東芝クレーマー事件

Last-modified: 2022-05-27 (金) 23:53:57

 1999年12月。
 「Akky」というHNの人物が東芝製の製品を使用する際に起きた不具合について株式会社東芝に電話連絡したところ、あちこちの部署をたらい回しにされた挙句に暴言とも取れる言い方を東芝社員から発せられたとしてその一部始終をAkky氏が録音しインターネットで公開。これを聞いたマスコミなどマスメディアが報道として事件化し、その後『東芝クレーマー事件』『東芝ユーザーサポート事件』などとして書籍なども発売された一連の騒動である。

 東芝側の言い分とAkky氏の言い分の食い違いのせいで事態は混乱を極めてしまい、録音データが公開されて誰でも聞ける状態であったこともあり週刊誌などで連日に渡ってマスコミの報道をされる。東芝としては正当なサポートをしたとするのに対してユーザー(Akky氏)はノイズが発生する、勝手な改修をされたと訴え続けて泥沼化してしまう。最終的に当時の東芝副社長とユーザー(Akky氏)が対談、手打ちとして事態は収束。

 その後、Akky氏は実はクレームで数百万も金銭を得ている悪質クレーマーであることが判明するなどし(Akky氏は拒否)、東芝はこのことを教訓としてクレーマー対策に力を入れることになり万全なサポート体制を敷いて顧客満足度で上位にランクインするほどに改善を見せた。
 実際にAkky氏がクレーマーとしての迷惑行為を働いたのかというと現時点になってしまっては謎であるが、この録音データも工作は可能と考察するサイトも存在するため録音データにすべての信ぴょう性を置くのは危険行為かもしれない。

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※YouTubeにアップロードされた当時公開された録音データ


 その後、Akky氏は2008年に週刊ダイヤモンドで受けたインタビューにて当時(1999年のクレーマー事件にて)母親や母親の会社が誹謗中傷を受けたことと東芝製のDVDレコーダー等を愛用していることを語った。しかし、翌年2009年に同氏は福岡大学病院から業務用のノートパソコンを盗み出し、さらに家宅捜索の結果取引先の会社からデジカメも盗んでいたことが判明して一連の罪で窃盗罪として起訴された。
 ノートパソコンを盗んだ福岡大学病院には以前から母親の治療に関する苦情(クレーム)を再三に渡り続けていたとされ、本質的なクレーマーとして世に周知される結果となってしまった。

焼け石に水

 さて、この『東芝クレーマー事件』騒動はインターネット発信であったこともあってまだ開設したばかりの2ちゃんねるにてこの事件を大々的に取り上げた特設掲示板が出現。2ちゃんねるで最初にひろゆき氏から発行されたMM(メールマガジン)も東芝サポート問題についての話題がトップバッターであった。

 世間的な話題性の高さからアクセス数はうなぎ登りとなり、その後の2ちゃんねるという匿名掲示板の土台となる雰囲気が初めて明確に形成されていった。いわく、世間一般では大声で語れないような話も2ちゃんねるでは大々的に訴えたり意見したり大声で話し合うことができる、という根幹部分の形成である。
 匿名という、誰が話しているのか不明という強みを生かして自由に(悪く言えば好き勝手に)自論を展開し、それを見た別の一般人が事件を知り意見を持ちまた2ちゃんねるで述べ合うという世界が構築されたのだ。当時の日本はまだインターネットは常時接続ではなく従量制であり、ダイヤルアップ接続しか確立されておらずインターネットのユーザー全体数も少なかったが、これがかえってダークでアンダーな世界を作りやすかったと言えるだろう。

 そして、ニュースや報道に対してまだ一般レベルの意見が届きにくかった当時のマスコミ界においてインターネットという不特定多数の一般人がこぞって意見を投げかけ、大挙することで無視できない規模の騒動になったことも大きい。新聞と雑誌が中心だったメディア媒体もインターネットでの情報共有が初めて認知され、それまでの日本ではほとんど普及されていなかった『インターネット』がついに世間を動かした第一歩だったのだ。