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〔公式版〕 〔Steam版〕
概要
Aermacchi(アエルマッキ)社の MB-339 は、1970年代に有名な MB-326 の後継機として開発された、イタリアのジェット練習機および軽攻撃機です 。
機体はタンデム(縦列)複座式で、後席(教官席)は前席のパイロットよりも高い位置に配置されており、良好な前方視界が確保されています 。エンジンは、信頼性の高いRolls-Royce(ロールスロイス) Viper 632-43 ターボジェットエンジンを1基搭載しています 。
DCSモジュールには、標準的な練習・攻撃機仕様の MB-339A と、イタリアのナショナル・アクロバットチーム「Frecce Tricolori(フレッチェ・トリコローリ)」仕様の MB-339A/PAN が含まれています 。PANバージョンは、武装の代わりにアクロバット飛行用のスモークシステムを搭載しているのが最大の特徴です 。
購入時のアドバイス
MB-339 は、ジェット機の基本的な操縦技術、計器飛行、そしてシンプルな兵装の運用を学ぶための「最初の1機」として非常に優れた選択肢です。
システムは複雑すぎず、失速特性も穏やかなため 、プロペラ機からのステップアップや、DCS Worldが初めてのフライトシムという方にも適しています。一方で、TACAN や VOR/ILS 、さらには AHRS/GPS といった近代的な航法装置も備えており、計器飛行(IFR)の本格的な訓練も可能です。
メリット
- 操縦の容易さ: 練習機として設計されており、非常に素直で予測しやすい操縦特性を持っています。
- 良好な視界: 前方および側方の視界が非常に良好で、着陸や編隊飛行、地上目標の視認が容易です 。
- 多用途性: 基本的なジェット練習機でありながら、6箇所のハードポイントにガンポッド、ロケット、爆弾を搭載でき、軽攻撃任務も楽しめます 。
- 優れた航法システム: TACAN、VOR/ILS、GPS といった複数の航法システムを搭載し、様々な天候や条件下での飛行訓練が可能です。
- アクロバット飛行: PANバージョンでは、カラフルなスモークを使ったアクロバット飛行が楽しめます 。
デメリット
- 低いエンジン推力: 戦闘機と比較するとエンジン推力 (4000 lb) は低く 、高Gでのドッグファイトや急激な加速は困難です。
- 限定的な兵装: 搭載できる兵装は基本的に無誘導のガン、ロケット、通常爆弾のみです 。レーダー誘導ミサイルや精密誘導爆弾は運用できません。
- 対抗手段の欠如: フライトマニュアルには、チャフやフレアといった敵のミサイルを回避するための対抗手段(Countermeasures)に関する記載がなく、実質的に搭載していません。
- 自動操縦非搭載: 機体の操縦を自動化するオートパイロットは搭載していません(ただし、操縦を補助する Flight Director System (FDS) は備えています )。
まとめ
MB-339 は、「ジェット機で空を飛ぶ楽しさ」と「基本的な戦闘技術の学習」を高次元で両立させたモジュールです。シンプルな操作性と奥深い飛行特性は、初心者からベテランまで、すべてのDCSパイロットにお勧めできます。
キーアサイン
優先度の高いもの
| 機能 | 名称(マニュアル準拠) | 備考 |
|---|---|---|
| ピッチ | Pitch | 操縦桿(前後) |
| ロール | Roll | 操縦桿(左右) |
| ヨー | Yaw | ラダーペダル |
| スロットル | Throttle | |
| フラップ | Flap Control Lever | (UP, T/O, DOWN) |
| エアブレーキ | Airbrake Control Switch | (IN, OUT) |
| 射撃トリガー | Gun Firing Trigger | (1段目: カメラ, 2段目: 発射) |
| 兵装投下 | Rocket Firing / Bomb Release Button | |
| ギア昇降 | Landing Gear Control Lever | |
| ブレーキ | Wheel Brakes | |
| NWS / ガンカメラ | NWS / Gun Camera Button |
余裕があれば割り当てたいもの
| 機能 | 名称(マニュアル準拠) | 備考 |
|---|---|---|
| ピッチトリム | Pitch Trim | |
| ロールトリム | Aileron Trim | |
| ラダートリム | Rudder Trim | |
| スモーク(白) | White Smoke Button | (PAN専用) |
| スモーク(色) | Color Smoke Button | (PAN専用) |
| 緊急全投棄 | SALVO JETTISON | |
| マスターアーム | MASTER ARMT | |
| アーム選択 | Arming Push-button (1-6) | 兵装ステーションの選択 |
レイアウト
始動
始動手順
MB-339 の始動は非常にシンプルで、数ステップで完了します。始動はフロントコックピットからのみ可能です 。
- バッテリー (BATT) スイッチ - ON (オン)
- エンジンマスター (ENGINE MASTER) スイッチ - ON (オン)
- 燃料遮断 (FUEL SHUT OFF) レバー - OPEN (オープン) (ガードを下げる)
- エンジン スロットル (Engine throttle) - STOP (ストップ) 位置にあることを確認
- エンジンスターター (ENGINE STARTER) ボタン - 2秒間押し込んでから離す
- エンジン回転数 (N% RPM) が 10% に達したら、エンジン スロットル (Engine throttle) を IDLE (アイドル) 位置まで進める
- 排気温度 (JPT) が上昇し、エンジンが点火するのを確認する(通常4~12秒以内)
- エンジン回転数が IDLE (約40-41% RPM) で安定するのを待つ
- 油圧 (Hydraulic pressure) および オイル圧 (Oil pressure) が正常範囲内にあることを確認する
- 各種警告灯が消灯していることを確認する
注意点
- AIL SERVO (エルロン・サーボ) 警告灯は、油圧システムの圧力が 85-90 bar を超えるまで消灯しない場合がありますが、これは正常です 。
- もしエンジンが点火しない場合、自動始動シーケンスは25秒で自動的に停止します 。
飛行
特性
MB-339 は非常に素直な操縦特性を持っています。 飛行エンベロープ全体を通じて安定しており、適切にトリムを調整すれば、パイロットの介入なしでも直線飛行を維持します 。
失速 (Stall) 特性は非常に穏やかです。クリーン状態(ギア・フラップ格納)では、失速速度の5~6ノット手前から機体の振動(Buffeting)が始まり、明確な警告となります 。ランディング構成でも失速特性は良好で、失速中であってもエルロンやラダーのコントロールは有効です 。
スピン (Spin) には意図的に入れない限り、偶発的に陥る可能性は極めて低いです 。
禁止操作
- 非対称搭載 (Asymmetric Load): 左右の翼に異なる兵装や燃料を搭載している状態で、意図的なスピン (Intentional Spin) を行うことは禁止されています 。
- マイナスG機動 (Negative "G" flight): エンジンオイルシステムの制限により、背面飛行 (Inverted flight) やマイナスG(ゼロGを含む)がかかる機動は、連続30秒 までに制限されています 。
離陸
- 離陸前チェック を行い、フラップ (Flaps) を TAKE OFF (T/O) 位置(28°)に設定します 。
- トリム (Trims) を中立に設定します 。
- NWS (Nose Wheel Steering) を解除(Disengage)します 。
- スロットル (Throttle) を FULL (フル) にし、ブレーキを解除します 。
- 速度が約 45-50 KIAS に達するまでは、方向維持に差動ブレーキ (Differential braking) を使用します。それ以降はラダー (Rudder) が効き始めます 。
- 計算されたリフトオフ速度の約 10 KIAS 手前で、ゆっくりと操縦桿を引き、機首上げ操作 (Raise the nose) を行います 。
- 離陸し、上昇が確認(Positive rate of climb)できたら、ランディングギア (Landing Gear) を LG UP (格納) します 。
- 速度が 120 KIAS から 175 KIAS の間で、フラップ (Flaps) を UP (格納) します 。
関係する速度
| 速度 | 値 (KIAS) | 備考 |
|---|---|---|
| VLE | 175 | ランディングギアを出したまま飛行できる最大速度 |
| VFE (T/O) | 175 | 離陸フラップ (T/O) で飛行できる最大速度 |
| VFE (DOWN) | 150 | 着陸フラップ (DOWN) で飛行できる最大速度 |
| ラダー有効速度 | ~50 | 方向舵が効き始めるおおよその速度 |
巡航
巡航速度
海面高度での最大水平飛行速度は 485 KIAS ですが 、燃料効率の良い巡航速度はそれよりも低い速度域(250~300 KIAS程度)となります。
自動操縦
MB-339 には、機体を自動で操縦するオートパイロットは搭載されていません。
ただし、フライトディレクター・システム (Flight Director System - FDS) は搭載されています。これは、ADI (姿勢指示器) 上に表示される十字のバー(Steering Bars) を通じて、パイロットが進むべき針路や高度を「指示」するシステムです。 例えば、HSI (水平状況指示器) で設定した HDG (ヘディング) や、VOR / TACAN の電波を追従する ための操縦操作をガイドしてくれます。
着陸
成功への鍵
MB-339 の着陸は素直ですが、速度管理が重要です。
- AOA(迎え角)の監視: 最終進入(Final)では、速度計よりも AOA (Angle of Attack) インジケーターを主要なリファレンスとして使用します 。最適なAOA(インジケーター上で .45)を維持するようにピッチを調整し、降下率はスロットルで調整します。
- エンジン回転数の維持: ゴーアラウンド(着陸復行)に備え、エンジン回転数 (RPM) を低くしすぎないことが重要です。マニュアルでは 最低でも 60% RPM を維持することが推奨されています 。
- 速度管理: 下記の「関係する速度」を守り、段階的に減速します。
関係する速度
| 段階 | 速度 (KIAS) | 構成 (Configuration) |
|---|---|---|
| ギアダウン | 175 以下 | LG DOWN |
| フラップ T/O | 175 以下 | Flaps T/O |
| ダウンウインド | 140 | LG DOWN, Flaps T/O |
| フラップ DOWN | 150 以下 | Flaps DOWN |
| ベースターン | 130 + 補正 | LG DOWN, Flaps DOWN |
| 最終進入 (Final) | 115 + 補正 | (AOA .45) |
| スレッショルド (Threshold) | 110 + 補正 | 滑走路末端通過速度 |
| タッチダウン (Touchdown) | 95 - 100 + 補正 | 接地速度 |
対空
武装一覧
- DEFA 553 30mm機関砲 (120発)
- AN/M-3 12.7mm (.50 cal) 機関銃 (約300発)
武装の使い方
対空戦闘では、Aeritalia-SAAB RGS2 ジャイロガンサイト を使用します。
- モード選択: スロットルグリップにあるモードセレクターノブ で、対空モードを選択します。
- MODE 3: 対空射撃(射程 500m)
- MODE 4: 対空射撃(射程 300m)
- 照準: CGU (Computer Gyro Unit) が、自機の動きと設定された射程に基づき、リード角(偏差)を自動で計算します 。パイロットは、ガンサイトのレティクル(照準円)をターゲットに重ねて追従し、射程に入ったらトリガーを引くだけです。
- 射撃: トリガー (Trigger) は2段階式です 。
- 1段目 (First detent): ガンカメラ (Gun Camera) 作動
- 2段目 (Second detent): ガンカメラ作動 + 機関砲発射
レーダーの使い方
無し
対抗手段の使い方
無し
対地
武装一覧
6箇所のハードポイントに、以下の武装を搭載可能です。
- ガンポッド (Gun Pods):
- DEFA 553 30mm機関砲
- AN/M-3 12.7mm 機関銃
- ロケット (Rockets): BR-12 や BR-25 などの無誘導ロケット弾ポッド 。
- 爆弾 (Bombs): Mk-82 などの無誘導通常爆弾 。
武装の使い方
対地攻撃も、ガンサイト RGS2 を使用した目視照準で行います。
- モード選択: スロットルグリップのモードセレクターノブ で、対地モードを選択します。
- MODE 1: 対地攻撃(ロール制御なし)
- MODE 2: 対地攻撃(ロール制御あり - 翼が水平でなくても照準補正が入る)
- 照準補正 (Depression):
- ガンサイトコントロールパネル にある DEPRESSION MILS サムホイール を操作し、使用する兵装と攻撃プロファイル(速度、高度、降下角)に応じた照準補正値(ミル単位)を手動で入力します。
- この値は、ミッションブリーフィングや計算によって事前に導き出しておく必要があります。
- 武装選択:
- コックピット正面の Armament Control Panel (武装コントロールパネル) で、使用する兵装のステーションボタン(緑色のライト)を押してアーム (Arm) します 。
- 爆弾の場合: BOMB FUZE スイッチ で信管(瞬発/遅延など)を選択し、SEQUENCE スイッチ で投下方法(単発/連続)を選択します。
- ロケットの場合: SEQUENCE スイッチ で発射方法(単発/連続)を選択します。
- 攻撃:
- ガンサイトでターゲットを照準し、トリガー(ガンポッド)または兵装投下ボタン(爆弾・ロケット) を押します。
