【ドラゴンクエストIV 導かれし者たち】

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・DQ本編シリーズ

DQ1DQ2DQ3DQ4DQ5DQ6DQ7DQ8DQ9DQ10DQ11

DQ1・2DQ1・2・3BSDQ1DQ10オフライン

DQ4関連一覧
キャラクター - 地名 - 呪文 - 特技 - 装備品(武器/よろい/たて/かぶと/装飾品) - 道具 - モンスター - 称号 - 音楽 - 台詞 - 裏技

作品データ

『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』
オリジナル版
発売日1990/2/11
対応環境ファミリーコンピュータ
媒体ROMカセット(4Mbit)
型番EFC-D4
価格(税別)8,500円
移植・リメイク
対応環境発売日
PlayStation2001/11/22
ニンテンドーDS2007/11/22
iOS,Android2014/4/17
廉価版
対応環境発売日
PS one Books
PlayStation2005/3/3
アルティメットヒッツ
PlayStation2006/7/20
ニンテンドーDS2010/3/4
海外版
対応環境発売日
Nintendo
Entertainment
System
北米 1992/10
ニンテンドーDS欧州 2008/9/12
北米 2008/9/16
iOS,Android2014/8/7

※参考:オリジナル版発売当時の消費税率は3%。
 
海外版タイトル
<NES版>
(英語)DRAGON WARRIOR IV
<DS版以降>
(英語)DRAGON QUEST IV Chapters of the Chosen
(DS欧州版英語)DRAGON QUEST The Chapters of the Chosen

公式サイト

概要

【ドラゴンクエストシリーズ】第4作。対応機種はファミリーコンピュータ。開発は【チュンソフト】
1989年(昭和64/平成元年)1月に発表され、1990年(平成2年)2月11日に発売。平成最初のDQとなった。
前作の発売日に平日にも関わらず児童・生徒たちが昼間から販売店に殺到した件を考慮し、本作は日曜日の発売となり、以降もナンバリングタイトルの発売日は学校が休みの日(DQ10は夏休み期間)に定められた。
 
容量は前作DQ3からまたまた倍(DQ2の4倍、DQ1の8倍)の4メガビット(512KB)。
今作は前作までとは異なる世界を舞台とした物語となり、後に【天空シリーズ】としてDQ6まで続いていく。
今作は勇者だけでなく仲間のキャラクターにも焦点を当て、それぞれ主人公が異なる5つの章にストーリーを分割。
四章までは勇者の仲間となるキャラクター視点でそれぞれの理由での旅立ちが描かれ、五章で初めてプレイヤーの分身である勇者の視点で物語が進み、旅を続ける中で四章までのキャラクターが導かれるように勇者の下に集結していく。
さらに初心者からマニアまで楽しめるように、5つの章を通じてDQ1~DQ3を順番にもう一度体験できるような配慮がなされている。
一方で、作戦とAI戦闘(オートバトル)、5人を超える多人数パーティとスタンバイシステム、カジノやちいさなメダル収集といった、後のシリーズで定番となる要素の多くがこの作品で初登場している。
 
"DRAGON WARRIOR IV" のタイトルで北米圏への展開も行われた。
後にPlayStation・ニンテンドーDS・スマホにてリメイク版が発売されている。なおPS版の発売前にはゲームボーイ系でのリメイクが計画されていたが実現しなかった(こちらを参照)。

開発

開発は前作発売直前の1988年1月から始まった。
同年3月には海外を取材。前回はエジプトだったが、今回はスペインを訪れ城などを取材した。
 
【堀井雄二】は大ヒットした前作に負けない作品を作らなくてはならないプレッシャーに加え、前作でシステム・ストーリーともにひととおり完成させてしまったため、今度はどのようにしようかと悩み抜いた。
その結果、今後は新しい展開の方が良い作品が作れるとの判断で、前作までの【ロトシリーズ】とは異なる世界を舞台とした物語となった。
【中村光一】によれば、本作は前作までの『ドラゴンクエスト』のタイトルを捨てて別タイトルになっていた可能性もあったという。
 
システム面では前作までの3作で『ウィザードリィ』や『ウルティマ』などをお手本にしてRPGの基礎を完成させてきたが、本作ではDQならではの新たな挑戦をする方向となり、「章立て」「AIで勝手に戦う仲間を出す」という方針が当初から立てられた。
前者については、DQ3以上にシナリオを長くするとプレイヤーが疲れてしまい、かといって短くするとガッカリされてしまうだろうという考えによって決定された。
後者に関しては仲間キャラの「人間臭さ」を出す意図があったが、新しい仲間がいきなりAIで動いてはイマイチ感情移入ができないのではないかという懸念があった。
そこで、四章までの各章では仲間キャラを主役としてマニュアル戦闘で感情移入してもらい、キャラのことを把握した五章で初めてAI戦闘を導入する形になった。
プレイヤーが命名する勇者が五章まで登場しないことにはスタッフも違和感も感じていたものの、「面白いからまぁいいや」ということでそのまま決定事項となった。
本作発表前に堀井は『ファミコン通信』1988年16号での対談で
「『I』『II』『III』と同じシステムで別のストーリーのほうがよかったっていう意見が出るかもしれないほど、基本的な部分が変わってる。」
と語っており、実際に大きな変更をされたことになる。
 
こうして、パーティのそれぞれが役割を演じる作品にする方向性で、5つの章ごとに主人公が違う物語が作られた。特に第三章は、従来プレイヤーは常に客側であった「商売」を、店側の視点で体験できるという異色のストーリーとなった。
なおこのシナリオの一部は堀井が前作の時から温めていたアイデアのようで、【ドラゴンクエストマスターズクラブ】でのインタビュー記事には、
「表に出てない部分で、勇者じゃなくて、誰か違う人間を主人公にしたゲームってゆーのをね。たとえば、商人の話で金もうけだけをやるとかね。」
とある。本作の第一章から第四章までがまさにその通りであり、特に「商人の話で金もうけ」は第三章そのものである。
 
AI戦闘の仕様に関する打ち合わせは約3ヶ月かけて続けられ、その後、試行錯誤を繰り返しながら12回ほどもプログラムを作り直した末、1年後の1989年6月にようやく完成にこぎつけた。
一方で今後のRPGは量よりも質が重視される時代になったということで、増えた容量はマップを拡げるのではなく、内容を濃くするために使うという方針になった。
ダンジョンについては複雑な構造をやめ、仕掛けを強化する方向性に変化。結果、エレベーターや転がる大岩、水位の変化、滑る床といった目新しい仕掛けが多く登場した。
これまではマップ・シナリオ・データの全てを堀井が作成していたが、このうちマップについては本作から他のスタッフに任せ、それを堀井がチェックするという体制になった。
マップは1988年10月にほぼ出来上がるも一旦すべてボツとして再構築し、翌年1月にNPCの配置も含めて完成した。前作の3倍となった台詞の作成には7ヶ月を要している。
 
また前作では容量不足によりグラフィックが削られたタイトル画面だが、今回はチュンソフトのプログラマーがタイトルグラフィックを死守。アニメーションや背景を含んだ立派なタイトル画面を作り上げた。
【内藤寛】のYouTubeチャンネルによると、グラフィックの拡大縮小機能がないファミコンでできるだけ早くグラフィックを書き換えるテクニックを編み出した結果、あのタイトル画面が出来上がったという。もしあのテクニックを編み出してなかったら本作のタイトル画面も無かったかもしれないとのこと。
 
第一報は昭和が終わりを告げる目前、1989年元日のエニックスユーザーへのダイレクトメール年賀状にて行われ、1月4日発売の【週刊少年ジャンプ】5-6合併号で画面とサブタイトル、ストーリー構成、キャラクターが発表。
1989年7月にはマスターROMが完成するが、カセットに使われる半導体の調達の都合上、発売時期は「1990年1月発売」と発表される。さらにエニックスの要請により1989年11月の発表で1ヶ月延期され、「1990年2月11日発売」と決まった。
4メガという大容量化により価格は前作から大幅アップを余儀なくされ8,500円+税となった。
 
(参考:『週刊少年ジャンプ』1989年45号・50号、『ファミコン通信』1988年16号・1989年3・4・24号、『週刊ファミ通』2003年8月1日号、Web『週刊ジョージア』2016年4月26日付 など)

作品の特徴(オリジナル版)

今作で登場する仲間には職業・名前・性格・位置付けなどの具体的な設定が予め付与されている。
道中で仲間を加えながら進むDQ2の構成を骨子としつつ、仲間キャラクターの魅力とシナリオ重視のストーリーテリングでゲーム全体を引っ張っていく、今日のJRPGの基礎を築いたともいえる作品となった。
一方キャラクターメイキングや転職システムは無いため、キャラ育成に関するやり込みの自由度は前作と比べて低下。その分キャラ個々の個性を考えてメンバー組成を必要に応じて変化させながら戦闘を進める必要が生じた。
呪文については前作で一通り体系が整っており、今作では少数が入れ替わるのみに留まった。
 
世界の規模は前作とあまり変わらないものの、章やストーリーの進捗によって町の人々の台詞が変わる仕組みとしたため、テキストの量は前作の3倍となった。
 
第五章では、第三章からの高額アイテムの大量持ち越し、中~終盤の店に船入手直後から行く、さらに【せいすい】を使った【メタル狩り】や裏ワザのコイン838861枚技など、冒険や育成を有利に進められるテクニックが豊富であり、これらを駆使すればゲームバランスを無視した低難易度プレイが比較的容易にできてしまうことも本作の特徴の一つとなっている。

演出面

FC後期の作品である本作は、前作から倍増した容量を活かしたビジュアル面の進化が見られる。
マップが平坦な描写だった前作までに対し、今作では視覚的に目新しくする試みとして城壁が大きく描かれたり、一部の建物の外観が立体的に描かれ高低差が表現されるなどの変化が現れた。
辺り一面に滝が流れている洞窟や、樹木のダンジョンなどといった新機軸も盛り込まれている。
町の【NPC】もグラフィックが前作までから一新。また町の人々の生活感をより濃く出す目的で、規則的に往復や巡回をしたり、目的地に向かってゆっくり歩く、カウンターの前に立つとマッハで移動するなど、動きもバラエティーに富むようになった。
 
主人公たちやモンスターなどにおけるアニメーション要素も増加。
【ルーラ】【キメラのつばさ】【リレミト】を使ったときにキャラが飛び上がるようになり、洞窟などでルーラを使うと頭をぶつけるアクションはDQのお約束となった。
戦闘では従来からの点滅や消滅のみにとどまらず、【合体スライム】など一部のモンスターがアニメーションで動きを見せたり、色や形態を変化させたりするようになった。
ただし、各系統内で同じアニメーションを行う系統種はいない。スライムが合体してキングスライムになるのであれば、メタルスライムも【メタルキング】に合体させられるのではないかというのは誰しも思うところだろうが、本作ではそのような実装は無かった。
攻撃呪文のアニメーションはまだ無いが、発動したときには系統ごとに異なる色でフラッシュする。
 
当時は次世代機であるスーパーファミコンの機能と言われていたモザイク処理や拡大縮小処理をFC上で表現したり、巨大な船が出港していくシーンを描くなどハイレベルな演出も行われた。後者は特にクリエイターの間で「ファミコンのスペックであんな事が出来るのか!?」と評判になっている。
 
UI関連では、移動中のメッセージウィンドウの幅も戦闘中と同様に拡大された。
各種コマンドではプレビュー機能が搭載され、カーソルを動かすだけでキャラの所持品や習得呪文、装備後の能力値の確認ができるようになった。これに伴い道具欄・呪文欄の大きさは固定となり、持っている道具の数や覚えた呪文の数によって変動することがなくなった。
 
オムニバスが採用されたことから音楽も曲数が増加。
オープニングテーマのイントロが俗に言う【天空ファンファーレ】に変更され、冒険の書選択画面で流れるBGM【間奏曲】も初登場した。重要アイテム発見時にもMEが流れるようになった。
FCの3和音という限られた環境の中で次回作よりも曲数は多く、またジャンルも多様でFC音源でのDQ音楽の集大成といった感じである。
楽曲の一覧はこちらを参照。

主なシステム

章と導かれし者たち

今作の【プレイヤーキャラクター】【導かれし者たち】と呼ばれる8人。
プレイヤーは開始時に勇者【名前】【性別】を設定し、冒険の書もその名前で登録されるが、他のPCの名前や設定はゲーム側で固定されている。
ストーリーは5つの【章】に分割されており(ストーリー参照)、操作するキャラおよび舞台は章ごとに変わり、【レベル】もそれぞれ1から育てることになる。
最後の第五章で勇者が登場し、前章までの各章のPCが徐々に勇者に合流していく。キャラのステータスや【アイテム】は一部のキーアイテムを除いて各章終了時のものが第五章に引き継がれるが、【ゴールド】は引き継がれずに消滅してしまう。
 
導かれし者たちの各キャラには前作で登場した各職業の役割が一通り引き継がれている(ただし【賢者】に相当するキャラはいない)。本作は転職システムは無く、職業および習得する呪文や能力値の上昇傾向はキャラごとに固定である。
ただし本作も前作同様にランダム成長システムが採用されており、呪文の習得レベルも一定ではない。

旅に参加するNPC

今作では導かれし者たちのほかに、期間限定で共に旅をし戦闘を助けるNPCも登場する。
彼らも隊列並び替え・入れ替え・回復などの対象となっているが、命令・アイテム所持・育成はできない。彼らの中には導かれし者たちが使えない特殊攻撃を持つものもいる。
これらのNPCの中には【ホイミン】【ドラン】といったモンスターも含まれ、彼らは後の作品の【仲間モンスター】システムの先駆者となった。
なおNPCだけが生き残っていても導かれし者が全員しに/麻痺でパーティ全滅となる。
 
このほか、町の外までパーティに同行するものの戦闘には参加しないNPCも登場する。これらのキャラにはステータスは無く最後尾についてくる描写のみである。

セーブ場所の変更

【教会】のメニューに【冒険の書】への【セーブ】を行う【おいのりをする】が追加され、今作からプレイの中断と再開は原則として教会で行うことになった。
教会は大抵の城・町・村などに存在するため、城の王などが記録を行っていた前作までと比べて利便性は格段に増した。【全滅】したときも直前に記録した教会で復活する。
同じく、従来王などから聞いていたレベルアップまでの必要経験値も、教会の【おつげをきく】で聞くことになった。

馬車によるスタンバイシステム

PCの人数が5人を超えた本作では、戦闘に参加するキャラ(バトルメンバー)を4人までに絞りそれ以外を待機させるスタンバイシステムが初採用された。
【馬車】を手に入れると、バトルメンバーのみ外を歩かせ、残りのキャラはスタンバイメンバーとして馬車に乗せておくことになる。これによって馬車内外合わせて最大10人パーティでの冒険が可能。
フィールド上では馬車が常に同伴するが、町中やダンジョン内では馬車が切り離され、バトルメンバーのみで歩くことになる。ただし入口のシンボルが横長になっている洞窟は、馬車も入ることができる。
 
馬車が一緒にいる時は入れ替えが可能。移動中は【隊列】の変更と同時に行えるが、戦闘中の【いれかえ】は1ターンに1人ずつだけで、ターン内に行われる。馬車内からの援護などはできないが、経験値はスタンバイメンバーにも入る。バトルメンバー全滅時は生存しているスタンバイメンバーがいれば自動的に入れ替わる。
馬車が切り離されている場合は入れ替えができず、バトルメンバーが全滅すると敗北となり教会に戻される。このうち町などではスタンバイキャラも各種コマンドなどの対象となるが、ダンジョン内では馬車内外が完全に隔離され、スタンバイキャラの経験値も得られない。

AI戦闘

第五章では、勇者以外の導かれし者たちはプログラムが自動的に判断して行動するオートバトルとなる。公式には当初からこれをAI戦闘と呼称している。
行動の方向性はパーティ全体に【作戦】を設定することによって決めることができる。作戦は【みんながんばれ】【ガンガンいこうぜ】【じゅもんをせつやく】【じゅもんをつかうな】【いのちをだいじに】【いろいろやろうぜ】の6つ。
なお仲間にプレイヤーからコマンドで指示を与えることはできず、AI戦闘に頼らざるを得ない。
今作のAI戦闘では、初対面のモンスターの場合は効かない呪文でも試そうとするが、何度か戦闘回数を重ねれば無効な呪文を連発することはなくなるという、擬似的な学習要素がある。
この仕様のせいで攻撃呪文を【ザキ系】しか持たない【クリフト】は、ザキ系を使いまくるキャラとして語り草になっている。
なおNPCのメンバーは作戦に従わず独自の判断で行動する。

「しらべる」の拡大とちいさなメダル

今作からの【しらべる】コマンドでは、足元の【宝箱】や地面のほかに、目の前の【タンス】【壷】からもアイテムやゴールドを得られるようになった。
このほかに【立て札】も初登場し、「しらべる」でメッセージを読むことができる。
 
そして新たに【ちいさなメダル】という道具も登場し、これを収集するシステムが登場した。
前述の各オブジェクトや地面から拾うことができ、これを集めて【メダル王】のもとに持参すれば、枚数に応じて貴重なアイテムと交換できる。ただし本作では入手できる枚数が限られているので交換は慎重に行う必要がある。

カジノ

複数のミニゲームを一箇所に詰め込んだ【カジノ】が新登場。
カジノではゴールドを専用の【コイン】に変え、各ゲームでそれを賭けて勝負に挑み、獲得したコインを枚数に応じた景品と交換できる。景品にはここにしか無い装備品やアイテムが多い。
登場するゲームは以下の3つ。格闘場とポーカーは勝った分のコインをさらに賭けるダブルアップが可能。

  • 【格闘場】:前作のミニゲームを引き継いだもの。対戦カードは固定化され、倍率も上昇。
  • 【スロットマシーン】:専用の画面で行われるゲーム。3列・5ライン式で目押し不可。
  • 【ポーカー】:専用の画面で行われるトランプゲーム。手札を1回交換して役が揃えば当たり。ダブルアップは4択式。

その他の変更点

全般

移動中

  • 【扉】は鍵なしで開くものが初登場。同時に【とびら】コマンドが復活し、鍵をいちいち選ぶ必要がなくなった。
  • 【さくせん】コマンドが初登場。AI戦闘の作戦変更のほか隊列の並び替え・入れ替えもここで行う。
  • 【つよさ】では前作から登場した全員の【HP】【MP】の一覧表示に加えて、新たに【こうげき力】【しゅび力】を一覧表示させる機能が登場。
  • 未習得の呪文が?マークで表示されるようになった。
  • 前作と同じく【昼と夜】があるが、ルーラを使っても時間帯は変わらなくなった。
  • 前作まで1歩2ダメージの【毒の沼地】が1歩1ダメージになった。
  • フィールドマップ上での現在位置を確認できる【地図】が初登場(【たからのちず】)。使用すると地図画面に切り替わる。
  • デバッグ用の【ポーズ】機能が残され、SELECTボタンを押し続けている間は画面の動きが止まる。

施設関連

  • 【武器屋】【防具屋】が分離。
  • 道具屋に加えて武器屋・防具屋でもアイテムを種別に関係なく売れるようになった。
  • 【武器】【防具】を買うときに誰が装備できるかがEマークでわかるようになった。

戦闘関連

  • コマンド入力中にSELECTボタンで【表示速度】の変更ができるようになった。
  • 第五章ではAI戦闘・馬車の導入に伴い、メインコマンド(たたかう/さくせん/いれかえ/にげる)でパーティ全体への指示を与え、勇者が参加していれば【たたかう】を選んだ後に勇者の個人コマンドが出る形式になった。
    • これに伴い物理攻撃のコマンドが【たたかう】から【こうげき】に変更。なお第四章まで(と第五章の勇者単独時)のコマンドは「こうげき」の名称以外は前作と同仕様。
    • 「さくせん」のサブコマンドには作戦変更の「さくせんをねる」以外にキャラの呪文や所持品を見る「じゅもんをみる」「どうぐをみる」がある。
  • モンスターが戦闘開始時から【眠り】【混乱】をきたしているケースが登場。
    ただし今作では眠り状態でも特殊行動のような形で攻撃してくるモンスターもいるため「眠り=完全無力」ではない。
  • 合体・分裂、アイテムを使う、体の色を変える、【モシャス】でPCに変身するなど新たな趣向のモンスターが登場。炎・吹雪のブレスが段階別に異なる名称となり、【1ターン休み】状態を引き起こす特殊攻撃も新登場した。
  • 混乱の仕様が変更され、味方を攻撃するだけでなくキャラごとに様々な【混乱時の特殊行動】をとるようになった。
  • 【痛恨の一撃】が2タイプに分かれ、旧来の守備力無視タイプに加えて攻撃力5倍の固定ダメージタイプが登場。
  • 複数の敵が属する【グループ】を物理攻撃する場合、HPが少ない敵を優先的に狙うようになり、止めを刺せる敵が複数存在する場合は逆にその中で最もHPが多い敵を狙うようになった。
    同様に、同一グループ内に眠りや麻痺などで行動不能のモンスターがいる場合は、それらを攻撃せずに行動可能な敵を優先して攻撃する。
    ただし、呪文には対応しておらず、単体攻撃呪文を使う場合は前作までと同様グループ内の敵の中でランダムに攻撃対象が決定される。
  • 戦闘終了時の経験値・ゴールドの一覧表示が廃止。また獲得経験値分配システムは廃止され、単純に倒したモンスターの合算分を対象キャラが均等に得られるようになった。
  • レベルアップで新たな呪文を覚えると、その呪文名が明記されるようになった。

設定

舞台

勇者ロトとアレフガルドにまつわる物語、いわゆる【ロトシリーズ】は前作で完結し、今作は全く新しい世界が舞台となる。
 
今作の世界では遥か上空に【天空城】がそびえており、今作から始まった【天空シリーズ】の象徴となっている。治めているのは【マスタードラゴン】で、住人は【天空人】と呼ばれており勇者の出生とも関係している。
そのほか【人間】以外の種族としては前作と同じく【エルフ】【ホビット】の姿も一部で見られる。
世界の広さは前作までと変わらないが、第四章までは世界のうちの一部の地域のみに行動範囲が限定され、各章ごとにその地域が異なる。各章の主人公たちにそれぞれの故郷や祖国がある等の演出もあり、王国の数がシリーズ中でも飛びぬけて多い。
 
基本的にすべての場所を一度回ったら終わりであった前作までと異なり、本作では四章以前の章で登場した地域を、全世界をまわる第五章で再登場させてストーリーを膨らませている(エンドールは二・三・五章と3つの章で登場)。
これらの地域では町中などの状況・人々の台詞や出現モンスターが以前の章から変化し、また新たなイベントが発生したり、以前の章では行けなかった場所に行けるようになっていたりする。
 
乗り物は【船】と、前作のラーミアに代わる空の乗り物【気球】が登場する。一方、DQ2・DQ3で多く存在した【旅の扉】は、今作では大きく数を減らしている。
船は従来のように主人公たちが操縦するもののほか、イベントで別の地方に自動的に移動するための船が初めて登場した。
気球で世界の中央付近にある浅瀬に囲まれた島に着陸すると【ゴットサイド地方】の拡大マップに切り替わる。そしてその島からは天空城や、ラスボスとの決戦の場である【闇の世界】にも通じている。
ゴットサイド地方や闇の世界は前作のアレフガルドに比べるとマップは小さい。
 
地名の一覧はこちらを参照。

キャラクター

プレイヤーキャラクターは以下に挙げる8人であり、総称して【導かれし者たち】と呼ばれる。
以下では登場順に記載。なお第五章ではそれまでの登場順とはほぼ逆の順で仲間に加わっていく(ミネアが最初でライアンが最後)。

各キャラクターの公式イラストは、従来作品では頭身が小さく子供っぽさがあったが、今作より全体的に頭身が上がり、成人に近いイメージになっている。
 
今作からは主人公たちだけでなくNPCにも性格付けが行われストーリーにも絡んでくるキャラが多くなり、それに伴って名前付きのNPCの数も前作よりかなり増えている。
 
キャラクターの一覧はこちらを参照。

ストーリー

章構成は以下の通り。詳細は各章の記事を参照。
 
【第一章 王宮の戦士たち】
王宮戦士ライアンが、バトランド国内で次々と起こる子供の失踪事件の元凶をつきとめる。敵の本拠地で地獄の帝王と勇者の存在が明かされる。
【第二章 おてんば姫の冒険】
力試しの旅に出たいアリーナ姫が城を飛び出し、心配して追いかけてきたクリフト、ブライと共に3人で旅をする。やがて【ピサロ】の噂を耳にし【武術大会】に出場するが、アリーナの優勝後に突如故郷の人々が失踪する。
【第三章 武器屋トルネコ】
武器屋のアルバイト店員のトルネコが、世界一の商人を目指す。お金を貯めて【エンドール】城下町に店を出した後、伝説の剣の噂を聞いてさらなる旅に出る。
【第四章 モンバーバラの姉妹】
踊り子マーニャと占い師ミネアの姉妹が、錬金術師だった父【エドガン】を殺害した【バルザック】に復讐を果たすべく、仇討ちの旅をする。【進化の秘法】を用いた魔族側の計略も明らかになっていくが、仇討ちは失敗に終わり、力を付けるために姉妹は大陸を脱出する。
【第五章 導かれし者たち】
ある日、ピサロ率いる魔物の軍団が勇者の命を狙って山奥の村に来襲。村は壊滅するが、【シンシア】が身代わりとなったことで勇者は生き残る。
失意の中勇者は一人旅立ち、各地を巡って運命に導かれた7人の者たちに次々と出会い、ともに戦う味方を増やして力を付けていく。
その後天空城の存在を知った勇者は、天空に上るために必要な天空の武器防具を集めていくが、その傍ら地獄の帝王【エスターク】が覚醒したとの話を聞き、これを討伐する。
そして天空の武具を揃え、天空城の【マスタードラゴン】に謁見した勇者は、人間への憎悪をきっかけに我を失い「第二の地獄の帝王」と化したピサロ(【デスピサロ】)へと立ち向かう。
 
自由度に関してはロトシリーズに比べると全体的に低くなっている。
とりわけ四章までの各章では行動範囲が狭く、一章や二章ではすべての町・ダンジョンを必ず訪れなくてはならず、攻略順序も固定されている。
一方三章は比較的自由度が高めであり、ダンジョンに潜ることも必須ではない。四章も行動の自由度は高めだが、序盤からいきなり遠くに行くと出現モンスターが格段に強くなるため危険を伴う。
五章では、船入手後には前作と同じく行動範囲が大幅に広がり、本来は後半に訪れる【ロザリーヒル】【リバーサイド】にも、行くだけならば船入手直後から行けてしまう。
だが、今作ではキャラクターの台詞などによって次に行くべき場所が明確に示されるようになり、その順番通りでないと、鍵が無かったり【フラグ】が立っていなかったりでシナリオを進められないことが多い。
したがって仲間を集める順番も決められており、【てんくうのよろい】【てんくうのかぶと】が五章中盤~終盤のどのタイミングでも入手可能であることを除けば、ストーリー展開はほぼ一本道となる。
 
最初から存在のわかっている魔王を倒すことが目的とされた討伐型ストーリーであった従来作に対し、本作ではゲームを進めるにつれて敵の正体が徐々に明かされていくという形が初めてとられた。
また、今作のラスボスであるピサロは当初こそ人の姿だが、人間の醜い負の部分を発端とした事件をキッカケに暴走し異形の化け物と化すという一風変わった立ち位置となっており、シンプルな勧善懲悪路線からの脱却も試みられている。そのキッカケにまつわるエピソードは五章中盤から断片的に見ることができるのだが、これらのイベントは必須ではない。
なお、開発当初ピサロはストーリー途中で仲間になる予定だったが、容量の都合で削った結果このような結末ができあがったという(『ファミコン通信』1990年26号の対談より)。
他にも「ラスボスに忠誠を誓いつつ独自の思惑で立ち回る臣下」「人間に友好的な魔物の存在」「戦いの根底にある故郷を滅ぼされた勇者の仇討ち」など単純な善悪ではくくれないキャラクター性や構図を取り入れており、明るい冒険譚的な趣が強かった前3作品と異なる独特なシリアスさも併せ持っている。
 
ストーリー重視型への路線変更によって【ボス級モンスター】も増えたが、勝たなければならない戦闘だけではなく、ストーリー上の演出として敗北によって話が進む戦闘が初登場している。

反響

前作までとは世界や作風が変わったことからか前人気は前作よりも若干落ちたが、それでも本作の出荷本数は310万本を記録。日本国内のファミコンソフトで4位であり、これにより同機ソフト販売本数トップ10のうちの3枠をDQシリーズが占める結果となった(他はマリオシリーズやFC初期の任天堂ソフトなど)。
なお今回は、小売店が他のゲームソフトとセットでないとDQ4を売らないという【抱き合わせ販売】が問題視された。
 
『ファミコン通信』の読者投票による1990年ベストヒットゲーム大賞では、本作の後に発売された『ファイナルファンタジーIII』を僅差で上回り1位。DQシリーズはここまでの4作すべてが1位獲得となった(なお、この企画は翌年で終了している)。
一方、『ファミリーコンピュータMagazine』(ファミマガ)による'90年度ファミマガゲーム大賞では総合評価30点満点中25.34点と前作の27.30点より2点近くも下回るほど伸びず、FF3の26.60点に次ぐ2位となり、DQ2からの3作連続グランプリはならなかった。
さらに部門別でもキャラクタ、音楽、お買い得度、操作性、熱中度、オリジナリティの6部門全てで1位を逃した。部門別で1つも1位を取れなかったのはシリーズ初であり、結果として同誌で扱われたDQ6まででは唯一となった。
特に「お買い得度」部門は3.65点とDQ1(「キャラクタ」部門)以来となる部門別での4点割れとなった。
また、ファミマガゲーム大賞の前哨戦的な位置付けとなるゲーム通信簿では30点満点中26.20点と、そこまで高評価ではない上に、紙一重の差同然ながら1位(FF3はこの時26.13点の2位)を得たものの、この時も「お買い得度」は3.67点と4点を割っている。
8,500円は一見高そうに見えるが4メガとしてはそれほど高額ではなかった上、当時は同じ4メガで8,000円超のソフトも増えてきたこともあり特別高かったわけではないのだが、前作の1.5倍近くにまで値上がりしたことをはじめ、これまでのシリーズと相対的に見られると、さすがに高いという印象は拭いきれなかった。これは前作までが6,000円以内だったという安さが裏目に出た結果となった。
ただし評価に関係ない「回答率」はソフトの売上本数が同年度では圧倒的トップだったこともあり93.3%とダントツだった。
 
発売当時のゲームの評価は賛否両論あり、キャラメイキングや転職があった前作に比べて自由度が低くなったことへの批判が多かった。
また、ピサロが人間たちを憎む動機について、ストーリーの感想がそのままゲーム自体への低評価となってしまっている例が、プレイヤーよりもむしろゲーム雑誌のライターたちの記事や座談会等で見られた。
例えば「正当な理由で人間を憎んでいる敵を倒すのは抵抗がある」「ピサロが怒るのも当然」「悪い事しちゃったという気分になる」など。現在であれば敵側にも様々な物語があるゲームは珍しくないが、本作発売当時はそこまで複雑な設定を持つゲームが少なかったのも理由であろう。
また、前作まではゲームマスコミ内でもほぼ絶賛のみだったのに対して、本作では発表直後から冷ややかな見方をするゲームマスコミがかなり見られたのも事実であった。『マルカツファミコン』やファミマガでは批判的なコメントを載せ、その後発売された号にてエニックスから抗議が寄せられた事実を明かしている。
さらにかつてDQ2のときにネタバレ掲載でエニックスとトラブルになった『ハイスコア』はFF3を「ドラクエIVより十倍面白い」の表題でレビュー、本文では冒頭でFF3の素晴らしさを一言二言申し訳程度に述べただけで、残りのスペースでは全て本作への暴言に終始していた。
 
しかし、当時から時が流れ、評価は大きく見直された。
その後の『週刊ファミ通』の記念読者投票企画では以下の順位となっている。

  • 500号記念 心のベストゲーム(1998年) :6位(シリーズ6作中3位)
  • 読者が選ぶファミコンソフトベスト100(2003年) :5位(シリーズ4作中2位)
  • 900号記念 心のベストゲーム(2006年) :14位(シリーズ8作中5位)
  • 1000号記念 未来に伝えたいゲーム(2008年):34位(シリーズ8作中5位)
  • 30周年記念 機種別 思い出のゲーム FC部門(2016年):4位(シリーズ4作中2位)
  • 1500号記念 RPG総選挙(2017年):15位(シリーズ10作中3位)
  • 1500号記念 ゲーム総選挙(2017年):55位(シリーズ10作中5位)

 
2021年12月27日にテレビ朝日で放送された『テレビゲーム総選挙』では15位(シリーズ中3位)にランクインした。

初期出荷ROMについて

本作には、下記に示すようなプログラムミスによる裏技(バグ技)が存在するが、徳間書店から発行された『ファミリーコンピュータMagazine』の別冊の大技林(裏技が書かれている本)によると、これらの裏技は"初期出荷のソフトしかできません"と注意書きされている。

しかし実際には、現在世の中に出回っているほぼすべてのソフトでこれらの裏技が実行可能である。
というか今現在、「裏技を実行できないソフト」を実際に持っているという報告例はない(昔持っていたという個人の記憶に頼った報告はあるにはあるが)。
一説には、後期ROMにはカセット本体の型式番号に追加のアルファベット1文字が加えられている、等という話もあるが、そのような形式番号のカセットも確認されていない。
 
現状確認されているソフトは以下の2種類が存在する。
これらの印字が出荷時期を表しているのかは不明だが(同時期に別工場で製作された、等の可能性もある)、全てのROMで裏技が実行可能である事が確認されている。

CRC2DD71ACB0794F2A5
カセット内の印字EFC-D4-0 PRGEFC-D4-1 PRG

なお、当時のDQ人気は社会現象を起こすほどの上り坂であった事に加え、前作で【ドラクエ狩り】などの社会問題も起きていた事もあって、DQ4は初期出荷分を十分に用意して発売に臨んだ。
そのため、「そもそも後期ROMが出ていないのではないか」と言う説もあるが、流石にドラクエほどの大ヒット作が、初期出荷分だけで全ての需要を満たせた、とは考え難い。
一方で、追加生産を行う場合はある程度の本数を生産しているはず(そうでなければ採算が取れない)なので、「追加生産ROMはごくごく少数しかない」と言うのも、また考え難いだろう。
 
とすると、「後期生産ROMは十分出回っているが、そちらでも裏技は変わらず実行できる」と考える方が自然。
そもそも、裏技を使えないソフトの存在を示唆しているのは、前述の大技林しか存在しない。
世の中にまだ知られざる「裏技を使えないソフト」が存在するより、この記述が誤りであった、と言う方が可能性は高いだろう。
その上でこの記述について考えると、「本当に修正ROMが出た時に、『裏技を使えない』と苦情が来る事を、予め防止するため」と言う辺りだろうか。
実際、DQ4くらいの時代になると、DQ3においていくつかのバグ技が使えなくなった後期ROMが出回っていたので、当然DQ4もそうなることは予想されただろう。
 
しかしDQ4の場合はROMバージョン更新のタイミングがDQ3とは少々事情が異なっていたと思われる。
バックアップ回路を持つカセットではたびたび回路が改良されてデータが消えにくくなっているが、大きな回路変更があるとそれに合わせてROMの関連ルーチンも変更を要する場合がある。せっかくROM変更の機会があるならバグ修正したROMデータを使うのが普通だろう。
実際にDQ3の後期ROMではバグ修正だけでなく、バックアップ回路の変更とそれに合わせた特殊な待機状態の内部処理が変更されている(それが原因で【電源ON/OFFバグ】ができなくなっている)。
これに対しDQ4の場合、中古で出回っているROMカセットの大半は後期ROM(EFC-D4-1)であり、初期ROM(EFC-D4-0)は割合としては明らかに少ない。上記の通り初回から大量に出荷されたため、初期ROMだけで初期出荷分を満たしたとは考えられず、状況としては初回分を量産している最中にROMを更新する機会(恐らくは回路変更)があったことになる。そのような早い段階ではバグ技の存在を把握していなかった可能性が高い。結果的にそれ以降はROM内容の変更を要するほどの回路変更の機会がなく、EFC-D4-1がそのまま使われつづけたものと考えられる。

海外版・リメイク

北米版(NES)

1992年10月に北米地域でNintendo Entertainment System向けに翻訳版が発売された。
 
日本語版との相違としてはカジノ関連において、

といった点があるが、オープニングデモなどの追加要素やグラフィックの大きな変更は見られない。
なお、上述のバグ技はすべて修正されている。
その他、他作品と共通するNES版の特徴についてはこちらを参照。
 
本作の発売後、DQシリーズの海外発売は2000年のDRAGON WARRIOR MONSTERSまで約8年の間途絶えることになる。

PlayStation版

FC版から約11年半後の2001年11月22日に発売。開発は前年発売のDQ7と同じ【ハートビート】【アルテピアッツァ】によって、DQ7の発売直後から極秘で進められていた。
媒体はCD-ROM1枚。出荷本数は130万本。
2005年3月3日には「PS one Books」、2006年7月20日にはさらに安価な「アルティメットヒッツ」のレーベルで【廉価版】が発売されている。
北米地域でも発売される予定があったが、ハートビートの開発撤退により中止となった。
 
DQ7をベースとしたリメイクとなり、UIが同作に合わせられたほか、仲間会話やモンスター図鑑など多くの要素を継承。仲間会話により、各キャラの性格付けがFC版よりもさらに濃いものとなった。
加えて新システムとして戦歴機能を初搭載し、これはDQ8以降の新作にも継承された。
 
町やダンジョン等ではDQ7と同じく視点変更可能なポリゴンマップを使用し、キャラは2Dのドット絵で描画。フィールドマップのみ完全2Dとなっており、DQ7のままでは見える範囲が狭くなってしまうことから、DQ4の世界の広さに合わせて拡大率を変えている。
戦闘画面は風景画と一部の呪文エフェクトがポリゴンで、モンスターがドット絵のテクスチャで表示。全モンスターが行動時にアニメーションするようになった。
各種ウィンドウのフォントもDQ7ベース(一部マイナーチェンジ)で、大小サイズとも漢字が使用されるようになった。これに伴って一部のアイテム名が漢字混じり表記になったが、モンスター名はDQ7から引き継いだ【じごくの番犬】を除いて、かな表記のままである。
サウンドもPSの性能に合わせられ、オーケストラ版に基づいたアレンジがなされた他、ボス曲や夜の曲などの追加もされた。
 
DQ7のエンジンをほぼそのまま流用して作られているため、同作からそのままか色だけ変えて流用しているドット絵が多いほか、マップも隠しダンジョンや移民の町の特殊形態、メダル王の城などDQ7の使い回しが多く見受けられる。
隠しダンジョン用のモンスターや、いどまじんなどの追加モンスターもDQ7からのコピー(能力値や行動パターンもほぼ同じ)となっている。

主要な追加・変更要素

●AI戦闘の仕様変更
【作戦】はDQ7と同じく勇者以外の個人別に指示する方式になり、【みんながんばれ】【バッチリがんばれ】に変更。また【めいれいさせろ】が登場し、第五章の仲間PCもマニュアル入力が可能になった(【トルネコの特殊行動】は命令に関係なく発動することがある)。
この他、【じゅもんせつやく】【いろいろやろうぜ】が削除され【おれにまかせろ】が追加。また勇者の性別により一部の作戦名が変わる。
AI戦闘の疑似学習機能は廃止され、最初から敵の弱点を把握している仕様になった。ただし【クリフト】だけは特殊な思考回路が仕組まれている。
 
●戦歴システム
シリーズ初の【戦歴】システムが追加された。
「さくせん」コマンドの「せんれき」かSELECTボタンで戦歴画面を見ることができ、戦闘回数や獲得ゴールドなどのプレイ中の各種記録や、現在の状況に応じた【称号】が表示される。
通常の戦歴とは別にゲームクリア時の状態も保存され、専用の称号が与えられる。
 
●移民の町
【移民の町】をDQ7から継承。
仕組みはPS版DQ7と同じく、出現ポイントにランダムに現れる【移民】を招待して町を大きくしていく方式だが、導かれし者たちと関わりのあったキャラや、【エルフ】や魔物など異種族も移民として登場し、特定の条件でできる特殊形態も多彩となった。
また移民同士でのストーリー的な要素も描かれるようになった。

シナリオの変更点

●プロローグと序章
【プロローグ】として、第四章までの各キャラたちの冒険前のエピソードが見られるようになった(タイトル画面放置で流れる)。
またプレイを始めると第一章の前に「序章」があり、第五章以前の勇者のエピソードを体験できる。
 
●追加ストーリー「6章」
FC版では噂にすぎなかった「6章」が、本編クリア後の要素として追加された。
最初は従来のクリア後要素と同じく【隠しダンジョン】【裏ボス】という形で、ダンジョンではDQ7のザコモンスターが新たに登場。
そしてこれをクリアすると新たなストーリーが展開。死亡した【ロザリー】を復活させて敵であった【ピサロ】を改心させ、彼とともに本当の黒幕【エビルプリースト】進化形)と戦う流れである。
ピサロはPC扱いで仲間になり、前述したFC版でのボツ要素が形を変えて実現したことになった。彼はDQ7から逆輸入した専用の呪文・特技を覚える。
 
●その他

その他の変更点

最新作(DQ7)のインタフェースの主な継承要素

キャラ・呪文特技関連

アイテム関連

  • 武器・防具が増加。【複数攻撃武器】も追加されたが五章後半にならないと入手できない。なお【ブーメラン】など序盤の一部の武器が差し替えられ複数攻撃武器と区別された。
    【装飾品】も多数追加されたが、装備は1人1つのみ。
  • トルネコ以外やふくろのアイテムに【みせる】コマンドが追加され、トルネコに渡すことなく鑑定可能になった。鑑定時の台詞も変更された。
  • 元からアイテムを持てないNPCメンバーはアイテムを持たせる対象として選べなくなった。

寄り道要素

  • カジノの【ポーカー】は手役に「5スライム」が追加。ダブルアップにはFC版の4択方式に加えてハイorロー方式(移民の町)が追加。
  • 【ちいさなメダル】のシステムが累計制になり、隠し場所・枚数と交換できる品も変更。
  • 【モンスター図鑑】が登場。DQ7から改良され、閲覧するモンスターを一覧から選べるようになった。

戦闘

  • エンカウント方式が【歩数エンカウント】に変更された。
  • 個別指示前のメインコマンド「たたかう/にげる」が全章で出るようになった。「いれかえ」「さくせん」は使用可能な場合のみ表示。
    個別コマンドは「こうげき/どうぐ/じゅもん/そうび/ぼうぎょ/にげる」の6択に統一され、今作は【個人逃げ】が使用可能に。
  • 【いれかえ】がDQ5・DQ6の仕様に変更。「いれかえ/そうがえ/みる」のサブコマンドが現れ、入れ替えにターンを費やさなくなった。
  • 【パーティアタック】が削除。
  • 【オートターゲット】を導入。
  • 補助呪文の効果がターン経過で消滅するようになった。

マップ関連

  • 海上のモンスター分布が変更され、FC版では一定条件でのみ出現したりROM内に存在するのみだった海上モンスター群が、普通に出現するようになった。
  • 第五章の【古井戸の底】で、第四章まででしか出会えなかったモンスターなどに一部を除き出会えるようになった。
  • 【フレノール南の洞窟】に隠しフロアとして地下3階が新設された。
  • 【天空への塔】の構造が大幅に変更された。
  • 【闇の世界】のマップが広くなり、【架け橋の塔】周辺が変更された。

ニンテンドーDS版

2007年8月、天空シリーズ三部作が順次DSでリメイクされることが発表された。前年末にはDQ9をDSで出すことが発表されているが、まずこのDS天空シリーズの展開によって旧来からのDQシリーズファンをDSに誘導し、そしてその流れをDQ9へと繋げるという戦略である。
その第一弾として2007年11月22日にDQ4が登場。
開発はアルテピアッツァ。出荷本数は121万本。
2008年には欧米などでも発売された。
2010年3月4日には「アルティメットヒッツ」のレーベルで【廉価版】が発売されている。
 
内容は基本的にPS版を継承しているが、移民の町が【すれちがい通信】に対応したものに仕様変更された。

DS天空シリーズ共通仕様

本作を含むニンテンドーDS版天空三部作では、極力全作で共通したグラフィックやインタフェースが取り入れられている。
この節ではその共通仕様について述べる。
 
画面は移動中・戦闘中とも移動や入力などのメイン機能を下画面に配置し、上画面は地図やステータス表示などの補助的な役割に使用している。
タッチ操作には対応せず従来どおりのボタン操作のみとなっているが、絵表示を多用した独特のインタフェースになっているほか、選択リストの行間が不自然に広かったり、アイテムリストの背景に黒い長方形があるなど、タッチ操作に対応しようとしたような形跡が見られる。
 
マップ(フィールドマップ除く)はPS版DQ4と同じく地形がポリゴンによる3D描写、キャラは2Dドット絵での表示であるが、PS2版DQ5に倣って建物の壁が薄くなり、屋内では手前側の壁が透けて死角が見えるようになっている。またキャラのいる場所には丸い影が付く。
町・ダンジョンなどでは2画面全体を使って地形を表示。1画面での描画よりも使えるポリゴン数が制限されるものの、広々とした気持ちのいいイメージを出すことを優先させた。またDSの上画面をやや傾けて使用することを前提として、上下画面でカメラの角度を若干変えている。(『VジャンプWeb』DS版DQ6インタビューのアーカイブより)
 
戦闘画面では海外版DQ8で採用されたキャラの似顔絵イラストやHPゲージを国内のナンバリング作品で初採用。
モンスターは2Dで描かれるが待機中でも一定の動きをし、背景の風景画像も雲や海などアニメーションするものがある。呪文エフェクトは全体的に短くなり、PS2版DQ5と同じくアニメーションが終わらないうちにメッセージが進行していくなどテンポが速くなっている。
 
なおこのシリーズより、それまでGB以外では決定ボタン(Aボタン・◯ボタン)に割り当てられていたコマンド(メニュー)ウィンドウ呼び出しがXボタンに変更され、【便利ボタン】は決定ボタンと統合された。
文字は「LCフォント」を基本としているが、数字はFC版に近いものとなっている。
 
音楽はオープニングテーマのみ【東京都交響楽団】によるオーケストラ版をストリーミング再生、その他は内部音源である。このシリーズ以降、他のBGMが内部やシンセサイザーの音源であってもオープニングだけはオーケストラというパターンが恒例化する。
 
この他共通の特徴は以下。

  • 【中断】機能を搭載。再開後も消えない一方、町や一部ダンジョンでは使用できないなど、GB作品とは仕様が異なる点が多い。
  • フィールドマップ移動中は上画面に常に【地図】が表示される。このためナンバリングタイトルで初めて、地図を見ながら移動できるようになった。地図は最初から利用可能でオートマッピングと拡大機能を搭載。
  • 町・ダンジョンなどでは2画面を使うようになった代わりに、上空からの広域見下ろし機能が廃止。町では地図とショップリストを表示可能。
  • 【持ち上げ】アクションが廃止され、壷や樽は調べるとその場で壊す。
  • 仲間との会話はBボタンでも行えるようになった。
  • ステータスウィンドウはキャラごとにウィンドウが独立し、それが上画面で横に並ぶスタイル。コマンド(メニュー)ウィンドウは下画面中央下部に、アイコンを併記したボタン形式で表示。
  • 【つよさ】【じゅもん】【どうぐ】等の各コマンドではキャラクター選択リストがアイコン形式になっており、「ぜんいん」は馬車のアイコン。呪文(特技)やアイテムはキャラにカーソルを合わせると上画面でプレビューされ、決定ボタンを押すと下画面での選択に移る。
    アイテム選択リストではアイテム名と共にアイコンが並記され、長いアイテム名は2行に跨って表示される。
  • 【さくせん】の「せんとう速度」サブコマンドで、戦闘の表示速度とBGM/SEのボリュームの設定ができる。それぞれ1~5の5段階。
  • 落下アイテムが【レミラーマ】を使わなくても常に光っている。
  • 【ちいさなメダル】が道具扱いではなくなった。所持枚数がカジノコイン同様の独自パラメータとなり、確認は「つよさ」コマンドで行う。
  • 戦闘中は上画面に顔アイコンとステータス、下画面にモンスターとメッセージ・HPゲージが表示される。個別コマンド入力時は顔アイコンが下画面に移動する。
    • メインコマンド・個別コマンドとも4択に統一。
    • 【いれかえ】のサブコマンドから「みる」が削除。カーソルを合わせるだけで上画面で呪文・特技を確認できるようになったため。
    • PS2版DQ5同様にモンスター名はモンスターの直上に表示され、標的選択時はモンスターのグラフィックを直接選択する。
    • 各キャラに指示した行動内容または作戦が、上画面のステータスの上に表示されるようになった(シリーズ初)。
    • 敵にダメージを与えるとメッセージとともに、その数値がモンスター上に小さく表示される。

DQ4における特徴

DS版DQ4におけるPS版との主な違いは以下。

  • 成長パターンが再度変更。ステータスがFC版同様に最大値まで上がりやすくなり、HPの上がり具合もPS版より向上した。
  • ステータスの【たいりょく】が削除、【みのまもり】が追加されて守備力の計算方法が変更。ただし、みのまもりは従来の守備力の基礎値であった「すばやさの半分」を基準にしているため、ドーピングなしで128前後までしか上がらない。
    これに関連して、アイテム【ラックのたね】が削除され【まもりのたね】が追加された。
  • アイテム名・モンスター名が再び全てかな表記になった。
  • 四章までにもふくろが導入された。五章では各章のキャラ全員がパーティに加入した時点で、その章のふくろの中身が五章のふくろに合流される。
  • 地図が最初から見られるようになったため、【たからのちず】は宝の在処に×印を加えるのみの役割となった。
  • 【移民の町】のシステムが変更。特殊形態が廃止され、ゲーム内で招待する【移民】と発展パターンは固定化された。代わりに「すれちがい大使」を設定してすれちがい通信を行うことで住民を増やすこともできる。
  • 戦歴での称号が一部変更された。
  • カジノポーカーのダブルアップが4枚選択式に統一。
  • 戦闘の個別コマンドは4択に統一された結果、「そうび」「にげる」が削除。装備変更は「どうぐ」で行う。
  • 戦闘が終わって移動画面に戻ると、移動画面のBGMが最初から流れる仕様に逆戻りした。
  • 各キャラにまつわるオープニングデモが削除。
  • 第二章で【クリフト】【ブライ】が仲間に加わる場所がフィールドマップ上からサントハイム城の裏庭に変更。
  • 【謎のダンジョン】のマップがオリジナルのものに変更。ただし出現モンスターはPS版から変更なし。
  • 【砂漠のバザー】を教えた子供に対するブライの皮肉など、仲間の台詞が一部変更された。
  • 海外版では、章タイトル画面の背景としてキャラの公式イラストが表示される。一方、仲間会話は非搭載。

スマートフォン版

DQシリーズ8作品のスマホ展開の一環として2014年4月17日から配信されている。DQ1・DQ8に続いて3作目の配信。iOSとAndroidに対応。
2016年12月からはAmazonアプリストアでもAndroid/Fire版が配信されている。
海外各国でも配信が行われている。
開発はアルテピアッツァ、キャトルコール。
 
基本的にDS版のベタ移植であるが、片手でも操作可能な縦持ち前提のUIを採用。【オートセーブ】機能や冒険の書のクラウドセーブ機能も搭載。
ただしロトシリーズやDQ8とは開発元が異なる関係上、インタフェース面(呪文の選択や買い物など)で多少の相違点が見られる。
キャラやモンスターのドット絵はDS版と変わらないが、3Dマップや戦闘背景などポリゴン要素は解像度の関係上、DS版よりも滑らかに見えるようになった。
使用フォントはフォントワークス社の「学参丸ゴM」。
BGMは、バトルロードシリーズなどと共通のシンセサイザー音を使用している。
 
なお、起動時には通信によって認証が行われ、本作を含めた天空シリーズでは何度か認証に失敗するとロックがかかって起動できなくなるようになっている。
オンライン状態のスマホでプレイする分には特に問題無いが、回線契約の切れた古い端末でプレイする場合は、定期的にWi-Fi接続して認証を行う必要がある。
 
DS版との違いは以下。
 
天空シリーズ内共通仕様

  • 移動中はステータスとコマンド(メニュー)のウィンドウが一体化して画面下部に配置。
    • ステータスウィンドウは各キャラのデータ(レベルは表示なし)がアイコン付きで人数分縦に並び、呪文・道具使用時のキャラ選択タブも兼ねるようになっている。
    • 【はなす】【しらべる】がコマンドから無くなり、便利ボタン機能に一本化された。
  • 中断セーブ後もそのままプレイを続行できるようになった。
  • 【アクションアイコン】を導入。対象の方向を向かなくても会話などが可能になった。
  • 【地図】表示と【仲間会話】は画面上の専用のボタンをタップして行う。地図を表示させながらの移動はできない。
  • 戦闘画面のステータスウィンドウは3DS版DQ7ベースとなり、HP・MP双方の下にゲージが表示される。キャラの顔イラストは小さくなった。
  • 戦闘での【いれかえ】コマンドではキャラ選択後に「みる/えらぶ」のサブコマンドが現れるようになった。
  • 呪文・特技(移動中は使用対象を選択しないもの、戦闘中はすべて)の選択後には【つかう】1択のサブコマンドが表示され、その段階で呪文・特技に関するヘルプも閲覧できる。

DQ4における変更点

  • 【ルーラ】【リレミト】の消費MPが1に変更。
  • 【移民の町】はすれちがい機能が削除された代わりに、町を発展させるために集めるNPCの数が増加。また各段階に発展するタイミングがDS版よりも早くなった。
  • プレゼントコードによる配信限定アイテムが追加(配信は2015年5月で終了)。受け取りはタイトル画面で行うことができた。
  • 海外版では、DS版(海外版)で非搭載となっていた【仲間会話】が晴れて搭載された。しかし章タイトル画面の背景画像は無い。

なおAI戦闘は従来通り第五章からの登場で、DQ8とは異なり主人公はマニュアル戦闘である。

関連作品

ゲーム

マンガ

権利表記

FC版
© 1990 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
 
PS版
© 2001 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/HEART BEAT/ARTEPIAZZA/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
 
DS版
© 2007 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/ARTEPIAZZA/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
 
スマホ版
© 1990,2014 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
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