雪解けの甘くとろけたる

「速きこと風の如く！　我が英雄をお世話するのはこの我だっ、キムンカムイ！」
「ぬうっ、ず、ずるいぞ、ホロケウカムイ！　ワシとてひとの子にお世話をしたいと言うのにっ」
カムイコタンの冷たく厳しい吹雪の彼方より来たるものたち。
それは、ひとの子の保護者たち、ホロケウカムイとキムンカムイ。
いつか来たる未来をも凍結し、閉ざされることで永遠を体現するカムイコタンの「機構」。
その中で、ひとに寄り添い、奉仕することを運命付けられたふたりである。
その奉仕は春の日の雪解けを想わせる暖かな感情に満ちているが、いざその感情の強さを競わせたら一大事。
主を想う、北風すらも暖めるほどの奉仕の熱に当てられたら最期、身も心も甘くとろけてしまうかも…？
システム・カムイコタンの根底にあるのは、無垢と純白への「信仰」そのもの。
「汚れなき幼子らの命こそが、この世で最も貴いもの」であってほしいという願い、そのものである。