスターズクラブ】の「シリーズ中で好きな音楽は?」という人気投票で、栄えある1位に輝いた。
他にランクインした曲は、5位【Love Song 探して】・4位【この道わが旅】・3位【おおぞらをとぶ】・2位【そして伝説へ】といった、いずれ劣らぬ名曲揃いであることからも、この曲が当時の読者たちにいかに人気が高かったかがうかがえることだろう。

DQ1

記念すべき初代・オープニングテーマ。【ドラゴンクエストの楽曲】の全ては、ここから始まった。
森に響き渡る狩人の角笛、それに続いて勇ましい行進曲が流れる、というイメージで作曲された。
ゲーム内ではいずれの機種ともタイトル画面でのみ使われる。
 
構成=Intro:7小節、A:16小節、B:27小節、C:4小節、Ending:7小節
調=ハ長調(C)(FC版・GBC版はキー+5)
BPM=Intro:88、A:120、B:128、C:137、Ending:69→69→71(東京都交響楽団)
拍子=Intro:2/4、A~B:4/4、Ending:4/4→2/4→4/4
 
演奏順序は「Intro→A→A→B→C→A→A→Ending」である。
Intro部がファンファーレ、Aがメインテーマ。
そして、現在のオープニングテーマでは見られないB~Cの中間部が存在し、演奏時間は4分弱。
ファンファーレはDQ3の【ロトのテーマ】まで共通の【ロトファンファーレ】
 
【東京弦楽合奏団】版では、Aのメインテーマは4回繰り返されるが、1回目のAは非常にシンプルな、FC版に近い弦楽合奏である。2回目のAは弦主体に管楽器やスネアドラムを加えた優雅なもの。
中間部のBではややテンポを上げ、メインテーマのモチーフやロトファンファーレを何度も使いながら新たな音楽が展開される。
Cではさらにテンポが上がり(Presto=急速に)、弦楽器の下降音形が4小節続く。
そしてメインテーマであるAに戻ってくる。3回目と4回目のAはトランペットのメロディ&三連符伴奏、所々にシンバル&大太鼓の同時ヒットが入るアレンジである。
最後のEndingでは、それまでの華やかさから一転して弦楽器のみでゆっくりと静かに演奏され、直後に全楽器でメインテーマのラストをゆっくりと、かつ堂々と、最大音量で演奏して曲を締める。
初代にして完全版、と言えるだろう。
【ドラゴンクエスト ファンタジアビデオ】では、2周目のAがマーチ風に変更され、より豪華になった。
 
なお後に3~4周目のAはDQ4の『序曲』、ファンタジアビデオ版の2周目AはDQ5の【序曲のマーチ】以降に採用された。またSFC版発売後の【ロンドンフィルハーモニー管弦楽団】版以降の交響組曲ではファンタジアビデオ版に基づいたバージョンになっている。
 
DQ1~3のCDシアターでは、ここぞという時の山場にB~C区間を流しており、非常に盛り上がるシーンとなっている。

FC版

容量の少ないFC版は主旋律と伴奏のみのシンプルな曲である。終わることなく永遠にループし続ける。
なお、FC版ではヘ長調である。
サントラより前に発売された徳間書店の【完全攻略本】では「オープニングテーマ」と紹介され、楽譜が掲載された。

リメイク版

SFC版は、東京弦楽合奏団版の1周目に準拠。ループすることなく1周のみで終わる。
GB版・ガラケー版はFC版と同じくヘ長調で、1周目がFC版とほぼ同じ、2周目が三連符主体の伴奏になっている。
なおSFC・GB版ではファンファーレ部分が切り離されており、【ドラゴンクエストI・II】としてのタイトル画面でファンファーレが流れた後、タイトル選択後に続きが流れる。
 
スマホ版以降では交響組曲版の1~2周目に基づいている。

DQ4

タイトル画面でのみ使われる。
 
構成=Intro:8小節、A:16小節、Ending:7小節
調=ハ長調(C)
BPM=Intro:86、A:119、Ending:67→60→66(NHK交響楽団)
拍子=Intro~A:4/4、Ending:4/4→2/4→4/4
※Aの部分は2回繰り返される。
 
イントロが【天空ファンファーレ】に変更。
FC版でもオーケストラ版と同じハ長調になった。
Aの部分がメインテーマ。今回のメインテーマは、東弦版DQ1の3・4周目とほぼ同じ、トランペットのメロディ&三連符伴奏のアレンジ。
表現記号は「Maestoso(堂々と)」。
 
2015年11月3日に、NHK総合の番組「歌謡チャリティーコンサート」において、群馬交響楽団により演奏された。
放映日は文化の日ということもあり「日本が世界に誇る文化はゲームとアニメ」ということで、アニメソングなどと共に選ばれたようだ。

DQ8

タイトル画面とエンディングの宴シーンのほか、【ポルトリンク】から船を出して【オセアーノン】と戦う前のシーンでも流れる。
 
天空シリーズではないものの天空ファンファーレをイントロで使用し、前半部分は【序曲のマーチVII】と同じようなトランペット主体のマーチ調である。
後半は三連符主体のアレンジだが、PS2・スマホ版のゲーム自体に収録されている音源では【ドラゴンクエスト・マーチ】後半部に近く、オーケストラ版ではDQ4の『序曲』に近い(スネアドラムが入っているかどうかが大きな違いである)。
構成としてはDQ1の『序曲』に最も近く、DQ4~DQ7のオープニングテーマの総集編といった趣である。

モンスターズシリーズ

GB版のDQMとDQM2、テリワン3D、イルルカではイントロなし。
PS版DQM1・2では【天空ファンファーレ】が流れる。
【テリー】が登場している為天空ファンファーレが使われるのは不思議なことではないが、何故GB版と3DS版では流れなかったのかという疑問は残る……。
キャラバンハートはDQ2の未来の世界が舞台なので【ロトファンファーレ】が流れる。
ジョーカーシリーズではオープニングでは使われない。なんとエンディングでやっと流れるのだ。
ラストにドラクエの看板音楽を持ってくるとは、ニクい演出である。
DQMJ2とプロフェッショナルは都響の生演奏でモンスタークレジットの場面で流れる。豪華。
DQMJ3ではスタッフロールで、Pでは裏シナリオ終了後のエンディングでも流れる。

スラもりシリーズ

モンスターズと同じくイントロ無し。
当然のようにオープニングで流れるが、スラもり1では【ドン・モジャール】のらぶりーモモちゃんごう、スラもり2では【オン・ゾ・エーグ】、スラもり3では【ドン・モジャール船】
ラスボス戦でテーマ曲が使われるというシチュエーションは大変盛り上がる……のだが、この曲で負けてしまった日にはなんともみっともないことに……

ビルダーズ2

【シドー】との最終決戦の曲でもある。 イントロあり。
フィニッシュにもこだわっており、トドメをさす段階まで来るとイベントが入り、同時に曲のループが終了して曲自体もフィニッシュに入るという力の入りようである。

素麺のソーミャ

第109回に登場。
【ソーミャ】ピーヒャラ笛でピアノを弾いて演奏していた。

スマブラSP

【勇者(スマッシュブラザーズ)】の勝利ファンファーレとして、アウトロ部分が採用された。
また参戦PVの前半部分やTVCMに東京都交響楽団演奏verのロトのテーマが使用されている。

ドラクエベビー&キッズ スライムとあそぼう!

タイトル画面えリコーダー音源にアレンジしたものが流れる。

2020東京オリンピック

2021年7月23日、1年延期されて開催された2020東京オリンピック開会式では、入場行進曲として日本産ゲーム音楽のメドレーが使われた。
その中で入場曲のトップバッター、さらに最後の国・日本の入場後の締めとしてドラゴンクエストの『序曲』用いられた。このときの曲名は『序曲・ロトのテーマ』で、ファンファーレは【序曲XI】のロトファンファーレ部分が使われた。この演出には国内外から驚きの声が上がっている。
 
なお開催前の同年6月末ごろには既に、リハーサルを行っていたと思われる新国立競技場の周辺にいた人から「DQの曲が聞こえた」という報告はあったが、この時は「海外知名度の低いDQの曲をなぜ使う?」といった疑問の声が挙がり、ネガティブに捉える向きもあった。

その他

弦楽重奏、金管重奏、和楽器などでのアレンジもあり、弦楽重奏版の中間部はDQ9のダーマ神殿などで使われる【集え、者たち】にそのまま流用されている。
DQ9ではラスボス曲【決戦の時】にも『序曲』のアレンジが入っている。どこの作品でもクライマックスシーンの曲にメインテーマのアレンジが入るのは熱いものがある。
 
DQ30周年で渋谷ヒカリエとひらかたパークで開催された【ドラゴンクエストミュージアム】に合わせて、2016年7月5日より9月12日までの期間限定で東急東横線渋谷駅(3番線、4番線、5番線の横浜方面)の発車メロディにこの曲が使われた。イントロは省略されている。
京阪電鉄ではドラクエ電車のみ始発駅停車時の案内放送の時に使用された。
 
2017年1月期のTBS系ドラマ「カルテット」では第1話のタイトルバックで主人公達4人による弦楽四重奏が流れた。途中、彼女達のアドリブ(という設定)で【レベル・アップ(曲名)】が挿入された。
第9話(最終回直前)の次回予告でも序曲が使われ、画面下部にドラクエ風のウィンドウと文字であらすじが流れた。
 
すぎやまこういちが逝去した2021年を締め括る『NHK紅白歌合戦』では、東京都交響楽団によって「そして伝説へ」とともに演奏された。

関連楽曲

NES版DW3以外は全て『序曲』のアレンジである。
【ドラゴンクエスト・マーチ】(DQ2)
【ロトのテーマ】(DQ3・DQ11)
【序曲のマーチ】(DQ5・DQ6)
【序曲のマーチVII】
【序曲IX】
【序曲X】DQ10大辞典:【序曲X】
【序曲XI】
 
【NES版DW3のオープニングテーマ】(曲名不詳)