No519 T.995/元ネタ解説

Last-modified: 2022-05-26 (木) 13:46:02
所属中華民國海軍
艦種・艦型T.995型駆逐艦
正式名称-(未命名)
起工日未起工(予算認可前に日中戦争勃発で中断)
進水日未進水
就役日(竣工日)未就役
全長(身長)79.2m
基準排水量(体重)800英t(812t)
出力型式不明ボイラー2基型式不明ギヤードタービン2基2軸 出力不明
最高速度30.0kt(55.56km/h)
航続距離不明
乗員不明
装備4.7inch45口径Mk.IX単装砲3門
ヴィッカース3ポンド単装砲3門
ヴィッカース2ポンド機関砲2門
ヴィッカース0.303inch機関銃x2
533mm三連装魚雷発射管2基6門
装甲なし
建造所John I. Thornycroft & Company,Woolston, Hampshire
(ジョン・I.ソーニクロフト社 イングランド国南東イングランド地域ハンプシャー州サウサンプトン市ウォールストン)
  • T.995型駆逐艦は中華民国が1930年代半ばにイギリスのソーニクロフト社に建造を依頼した小型駆逐艦。
    国際情勢悪化にともなう予算通過失敗などから実際に建造されることはなかった計画艦である。
  • 一次大戦前に整備を計画していた水雷艇駆逐艦「(仮称)フルカン級」などの頓挫により、中華民国における海軍戦力整備は戦間期にあっても低調のままであった。
    むしろこの時期は中華民国成立直後の軍閥時代で大混乱中であり、それを受けて列強間で中華民国に対する海軍援助禁止の取り決めがされていたことから*1、造船ノウハウに乏しかった同国海軍での窮状ぶりは想像に難くないであろう。海軍がどうとか言っている場合ではない
    制限が解除されてからは新たに海軍整備計画を策定、それに応じて日本やドイツ、イギリスなど他国から中小艦艇に関する設計案が複数提示されるに至ったわけだが、最終的に中華民国が整備を決定した駆逐艦の一つが英・ソーニクロフト社による設計案「T.995」であった。
    • 余談だが、同社造船所ではグローウォームが建造されている。
      ほかにもイギリスの小型護衛艦艇の建造に長らく携わっていることで知られており、最初期の日本海軍を支えた「東雲型」「白雲型」両駆逐艦型の建造も担った。
      …実は海軍関連の援助禁令が出ていた期間中にも同社は駆逐艦の設計案を提示しており、さらっと国際協定違反をやらかしている
  • "沿岸駆逐艦"(Coastal Destroyer)として設計されたT.995は、800tという比較的小柄な船体に4.7inch砲3門と21inch魚雷発射管三連装2基6門などを装備したそれなりの艦に仕上がっており、他国の水雷艇(≒小型駆逐艦)に比肩する性能を有しているといえた。
  • こうして中華民国は1934年の時点でT.995型駆逐艦を4隻、計100万英ポンドで契約する予定であったのだが、なかなか予算が通過しないまま日中戦争を迎えてしまい計画自体がお釈迦になってしまった。
    新小型艦の導入自体があまりに時をおいてのことであったため習熟に時間がかかったであろうことは容易に想像がつくが、それ以前に当時の状況で駆逐艦4隻のために100万英ポンドを捻出するほどの必要性があったかどうかも疑わしいと言われており、予算認可がなかなかうまくいかなかったのもこうした背景があったためであるとされる。

*1 中国国民党による北伐が完遂された28年に解除