No96 パワー/元ネタ解説

Last-modified: 2021-07-22 (木) 18:33:21
所属United States Navy→中華民國海軍
艦種・艦型ギアリング級駆逐艦
正式名称USS Power (DD-839)→瀋陽(DD-923)
名前の由来John V. Power(1918-1944) アメリカ海軍中尉 クェゼリン島の戦いで勇敢な行動を取り戦死。後にMedal of Honorを授与された
→中華人民共和国遼寧省瀋陽市
起工日1945.2.26
進水日1945.6.30
就役日(竣工日)1945.9.13
退役日(除籍後)1977.9 1977.10.1除籍
中華民国海軍移籍日1977.10.1
中華民国海軍退役日(除籍後)2005.11.26(記念館として保存 2013年11月解体)
全長(身長)119.0m
基準排水量(体重)2336英t(2373t)
出力Babcock & Wilcox式重油専焼缶4基Westinghouse式蒸気タービン2基2軸 60000shp(60832.2PS)
最高速度36.8kt(68.15km/h)
航続距離15.0kt(27.77km/h)/5690海里(10537.9km)
乗員274名
装備(建造時)5inch38口径Mk.12連装両用砲3基6門
21inch五連装魚雷発射管2基10門
ボフォース40mm機関砲x12(2x4+4x4)
20mmエリコン機関砲x11
爆雷投射機x6
爆雷投下軌条x2
装備(1962)5inch38口径Mk.12連装両用砲3基6門
12.75inch三連装対潜魚雷発射管2基6門
RUR-5 ASROC対潜ミサイル発射管1基8発
Gyrodyne QH-50 DASH無人対潜ヘリコプターx1
装甲なし
建造所Bath Iron Works, Bath, Maine
(バス鉄工所 アメリカ合衆国メイン州サガダホク郡バス市)

建造からアメリカ海軍時代

  • 1945年2月26日に起工、同年7月14日に進水、日本降伏後の9月2日に就役した。
    他のギアリング級と同じく、就役後は大戦が終了していたため、平時の作戦活動に参加。
    パワーは主にカリブ海や大西洋を拠点に活動していた。
  • 1958年に発生したレバノン危機では、レバノン大統領カミール・シャムーンの要請により米軍が出動。
    第6艦隊の一員としてパワーはレバノンへ派遣されている。
    帰国後はマーキュリー計画へと参加、帰還した宇宙飛行士の回収任務へと就いている。
  • 1960年代に入り、他のギアリング級と同じく大規模改修を含むオーバーホール、FRAM1を受ける。
    この時にパワーは対潜無人ヘリ「QH-50 DASH」の運用能力を付与されたほか、アスロック対潜ミサイルも装備された。
    1960年代後半には激化するベトナム戦争にも投入された。
    ベトナム戦争では捜索救助活動や、陸上部隊に対する砲撃支援などの実戦も経験している。
  • こうして冷戦期のベトナム戦争に投入されたパワーは、1977年9月に退役した。
    しかし、パワーに第二の転機が訪れる。中華民国、すなわち台湾海軍での就役である。

台湾海軍駆逐艦「瀋陽」として

  • 1978年12月18日、パワーは台湾海軍の駆逐艦「瀋陽」として再就役した。
    艦名である「瀋陽」は、中国遼寧省の省都、瀋陽市から因んでいる。
    また、複数のギアリング級の仲間たちも同じく台湾海軍に就役、ギアリング級は富陽級駆逐艦として運用された。
    • 余談だが軍艦としての「瀋陽」は二代目。
      先代は賠償艦として1947年に提供された日本海軍の峯風型駆逐艦「波風」(1922年進水)。
      パワーが就役する18年前、1960年に除籍されている。
    • また、現在では中国人民解放軍の海軍で同名のミサイル駆逐艦が就役している。
  • 台湾海軍の一員として就役したパワー改め瀋陽は、その後も精力的に活動を続けた。
    その後、シンガポール、南アフリカ、インドネシア、韓国など世界各地に訪問航海をしている。
  • 1990年に入ると瀋陽は「武進3号」と呼ばれる更なる武装強化の改修プランを施されている。
    現代艦艇のベストセラー砲となった、オート・メラーラ製76mm砲を主砲として搭載した。
    さらにRIM-66スタンダードミサイルを搭載、艦対空ミサイルの搭載によって艦種はDDG(ミサイル駆逐艦)に改められた。
    艦尾にはファランクス艦艇用近接防御火器システム、すなわちCIWSも搭載している。
    本格的な現代駆逐艦としての武装を与えられ、台湾海軍の軍備に一役買っている。
  • とは言え、ギアリング級は1945年に進水した旧型駆逐艦であり、改装等を受けたものの時間の流れによる機関や船体の老朽化には逆らえなかった。
    90年代後半に入りギアリング級は貸与、売却先である世界各国から次々に姿を消していった。
    台湾海軍ではアメリカ海軍の戦後駆逐艦、キッド級等の配備が始まり、2005年に瀋陽の退役が決定。
    2006年1月1日、長きにわたって台湾海軍を支えた瀋陽は退役、半世紀以上の長きに渡る活動に終止符を打った。
    退役式典も行われ、2006年という最近の出来事であるため、映像もYouTube等の動画投稿サイトにも多く残っている。
    余談だが瀋陽は台湾海軍で最後に退役したギアリング級であった。
  • 最後まで残ったパワー(瀋陽)は、解体されず記念艦として保管され、暫くは一般公開されていたが2013年11月に解体され生涯を終えた。
    今現在、台湾で現存しているギアリング級は記念艦として保存されたサースフィールド(DD-837、台湾海軍駆逐艦「徳陽」)のみとなっている。