加筆修正にご協力頂けると助かります。
(DCS ONE氏より引用)
※2025/09に大規模なアップデートが行われました⇒リンク
概要
開発経緯と歴史
UH-60 ブラックホークは、アメリカのシコルスキー・エアクラフト社(現ロッキード・マーティン傘下)によって開発された、双発タービンエンジンの多用途ヘリコプターです。
その開発は、ベトナム戦争での戦訓に基づき、アメリカ陸軍が旧式のUH-1 イロコイ(通称ヒューイ)の後継機を求める「UTTAS(Utility Tactical Transport Aircraft System:汎用戦術輸送航空機システム)」計画として始まりました。
UH-1の弱点であったエンジンの冗長性(単発エンジンだった)や生存性を高めることが求められ、シコルスキー社はボーイング・バートル社との競争試作の末、1976年に採用を勝ち取りました。
- 1974年: 試作機であるYUH-60が初飛行。
- 1979年: 初期量産型である UH-60A がアメリカ陸軍の第101戦闘航空旅団に初めて配備され、運用が開始されました。
- 1989年: エンジンをより強力なT700-GE-701Cに換装し、トランスミッションを改良した UH-60L(今回あなたが読んでいるマニュアルのモデル)が製造開始されました。
- 2000年代以降: エンジンの更なる強化、アビオニクス(航空電子機器)のデジタル化(グラスコックピット化)、広範な改修が施された UH-60M や HH-60W(戦闘救難型)などが登場し、現在も改良と生産が続けられています。
運用状況
UH-60は、アメリカ軍だけでなく西側諸国を代表するベストセラーヘリコプターとなり、日本を含む20カ国以上で採用されています。その任務は兵員輸送、戦闘支援、医療後送(MEDEVAC)、捜索救難(SAR/CSAR)、人道支援、特殊作戦など多岐にわたります。
主な実戦・作戦投入歴
- 1983年 グレナダ侵攻(作戦名:アージェント・フューリー): UH-60Aの初陣となりました。
- 1989年 パナマ侵攻(作戦名:ジャスト・コーズ): グレナダでの経験を活かし、大規模に投入されました。
- 1991年 湾岸戦争(作戦名:砂漠の嵐): 300機以上が投入され、史上最大規模のヘリボーン作戦(敵陣地への強襲)などに参加しました。
- 1993年 ソマリア介入(作戦名:ゴシック・サーペント): モガディシュでの市街戦(通称「ブラックホーク・ダウン」)で、特殊作戦部隊の輸送に使用され、2機が撃墜されました。この戦いはUH-60の知名度を一気に高めました。
- 2000年代以降(アフガニスタン・イラク): 対テロ戦争において、兵員輸送や医療後送の主力として、アメリカが関与したほぼ全ての紛争に参加しています。
- 2011年 ウサーマ・ビン・ラーディン強襲作戦: 海軍特殊部隊DEVGRUの輸送に、レーダー探知を避けるためのステルス改修が施されたUH-60が使用されたとされています。
日本での運用
UH-60は、自衛隊の航空機の中で唯一、陸・海・空の3自衛隊すべてで共通して採用されている機体です。
- 航空自衛隊: 救難ヘリコプター「UH-60J」として運用。
- 海上自衛隊: 救難ヘリコプター「UH-60J」および、哨戒ヘリコプター「SH-60」シリーズ(シーホーク)を運用。
- 陸上自衛隊: 多用途ヘリコプター「UH-60JA」として運用。
このように、UH-60 ブラックホークは初飛行から半世紀近くが経過した現在も、世界中の空で中核的な役割を担い続ける傑作ヘリコプターです。
導入時のアドバイス
このModはスタンドアロン型で、他の機体モジュールを必要としません 。 導入はカスタムインストーラーを使用するのが最も簡単です 。インストーラーはModを自動的にダウンロードし、Saved Games フォルダ(C:/Users/yourusername/Saved Games/DCS/Mods/aircraft/uh60l)にインストールします 。 インストールが成功したか確認するには、DCSを起動し、メインメニュー下部の機体アイコン一覧に「UH-60L」があることを確認してください 。
メリット
このModは「ほぼフルフィデリティ("near full fidelity")」の体験を提供することを目指しています 。 主な特徴(Features)は以下の通りです:
- ほぼ完全にクリッカブルなコックピット
- カスタムビルドされたフライトモデル(Flight Model)
- 高音質で録音された内外のサウンド
- AIによるドアガンナー(AI door gunners)
- 機内への貨物や兵員の搭載に対応
- 空中給油プローブ(Refuelling probe)
- ヘリコプターの給油用に低速飛行が可能なカスタムKC-130Jタンカー
- フォースフィードバック(Force-feedback)対応
- NVG用のヘルメット搭載サイト(AN/AVS-7)
デメリット
DCSのMod製作における制限(Limitations)により、いくつかの機能は実装されていなかったり、簡略化されたりしています 。
- Hellfire ミサイルや APKWS は、外部のレーザーソースによる誘導が必要です 。また、レーザーをキャプチャしているかの表示もありません 。
- FM Homing/ADF 誘導は、マップに設置されたビーコン以外では機能しません 。
- スリングロード(Slingloading)は機体のパフォーマンスに影響を与えません 。
- DAPバリアントは、実機の MH-60L DAP が持つ FLIR やレーダー、レーザー照射機能などは実装されていません 。
まとめ
このModは、フライアブルな UH-60L Black Hawk をDCS Worldに追加します 。 基本的なUH-60L(主に輸送・汎用ヘリ) と、実在する MH-60L DAP をベースにした武装バージョン UH-60L 'DAP' の2種類が利用可能です 。 DAPは、M230 30mmチェーンガン、M134 ミニガン、Hellfire ミサイル、ATAS(Stinger)など、多彩な兵装を搭載できます 。
キーアサイン
優先度の高いもの
- Cyclic Trim (Up/Dn/L/R): サイクリック(操縦桿)のトリム
- Trim Release (Fwd): トリム解除(押している間だけ解除)
- Trim Reset (Back): トリムのリセット
- Fire Weapon (1st/2nd Detent): 兵装発射(トリガー)
- Collective (Throttle Axis): コレクティブ・ピッチ
余裕があれば割り当てたいもの
- Chaff Dispense: チャフ投下
- Flare Dispense: フレア投下
- Search Light (Extend/Retract/Left/Right): サーチライト操作
- Landing Light (ON/OFF): 着陸灯
- AN/AVS-7 ON/OFF: NVG(暗視ゴーグル)のオン/オフ
- Wheel Brake: ホイールブレーキ
レイアウト
始動
始動手順
- 【Overhead Console】 Battery Switch を ON にします 。
- 【Overhead Console】 APU Gen スイッチを ON にします 。
- 【Overhead Console】 APU Switch を ON にし、APUが起動して電力が供給されるのを待ちます 。
- 【Center Console】 AFCS パネルの BOOST、SAS 1、SAS 2、TRIM、AUTO CONTROL の各スイッチを ON にします 。
- 【Overhead Console】 Air Source Switch を APU にセットします 。
- 【Overhead Console】 Engine 1 Control Lever が OFF にあることを確認し、Engine 1 Starter Button を押します 。
- 【Non Flight Instruments】 VIDS(中央ディスプレイ)でエンジン回転数(RPM)を監視し、Engine 1 Control Lever を IDLE に動かします 。
- Engine 2 も同様に始動します(手順 6-7) 。
- 両エンジンの回転が安定したら、Engine 1+2 Control Levers を一番奥の FLY ポジションまで押し込みます 。
- 【Overhead Console】 APU Switch を OFF にします 。
注意点
エンジン始動後(Post Engine Start)は以下を確認してください :
- 【Pilot Instruments】 Stabilator Position(スタビレーター位置)が約35°を指していること 。
- 【Non Flight Instruments】 Warnings/Cautions/Advisories Panel に Cautions(警告)が表示されていないこと 。
飛行
特性
この機体には AFCS(Automatic Flight Control System - 自動飛行制御システム)が搭載されています 。これは安定性を向上させるためのものであり、オートパイロット(Autopilot)としては機能しません 。
- SAS (Stability Augmentation System): SAS 1 と SAS 2 があり、ピッチ、ロール、ヨー軸の安定性を高めます 。
- Boost: 油圧サーボにより操縦入力のアシストを行います 。
- Trim: サイクリックとペダルの現在位置を保持します 。Trim Release ボタンで一時的に解除できます 。
- FPS (Flight Path Stabilization): 設定されたピッチとロールの姿勢を維持しようとします 。
- 60ノット未満では現在の機首方位(Heading)を維持します 。
- 60ノット以上では協調旋回(Coordinated turns)を維持します 。
禁止操作
離陸
関係する速度
- 20-30 kts: ETL(Effective Translational Lift - 有効並進揚力)が発生し、機体がピッチング(機首の上下動)を起こすことがあります 。
手順
- 【地上滑走 (Ground Taxi)】 (必要な場合)まず TAIL WHEEL ボタンを押し、UNLK(アンロック)表示にします 。トルクを30-40%までスムーズに上げ、サイクリックをわずかに前に倒します 。方向操作はペダルで行います 。
- 【離陸 (Takeoff)】
TAIL WHEEL が LOCKED であることを確認します 。コレクティブをスムーズかつ穏やかに引き上げます 。機体が浮き上がったら、サイクリックをわずかに引き、機首を少し上げたホバリング姿勢を維持します 。 - 【前方への加速 (Transition to Forward Flight)】 コレクティブを OGE(地面効果外ホバー)に必要な設定まで引き上げ、サイクリックを前に倒します 。20-30ノット付近でETLによるピッチングが発生したら、サイクリックで修正します 。速度が上がるにつれてトリムを継続的に調整します 。
巡航
巡航速度
- 120-150 KIAS
自動操縦
前述の通り、この機体にはオートパイロット(Autopilot)は搭載されていません 。
ただし、CISP(Command Instrument System Panel)を使用して、ナビゲーションモード(HDG, NAV, ALT)を選択することは可能です 。 これらは機体を自動で操縦するものではなく、VSI(Vertical Situation Indicator - 姿勢指示器)上に Roll Command Bar(ロールコマンドバー)や Collective Command Bar(コレクティブコマンドバー)を表示し、パイロットが進むべき針路や維持すべき高度/降下率を指示するものです(フライトディレクター機能) 。パイロットは、これらのバーが中央に来るように手動で操縦する必要があります 。
着陸
成功への鍵
この機体には、ILS(Instrument Landing System - 計器着陸装置)によるアプローチ(進入)モードがあります 。 これは自動で着陸するシステム(autolanding)ではありません 。あくまで滑走路の進入端(threshold)までパイロットを誘導するものです 。 着陸成功の鍵は、VSI に表示される Roll Command Bar(ローカライザー)と Collective Command Bar(グライドスロープ)の指示に正確に従い続けることです 。
関係する速度
- 60 kts: 60ノット未満になると、FPS システムが協調旋回維持から機首方位維持(Heading hold)に切り替わります 。
手順
- 【Center Console】 AN/ARN-147 コントロールパネルで、目的の空港の ILS 周波数を設定します 。
- 【Pilot Instruments】 HSI(水平儀)の Heading Bug を、ローカライザーを捕捉するための迎撃方位に設定します 。
- 【Pilot Instruments】 CISP の VORILS ボタンを押し、ILS モードにします 。
- 【Pilot Instruments】 CISP の NAV ボタンを Engage(作動)させます 。
- VSI の Roll Command Bar の指示に従い、ローカライザー(水平方向の経路)に機体を合わせます 。
- VSI の Collective Command Bar の指示に従い、グライドスロープ(垂直方向の降下経路)に機体を合わせ、降下します 。
- 滑走路を視認し、進入端に達したらシステムを解除し、手動で着陸します 。
- 着陸後、タキシング(地上滑走)を行う場合は TAIL WHEEL を UNLK にします 。
対地
武装一覧
UH-60L (標準型)
標準のUH-60Lが搭載できる武装は、防御用のAIドアガンのみです 。
- M60 ドアガン
- M3M ドアガン
UH-60L 'DAP' (武装型)
'DAP' (Direct Action Penetrator) バリアントは、ESSS (External Stores Support System) パイロンに様々な攻撃用兵装を搭載できます 。
- ドアガン:
- M134 ミニガン (AI制御 または パイロットによる前方固定射撃)
- 固定武装 (Fixed Guns):
- M230 30mm チェーンガン (2基)
- GAU-19 .50口径 ロータリーマシンガン (2基)
- M134 ミニガン (2基)
- FN HMP-500 .50口径 マシンガン (4基)
- ロケット (Rockets):
- M260 7連装ロケットランチャー (4基)
- LWL-12 12連装ロケットランチャー (4基)
- M261 19連装ロケットランチャー (4基)
- ミサイル (Missiles):
- AGM-114K Hellfire レーザー誘導ミサイル (16発)
- Air To Air Stinger (ATAS) (8発)
武装の使い方
M60 / M3M ドアガン (UH-60L)
これらはAI専用の武装で、プレイヤーは発射できません 。
- 搭載: ミッションエディタまたは地上クルーメニューで装備します 。
- 使用方法:
- 電源やアーム操作は不要です 。
- AIガンナーは射程内のターゲットを自動的に攻撃します 。
- Al Gunner Rules of Engagement (ROE) 入力(キーアサイン)で、AIガンナーに「射撃許可 (FIRE)」または「射撃待機 (HOLD FIRE)」を切り替えることができます 。
M134 ドアガン (DAP - AI制御)
DAPに搭載されるM134は、AI制御またはパイロット制御を選択できます 。
- 搭載: ミッションエディタ等で装備します 。
- 使用方法 (AI制御):
- 【Center Console】 Door Guns Control Panel にある POWER ON スイッチを入れます 。
- 同パネルの Left Door Gun Control および Right Door Gun Control スイッチを GUNNER(ガンナー)側に倒します 。
- 【Non Flight Instruments】 Armament Management System (AMS) パネルの MASTER ARM スイッチを ARMED にします 。
- Al Gunner ROE 入力(キーアサイン)で射撃許可/待機を切り替えます 。
M134 ドアガン (DAP - パイロット制御)
ドアガンを機首前方に固定し、パイロットが発射します 。
- 使用方法 (パイロット制御):
- 【Center Console】 Door Guns Control Panel の POWER ON スイッチを入れます 。
- 同パネルの Left/Right Door Gun Control スイッチを PILOT 側に倒します 。
- 【Non Flight Instruments】 AMS パネルの MASTER ARM スイッチを ARMED にします 。
- Fire Weapons 入力(キーアサイン)で発射します 。
固定武装 (Fixed Guns - DAP)
パイロンに搭載する M230 や GAU-19 などの固定機銃です 。
- 使用方法:
- 【Center Console】 Pylon Power Control Panel の PWR ON スイッチを入れ、使用するパイロン(例: LEFT OUTBRD 等)のスイッチもONにします 。
- 【Non Flight Instruments】 AMS パネルの Weapon Selector ロータリースイッチを GUN に合わせます 。
- AMS パネルの MASTER ARM スイッチを ARMED にします 。
- Fire Weapon 入力で発射します 。
ロケット (Rockets - DAP)
パイロンに搭載する各種ロケットポッドです 。
- 使用方法:
- 【Center Console】 Pylon Power Control Panel の PWR ON と、該当するパイロンのスイッチをONにします 。
- 【Non Flight Instruments】 AMS パネルの Weapon Selector を RKT に合わせます 。
- AMS パネルの PAIR/SINGLE スイッチ(同時発射するポッドの数)と RIPPLE/SINGLE スイッチ(連射/単発)を必要に応じて設定します 。
- AMS パネルの MASTER ARM スイッチを ARMED にします 。
- Fire Weapon 入力で発射します 。
Hellfire (ヘルファイア - DAP)
重要: DCSのModの制限により、Hellfireミサイルは外部のレーザーソース(例: 他の機体や地上のJTAC)による誘導が必須です 。ミサイルがレーザーを捉えているかどうかの表示もありません 。
- 使用方法:
- 【Center Console】 Pylon Power Control Panel の PWR ON と、該当するパイロンのスイッチをONにします 。
- 【Non Flight Instruments】 AMS パネルの Weapon Selector を MSL(Missile)に合わせます 。
- AMS パネルの MASTER ARM スイッチを ARMED にします 。
- Fire Weapon 入力で発射します 。
ATAS (Stinger - DAP)
空中ターゲットを攻撃するための空対空スティンガーミサイルです 。
- 使用方法:
- 【Center Console】 Pylon Power Control Panel の PWR ON と、該当するパイロンのスイッチをONにします 。
- 【Non Flight Instruments】 AMS パネルの Weapon Selector を ATAS に合わせます 。
- AMS パネルの MASTER ARM スイッチを ARMED にします 。
- ターゲットが射程内に入ると、シーカー音が聞こえ始めます。ターゲットに機首を向け、シーカー音のピッチが上がる(ロックオンを示す「ソリッド」なトーンになる)のを待ちます 。
- (オプション)2段トリガーがある場合、Fire Weapon First Detent(1段目)を押し続けるとミサイルがアンケージ(シーカー起動)されます 。
- Fire Weapon 入力で発射します 。
対抗手段の使い方
対抗手段(Countermeasures)であるチャフとフレアは、サイクリックやコレクティブに割り当てたボタンから直接使用できます 。
- Chaff Dispense: キーアサインで割り当てたボタンを押します 。
- Flare Dispense: キーアサインで割り当てたボタンを押します 。
- 【Center Console】 Countermeasure Dispenser Mode スイッチで、投下モード(例: MAN, AUTO)を選択します 。
- 【Center Console】 AN/APR-39 Radar Warning Indicator や Radar Warning Indicator で脅威を探知します。
