ヘラクレスの栄光3 ストーリー

Last-modified: 2022-05-05 (木) 02:07:30


ギリシア地方

妖精の村

 主人公が目覚めると、そこは森に囲まれた小さな村。住人は見たこともないほどきれいな羽根を持つ小人のような種族、まさに『妖精』と呼ぶに相応しい者たちだった。しかし記憶を失っている主人公には妖精どころかこの大陸、この世界のことすら何もわからない。ひとまず、妖精たちに心配される中で仮としての名前を用いることにした主人公。
 ここはギリシア地方のゴルテという場所の近くらしい。妖精たちに話を聞きながら村を探索していると、突如として巨大な地震が襲い掛かり村の南側に断崖のような大穴が開き、主人公も巻き込まれて落下してしまう。普通の人間であれば間違いなく即死していたはずの状態だが、なんと穴の底で主人公は傷ひとつ負わず生きていた。

 妖精たちによって助け出された主人公。どうやら主人公は不死身の力を持っているらしく、致命的な怪我を負っても死ぬことはないらしい。しかしそれがいったい何故なのか、どういう理由と経緯でこの地にやって来たのかは記憶喪失の主人公はもちろん妖精たちにも知る由もなかった。
 このままでは自分の正体も、この世界のことも何もかもが不明なままだ――旅立ちを決意した主人公に妖精たちもわずかな間だけ同行を申し出てくれる。この妖精の村の付近にはゴルテ村とクノッソスというふたつの村があるが、まずはゴルテ村に行くのが良さそうだ。

ゴルテ村

 ぶどう酒の名産地とも言われるゴルテ村。妖精たちと別れを告げた主人公はついに自分と同じ姿かたちの人間たちの集落に足を踏み入れたのだ。
 ゴルテ村で話を聞いてみると、どうやらここはクレタ島と呼ばれるギリシア地方に浮かぶ小さな島であるらしく、クノッソスという街に行かなければほかの大陸に渡る船を利用することもできないらしい。しかし、船に乗るには大金が必要である。

 頭を悩ませた主人公。しかし、耳寄りな情報も入手した。どうやらクノッソスでは大規模に女の奴隷を募集しているらしく、集められた女奴隷たちは船に乗せられてスパルタなどの都市に運ばれて行くらしい。このままクレタ島に居続けても道は開けないのであれば、女奴隷のフリをしてでも船に乗るのが先決と決めた主人公は女装をし奴隷を集めているゴルテ村の商人に取引を持ち掛けに行くことにした。

クノッソス

 女奴隷として商人に連れて来られたクノッソス。とはいえ奴隷なので自由には振舞えず、奴隷部屋に押し込められてしまう。ひとまず女装を解いてほかの女奴隷たちに話を聞いてみるとなんと部屋の隅に街につながる抜け道があるという。もっとも、抜け道には魔物が出現するようで、そのせいで女ばかりの奴隷たちは抜け道は知っていても今まで使うことができなかったらしい。
 主人公は女装を解き武装し直すと女奴隷たちを連れて抜け道に乗り込んだ。古い地下水道の一部らしいこの抜け道の途中、謎の老人が主人公を呼び止める。ひとまず、主人公は奴隷と老人という不思議な組み合わせを連れてクノッソスに抜け出た。

 クノッソスで奴隷たちを解放し、残された老人の処遇を迷っているとなんと老人はこの街を治める富豪だと自ら名乗り出た。うっかり地下の抜け道で迷子になっていたところを救ってくれたことで恩を感じ、この街での自由を許された主人公。ここから船に乗り、クレタ島から出られるのも目前というわけだ。
 しかし不安な情報もある。海に住んでいるという『まくろきもの』という謎の生物が近くを通りかかる船に襲い掛かるという事件が多発しているらしい。『まくろきもの』とは何なのか、この世界の謎はまだまだ未知数だった。

 港に行く前にクノッソスを歩き回ると木組みの巨大な高台が街の片隅に聳え立っている。行ってみるとここでは『飛び降りショー』なるものが開催されており、レイオンという男がこの高台から飛び降りて傷もつかないことを見世物にしているということだった。
 もしこの話が本当ならば主人公と同様に不死身の身体を持つ仲間かもしれない。さっそくショーを見物すると、やはり主人公同様に傷ひとつない身体でピンピンしている。ここは主人公も飛び降りの真似をして、自らも不死身であることをレイオンに見せつけて仲間であることを証明しなければならない。

 夜になってあたりが静まり返ったなか、無人となった高台から主人公が飛び降りて見せるとその騒音に慌てて駆け付けたのがレイオンだった。主人公もまた自分と同じ不死身という境遇なことに運命を感じた様子のレイオンもまた、記憶を失って旅をしている最中だという。主人公の旅に同行を申し出るレイオンの言葉を断る理由もない。二人は改めて仲間同士となり、ともにクレタ島から海に乗り出そうと港から船へ。新天地を求めていざ出航である。ところが……

まくろきものの体内

 クレタ島からしばらく船旅をしていた矢先、突然周囲が轟音に包まれたかと思うと大波と共に謎の影が海中から漂ってきた。船がまるで子供のおもちゃかのように見えるほどのその超巨大な生物は、噂されていたあの『まくろきもの』であった。主人公とレイオンはやむなく戦闘態勢に入るが、あまりの巨大さゆえに致命傷は与えられそうもないまま、まくろきものに飲み込まれてしまった。

 まくろきものの体内。臓器類が不気味な鳴動をするヌメヌメとした気持ちの悪い空間に閉じ込められた主人公とレイオンはどうにか脱出を試み、隙間から外の海中に飛び出すことに成功はするものの波に押し流されて離反することになってしまう。「アテネで会おう」という最後の言葉を叫んで消えたレイオンが無事であることを祈りながら、主人公は海流に流されるようにしてスパルタ地方へと誘われた。

ラコニア

 主人公が気が付くとそこはラコニアと呼ばれる漁師村。漂流したばかりでふらふらな状態の主人公だが、あたりを行き交う兵士たちの姿に否応にも背筋を立たせて周囲を伺う。はたして兵士たちはスパルタからやって来た者たちのようで、彼らはこのラコニアにとある使命を帯びてやって来たもののいまは飲んだくれの日々を過ごしているらしい。ゴルテ村でのように女装をしてさらなる情報を得た主人公は、その使命というものがこの付近にある大穴の調査であったが、魔物との戦いで隊長を失った兵士たちは士気をなくしてしまったということも聞き知ることができた。

 隊長の代理を務めようとラコニアの崖から飛び降りてみせた主人公に兵士たちが一瞬で群がってくる。あれだけの崖から飛び降りても傷ひとつない姿に感銘を受けた兵士たちから隊長証を受け取り、晴れて主人公は隊長として兵士たちを率いて動くことが出来るようになった。ここからさらなる場所へ旅をするには心強い味方といえるだろう。
 主人公は兵士たちを引き連れながらラコニアから出発、スパルタへと向かった。

スパルタ

 辿り着いた場所は魔物に荒らされた都市、スパルタ。本来ならばキレイに整えられているはずの美しい街並みはいまは瓦礫と廃墟の山で見る影もない。話を聞いてみると、スパルタの北側にある門に正体不明の魔物が住み着いてしまい、スパルタの勇猛な兵士たちでも太刀打ちできないほどの強敵であるらしい。
 亡くなった隊長の両親にひと言挨拶を告げつつ、さっそく北の門の魔物に挑戦する主人公だが、相手は姿を消して襲い掛かるまさに正体不明という名がふさわしい魔物。こちらの攻撃をまったく寄せ付けず、やむなく撤退するほかはなかった。

 ぼんやりとした幻のような魔物への対抗策を探すなか、スパルタの東にある洞窟になんらかの手がかりがあるという情報を聞きつける主人公。兵士たちを引き連れながら洞窟を調査してみると、最深部にあの透明な魔物とそっくりな姿の魔物、アーグリオがいた。どうやらスパルタにいた魔物は幻影のようなものであり、洞窟にるこちらが本体らしい。
 無事にアーグリオを倒すと呼応するようにしてスパルタの魔物も消滅した。アテネへの道が開けたいま、主人公の隊長代行もここまで。隊長証を隊長の母親に返納し兵士たちと別れを告げ、開かれた北の門からいざ新たなる地アテネへと向かう。

アテネ

 ギリシア地方最大級の都市、アテネ。しかしその全容はまだ把握できず、旅人でしかない主人公は西側のエリアのみ入ることを許された。スラム街もある西側エリアは狭く、お世辞にもキレイとは言い難い雰囲気だが、東側エリアとの境目にある小高い塔から向こう側に飛び降りれば主人公なら侵入できるかもしれない。さっそく塔からジャンプするも、その轟音で慌てて駆け付けてきた兵士にあっさり捕まってしまった。
 牢屋に閉じ込めらた主人公だが、ここで思わぬ再会を果たす。あのレイオンが主人公と同じことをして同じ牢に入れられていたのだ。お咎めだけで翌日無事に牢屋から出された主人公とレイオンは不死身と記憶喪失の謎を解く旅の再開を改めて誓い合う。

 とはいえ、アテネの東エリアに行くには方法が見当たらない。西エリアを探索していると不思議な老人が主人公たちに声をかけてくる。なんとその老人は自らをアテネ王だと名乗り、お忍びでスラム街を見回っていたところそのまま締め出されてしまい城に戻れなくなってしまったらしい。どうにかしてほしい、と主人公たちに手助けを求めるアテネ王も一時的に同行することになってしまった。

 アテネ王の話によれば、王室に繋がる隠し通路が都市の付近に存在するようだが魔物が巣食っているということだった。はたして言われた通りの場所を探してみると地下通路の入口が。
 アテネ王室への地下通路は土で埋もれてしまっている部分が多く、主人公たちが掘っていかないと先に進むことすら難しい場所だった。魔物も多く徘徊しているが、レイオンという心強い仲間だけでなくアテネ王も戦闘に加わってくれるなどして無事に乗り切ることができた。王室に飛び出した主人公たち、アテネ王も元通りの玉座に座れて主人公たちにお礼をしてくれる。以降、アテネ城を自由に探索できるようになるのだ。

 大都市アテネの王城となれば勤めている人々も有能な者が多い。主人公たちに世界のことを教えてくれる側近や神話辞典をくれる人物など、ギリシア地方だけでなくこの世界のことを少しずつ知るための知識を蓄えていく主人公。アテネ王も今回のことで奴隷制度を廃止すると約束もしてくれた。これからギリシアはまた変革をしていくことを願いつつ、大手を振って歩けるようになったアテネの東エリアへと向かう一行。

 かつては入ることのできなかったアテネの東側エリアは西側とは比べ物にならない広さであった。目立つのは中央に構える円形劇場、そして都市のなかに建てられた神殿。情報収集しながら劇場に足を運んでみるとヘラクレスと名乗る筋肉男が飛び込んでくる。ヘラクレスといえば神話でも有名な英雄だが、あまりにも突然のことであり誰も信用せず、そのままつまみ出されて行ってしまった。
 気になった主人公たちは劇場をあとにし、佇んでいたヘラクレスに話を聞いてみることに。やはり神話の英雄であることは間違いないようだが、現在は主神ゼウスにより力を封印されてしまっているということ、そして主人公たちにある警告をするためにここにやって来たということが分かる。

 アテネでの一件もひと段落し、アテネ王も約束通り奴隷たちを解放してくれることになった。三人目の仲間となったヘラクレスの警告に従って北の地方にあるテルマを目指すことにした一行は国境を越え、新たなる地に足を踏み入れるのであった。

テルマ

 『旅の翼』という、旅人たちのお守りでもありゲームでは任意の街へワープできるアイテムの名産地であるテルマ。この旅の翼を作る職人のダイダロスという男もまたテルマに住んでいるのだが、ある日旅の翼の材料を集めに出かけてそのまま行方が知れなくなってしまった。そのせいで旅の翼はまったく生産されなくなり、店でも法外な値段で取引されてしまっている。
 旅の翼が気軽に手に入らなくなったことも困りごとだが、なんと言ってもダイダロスの安否が気にかかる。ダイダロスの家族たちからも改めて頼まれた一行は旅の翼の材料がとれるとされる洞窟、ヘルメス神殿に向かった。

 魔物だらけの洞窟を進むとダイダロスが隠れるようにして佇んでいた。どうやらヘルメス神殿に向かうつもりが魔物に阻まれて思うようにできなくなっていたらしい。はたしてヘルメス神殿のある場所の前に立ちふさがっていたのはナーガという不気味な魔物。主人公たちは善戦をこなしてどうにかナーガを撃退、ようやくヘルメス神殿への道が開けてダイダロスも材料集めの目的を果たせたということだ。
 ヘルメス神殿にてノアルーンとダケープという移動の魔法を修得しつつ、テルマに戻ったダイダロスの手腕で旅の翼作りも再開され、適正な価格で売られるようになった。

 テルマでの問題は無事に解決したと言えるだろう。ヘラクレスの言葉に従い、主人公たちはテルマからさらに北東を目指してトロイ地方へと歩を進めることになる。



トロイ地方

ドリスコス

 平穏なアテネやスパルタ地方とは異なり熱気が漂うトロイ地方、そのひとつの街ドリスコスを訪れた主人公たち。とはいえ、このあたりは特に熱帯地方というわけでもなく平時ならばアテネなどと変わらない気温であるはずだった。このカゲロウが立ち昇るほどの異常な熱波は気候とは無関係であるらしい。
 人々に話を聞いてみるとこの異常気象は最近始まったものであることや、近隣の洞窟に不死身を自称する謎の男が住んでいるという情報が得られる。また、ドリスコスは本来船が停泊する港としての顔もあるが現在は異常気象に加えてあの『まくろきもの』が現れたため船も渡航禁止となってしまっているとのこと。

 ひとまず、不死身を名乗る男と出会うために洞窟とやらを進む主人公たち。主人公、レイオンに続いて三人目の不死身の人間となれば自分たちの運命に関して何らかが判明するかもしれない。
 向かった洞窟の奥に住んでいたのはテミシオスと名乗る男とその付き添いであるステイアという女性だった。テミシオスは彫刻家であるというわけで洞窟の壁には一面の壁画が作られていたが、その絵はまさに主人公とレイオンが時おり夢に出てくる光景そのままであった。夢にはテミシオスらしき男も現れていたこともあり、彼が三人目の不死身仲間であることは間違いないだろう。

 不死身であるかどうかを試したことはないというテミシオスだったが境遇が主人公たちと同じであるならば何らかの運命を持っているはずだった。旅に同行することになったテミシオスと従者ステイアで五人となった一行はトロイ地方をさらに進むため、山道へと入る。

トロイの山道

 トロイへ繋がる道はこの山道しかなかったが、噂通り崖崩れが発生しており完全に道は塞がれてしまっていた。しかしここでテミシオスが一計を打ち、自らの彫刻家としての腕を駆使して塞いでいた落石類を片付けてくれる。無事に通行可能となった山道を進む一行だったが、山頂を抜けて下り坂に入った時に再び崖崩れが発生してしまい、あろうことかテミシオスとステイア目掛けて大岩が直撃してしまったのだ。

 しかし、不死身であればこんな大岩など物ともしないはず……と思いきや、瀕死の重傷を負ってしまったのはなんとテミシオスのほう。反対に従者であったステイアは傷ひとつなかった。
 どうやら不死身の身体を持っていたのはステイアであり、テミシオスはたまたま彼女と共に居たから主人公たちの夢に登場してしまっただけで実際はただの普通の人間だったのだ。自分が不死身だと信じて夢を描いた矢先の事故、まさに無念が等しいテミシオスだったが、主人公たちにステイアを託すようにして潔く息絶える。
 四人となった一行だが、不死身の人間がここまで集まってしまったのも運命を通り越してなんらかの思惑、あるいは意図を感じざるを得ない。テミシオスに別れを告げた一行は改めてトロイへと向かった。

トロイ

 西国トロイ。歴史が長い国家でかつては世界の覇権を争ったこともあるが、現在はギリシア地方と細々と貿易するに留まる小さな国となっている。もともとが港湾国でもあり何隻もの船を操っていたが、まくろきものが海に現れるようになってからは船がことごとく沈められてしまったために貿易も途絶えており、国家の危機に等しい状況に陥っている。南のペルシアとの航路も賑わっていたが現在はそうした事情からそちらも無期限延期状態だ。

 ひとまずトロイ国王に面会するべく城に向かうと、主人公たちは兵士や城の従者たちから熱烈なまでの大歓迎を受ける。どうやら主人公たちが不死身の人間一行だという噂がトロイの人々にも知れ渡っているようで、世界の英雄とまでもてはやされてしまっていた。
 話を聞いてみるとトロイの国王は現在、床に瀕している状態であり、死に際して心残りとなる悩みを抱えている様子。不死身を武器にした一行に折り入っての相談があるというわけで一晩の休憩ののち面会することで話はまとまったが、ヘラクレスが突如、トロイ地方の異常気象についてを太陽神アポロンに問いただすと息巻いて一時的に離反することになった。

 翌日、改めて三人となった一行がトロイ国王と話をしてみると王の悩みは他でもない、まくろきものとその被害だった。このままでは貿易を糧にしているトロイは船が出せないまま滅んでしまうかもしれないと不安に陥っている王を安心させるべく、そしてまた主人公とレイオンにとっては屈辱の再戦に望むべく、まくろきものとの決戦を誓い合うことになる。

 トロイ国王から提案された作戦は巨大な木馬に乗り込んで海に立ち、まくろきものを待ち受けるという戦法。普通の船とは比べ物にならないサイズの超巨大なトロイの木馬であったが、それにも勝る大きさのまくろきものとの戦い――無事に済むかはさておき、はたして木馬を発見したまくろきものが一直線に突っ込んできた。

 戦いをこなして強さを手に入れた主人公たちは苦戦を強いられながら、撃破とはいかずともどうにかまくろきものに致命傷を与え、追い払うことに成功する。その時にまくろきものの体内から飛び出してきたのは人馬ケンタウロスだった。
 トロイに飛び込んでしまい逃げ回っているケンタウロスの子ども、クリンを保護した一行。迷子になってしまったというクリンを連れて故郷である場所に送り届けることを約束した主人公たちはトロイの人々や国王からも大絶賛を受ける。そして、国王直々にペルシアへの航路を取り付けてくれることになるのだった。いよいよ大海原を超えて南の大陸、ペルシア地方に旅立つ一行。



ペルシア地方

ベンガジ

 トロイから船に乗りペルシア地方に初上陸し、最初に足を踏み入れたのはベンガジという小さな漁村。小さいとはいえ他の国からの玄関口として栄えるベンガジでさっそく情報収集をはかる一行。
 トロイは確かに熱波の異常気象だったが、それに輪をかけて異常とも言えるのがこのペルシア地方だった。もともとが砂漠地方であるということも起因しているが、歩くこともままならないほどの猛暑っぷりだ。太陽が異常だと言っていたヘラクレスの言葉もあながち間違いではなさそうだ。

 それ以外の情報としてはケンタウロスの話も聞ける。クリンを送り届けたい一心の主人公たちは、このあたりではケンタウロスは捕らわれて高値で売買されていることを知る。そしてそれはクリンを連れて港を訪れた時に現実のものとなってしまった。

 物陰から突然現れた悪漢にクリンは捕まってしまい、誘拐されてしまう。追い掛けようにも行方が分からず途方に暮れていると、ベンガジの近くにあるさびれた港村に夜な夜なケンタウロスが現れるという新情報。クリンのことを知っているケンタウロスと会えるかもしれないと夜を待って向かってみると確かに成人の立派なケンタウロスが現れた。
 しかし話を聞こうと一行が近寄ろうとした矢先、警戒したケンタウロスたちには逃げられてしまった。このままでは埒が明かない。ベンガジで聞いたペルシア地方の最大の都、ペルシアに行ってさらなる情報を求めるしかない。

ペルシア

 ペルシア地方の都、ペルシア。暑い地方であるために白を基調とした石造りや布製の建物やテントが立ち並ぶ異国情緒溢れる場所だ。この街はさまざまな商品を取り扱う店舗が多数軒を連ねており、大勢の商人がバザールを開いて日夜商売に奔走している。なかには怪しいものを取引する者もいるとはいえ、砂漠街ペルシアらしい風情ある佇まいとも言えるだろう。

 人々の話からすれば、現在のこの熱波気象はもともと暑いペルシアでもいつもの三倍は暑いと言い切れるほどの異常事態らしく人々も困り果てている様子。各地の地震や地割れも同じくだが、世界的になんらかの混乱が起きつつあるのは確かなところだろうか。
 そうした情報を仕入れながらも大目的であるクリンを探す一行はペルシア城にやってくる。噂が確かであれば捕らえられたケンタウロスはペルシア国王が高値で買い取っており、クリンもそこに巻き込まれている可能性があるのだ。しかし城は兵士がガッチリとガードしており入ることすらままならない。

 いったん引き返して作戦を練る一行。やはりベンガジ付近のあの小さな港村に現れたケンタウロスたちを頼るしか手立てはない。ケンタウロスたちの里があるのであれば港村からほど近い場所なのは間違いないだろう。情報を整理しながらベンガジから再び港村、そしてさらに山を越えて西に向かう主人公たち。

ペルシア地方のヘルメス像
このペルシア地方で信仰されているのはギリシア神話ではなくゾロアスター教。ゆえにギリシア神話由来であるヘルメス神などギリシアの神々は基本的には疎まれており、人々の前で口にするのも難しい有様。ちなみにゲームではセーブポイントとしての機能を持っているヘルメス像だが、これも目立つようには設置されていないとはいえテントのなかに隠されるように置いてはあるので心配する必要はない。

ケンタウロス村

 港村から山を越えて先に進むと、森に囲まれた小さな村が一行の前に開ける。ケンタウロスたち一族が隠れ住んでいるところがこの村であった。おそらくクリンもここから飛び出してしまい、なんらかの事故に巻き込まれてまくろきものに飲み込まれていたのだろう。
 さっそく話を聞いて回ろうとする主人公たちだったが、ケンタウロスを売買している話は彼らもよく知るところになっており誘拐にやって来たのだと勘違いされてしまう。抵抗する間もなくケンタウロスの姿に変化させられてしまう三人はそのまま村からも追い出されてしまった。このままではケンタウロスとしてペルシアの人々に捕まってしまう。急いで事件を解決するしかない。

ペルシア~ケンタウロス村

 事件を解決するとはいえ行くあてもなく、いったんはペルシア城に向かう主人公たち。しかしケンタウロスの姿に変身させられてしまっているところでもあり、あっさりと捕らえられて城に幽閉されてしまった。それでも悪いことばかりではなく、同じ牢屋にてなんとあのクリンを発見。クリンは主人公たちが変身させられているだけだと一発で見抜き、共に脱出することを決意してくれる。
 兵士たちの闊歩する牢屋から城内をひた走り、ようやくクリンを連れて出口から外に飛び出した一行。そのままケンタウロス村に向かい、クリンを家族のもとに送り届けることに成功する。ケンタウロスたちもクリンの帰還を喜ぶと共に主人公たちへの濡れ衣と誤解を謝罪し、もとの人間の姿に戻してくれる。これでペルシアを本格的に探索できるようになったのだ。

ペルシア城

 ようやく人間の姿になりペルシア城に楽々と入り込むことができるようになった。そしてペルシアの王が執拗なまでにケンタウロスを欲している理由が人々の話からついに判明した。どうやらペルシア王は不老不死を願い夢見ており、ケンタウロスの肉を食べることで不老不死が達成されると信じ込んでいるらしい。

 主人公たちが不死身であることを告げて高所からの飛び降りで証明するとはたしてペルシア王は驚きの声を上げ、すぐにでも不死身の秘密を教えろと懇願してくる。とはいえ、主人公たちにもその理由の検討がつかず現在探索中でもある。答えあぐねている様子を見て取ったペルシア王は怒りに震え、またまた主人公たちを牢屋に突き落としてしまった。

 理不尽な理由で投獄され困り果てているところで突然地響きが木霊し、堅牢なはずの牢屋にまで振動と轟音が響き渡った。慌てた様子の看守によればペルシア城の近くに魔物が巣窟を作っており、魔物の被害がペルシアに襲って来ているということだった。
 ペルシア王は不死身であれば魔物退治などいとも簡単だろうと言い放ち、主人公たちを信じた人々を人質として捕らえる代わりに魔物を退治するようにと命令してくる。自分たちを信じてくれた人々のためにも主人公たちは逃げるわけにはいかなかった。

魔物の巣窟~ペルシア城

 ペルシア王の言っていた巣窟は流砂が動く厄介な構造のダンジョンであったが、どうにか最深部にてゲーラスという魔物を発見し撃破することに成功。他にも魔物たちは徘徊しているが、親玉であるゲーラスを倒すことで静まったであろうことが予想された。

 巣窟から出て意気揚々とペルシア城に帰還しようとした矢先、主人公たちの前に信じられない光景が飛び込んでくる。あれだけの異常気象での熱波に覆われていたペルシアが一転して夜が明けない闇に包まれてしまっているのだ。人質を解放してくれたペルシア王もこの状況は皆目見当がつかず、ただ夜が終わらないということしか分からなかった。
 しかし、もしかしたら文明の中心地であるアテネであれば誰か何かを知っているかもしれない。ペルシアでの事件を解決した一行はそのままアテネへと引き返す形で向かうことになるのだった。



オリンポス

新アテネ

 久しぶりのアテネに帰還しひと息つく主人公たち。街の様子を伺ってみると、以前と比べて住人たちに老人や子どもばかりであることが目立つ。さらに言えばペルシアとは逆でアテネでは昼が終わらない状態に陥っており、太陽の異常から派生して天の惑星がおかしなことになっているのはまず間違いないといったところだ。
 情報を聞いていくとアテネ王がオリンポス山のふもと、ゼウス神殿の近くに新たな都市を建設したようで、そこには新しいアテネ城も建築されているとのこと。一行は新アテネへと向かった。

 新アテネ城に居たアテネ王は主人公たちとの再会に喜びを見せてくれる。そして、このゼウス神殿に近い場所に新たな都市国家を建築した理由はこの地でより多くの神々の恩恵を受け、世界に起きている異常事態に際してなんらかのお告げをくれることを願ってのことであったらしい。しかしその思惑は外れ、神はなにも言葉をくれる様子はないという。
 オリンポス山のふもと、ロゴシスに住む賢者であればあるいは何かを知っているかもしれないというアテネ王。藁をもすがる思いで主人公たちは賢者の元に歩を進める。

ロゴシス

 テルマの北西、かつては工事現場としてなにも無かった場所が工事が完了したことでロゴシスへの山道となっていた。さっそく山道を越える一行だが途中で道が途切れている箇所を発見。不死身の三人であれば難はなかったものの、これでは他の人が行き来するのは難しかったであろう。アテネ王が主人公たちに懇願した理由も分かったというものだ。

 やってきたロゴシスは谷間にひっそりと佇む静かな村であった。ここには多くの賢者たちが住んでおり、神々に関して唸るような知識を持つ人々が日夜研究や観察を続けている。さっそく現在世界各地で起きている天候の異常についてを聞いて回ってみると、賢者たちにも確実な答えは出せないものの、天の太陽と月を毎日移動させているヘリオスという天馬車になにか異常が起きたのかもしれないという話が聞ける。
 ヘリオスの様子を見に行くのが先決であろうが、天空に行く方法などアテネ王であっても分かるはずもない。途方に暮れた矢先、あの旅の翼を作っていたダイダロスであれば天空に行く方法を何か知っているかもしれないという話が飛び込む。

ドラード

 ロゴシスから北へ。ダイダロスは旅の職人でもありテルマで売られていた旅の翼もその作品のひとつだが、その真骨頂は『カイト』と呼ばれる人が空を飛ぶことのできる発明品の開発と研究であった。ダイダロスはこの永遠の課題を達成するためにドラードという村で日夜時間を過ごしているとのことだった。

 陽気な村人ばかりのドラードでダイダロスと再会した主人公たち。彼はカイトを作るためにアレフの羽根というものを求めており、その羽根があればカイトで神々のいる天空までをも行けるのだという。真偽のほどは定かではないが、やる気満々のダイダロスを支援するためにもアレフの羽根を手に入れる手助けをする主人公たち。

アレフの洞窟

 ドラードからほど近い場所の浅瀬に囲まれた洞窟に赴き、最深部でバロックという巨鳥を討ち取ることに成功した主人公たち。アレフとは妖精のような小さな羽根を持つ聖獣であり、美しい羽根はそれだけで芸術的な価値がある。しかしバロックはこのアレフたちを主食とした残忍な魔物であったため、主人公たちによって倒されたというもののアレフ自体はほとんど絶滅してしまうという悲しい結果になった。
 力不足を苦悩しつつも残された羽根を手に取ってドラードに戻る一行だが、ここで旅をやめるわけにはいかない。アレフの羽根を受け取ったダイダロスはたったの一晩でカイトを完成させ、ついに天空に飛び立てる日がやってきたのだった。

天空

 神々の住まう世界、天空。その一端でしかないものの雲の上にカイトから飛び移った主人公たちは真っ白と真っ青なだけの広い空のうえをあてどなく歩いて行く。この天空の異常事態は月と太陽の運行を司る神になにか事件が起きているのでは――トロイで別れたヘラクレスも同じような話をしていたはずだが、それらしき影は見当たらない。

 しかし黙々と空を歩いていくとパエトーンという小さな神が主人公たちの前に現れた。パエトーンはまさに天の運行を司る役目を持っているヘリオスの息子である。さっそく事情を聞いてみると太陽を引く天馬が逃げ出してしまい、ほかの天馬たちに混ざって行方不明になってしまったという。
 パエトーンの手助けをして天馬を捕獲する主人公たち。子供神であるパエトーンも大喜びで、天界に遊びに来てくれと『神殿の鍵』を主人公たちに渡してくれる。これをオリンポス山から通じる扉に使えば天界への道が開けるというものだ。天界で直接神々と対話すれば、今回の異常事態に対して神々が無言を貫く理由も問いただすことができるかもしれない。

 さっそく地上に戻ろうとする主人公たち、しかしその直後に予想もしない人物が主人公たちの前に現れた。ウラノスと名乗った老人然とした神はゼウスの父神であり、かつては世界の支配神でもあったはずの神のひとり。しかしゼウスにその権力を奪われてしまい、いまはほとんど力を持たずにいるということだ。
 主人公たちの味方だとウラノスははっきりと明言するが、その真意は見当もつかない……と、その瞬間空に雷鳴が迸り一行の持っていたカイトが雷に焼かれてしまった。どうやらゼウスが主人公やウラノスの動きを察知し、攻勢に転じてきたようだ。逃げる間もなく雷は今度は主人公たちに直撃し、その衝撃で雲の上から落とされてしまう一行。

小さな村~ゼウス神殿

 ものすごい轟音を立てて着地、というよりも陥没したのはオリンポス山の近くにある小さな村。この村は神々への信仰が深い人々により作られた場所であり、神と一度は会いたいという村人たちの強い願いが込められている地だ。そこに轟音を立てて主人公たちが現れたことでひと騒動持ち上がってしまう。

 さしもの不死身とはいえあまりの高所からの落下にふらふらな一行だったが、慌てて村人たちに事情を説明をしても一行は三人の神々だと思われておりまったく話を聞いてくれる様子はない。仕方なく、手に入れた神殿の鍵を握って向かったのはオリンポス山にあるゼウス神殿。パエトーンの話を信じるならばこの鍵で天界への入口が開けるはずだ。

 荘厳な白亜のゼウス神殿はほかの神殿とは比較にならない規模を誇っている。このゼウス神殿には天界に繋がる道があるとされているが、そこに行くための扉は固く閉ざされてしまったままだ。パエトーンから受け取った神殿の鍵を使うとはたして扉は厳かに開き、天界に至る道が主人公たちの目の前に開けた。
 とはいえ、あっさりと天界に入れる様子はない。どことも知れない異空間めいた天界への道には謎の魔物たちやパズル仕掛けが待ち構えていた。天界に入る者に試練を与えようというのか、一行の行く手を遮る試練をどうにかくぐり抜けて辿り着いたのは天の川のような銀河がきらめく美しいばかりの星々の世界、天界だった。

天界


 いくつもの試練を乗り越えて飛び出した場所はすでに地上ではなかった。そこは天界、神々が居を構えこの世界と人間を支配し、見守り、指針を示し続けてきた絶対なる存在たちが暮らしている場所だ。もっとも、いまの神々は人間たちに一切の言葉を発しないばかりか、自分たち神に迫ろうとする主人公たちに敵意すら向けてくる有様だった。いったい何がどうなっているのか。
 天界にてひとりずつ神々と対面し、話を聞いていく主人公たち。ヘパイトスやビーナス、ヘルメスやアルテミスといった名だたる神々が主人公たちの前に現れるが一様に主人公たちには好意的であり、敵対の兆しはまったく見られない。しかし最後に対面したゼウス神は主人公やレイオン、ステイアが不死身であることを良くは思ってないようだ。

 不死身という肉体を持てるのは神か神に列席する者だけであるが、主人公たちがその資格を持っているのはいまの時点では不明ということだろうか。しかし主人公たちにとっても自分たちが不死身であることの理由はぜひとも知りたいといったところ。
 苦悩する一行だが、ヘパイトス神の勧めで西の塔に行けば不死身であることの秘密が分かるかもしれないとしてさっそく天界の西側に位置する巨大な塔に挑戦することに。

 西の塔にはプロメテウスという神が幽閉されているということだ。このプロメテウスは人間たちの味方であり、人間に初めて火を与えたとされる存在である。最深部で一行はついにそのプロメテウスと対面することに成功する。拘束の仕掛けを解いて話を聞いてみると、かつてプロメテウスは三人の人間に不死身の力を与えたという。それもこれも不死の玉という宝具にプロメテウスがとある願いを込めた結果であるようだが、その願いが何なのかは教えてはくれなかった。

 「人間はなにをすべきか考えることが重大な使命なのだ」と言うプロメテウスだが、反対にゼウスは怒り心頭だ。一介の人間に不死身の力を与えてしまったプロメテウスを厳しく咎め、主人公たち三人の記憶を無くした上で天界から追い出してしまう。

アテネ~ロゴシス

 天界を追放され地上に戻った主人公たち。結局ゼウスの思惑もプロメテウスの伝えたかったことも判然としなかったが、ひとまずアテネ王を再訪してみると王は不在なうえに人々から大ニュースが飛び込んでくる。なんと西の国で戦争が起こりアテネ王はそこに出陣してしまったというのだ。西の国といえばトランティアという大国だ。いままさに攻め込まれているであろうロゴシスを目指して主人公たちも飛び出していく。

 ロゴシスにやってくるとすでにトランティアの兵士たちが制圧したあとであり、かん口令が敷かれたかのようにひっそりとしていた。ロゴシス中央の高台、アテネ王とトランティア王アルビオンが対談している場にはなんとトロイで別れたあの英雄ヘラクレスが同席していた。
 話を聞いてみると、ヘラクレスは魔物たちによって荒らされた世界を救おうとひとりで戦い続けてきた末に人間たちにも協力体制を敷いてもらおうとアテネとトランティアの和解を提案したようだ。それに同意したトランティアのアルビオン王は、これは侵略戦争ではなくあくまでも世界の平和のためにアテネ王と手を取り合いたいとして進み出る。アテネ王がそれに応じようとした矢先、ほとんど真下が震源地かと思うほどの地響きからの地震が発生する。なにをしようとする前に開いた大穴から落下してしまう主人公たちとヘラクレス。

冥界

 四人が気が付くとそこは地の底の世界、冥界だった。主人公、レイオン、ステイアは不死身なために無事であり、神の一員であるヘラクレスもまた無事であったが他のことはなにも分からない。周囲に点在しているいくつかの洞窟に足を踏み入れてみると骸骨の姿の死者たちがそれなりの居住空間を作って徘徊していた。

 慌てていても仕方がない。骸骨たちも主人公一行を気にする様子もないので、むしろを敷いただけの洞窟でひと休みを決め込む主人公たち。とはいえ、いつまでも冥界で迷子になっているわけにもいかない。
 あてもないままではあったが地の底の世界を探索しながら進んでみると、小さな隠れ家のような場所に見知らぬ男、否、主人公たちにとってすれば夢で何度も見た姿の男が佇んでいるのを発見する。謎の男もまた主人公たちのことを夢を介して知っている様子だった。ヘラクレスを除いた四人はほとんど同時に自分たちが不死身であるということを共感し合い、これからの旅路の仲間となるべき存在であることを痛感するのだ。

 謎の男を仲間にし、いよいよ五人となった一行は冥界をそのまま進み続け、ようやく出口らしき場所に辿り着いた。よじ登るようにして這い出たところは地上、しかもあのアルビオン王が治める国であった。



トランティア地方

レンツ

 トランティアという大国の片隅にある街、レンツ。小さいながらも美麗かつ機能性に優れた街並みを見せる場所であったが、現在は地震の影響で街の南側にぽっかりと開いてしまった大穴のせいで見るも無残な姿を晒している。しかし主人公たち四人はこのレンツで早くも胸騒ぎを感じていた。それもそのはず、何度も夢で見た光景に出てきた建造物がこのトランティア様式と瓜二つであるのだ。もしかしたら夢の場所はトランティアにあるのかもしれない。
 意気込みながらレンツを後にした主人公たちはトランティアの首都へと向かった。

トランティア

 トランティア地方の都市であり首都でもあるトランティアだ。アテネに比肩すべき大国となりつつあるこの国はアルビオンという有能な王により治められ、文明力の高い暮らしを誇っている。トランティアに入りいよいよ夢の光景を間近に感じる主人公たち四人は情報収集を開始した。

 話によればトランティアで信仰されている神はウラノスだけであり、ゼウスなど他の神々は名前もほとんど知られていないようであった。ヘルメス像などは不思議なオブジェでしかなく、神々の姿も一般人は知らない者が多い。しかもアルビオン王は人間でありながらそれら神々に匹敵するほど偉大な者とされており、王の側近であるバオールという人物もまた大きな力を持っているらしい。

 さっそくアルビオンやバオールと対面するべくトランティア城に入る一行。ロゴシスでアテネ王と対談していたアルビオン王はあの地震も無事に切り抜け、帰還していた。王によればアテネ王も無事であるということでホッとする一行。
 アルビオン王にバオールのことについて尋ねると、バオールはかつて王の右腕として補佐していた有能な人物であったがトランティアが軍事国家となった頃合いに軍勢を率いて南に向かって領土を広げるべく侵攻を開始したというがその後音沙汰なしになってしまったらしい。どこか恐ろしい雰囲気を漂わせていたというバオールは息子もいるということだったが、その息子も、そしてバオール自身もどこへ行ってしまったのか不明なままであった。
 どうやらこのバオールという人物がなにかの鍵を握っているに違いない。一行はバオールとその息子とを探すべくトランティアから南に向かって出発することを決定する。

ジブラルタル海峡

 情報を整理するとバオールが向かったのは南、ラバトかあるいはそれよりももっと南のどこかであるはずだ。トランティアから少し南下すると浅瀬がぴったりとくっつくようにして海峡となっているジブラルタル海峡に差し掛かる。ここは世界を等分する内海と外海とが一番間近に接するポイントでもあるのだ。そのまま通行しようとする一行だったが海に見たような影が差し込んでくる。それはあの、まくろきものだった。
 慌てて警戒する一行だがそれを制止したのはヘラクレス。まくろきものとは本来、オケアノスという神に連なる者であるらしい。様子を見ているとまくろきものは主人公たちに襲い掛かる様子はない。しかも、外海と内海からなんと二匹のまくろきもの、否、オケアノスが現れたのだ。片方のまくろきものはやや小ぶりな様子であり、もしかしたらこの二匹は親子同士なのではないかと予想する一行。

 結局二匹のまくろきものは海峡に阻まれて出会えないまま再び離れて行ってしまった。もしあの二匹が親子のまくろきものであるとすれば、なにが理由かは分からないが海峡で離れ離れにされてしまったようだ。バオールが海を埋め立てたという情報が正しいならばそれは彼の仕業に間違いがないが、現時点では何もできないと判断した一行はひとまずラバトに向かった。

ラバト

 トランティアから南にある港町ラバトは、またの名を船大工の街というほど船の建造や開発が盛んな場所であった。活気があれば船大工たちが往来を闊歩し、造船技術を教える学校が軒を連ねた港では船大工たちと船長たちとの海への熱い思いが酌み交わされていた。しかし現在、まくろきものに支配されてしまった海に乗り出そうとする者は誰もおらず、学校も閉鎖され船大工たちも姿を消してしまっていた。

 情報を聞いてみると船大工たちの行方はどことも知れないが、可能性のひとつとしてどこかの隠れ家に移り住んでいるかもしれないという。また、大工を父に持つ少年からはラバトから西の方角になにやら不思議な巨大建造物が建設されている最中でもあるらしい。
 バオールの消息を求めて海に乗り出すには船がどうしても必要だが、その船を動かすには船の梶棒が必要不可欠である。船大工たちが持って行ってしまった船の梶棒を求めて、一行は謎の建造物があるとされる場所に向かうことにした。

船大工たちの隠れ家~ラバト

 ラバトから西に向かったところには地上だというのにまるで巨大な帆船を思わせる外見の建造物が作られていた。船大工たちが隠れて立てこもっているのはここに違いない。内部は魔物たちが入り込んでいるうえに構造が複雑でカラクリ仕掛けが施されており一筋縄では突破できないようになっていたが、一行はどうにかこれを抜けて最深部にて船大工たちと彼らが持って来ていた船の梶棒を発見する。

 相談の末、船の梶棒を借り受けることに成功した一行は一路ラバトに帰還し、船の手配を申し出るがそれにはアルビオン王の許可が必要だという。一度トランティアに戻って王の許可を受け、再び訪れることでどうにか船を手に入れることができた。これで自由に海を航海できるようになる。

アトラシア~ほこら

 ラバトから海を越えてさらに南に向かうと小さな村を発見する。不思議な胸騒ぎを感じたのは主人公だけではなく、レイオンやステイア、そして謎の男も同じであった。そう、ここはアトラスの子孫たちが暮らすとされるアトラシア。そしてさらに言えば、主人公たちが夢に見たまさにその場所だったのである。そしてなんと、アルビオン王までもがアトラシアに先回りしていたのだ。

 小さいながらも歴史と謂れに深いアトラシアでさっそく情報を集めてみると、南にある島のほこらに石にされた老人と子どもがいるという話が聞ける。さっそく向かってみると確かに二つの石像がほこらに置かれている。そして、ほこらから通じる場所にいた天を支える巨人神アトラスもまた石像と化してしまっていたのだ。
 アルビオン王の話から石像となったアトラスを復活させるには『復活の血』と呼ばれるものが必要ということであった。果たしてどこにあるのだろうか。ひとまず情報を探索するべく、主人公たちは大航海の旅に出る。

ベスビオ

 レンツから南東に向かって船を進めると見える小島にはベスビオという小さな村がある。そしてアトラシアのほこらから逃げてきたと思われるアトラスの子孫を発見する主人公たち。このあたりにどうやら復活の血があるようだが、村のなかにはそれらしいものは見当たらない。
 人々から話を聞いてみると、ベスビオの近くにある火山にテュポーンという強大な魔物が住み着いたということが分かる。血がそこにあるのかは不明だったが、ほかに行くあてもないのであればと向かってみることに。入り組んだ火山洞窟を抜けると見上げる巨体を持つテュポーンが現れた。炎の攻撃を紙一重でかわしながら撃破することに成功した主人公たちは、復活の血のひとつ『ステンノーの血』を手に入れるのだった。

アトラスの足跡洞窟

 次に一行が向かったのはドリスコスから南の海。小島のようになっている場所に小さな洞窟がある。ここにも逃げ出してきたアトラスの子孫がいるはずだったが、内部はベスビオ火山と同様に複雑に入り組んでいる構造だった。どうにか突破すると最深部でついにアトラスの子孫たちを発見する。そして、『エリュアレーの血』も手に入れることができたのだ。

ポセイドン宮殿

 懐かしのクレタ島の西にはトリトンの島と呼ばれる小島がある。イルカが岩礁に閉じ込められて逃げられなくなってしまっているペルシアから北にある島にて、船の機動力を生かして岩を破壊し逃がしてやるとイルカは大喜びで船のあとをついてくる。このイルカを連れてトリトンの島に赴くとポセイドン宮殿への道を開く『海の扉』というものを渡してくれるのだ。
 ポセイドン宮殿は宝物庫にもなっており、復活の血のひとつも隠されているかと思いきやそれらしきものは見当たらない。ところがこのポセイドン宮殿にはそれとは別の宝物が眠っていた。その名も『絹のたづな』。これがあれば天馬を自在に操ることができるようになり、大空を自由に飛び回ることができる。

エーウス~オケアノス神殿

 ペガサスを呼び出して空を向かった先は、アトラシアからは陸続きの山の上にある村エーウスだ。純粋無垢で疑うことを知らない人々の住むこのエーウスではまくろきものがオケアノスという神であるというヘラクレスの言葉を裏打ちする情報が聞ける。しかし、まくろきものことオケアノスは主人公たちが探し求めていた最後の血を飲んでしまったかもしれないのだ。もしそれが本当であれば石像と化したアトラスの子孫たちを復活する方法がなくなってしまう。

 エーウスに隣接するようにして存在するオケアノス神殿に赴いた一行。光に包まれた不思議なこの神殿にて、ステイアは失っていた記憶をすべて取り戻した。彼女はこの神殿の巫女として生まれついており、本来の名前はステラ。プロメテウスと出会って不死身の肉体を手に入れたまでの経緯がすべてステイアことステラの脳裏に刻み込まれていく。
 ステイアの力もあって、現れたオケアノスの体内に入ってみるとはたしてそこでは最後の血、『メデューサの血』が見つかった。これでようやくすべての復活の血が揃った。急いでアルビオン王の待つアトラシアに向かう主人公たち。

アトラス山

 主人公たちの記憶が天界のどこかに隠されていると考え、探してくると言い残したヘラクレスとエーウスで別れた代わりにアトラシアにてアルビオン王が仲間に加わる。物語は佳境となり、いよいよアトラスを石像から解く日がやってきた。アトラスの仁王立ちするアトラス山を登る一行、しかしその直前で不気味な魔物と遭遇する。いままで見たこともないような容姿と雰囲気の魔物はどうやら冥界から送り込まれた異形の魔物であるようだ。
 アトラスが復活してしまうと天が落ちてしまう、それを一番危惧しているのは神々に他ならない。冥界の神ハデスもそのひとりとして主人公たちを妨害しようとしているのだ。その天界の神々とは異なり、主人公たちに協力を申し出てくれるのがあのウラノスというゼウスの父。神々同士のいざこざも垣間見えながら、どうにか魔物を倒してアトラスと対面する主人公たち。

 石像というよりも岩山のような形になってしまったアトラスに三つの血を捧げる一行。美しくも儚く血がアトラスに降りかかり、ついに眠れるアトラスが復活したかに思えた次の瞬間、光と共にあのプロメテウスが主人公たちの前に現れた。
 プロメテウスによればアトラスを復活させることは大きな間違いであり、なにもかもが主人公たちの選択ミスだという。それにはウラノスが秘密裏に絡んでいるのも明らかであったが、ゼウスを始めとした天界の神々は主人公たちの行動を許すまいとして地上すべてを押し流そうと大洪水を起こしてしまう。

 それは破滅の日だった。すべての都市、街、村や里、そして世界中のすべての人々が大洪水によって押し流されてしまった。残されたのは純粋な人の暮らすエーウスだけであり、ペガサスで世界を見て回ってもほかには影ひとつ見当たらない。もはや世界は滅んだも同然だった。
 そこに主人公たちの記憶を取りに去っていたヘラクレスが無事に記憶を見つけて現れたのが直後であったが、もはや後の祭りであった。主人公たちは絶望に落ちてしまう――否、もしかしたら果ての果て、まだ見ぬ地にもしかしたら生き残った誰かが、取り残された大陸があるのかもしれない。ペガサスを繰って世界の果てを目指して飛び続ける一行……。



終末の時

冥界

 どこまで飛んでも地上は海しか見当たらない。もう世界を何周もしたかと錯覚したような気もするが、果たしていまどこにいるのか分からないくらい青々とした海が彼方まで続いているだけだ。引き返す気力もなく、ひたすらに飛び続けている一行の耳になにやら声が響いてくる。それは冥界からの呼び声のようで、バオールの名前を唱え続けているのだ。
 結局見つからなかったバオールを誰がなぜ呼んでいるのか、そしてバオールはいったいどこに行ってしまったのか。声の聞こえる方向を目指して行くと不意に景色が眩み、気が付くと冥界に誘われていた一行。

 いままでも何度か冥界を訪れたことはあるが、今回の冥界はやや様子が違う。アテネ、トロイ、ペルシア、トランティアという世界の四つの国の都市が隣接するようにして存在し、そこにはそれぞれの国の人々がまるごと住んでいたのだ。
 アテネ王やトロイ王など、主人公たちがいままで会って来た人々とも再会するが彼らは決して無事ではなく死者としてこの冥界に送り込まれただけである。そしてこの冥界を司るハデスがすべてを取り仕切っているのだ。

 ハデスによるバオールを呼び続ける声は止まらない。主人公たちのなかにバオールがいるというハデスの言葉であったが、主人公はもちろんレイオンもステイアも見当がつかない。もしかすると最後に冥界で出会った謎の男がそのバオールではないかと訝るも、証拠があるわけでもない。
 アテネやペルシアなど各国を模した真ん中には中立となる国があるが、ここには気が触れてしまった女性がいる。どうやら彼女はバオールの妻であるらしく、夫も息子も失って絶望に落ちてしまっているのだ。ついぞ地上では発見できなかったバオール。彼の正体がなんなのかはハデスに直接会って確かめてみるしかない。

ハデス城

 洞窟を抜けたところでついにハデス城に侵入する主人公たち。魔物の数は半端ではないうえに城内はこれまでになく入り組んでおり、複雑に絡み合っている。まずは門番となる地獄の番犬ケルベロスとオルトロスが主人公たちに襲い掛かる。さらに奥に進もうとする一行だが、主人公以外の仲間たちの通れない結界に遭遇してしまう。この先に進めるのはどうやら主人公だけということらしい。

 やむなく主人公は単身でハデスの前に訪れた。自分の立てた計画が主人公たちの動きでことごとく失敗し続けている現状に苛立ちを隠せないハデスは手下のエルアルテスとオートスを伴って主人公に襲い掛かって来た。戦いは苛烈かつ長時間に及び、主人公ももはや追い詰められてしまいながらもどうにかハデスを退けることに成功した。
 冥界の主を倒した――喜びに浸ることもできずにただ放心する主人公だが、膝を折られたハデスはそれでも屈することはなかった。主人公に冥界よりもさらに深みにあるタルタロスに落ちろと言い残したかと思うとその瞬間、主人公はいま居た場所から真っ逆さまに落ちて行ってしまうのだ。

タルタロス

 冥界のさらなる深部、そこはタルタロスと呼ばれる無間地獄だ。生前に拭われない罪を犯した者だけがハデスの裁定により行くことになるここに主人公は突き落とされてしまった。見えるのは泥のような水や岩だけで、あとは暗闇に支配されたまさに呪われた場所だ。

 主人公が気が付くと自分の身体がもとの人間の姿ではなく、不気味な緑色の魔物のようなものに変化していることが分かる。これもハデスによる裁定のひとつなのか。どうやら魔物と化したことで思った以上の力は手に入れたらしいが、この地獄からどうやって抜け出せばいいのかは分からない。

 あてどなく歩いていると不思議な岩小屋を発見する。ほかの場所とはやや変わった作りのここはどうやら神殿らしく、現れたのが時の神であるクロノスであった。時間を操るというほかの神が持たない強力すぎる能力を有していたために主神ゼウスに警戒され、理不尽にもタルタロスに追放されて永き時を幽閉されていたらしい。

 主人公と対面するクロノスはハデスやゼウスと同様に怒りに満ちていた。主人公の行動は母なる神ガイアを傷つけ、世界のすべての人と比較しても許されざる罪でしかないという。まだ記憶を取り戻していない主人公が困惑するなか、クロノスはその力を使って時間を巻き戻していく。
 冥界での出来事、大洪水、アトラス山への挑戦――すべての時間が戻り、気が付くと主人公はアトラス山の山頂に佇んでいた。そして目の前にはなんと、アトラスの石化を解こうと山を登ってくる主人公たち。そう、あの時に冥界から送り込まれた魔物は自分自身の未来の姿だったのだ。時を越えていま、主人公は自分自身と相対してしまったというわけだ。

 これこそがクロノスの罰であった。こうして何度も主人公は自分自身に屠られ、また同じ過ちを繰り返して最後はハデスにより魔物に変化させられタルタロスに落とされるという文字通りの無間地獄。果たしてこの地獄に終わりを見いだすことはできるのか――

 ――その時だった。母なるガイアが主人公に語り掛ける。戦うだけがすべてではない……その言葉を信じ、やってきた自分自身やその仲間たちの攻撃を一身に耐え続ける魔物の主人公。動こうともしない魔物に不審を感じて攻撃の手を止めるレイオンやステイアたちだったが、同行していたアルビオンは収まらない。
 アルビオン、そして現れたウラノスは計画が頓挫しそうなことを察して主人公たちをここで止めようと襲い掛かってくる。レイオンたちの理解を得た魔物の主人公、そして一行は味方となり共にウラノスの力を得たアルビオンを退けることに成功する。

 タルタロスへの無間地獄は終わり、魔物と化した主人公はもとの人間の姿に戻ることができた。しかし、物語はここで終わったわけではない。アルビオンとウラノスを退けても主人公たちの記憶も、そして犯してしまったと言われている罪も償う方法が分からない。そして大洪水により一度は滅んでしまった世界が今後も無事な姿で平和を取り戻せるのかもまだ分からない。最後のステージがいよいよ幕開けである。