久保帯人事件

Last-modified: 2022-06-06 (月) 16:05:21

 2000年8月。
 週刊少年ジャンプにて『BLEACH』などを連載していた漫画家の久保帯人氏が、2000年当時の自身のホームページ内ギャラリーに掲載していたイラスト類について、同じくホームページ内にあった自身の日記に「ダウンロードはやめてほしい」といった旨の書き込みをしたことで発生した騒動。

 久保帯人氏の言及するところによればギャラリー内のイラストは身内のために描かれたものが主であり、ファンなど他人は閲覧のみとしてダウンロードや保存することは嫌悪を示したことによる。その際の日記内書き込みはやや威圧気味であり、「法律もウェッブルール(ウェブルール)もクソ喰らえだ。俺が嫌だと言っている」という言葉がもちいられた。

 この挑戦的な物言いを知ったファンや複数の批判者が久保帯人のホームページに出現し、今回言及されているものだけでなく久保帯人氏の日記内の物言いや言い方も暴言気味であるとして問題が拡大。ホームページにある掲示板は荒らされてしまい、2ちゃんねる内でもスレが立つことで祭りと化してしまう。
 さらに、久保帯人氏は掲示板の荒らし行為は2ちゃんねるユーザーの仕業と断定。「2chのうざい野郎共が集まったイカ臭い掲示板で思いっ切り暴れてください」といったような煽り文句を並べたことで事態はさらにヒートアップし、炎上騒動に持ち上がってしまう。

 その後、ホームページの運営もままならなくなった頃合いに久保帯人氏から正式な謝罪文が掲載されてホームページは閉鎖するに至るが、ここでの謝罪文も「ダウンロードの制限については間違っていない」「ファンの人達なら分かってくれると思った」とした文章でしたためられており、騒動に関して和解したという状態ではなかったと思われている。

武士は食わねど高楊枝




 当時はまだホームページ作成やそれらの取り締まり等も黎明期であったこともあり、掲載された画像全般のダウンロードをサイト構成上で阻止したり、ダウンロードをしたユーザーを特定できるような仕組みも一般化されていなかった。
 今回の久保帯人氏の書き込みとして「ウェブルール」という言葉が用いられているが、インターネット上における著作権法も当時はまだ確立されていなかったこともあり違法ダウンロードがそれほど問題視されていなかった。言ってしまえばネットにあるものは事実上、画像でも音楽ファイルでもいくらでもダウンロードできてしまうという世の中(=当時のウェブルール)であったのである。(現在は著作権法によりほとんどが保護・管理されており、令和3年以降も保護範囲は更新されている)

 現代で言えばTwitterなど含めてインターネット上にあるイラストをはじめとした創作物全般は著作権で保護されているのは誰もが認識していることであるが、黎明期にこうした事件があったからこその成果と考えることもできるだろう。


引用:久保帯人先生の公式ホームページの日記の思い出 - ちゆ12歳
引用:どこからが違法ダウンロード? 改正著作権法の内容や逮捕の可能性