鮫島事件騒動

Last-modified: 2022-06-06 (月) 20:12:53

 2001年5月24日。
 2ちゃんねるのラウンジ板にて「伝説の「鮫島スレ」について語ろう」というスレッドが立てられ、書き込みの内容としては「「鮫島スレ」というものを見て2ちゃんねるにハマった」ということや「なかば伝説となった鮫島スレを話そう」といったような文章だった。
 書き込みを見たユーザーはこぞって鮫島スレについて議論と意見を取り交わし、いつしか『鮫島事件』として2ちゃんねる全体に広まることになる。その際にも事件を事細かに説明する者は一人としておらず、都市伝説のあつかいをされながらも2ちゃんねるのさらに暗部を象徴するかのように潜み続けた逸話となっていく。

 結論を言ってしまえば『鮫島事件』や『鮫島スレ』といったものは存在せず、実在も確認されていない架空の出来事であった。つまりはこれらすべてがジョーク(ネタ)のひとつであり上記のスレッドを立てた人物の釣り行為であったとも言える(実際にスレを立てた人物は釣り宣言をした)。
 しかしその後の話題の広まり方がアンダーグラウンド的に水面下でひっそりと進んだこと、2ちゃんねるユーザー全体もそれを知ってか知らずか大々的に嘘だと騒いだり、真面目に調査するといったようなつまらない行為には出ずに架空のまま都市伝説にまで昇りつめたという意味で現在でも語り草となるほど知名度の高い騒動であった。
 現在では小説や映画になるほどの言葉であることからも当時のにぎやかさがうかがい知れるところだろう。

五月の鯉の吹き流し

 当時のインターネットはいまほど情報が膨大というほどではなく、百科事典サイトであるウィキペディア英語版が2001年1月に創設されたばかりだった(日本版はそのあととなる)。当然ながら集められている情報はまだまだ少なく、ほかの同種のサイトも同様であった。なにかを調べる時にインターネット検索をするという今のような環境はまだ構築されていなかったのだ。

 さらに言えば、2ちゃんねるなどのインターネットユーザーがアンダーグラウンド的な空気を楽しむ層が多かったことが背景としてあり、今のようになにかのキーワードがすぐに"真面目に"調査されて突きつけ合うといった正論戦争の風潮はそこまで広まっていなかった。分からないことは分からないままに、真実を知ってもあえてそれを隠して、というジョークがたまたまうまく行ったことでこの『鮫島事件』は今もなお語り継がれる都市伝説となったのだ。


引用:鮫島事件 - Wikipedia