黒き霧は、野望を前に宙に舞う

Last-modified: 2020-02-10 (月) 14:43:35

 
 
 
 
東京にある、ごく普通の喫茶店にて、男が2人席に座る。
一人はコーヒーカップをまるでお猪口のように扱うほどの巨体で丁寧にコーヒーを啜る。
もう一方は、ベルギーワッフルにたっぷりのシナモンとメープルシロップをかけて舌鼓を打っていた。
 
「うむ、美味(ぐろぉりあす)。雑談の場として入ったがなかなかに良いクオリティよ」
「やっぱ松本幸四郎はすげぇなぁ……。あの歳であの声量だぜ……。ちょっと距離あったのがあれだけど」
「しょうがなかろう。貴様の巨体で最前列などなった日には貴様の背後の一列全員から苦情が来るわ」
「そっかぁ……。寂しいなぁやっぱ…」
 
二人の名は、巨体の男が黄龍焔雲仙。もう片方が霧六岡六霧。
互いにサンヘドリンと呼ばれる魔術組織の幹部であり、今日は普段外国暮らしである雲仙がたまたま日本を訪れたので、
たまの休みにと雲仙がファンであるとある俳優の舞台を二人で見に行った帰りであった。
 
「舞台というものは良い。人間賛歌が詰まっている。良いものだ」
「だろう? やっぱ良いよなぁ、ああいう物語を間近で見れるってのはよ」
「まぁ、俺たちサンヘドリンはその英雄譚の主人公たちの是非で争っているようなものだがな」
 
ニィ、と口端を吊り上げながらワッフルを頬張る霧六岡。
それに対して雲仙はむぅと口をへの字に曲げて言葉を詰まらせる。
 
「テメェは相変わらず肯定派かよ」
「当然だ。聖杯によって眼前で繰り広げられる神話の再現。
 それに心躍らないはずがないであろう。貴様も英雄譚は好きなはずなのになぜ否定派なのだ?」
「決まってんだろうが!! 本物が目の前に現れちまったらァ! それこそ英雄譚が陳腐になっちまうってもんだ!!!!」
 
ダァン!!! と、まるで大砲でもぶっぱなしたかのような轟音を響かせ雲仙がテーブルを叩く。
咄嗟の判断で霧六岡が外界との情報遮断魔術を起動しなければ、周囲の視線を一気に集めるところであったほどの轟音だった。
 
「やかましいわ!!」
「神話や英雄譚は過去にあるからこそ素晴らしく、そして美しいんだ!!!!
 それを魔術師連中は使い魔だの受肉だの!!!!! ふざけてんじゃねぇ!!!!!!
 ドローン・インヴォーカーが今まで記録したっつー聖杯戦争の記録、見たぞ!!!! ありゃなんだふざけんな!!!!
 英霊共が使い倒されているわふざけた連中に現を抜かすわ! 挙句の果てにどれだけの英霊が受肉しているんだ!!!!!
 トロイアのパラスにトラキア王ディオメデスに史記の霍去病!!!!! どいつもこいつも名だたる英雄じゃあねぇか!!!」
「落ち着け」
「なんだよ畜生……ッ!!! どいつもこいつもふざけやがって……! 気軽に受肉させやがって……!!!
 ぐぞぉ……!! 英雄のブランドがもっだい゛ない゛!!! おぉぉぉぉおおおお!!!」
 
怒り狂っていたと思ったら、突然大声を上げて泣き出す雲仙。
またかという顔をしながら、霧六岡はとりあえず話を続ける。
 
「まぁ受肉なら、我らサンヘドリンも成功例を有してはいるがな」
「聞いたよ……。あんのクソアマ……。得た聖杯は司令に献上するのが俺たちのルールじゃなかったのかよ!! ええ!!!?」
「いやそれがだな。司令が直々に"もういらん"と言ったらしい。発言記録も残されている」
「んなにぃ~~ッ!!!? んじゃあ司令まで英霊受肉には賛成って事かァ!!!?
 英霊がそこらの人間と同列に扱われるのに賛成だとォ!!?」
「だから落ち着けって」
 
口いっぱいにワッフルを詰め込み、ナイフで雲仙を指しながら霧六岡は言う。
 
「かのモレー卿だが、貴様の言う…なんだ、一般人と同列には扱われてはいない。
 ドロシアの奴から聞いた話だが────」
 
 

 
 
────フランス
 
「マスター、はい。どうぞお食べくださいませ」
「どうも、ありがとう、感謝するよ。ではいただこうか」
 
フランスにて、一人の修道服の女性が男性に食事を差し出していた。
女性の名はフランソワーズ・ド・ランベール。先の2人と同じくサンヘドリンの一員。
そして男性の方は、ジャック・ド=モレーという受肉したセイバーのサーヴァントである。
かつてフランソワーズが参加した聖杯戦争に於いて、聖杯を得た彼女が受肉させたのだ。
 
通常その場合、マスターと呼ばれるべきは彼女のはずなのだが……
 
「邪魔するぞ」
「あらドロシアさん。いつもお疲れ様です」
「汝らフランス支部には世話になっているからな。たとえ英霊賛成反対という差があってもな……っと。
 これ、今月分の新規開発礼装。そしてこれが調整したそちらの礼装だ。確認しておいてくれ」
「心より感謝します。それでは私はマスターのお世話がございますので」
「…………前から思っていたんだが、何故に汝はセイバーの方をマスターと……?
 聖杯戦争でマスターであったのは汝の方であろう? なのになぜ……」
「だってぇ……、」
 
もじもじと、頬を紅潮させながらフランソワーズはかぼそい声で言う。
 
「わ、我ら選民の先達であるモレー様に、ま、マスターと呼ばれるのが……
 き…気恥ずかしくて堪らないのです……! 至らないのは、私の方なのに!」
「ああそっか。そか。じゃあ何も言わん」
 
ハァ、と少女は短くため息をつく。
こちらの少女もサンヘドリンであり、名をドロシア・マクブライドという。
少女に見えるが、全身を義体化しているだけであり実年齢は相当なものだったりする。
 
「すまないね、心苦しいね、心憂いね。私の方が君に感謝したいぐらいなのに」
「感謝なんてとんでもございませんわ! 全ては選民の先達者の意志!! 我々のような選民の木っ端は、
 すべて貴方の意思に従います! 我らサンヘドリンフランス支部は貴方を旗本として掲げ騎士道の精進を目指しますわ!」
「だが良いのか? 英霊の受肉例など数を見んだろうに。第一(ほんぶ)に預けて研究させ」
「は?」
 
フランソワーズの冷たい視線が鋭利なナイフのようにドロシアへ刺さる。
まるで氷柱を脊髄に埋め込まれたかのような感覚を覚えるほどの明確な殺気をドロシアは感じた。
 
「モレー様を? 誰に? 預けると? 言ったのですか?」
「いや……すまん。言い間違えた。此処にいさせた方が、いい、な。うん」
「そうですよね。アーベルデルト様ならばまだしも、第一(ほんぶ)研究員なんていう選民にも満たないダニに渡そうだなんて、
 さすがに同じ選民であるドロシアさんでも許せないところでしたよ~。私たち選民以外のダニがモレー様に触れていいはずが、
 いえ見てもいいはずがありませんものね~! あ、私たちは別ですよ~。私も貴方も選ばれていますので~」
「ああ、そうか。それは、良い事だな。神に感謝だな」
「ええ! 神に感謝、です!」
 
えいえいおー、と可愛らしくガッツポーズを見せるフランソワーズ。
だがその奥底にある、徹底的なる差別主義と選民思想をドロシアは改めて思い知った。
 
「じゃあ、小生はこれで……。また礼装に不調があったら言ってくれ」
「ええ。いつも感謝しています~。貴方に神のご加護の在らんことを~」
 
そう笑いながら手を振り見送るフランソワーズ。
そんな彼女を背後に、ドロシアは苦々しい顔をしながら、ポツリと呟いた。
 
「……やはり受肉には成功していたのか……。
 これで英霊賛成派が大きく有利に立った、というわけか」
 
 

 
 
「なるほど。あくまでモレーを騎士道・選民の旗印とするわけか。
 現人神たぁまた違うが、ともかく英霊を英霊として扱うんなら俺も文句はねぇ」
「フランソワーズは病的なまでの選民思想と排他主義を持つ女だ。自分より目上たる英霊、
 それも奴が幼いころに過ごしたデモレー団の創始者となれば、悪いようには扱わんだろうよ」
「別になんでも良いよ。英霊を他の有象無象どもと同じみたいに扱うようなことがなければな」
「良いのかぁ? 俺たち英霊賛成派が大きくリードしたことを意味しているのだぞ?
 全人類が目の前で英雄譚を目撃できる日は案外すぐそこかもしれんなぁ!」
 
霧六岡がコーヒーをあおりながら呵々と大笑いする。
それに対し雲仙は鼻で笑いながら返す。
 
「言ってろ。俺は聖杯戦争なんざ根絶してやるからな。
 お前とは親友だがそれ以前に英霊賛成・反対と敵同士でもある。
 油断はしねぇ。なんとしてでも英雄譚の堕落だけは阻止してやるからな」
「良いだろう。貴様のその英雄への敬意には一目置くがそれとこれとは別問題!
 阻止してみるがいい! それも貴様の人間賛歌なのだから!!」
 
二人は声を揃えて笑う。
なんだかんだ言って相性がいい2人のようであった。
 
「だが、聖杯戦争が無くなれば、稼ぎを失う女がいるではないか」
「んなもんどうでも良いよ。それはそいつの問題だ」
「呵々! 泣き上戸の割には薄情な奴だ!!」
 
 

 
 
「失礼しました」
 
イギリスにて、サンヘドリン第一支部(グランドロッジ)の一室を女性が後にする。
女性の名はペルセポネ・Z・フィッツジェラルド。同じくサンヘドリンの幹部の一員。
だが彼女の場合、少々他の者と異なり、その地位は一種の牢獄に近いと言えるだろう。
何故なら彼女は、聖杯と引き換えに妹の安全を保障されていると言えるからだ。
 
「(聖杯は必要十分にそろっている、か。だが私には関係ない。
 妹が解放されるまで私は聖杯をこの組織に捧げ続ける。そう決めた。いや誓ったのだ)」
「いよっ、相変わらずコワイ顔してんなぁペルセポネ」
 
廊下を歩いていたペルセポネの前に、一人の褐色の男性が現れる。
彼の名はアントニオ・ガルシア・ロペス。同じくサンヘドリンの幹部の1人である。
 
「アントニオか。貴様もグランドロッジに来ていたのか」
「へへへ、まぁ少し、野暮用で。あんたはいつもみてぇに聖杯を届けに?」
「まぁな……」
 
フン、と素っ気なさげにペルセポネは通り過ぎようとする。
そんな彼女の背後から、ガルシアは軽薄な口調で会話を続ける。
 
「熱心なのは良い事だけど、
 妹さんの為とはいえ…少し頑張りすぎなんじゃないかい?」
「貴様に何がわかる」
「兄弟が大事なのは心から分かるよ……へへ。ああ、俺にも弟がいるって話は前に話したっけ?
 これがまぁ俺には過ぎた弟でねぇー。少し出来過ぎているんじゃないかって思うぐらいで」
「以前にも聞いた。家族仲が良いのは非常に良い事だ」
 
だが、と付け加えてペルセポネは睨みつけるように振り返り、その視線をガルシアに突き刺す。
 
「これは私の問題だ。あまり口を出すな」
「じゃあ手を貸そうかい? へへへ……、一人じゃ聖杯戦争も苦労するだろ?」
「手も貸さんでいい! これは私が私の手で解決するべき試練だ!! 誰の手も借りないし、
 組織が勧めるアポトーシスとやらの召喚にも私は頼らない! 私は私1人で妹を救う!」
 
そう叫び、彼女はツカツカと廊下を早歩きで去っていった。
その叫びはまるで、そうでなくてはならないと自分に対して言い聞かせているようにも見えた。
 
「アポトーシス、ねぇ」
 
そして廊下に1人残されたガルシアは、口に咥えていた煙草の煙を吐き出して一人ごちる。
 
「また嫌なもん研究してるなぁ、うちは。
 ったく、どこまでもついてくるもんなんだなぁ……死ってのは」
 
 

 
 
────中国、某所
 
「この度は、手厚い寄付の程心よりお礼申し上げます。ロックベラー氏」
『君たちの"掃除"は非常に丁寧で、信頼ができるからね……。感謝の気持ちだよ』
 
天高くそびえる摩天楼の最上階。
一人のひげを蓄えた男性とサングラスをかけた男性が通話越しに会話する。
二人の名は、趙 俊照とグェンフェード・ロックベラー。ともに表社会では名の知れた人物であり、
そして、サンヘドリンの幹部に所属する者でもある。
 
「しかし、最重要機密通話を用いての連絡とは、いかがいたしましたか」
『いや何。出資ついでに、一つだけ聞きたいことがあってね。お時間よろしいだろうか?』
「構いませんよ。私程度が答えられることならば、如何様にも」
 
俊照のその返答を聞くと、ロックベラーはニィと口端を吊り上げて問いを投げかけた。
 
『アポトーシスとは何なのかな?』
「────────。」
『ああ、単純な単語の意味を聞いているわけではない……というのはさすがにわかるね、君ならば。
 特性を聞いているわけでもなく、頓智を利かせたいわけでもない。分かっているね?』
「もちろんです。皆まで言わずとも。良いでしょう、知っている限りは答えましょう」
『助かるよ』
 
映像越しにロックベラーが微笑む。
対して俊照は、少し緊張した面持ちとなり、口をゆっくりと開いた。
それは常に冷静である彼には、非常に珍しい面持ちであった。
 
「断っておきますが、私が聞いた情報が正しいとは限りません。
 加え、これはサンヘドリン内部に於いても最重要機密情報であることをお忘れなく」
『当然だとも。"以前の私"ですら踏み込めなかった領域だ。それくらいは承知しているとも』
 
では、と続け、俊照はその重い口を開いて話し始めた。
 
「アポトーシスはここ最近に召喚が可能となったエクストラクラスのサーヴァントです。
 その表す意味は即ち、"死"のエクストラクラス。生と死の境界線に立った存在や、
 人が恐れる死の形が神格化、具象化された概念が形となる英霊です」
『うん、それは聞いている。問題はその先だよ。理由が聞きたいんだ』
「承知しております。ですが言うならば、先ほど言った事実が理由と言えます」
 
ほう、とロックベラーが目を開き、ふむと頷く。
 
「我々が現在、英霊を巡り深い対立と利権争いが起きているのはご存じのはずです」
『ああ、そうだね』
「ですが英霊を利用するにしろ、否定するにしろ、"英霊を御しきれる手段がこの手に無ければ"意味がありません。
 石油は活用する手段がなければただの燃ゆる水であるように、核を制御する手段がなければただの放射性廃棄物であるように、
 それを乗りこなし、使いこなし、そしてその手に手綱を握ってこそ、人間はその資源を有効活用できるのです」
『────────。ああ、なるほど。"そういう事か"』
 
ニィイ……、とロックベラーが嬉しそうに笑う。
それに釣られるように、俊照の口角もわずかに上がる。
 
『既に死してる英霊は、死を以て支配すればいい。そういう事だね?』
「ご明察の通りです。かつ、彼らを召喚できるとされる触媒は、現在我らサンヘドリンが保有しているモノのみ。
 かつてエルサレムより隠者ピエールが運び出したとされる、天国────あるいは地獄へ通ずる階段の破片とされる物、唯一つ」
『英霊の喉元に刃を突き付けているにも等しい、と言えるわけかな?』
「さてどうでしょう。問題はその刃がいつ我らに歯向かうかがわからない現状です」
 
ふむ、とロックベラーが目を細める。
 
『番犬は、十分扱えたと以前の私は記憶しているようだが?』
「おそらくは、召喚者である貴方と、アレの精神性が一致したことが主な要因でしょう。
 従属を望むアレと、支配者たる貴方という存在……。それに加えアレの性質と貴方の魔術特性、
 他にも様々な要因が折り重なり、奇跡ともいえる確率でアレを御しきれたと私は推測します」
『私以外にアレらを御しきった例は無いと?』
「基本は無いと言えるでしょう。例外として、雲仙氏とアーベルデルト司令は御しきりましたが」
『なるほど。彼らならば納得だ』
 
だが……、とロックベラーは付け加え言葉を続ける。
 
『しかし困ったなぁ。"これでは私が有利みたいじゃないか"』
「わかりませんよ? 英霊否定派たる貴方が、英霊を否定する刃を握れたのは、偶然かもしれない」
『だが前例がないのとあるとでは、大きな違いじゃないかな? まぁ、油断はしないでおくよ』
「その方がよろしいかと。先日ある幹部も、例の特級触媒借用申請を行いましたので」
『ほう、いったい誰が?』
「彼ですよ。三木島技研の────」
 
 

 
 
────────カナダ、某所
 
「はいこちら三木島聡。ああ資材発注の件ですか。でしたら1時間ほど前にメールが……」
「はいこちら三木島聡。会議資料がまとまった? 分かった。こちらに回してくれ」
「はいこちら────」
 
電話がかかってきては切り、そして切ってはすぐにかかってくる男が一人。
男の名は三木島聡。日本が世界に誇る大企業、三木島技研の社長の御曹司であり、三木島技研カナダ支社の長。
更に付け加えるならば、サンヘドリンカナダ支部の統括でもある。
 
「────はい。了解しました。例の場所で受け取ります」
 
そう言い、目を細めながら電話を切る三木島。
そしてゆっくりと立ち上がり、椅子の背もたれにかけてあった上着を羽織り直しながら歩きだす。
 
「予定通り、1週間の出張に出かける。出発先は────で変わりない。
 極力電話連絡は控えてほしい。連絡はメールで。最悪の事態に限り通話を許可する。
 取引先との会談中に電話なぞ鳴り響いてみろ。印象最悪だからな」
『いってらっしゃいませー』
『お土産、期待していますよー』
「分かっている」
 
そう、口では和気藹々と返事をしながらも、男の表情は真剣そのものだった。
 
「(とうとう手に入ったか。英霊殺しの死の触媒。
 だが、制御できるかは五分五分か……。まぁいい。こちらには秘策がある)」
 
ズズズ……と、黒い霧のようなものが彼の右腕のスーツの裾から漏れ出る。
いや、正確には彼が腕に巻く包帯の隙間から漏れ出ている物であった。
 
「(そろそろ抑えきれないと思っていた所だ。……聖杯の反応が大きくなるたびに共鳴していやがる。
 だが、まぁ、いい。召喚し同盟関係さえ得れればこちらの物だ。あとはどうとでもいい。最悪片腕でも聖杯戦争は出来る)」
 
ギリ……、と男は口を真一文字に結び、自らの歯を食いしばった。
それは聖杯戦争に対峙する信念の表れか、あるいは────
 
「利用できるものは全て利用してやろう」
 
「英霊も、聖杯も、俺の目的のために」
 
 
 
聖杯戦争の舞台に、一人の男が立つ。
彼が巻き起こすは、混沌か、あるいは────