DCS:MB-339

Last-modified: 2025-11-12 (水) 19:25:33

加筆修正にご協力頂けると助かります。
dcs-world-mb-339.jpg loading...
   〔公式版〕   〔Steam版〕

 

概要

Aermacchi(アエルマッキ)社の MB-339 は、1970年代に有名な MB-326 の後継機として開発された、イタリアのジェット練習機および軽攻撃機です 。
機体はタンデム(縦列)複座式で、後席(教官席)は前席のパイロットよりも高い位置に配置されており、良好な前方視界が確保されています 。エンジンは、信頼性の高いRolls-Royce(ロールスロイス) Viper 632-43 ターボジェットエンジンを1基搭載しています 。
DCSモジュールには、標準的な練習・攻撃機仕様の MB-339A と、イタリアのナショナル・アクロバットチーム「Frecce Tricolori(フレッチェ・トリコローリ)」仕様の MB-339A/PAN が含まれています 。PANバージョンは、武装の代わりにアクロバット飛行用のスモークシステムを搭載しているのが最大の特徴です 。

購入時のアドバイス

MB-339 は、ジェット機の基本的な操縦技術、計器飛行、そしてシンプルな兵装の運用を学ぶための「最初の1機」として非常に優れた選択肢です。
システムは複雑すぎず、失速特性も穏やかなため 、プロペラ機からのステップアップや、DCS Worldが初めてのフライトシムという方にも適しています。一方で、TACAN や VOR/ILS 、さらには AHRS/GPS といった近代的な航法装置も備えており、計器飛行(IFR)の本格的な訓練も可能です。

メリット

  • 操縦の容易さ: 練習機として設計されており、非常に素直で予測しやすい操縦特性を持っています。
  • 良好な視界: 前方および側方の視界が非常に良好で、着陸や編隊飛行、地上目標の視認が容易です 。
  • 多用途性: 基本的なジェット練習機でありながら、6箇所のハードポイントにガンポッド、ロケット、爆弾を搭載でき、軽攻撃任務も楽しめます 。
  • 優れた航法システム: TACAN、VOR/ILS、GPS といった複数の航法システムを搭載し、様々な天候や条件下での飛行訓練が可能です。
  • アクロバット飛行: PANバージョンでは、カラフルなスモークを使ったアクロバット飛行が楽しめます 。

デメリット

  • 低いエンジン推力: 戦闘機と比較するとエンジン推力 (4000 lb) は低く 、高Gでのドッグファイトや急激な加速は困難です。
  • 限定的な兵装: 搭載できる兵装は基本的に無誘導のガン、ロケット、通常爆弾のみです 。レーダー誘導ミサイルや精密誘導爆弾は運用できません。
  • 対抗手段の欠如: フライトマニュアルには、チャフやフレアといった敵のミサイルを回避するための対抗手段(Countermeasures)に関する記載がなく、実質的に搭載していません。
  • 自動操縦非搭載: 機体の操縦を自動化するオートパイロットは搭載していません(ただし、操縦を補助する Flight Director System (FDS) は備えています )。

まとめ

MB-339 は、「ジェット機で空を飛ぶ楽しさ」と「基本的な戦闘技術の学習」を高次元で両立させたモジュールです。シンプルな操作性と奥深い飛行特性は、初心者からベテランまで、すべてのDCSパイロットにお勧めできます。

キーアサイン

優先度の高いもの

機能名称(マニュアル準拠)備考
ピッチPitch操縦桿(前後)
ロールRoll操縦桿(左右)
ヨーYawラダーペダル
スロットルThrottle
フラップFlap Control Lever(UP, T/O, DOWN)
エアブレーキAirbrake Control Switch(IN, OUT)
射撃トリガーGun Firing Trigger(1段目: カメラ, 2段目: 発射)
兵装投下Rocket Firing / Bomb Release Button
ギア昇降Landing Gear Control Lever
ブレーキWheel Brakes
NWS / ガンカメラNWS / Gun Camera Button

余裕があれば割り当てたいもの

機能名称(マニュアル準拠)備考
ピッチトリムPitch Trim
ロールトリムAileron Trim
ラダートリムRudder Trim
スモーク(白)White Smoke Button(PAN専用)
スモーク(色)Color Smoke Button(PAN専用)
緊急全投棄SALVO JETTISON
マスターアームMASTER ARMT
アーム選択Arming Push-button (1-6)兵装ステーションの選択

レイアウト

始動

始動手順

MB-339 の始動は非常にシンプルで、数ステップで完了します。始動はフロントコックピットからのみ可能です 。

  1. バッテリー (BATT) スイッチ - ON (オン)
  2. エンジンマスター (ENGINE MASTER) スイッチ - ON (オン)
  3. 燃料遮断 (FUEL SHUT OFF) レバー - OPEN (オープン) (ガードを下げる)
  4. エンジン スロットル (Engine throttle) - STOP (ストップ) 位置にあることを確認
  5. エンジンスターター (ENGINE STARTER) ボタン - 2秒間押し込んでから離す
  6. エンジン回転数 (N% RPM) が 10% に達したら、エンジン スロットル (Engine throttle) を IDLE (アイドル) 位置まで進める
  7. 排気温度 (JPT) が上昇し、エンジンが点火するのを確認する(通常4~12秒以内)
  8. エンジン回転数が IDLE (約40-41% RPM) で安定するのを待つ
  9. 油圧 (Hydraulic pressure) および オイル圧 (Oil pressure) が正常範囲内にあることを確認する
  10. 各種警告灯が消灯していることを確認する

注意点

  • AIL SERVO (エルロン・サーボ) 警告灯は、油圧システムの圧力が 85-90 bar を超えるまで消灯しない場合がありますが、これは正常です 。
  • もしエンジンが点火しない場合、自動始動シーケンスは25秒で自動的に停止します 。

飛行

特性

MB-339 は非常に素直な操縦特性を持っています。 飛行エンベロープ全体を通じて安定しており、適切にトリムを調整すれば、パイロットの介入なしでも直線飛行を維持します 。
失速 (Stall) 特性は非常に穏やかです。クリーン状態(ギア・フラップ格納)では、失速速度の5~6ノット手前から機体の振動(Buffeting)が始まり、明確な警告となります 。ランディング構成でも失速特性は良好で、失速中であってもエルロンやラダーのコントロールは有効です 。
スピン (Spin) には意図的に入れない限り、偶発的に陥る可能性は極めて低いです 。

禁止操作

  • 非対称搭載 (Asymmetric Load): 左右の翼に異なる兵装や燃料を搭載している状態で、意図的なスピン (Intentional Spin) を行うことは禁止されています 。
  • マイナスG機動 (Negative "G" flight): エンジンオイルシステムの制限により、背面飛行 (Inverted flight) やマイナスG(ゼロGを含む)がかかる機動は、連続30秒 までに制限されています 。

離陸

  1. 離陸前チェック を行い、フラップ (Flaps) を TAKE OFF (T/O) 位置(28°)に設定します 。
  2. トリム (Trims) を中立に設定します 。
  3. NWS (Nose Wheel Steering) を解除(Disengage)します 。
  4. スロットル (Throttle) を FULL (フル) にし、ブレーキを解除します 。
  5. 速度が約 45-50 KIAS に達するまでは、方向維持に差動ブレーキ (Differential braking) を使用します。それ以降はラダー (Rudder) が効き始めます 。
  6. 計算されたリフトオフ速度の約 10 KIAS 手前で、ゆっくりと操縦桿を引き、機首上げ操作 (Raise the nose) を行います 。
  7. 離陸し、上昇が確認(Positive rate of climb)できたら、ランディングギア (Landing Gear) を LG UP (格納) します 。
  8. 速度が 120 KIAS から 175 KIAS の間で、フラップ (Flaps) を UP (格納) します 。

関係する速度

速度値 (KIAS)備考
VLE175ランディングギアを出したまま飛行できる最大速度
VFE (T/O)175離陸フラップ (T/O) で飛行できる最大速度
VFE (DOWN)150着陸フラップ (DOWN) で飛行できる最大速度
ラダー有効速度~50方向舵が効き始めるおおよその速度

巡航

巡航速度

海面高度での最大水平飛行速度は 485 KIAS ですが 、燃料効率の良い巡航速度はそれよりも低い速度域(250~300 KIAS程度)となります。

自動操縦

MB-339 には、機体を自動で操縦するオートパイロットは搭載されていません。
ただし、フライトディレクター・システム (Flight Director System - FDS) は搭載されています。これは、ADI (姿勢指示器) 上に表示される十字のバー(Steering Bars) を通じて、パイロットが進むべき針路や高度を「指示」するシステムです。 例えば、HSI (水平状況指示器) で設定した HDG (ヘディング) や、VOR / TACAN の電波を追従する ための操縦操作をガイドしてくれます。

着陸

成功への鍵

MB-339 の着陸は素直ですが、速度管理が重要です。

  • AOA(迎え角)の監視: 最終進入(Final)では、速度計よりも AOA (Angle of Attack) インジケーターを主要なリファレンスとして使用します 。最適なAOA(インジケーター上で .45)を維持するようにピッチを調整し、降下率はスロットルで調整します。
  • エンジン回転数の維持: ゴーアラウンド(着陸復行)に備え、エンジン回転数 (RPM) を低くしすぎないことが重要です。マニュアルでは 最低でも 60% RPM を維持することが推奨されています 。
  • 速度管理: 下記の「関係する速度」を守り、段階的に減速します。

関係する速度

段階速度 (KIAS)構成 (Configuration)
ギアダウン175 以下LG DOWN
フラップ T/O175 以下Flaps T/O
ダウンウインド140LG DOWN, Flaps T/O
フラップ DOWN150 以下Flaps DOWN
ベースターン130 + 補正LG DOWN, Flaps DOWN
最終進入 (Final)115 + 補正(AOA .45)
スレッショルド (Threshold)110 + 補正滑走路末端通過速度
タッチダウン (Touchdown)95 - 100 + 補正接地速度

対空

武装一覧

  • DEFA 553 30mm機関砲 (120発)
  • AN/M-3 12.7mm (.50 cal) 機関銃 (約300発)

武装の使い方

対空戦闘では、Aeritalia-SAAB RGS2 ジャイロガンサイト を使用します。

  1. モード選択: スロットルグリップにあるモードセレクターノブ で、対空モードを選択します。
    • MODE 3: 対空射撃(射程 500m)
    • MODE 4: 対空射撃(射程 300m)
  2. 照準: CGU (Computer Gyro Unit) が、自機の動きと設定された射程に基づき、リード角(偏差)を自動で計算します 。パイロットは、ガンサイトのレティクル(照準円)をターゲットに重ねて追従し、射程に入ったらトリガーを引くだけです。
  3. 射撃: トリガー (Trigger) は2段階式です 。
    • 1段目 (First detent): ガンカメラ (Gun Camera) 作動
    • 2段目 (Second detent): ガンカメラ作動 + 機関砲発射

レーダーの使い方

無し

対抗手段の使い方

無し

対地

武装一覧

6箇所のハードポイントに、以下の武装を搭載可能です。

  • ガンポッド (Gun Pods):
    • DEFA 553 30mm機関砲
    • AN/M-3 12.7mm 機関銃
  • ロケット (Rockets): BR-12 や BR-25 などの無誘導ロケット弾ポッド 。
  • 爆弾 (Bombs): Mk-82 などの無誘導通常爆弾 。

武装の使い方

対地攻撃も、ガンサイト RGS2 を使用した目視照準で行います。

  1. モード選択: スロットルグリップのモードセレクターノブ で、対地モードを選択します。
    • MODE 1: 対地攻撃(ロール制御なし)
    • MODE 2: 対地攻撃(ロール制御あり - 翼が水平でなくても照準補正が入る)
  2. 照準補正 (Depression):
    • ガンサイトコントロールパネル にある DEPRESSION MILS サムホイール を操作し、使用する兵装と攻撃プロファイル(速度、高度、降下角)に応じた照準補正値(ミル単位)を手動で入力します。
    • この値は、ミッションブリーフィングや計算によって事前に導き出しておく必要があります。
  3. 武装選択:
    • コックピット正面の Armament Control Panel (武装コントロールパネル) で、使用する兵装のステーションボタン(緑色のライト)を押してアーム (Arm) します 。
    • 爆弾の場合: BOMB FUZE スイッチ で信管(瞬発/遅延など)を選択し、SEQUENCE スイッチ で投下方法(単発/連続)を選択します。
    • ロケットの場合: SEQUENCE スイッチ で発射方法(単発/連続)を選択します。
  4. 攻撃:
    • ガンサイトでターゲットを照準し、トリガー(ガンポッド)または兵装投下ボタン(爆弾・ロケット) を押します。

外部リンク

公式サイト(販売ページ)

コメント