No93 ギアリング/元ネタ解説

Last-modified: 2018-02-24 (土) 17:20:18
所属United States Navy
艦種・艦型ギアリング級駆逐艦
正式名称USS Gearing (DD-710)
名前の由来Gearing family アメリカ海軍に3世代に渡って仕えた将校家系
起工日1944.8.10
進水日1945.2.18
就役日(竣工日)1945.5.3
退役日(除籍後)1973年 1973.7.1除籍(1974.11.6売却後解体)
全長(身長)119.0m
基準排水量(体重)2336英t(2373t)
出力Babcock & Wilcox式重油専焼缶4基Westinghouse式蒸気タービン2基2軸 60000shp(60832.2PS)
最高速度36.8kt(68.15km/h)
航続距離15.0kt(27.77km/h)/5690海里(10537.9km)
乗員336名
装備(建造時)5inch38口径Mk.12連装両用砲3基6門
21inch五連装魚雷発射管2基10門
ボフォース40mm機関砲x16(4x4)
エリコン20mm機関砲x20(10x2)
爆雷投射機x6
爆雷投下軌条x2
装備(1963)5inch38口径Mk.12連装両用砲2基4門
Mk.32三連装魚雷発射管2基6門
RUR-5 ASROC対潜ミサイル発射管1基8セル
Gyrodyne QH-50 DASH無人対潜ヘリコプターx1
装甲なし
建造所Federal Shipbuilding and Drydock Company,Kearny, New Jersey
(フェデラル・シップビルディング・アンド・ドライドック社 アメリカ合衆国ニュージャージー州ハドソン郡カーニー町)

ギアリング級について

  • ギアリング級自体は第二次世界大戦時における米海軍駆逐艦の後期型であり、もっとも最新鋭の艦であった。
  • 前級であるアレン・M・サムナー級は大武装ながら船体の形状から凌波性や航続性能に問題が生じていた。
    そこで、アメリカ海軍はそれらの欠点を克服しつつも、引き続き武装が強化された駆逐艦の設計に乗り出した。
    こうした背景の結果生み出されたのがこのギアリング級である。前級の欠点を克服したものの、速力に関しては低下してしまった。
  • 武装に関してはアレン・M・サムナー級と同じく火力と対空性能に重きを置いている。
  • 第二次世界大戦の終結により生産計画は大幅に縮小し、ギアリング級は当初の生産数よりも少ない数で建造中止になっている。
    中には建造を開始していたものの、中止になりそのまま解体された艦も複数存在している。
    それでも96隻という驚異的な数が建造された。これでもフレッチャー級よりは少ない
    また、建造中止が無ければ156隻という数が建造される予定であった。
  • あまりにも建造されたため、当時の米軍駆逐艦に多く見られる他国への貸与・売却も多かった。そうした経緯から戦後も近代化改修を施され、長期に渡って使用され続けた。
    どれくらい長く使われたというと、2014年までメキシコ海軍が使っていたほどである。
    • ちなみに戦艦少女のサービス開始は2014年。ちょうどその年に世界最後のギアリング級「ネツァルコヨトル」が退役している。
      もしかすれば、ギアリング級が初期艦に採用されたのはそれが理由なのかもしれない。
       

ギアリングの歴史

  • ネームシップであるギアリングの艦番はDD-710。1945年2月18日に進水、1945年5月3日就役。
    艦名(艦級名)の由来は、3代にわたりアメリカ海軍軍人を勤めたギアリング家に因む。
    • 余談であるが、ゲーム内実装艦ではザ・サリヴァンズと同じく複数人の名前が由来の艦である。
      また太平洋戦争に従軍したギアリング家のヘンリー・シャルファン・ギアリング3世はサリヴァン兄弟と同じくジュノーに乗艦し、沈没により戦死した。
  • 就役時には第二次世界大戦の終結直前だったという事もあり、実戦を経験しないまま第二次世界大戦を終えている。
    終戦後まもない45年10月には、コネチカット州ニューロンドンでの海軍記念日式典に参加。数千人の市民が乗船し歓迎を受けた。
    また、同年11月にはレンジャーの護衛任務等も行っている。
  • その後は平時の作戦活動に参加し、主に大西洋やカリブ海を中心に活動した。
    ギアリングは精力的に活動し、南米各国を訪問。1947年には地中海にも巡航を行い、イタリア、フランス等も訪れた。
  • 1949年にはフロストバイト作戦に参加。今までの作戦海域と違い、極寒の北極海へ赴いた。
    この作戦でのギアリングは寒冷地(北極圏)での装備開発や巡航などを行っている。
    以後、ギアリングはこうした訓練活動や巡航任務を継続して行い、活動を続けていった。
    また、1961年から62年にかけてギアリングは近代化改修を施された。
  • そして62年10月、世界を揺るがすキューバ危機が発生する。
    アメリカの偵察機がキューバへの弾道ミサイル配備を確認、アメリカとソ連の緊張状態が激化。
    両国の交渉次第によってはアメリカ・ソ連の全面核戦争勃発にまで発展する可能性すらあった大事件である。
    この事件ではキューバへと向かうソ連貨物船を阻止するべく海上封鎖を行っている。
    幸いにも双方の政治交渉により核戦争の危機は去り、ギアリングは任務を終了し無事にノーフォーク海軍基地へ帰還した。
  • 1960年代に入り、ギアリングは第二次大戦後期の駆逐艦が対象となる近代改修化計画、FRAM1(艦隊再建近代化計画)を受ける事になった。
    これにより、アスロック対潜ミサイルランチャーを装備、大幅な対潜能力の強化が行われている。
    もっとも、進水からかなりの時間が経っていたギアリングは、他の姉妹艦と同じく冷戦中期以降、順次退役していった。
  • 1973年に退役したギアリングは、同年7月1日に除籍、その後はスクラップとして売却され軍艦としての生涯を閉じた。
  • 2016年現在、ギアリング級は世界中に7隻が記念艦として現存している。
    一番近場だとお隣台湾や韓国に現存艦があるので、時間とお金があれば見に行ってみるのもいいかもしれない。

小ネタ

  • スキルの「冷戦先鋒」はギアリングが戦後も引き続き使用され、冷戦中のアメリカ海軍の主力駆逐艦を担った事に由来している。
  • また、対潜値が異様に伸びているのは1963年に実施された艦隊再建近代化計画(FRAM1)で、対潜能力向上を図ったオーバーホールを受けた事に由来していると思われる。
  • ゲーム内での持参装備は第二次大戦時の物で占められているが、ゲームバランスを考えてFRAM1準拠の装備をあえて外した可能性がある。
    忠実に再現するとアスロック対潜ミサイルとか持ってくる。