エジプト神話「地平線のホルス」と暁のホルス

Last-modified: 2024-06-13 (木) 03:12:56

(※ストーリー関連の誤訳、「誤訳とまでは言えないが怪しい訳」派生ページ)

エジプト神話のややこしさ×現代日本語の語義ズレ
本当にややこしいので疲れていない時にゆっくり読んでね
 +ついでの付録でアビドス関連元ネタ話

暁のホルス / 새벽의 호루스

1-1-17

   1-1-17黒服の台詞
英語 I've been waiting for you...Hoshino. That is your name, correct? I hope you'll pardon me if that was impolite.
(待っていましたよ…ホシノさん。それがあなたの名前ですよね?もしも失礼にあたりましたらご容赦を。)
韓国語기다리고 있었습니다. 새벽의(**の) 호루(ホル)......, 아니, 호시노라는 이름이었죠. 실례했습니다.
(待っていました。**のホル…いえ、ホシノという名前でしたね。失礼しました。)
日本版お待ちしておりましたよ、 暁のホル······ いや、 ホシノさんでしたね。 これは失礼。

あっこれは初期の英語ローカライズ叩かれて当然だわ…*1
ではなくて

一般名詞「새벽」の訳は「暁」でほぼ問題ない

一般名詞としては「暁」で大抵通る

日本語では「暁、明け方、早朝、夜明け、有明、……」などと訳す
英語であればdawnやdaybreak
要はまあ「夜中回ってから朝にかけての時間帯、かつどちらかといえば朝寄りかな? くらいの区間」を指す

  • 有明はオタク向けコンテンツ限定で特殊な意味(コミケ会場所在地)を持ってしまうため除外するとして…
    普通はどう訳そうと似たような意味となる
    一般名詞としての話なら「暁」訳でなんら問題ない
    実際日本語「暁」を韓国語に訳す場合も(辞書的な)対訳は새벽と定義されている

しかしこれは一般名詞ではない

問題は「ホルス」を修飾している単語である点に尽きる

 

「ホルス」の内訳はクソほどややこしい

エジプト神話には多数のホルスがいるという話

エジプト神話は長く古い歴史を持つ
問題があるとすればあまりに古すぎる長すぎる、紀元前3000年ってなんだよ
「神話の舞台が推定紀元前3000年」ではなく
「考古学的知見として紀元前3000年を生きた現実の人々が同時代史料として遺している神話」となる

  • これは聖書(推定成立年代紀元前6~2世紀)を鼻で笑えるくらい古い


ホルス神は出自が古すぎて時のファラオ*2やら信仰やらとグチャグチャに混ざり、それはもうわけが分からないことになっている
日本版Wikipediaは大ホルス/小ホルスとしか分けていないが不正確、地元の学者はもっと細かく分けている
Zenbu_Horus_ja_naidesuka.jpg
(仏Wikipedia:あいまいさ回避ページに列挙されたホルス神 これ全部別々の「ホルス」)

後世の人々が必死こいて神話を整理し、
「エジプト神話には時代ごとに異なる神話的文脈で語られる何種類ものホルス神がおり、しかも多くが太陽神(ラー)信仰とごちゃまぜになったようだ」とまでは紐解いた

  • FGO一部6章あたりで魔神柱アモンがほぼ同名の太陽神アメン*3を経由していきなりアメン=ラーになり、居合わせたラムセス2世がテンションブチ上がっていたシーン 覚えている人もそれなりに多いだろう、あの急にボス戦の難易度上がる場所
    あれはこの辺の話と同じく古代エジプト人に混同(習合)されまくる太陽神周りのゴチャゴチャを引いていた
 

↑の個々のホルスについて

英語版Wikipediaがある程度詳しい
以下に数種類ピックアップする

   𓂀𓅃𓂇
「☆3ホルスPUイベント」開催予定!
ホルス達の限定ストーリーをお楽しみに!

天空神としてのホルス

最高神っぽい神話観の基礎

最古の神、概念系の神に近い扱い
右目が太陽に、左目が月に結び付けられていた
ブルアカにはオッドアイの生徒がいましたね

再生(日が昇って明るくなる)と死(日が沈んで暗くなる)を同時に司る形であり、エジプト的死生観すなわちこのホルスとなる

  • 長いスパンでは月そのものも満ち欠けが死と再生に紐付けられる

日本や韓国では大ホルスと呼んでいる
本来セト神相手に戦っていたのもこのホルスだったと考えられている
しかし元来の天空神っぽいポジションはオシリス(のち↓)に、神話的エピソードは↓に取られてしまった

オシリス&イシスの息子としてのホルス

いわゆるホルス

父(オシリス神)を殺したセト神相手に延々争って復讐を遂げる神話シナリオの主人公、英雄としてのホルス神

当時のエジプト人が天空神としてのホルス↑から神話的エピソードを抜き出しまくったため、両者は同一視されたりされなかったりする 現代人はもう誰も正確には理解していない 古代のファラオでも墓から掘り返して訊いてくれ たぶん奴らも理解してないぞ

アヌビス神やらネフティス神やらもこのホルスの同期
同期に一通りのビッグネームが並んでいるため、単にホルスと言った場合はこのホルスを指す場合が多い 日本や韓国で小ホルスと呼ぶ場合もこのホルスを指す場合が多い

延々争って
Horus_from_wikipedia.jpg
(英語版Wikipedia)
??????????
????????

?????
☻☻☻☻☻

俺からの建設的な提案︰何も見なかった事にしないか?
見なかったことにしないか?
『ホルスとセトの争い』は公の場で描き記された史料ではなく、いわゆる趣味としての私的な読み物…大きく括れば同人誌的なオブジェクトと見なされているようだ
古代エジプト新王国にもコミケ会場があったのかもしれない そうしておこう

****×***みたいな特殊性癖の中でもゲテモノ扱いされているグループが3000年前から平気で存在した事実に震えるが、販売あるいは発注した個人の特異点的性癖だったことにしておこう させてくれ
でも古代エジプト的にレタスはそういう位置付けだったらしい

いわゆるホルスの愉快な仲間たち

オシリス、イシス、セトネフティスが兄弟姉妹
オシリスとイシスの息子がこのホルス
現代の標準神話理解においてはネフティス強引にオシリスと浮気して作った息子がアヌビス
となる
このホルスを主役とする物語においてはセトがオシリスをぶち殺した事になっているが、現代の倫理上はまあ怒ってもいいと思う

現代の標準神話理解においては
セト神は歴史を下るほど「オシリスに嫉妬し妻に浮気されホルスにぶち殺されるしょうもない悪者枠」としてステレオタイプ化されてきた節がある
元を辿れば荒ぶる軍神であり、初期信仰においてこの手の情けないエピソードがあった可能性は低い
……といったような話は英語版Winipediaネフティス記事に研究レベルの話としてある程度書いてある
  • 制約解除決戦「セトの憤怒」前口上にて「崇高以前」と説明されるのも、即ち「今から戦うのは戯画化される前の超シリアスなセトだぞ」というメッセージと見なしてよいだろう

「地平線のホルス」Horus in the horizon

ハルマキスまたはホルアクティの通称

細々した話

Her-em-akhet Horemakhet 
Harmakhis Harakhte いい加減にしてくれ

属性としてはだだ被りしているが両者は一応異なるホルス扱いらしい 異なるホルスってなんだよ

デカいスフィンクスになっている(とされる)のはハルマキスの方らしいが、国内の知名度で言ったらまあこの人の影響でホルアクティだろう

デカいスフィンクス
なにせ現実のエジプトも昔から砂まみれなので、放っておいても色々なモノが砂に沈んでいく
「砂の中から掘り出してくれるなら王にしてあげるよ」と後のファラオにお告げを下す逸話なども残されている

ここで言う「地平線」は要するに太陽が昇ってくる場所であり、当時の信仰として
「夜明けや早朝の太陽」に紐付けられるホルスとなる
なんか上の方で聞いたような時間帯じゃないか?

 

ここからやっと本題

誤訳疑惑における争点

「ホルス」ではなく「修飾付きのホルス」である以上、引用するにあたって上記ホルス軍団の中から何かしらの絞り込みを意図している可能性は高い

夜明けの太陽に縁深い「地平線のホルス」要素がホシノに含まれているか否かで、「暁」訳の妥当性が大きく変化する

  • ※「暁」は主に「夜明け」の時間帯(=未明)

    有明の   (夜明けの(月みたいに冷たい))
    つれなく見えし 別れより(塩対応で夜這い先から帰宅させられて以来)
    暁ばかり(夜明け前ほど) うきものはなし(憂鬱な時間もない)*4

    春はあけぼの ←夜明けはこっち

    偽りを述べる者が愛国者とたたえられ、真実を語る者が売国奴と罵られた世の中を、私は経験してきた。
    (三笠宮崇仁親王『日本のあけぼの』)
                ↑これも
    「日本史のはじまり」および
    「戦後日本(=暗黒時代からの夜明け)」
    を意味するダブルミーニング

日常語の範囲で夜中の特定時間を指す名称が前後に多少ズレようと、一般人は誰も気にしない

しかし太陽神の要素を持つ神となればまるで事情が変わる
神としての本質にかかわる話であるがゆえ、
時としてわずか数時間のズレが大問題となる
まだ真っ暗な時間帯を冠された太陽神など笑い話にもならない

 

提案され得る「暁のホルス」以外の새벽訳

提案の前提は地平線のホルスからの引用を真と見る仮定

「曙のホルス」

새벽の訳として用いられる頻度こそ落ちるが、このあたりが神話的背景に沿う訳になるかもしれない

「曙光のホルス」

字面としての中二病的格好良さも考慮するなら

  • ただし「曙光」はニーチェのおっさんの作Morgenröteの和訳タイトルとして使われているため、キヴォトス的には若干使いにくいかもしれない
    (英訳するとdawnだし韓訳すると새벽なので、ちょうど↑と同じ夜明けワードってだけの話だが)

「夜明けのホルス」

逐語訳的な距離を気にするなら これでも十分格好良い

 

じゃあ誤訳なのかと言ったらそうだとまでは言えない

韓国でも地平線のホルスは지평선의 호루스(地平線のホルス)、새벽ではない

「地平線のホルス」はたぶん日本語ともども英語からの翻訳
ちょうど同じ訳で呼んでいる

したがって「暁のホルス」は少なくとも辞書・文法レベルでの翻訳失敗ではない
最大限誤訳寄りに捉える場合でも、本当に神話的文脈だけの問題

現代日本語としての「暁」前提なら別に何も問題ない

いきなり前提を覆すようで悪いが、現代日本においては「暁」の正確な語義が古語から十分に継承されていない

あか‐つき【暁】
〘名〙 (「あかとき」の変化した語)
① 夜半過ぎから夜明け近くのまだ暗いころまで。未明。また、夜明けに近い時分。現在では、明け方のやや明るくなった時分をいう
(精選版日国)

多くの現代的用例において、「暁」はただ「明け方・早朝を指す時間帯、朝焼けの頃」として用いられている(曙と混用されている)


したがって
「(夜明けの太陽を司る)地平線のホルスを参照している語を暁のホルスと訳した」と見る場合でも、
「現代日本語的には」間違い・誤訳とまでは言えない

  • 古代の神に掛ける修飾としてはセンスねえな…とこそなれど、正誤の問題ではない
 

いかがでしたか?

前提からしてぐちゃぐちゃ

現代日本人の「暁」理解はぐちゃぐちゃ、
古代エジプト人の「ホルス」理解もぐちゃぐちゃ

ぐちゃぐちゃ×ぐちゃぐちゃで前提条件が非常にゴチャゴチャしている

生じた諸々の混乱は近所のピラミッドに住んでる古代エジプト人でも適当にぶん殴って発散してくれ、少なくとも現代人は誰も悪くない

  • 現代エジプト人はほとんどがイスラム教徒スンナ派やっているため、彼らに古代エジプト周りの文句を言ってもおそらくは知らんがなと言われておしまい
    ~今更整理しろと言われてももう遅い~

今後の見通し

①「地平線のホルス」に直接関わる神話的引用……「暁のホルス」の名の下に地平線映るカットで夜明けを迎えるようなシーン……でも今後出てこない限り、シナリオ理解に何の影響も生じない
②仮にそうしたシーンが出てきた場合でも、「暁」を現代日本語の範囲で考える限りまあ間違いとまではいかない

ゆえに「誤訳とまでは言えないが怪しい訳」
そんな話でしたとさ

(参考)「今後」出てこない限り、何の影響も生じない

Horus.jpg
念のため補足、ここは直前シーンが昼間なので何も問題ない*5
ここどうせならアニメ撮るついでに手前もフルボイス化しない?
horizon.jpg
空は白み始めているが、ここもギリギリ夜明け前なので問題…
Horus_in_the_horizon.jpg
まずい夜が明けた*6



ホルスの名の下に地平線映るカットで夜明けを迎えるようなシーン、もうあったわ………

「(夜明けの太陽を司る)地平線のホルスを参照している語を暁のホルスと訳した」と見る場合でも、
「現代日本語的には」間違い・誤訳とまでは言えない

(念のため再掲、すぐ↑の脚注も参照)

 

(付録)「いわゆるホルス」と元ネタとしてのアビドス

いわゆるホルス→オシリス&イシスの息子としてのホルス
内容的には本来「神話・宗教の分布」ページの領分だが、このページで長々書いているような「ホルス」についての(一定程度正確な)理解が前提となるためこちらに記す

アビドス

アビドス
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Abydos,_Egypt
現存最古の聖地の一つにしてオシリス神埋葬神話付きの地

  • まるでヘリコプターのように見えるヒエログリフ
    https://en.m.wikipedia.org/wiki/Helicopter_hieroglyphs
    (後の研究で誤りと判明 紀元前にヘリがあってたまるか)
    など、どこかで聞いたようなオブジェクトも眠っている

ここ自体はまあ散々オカルトネタのおもちゃにされているのでそういう有名スポットだと思っていい

オシリス

このWikiでは青字にしていない*7が、
ホルスアヌビスネフティス(に加えてセト)まで出て来たらもうユメ先輩のネタ元ってオシリス神以外あり得なくね?」と見る風潮は比較的根強く存在している
俺も個人的にはそう思うが作中まだ不明瞭なので3章以降の展開を待とう

イシス

オシリス神の妻(=「いわゆるホルス」の母)であるイシス神に対応する(対応しそうな)キャラだけ、不自然なくらいそれらしい定説がない

セリカの元ネタは直球でネコである上に魔除け属性まで持っている「バステト神」であろうと目されており*8
ブルアカ的にセリカの同期であるアヤネもイシスとはポジションおよび性格がまるで合わない 「あえて(いわゆる)ホルス関連の神話に当てはめるなら参謀→知恵の神でトト神(トート神、ジェフティ神)*9じゃね?」程度の消極的な意見しか出ていない

ポジションおよび性格がまるで合わない
別にエジプト神話を直接描いているわけではないのでブルアカ的には何をどうズラそうと不都合はない、isakusanも元ネタありきではないと何度も言っている
しかし対策委員会編はisakusanが直接ライターやっているシナリオでもある
キュラレで重要ポジションにいきなりヴァージニア・ウルフを持ってくるような人であるがゆえ、神話の咀嚼となればそれなりに構成レベルから拘る可能性は高い
  • マエストロやゴルコンダの前口上とか見てみろ、本人のインタビューに一番近いしたぶんあれが素だぞ
    モモフレンズの中でMr.ニコライを気に入っているのも納得である

セリカやアヤネの入学時にはユメ先輩の物語が終わっていたのだから、物語の中心に位置するイシス神とは立場上大きなズレが出る
それでもあえてセリカをイシスにハメれば、アビドス勢がいわゆるホルスの物語にぴったり全員収まる事にはなる

ブルアカ古代エジプト神現代的(いわゆる)ホルス神話血縁
ホシノいわゆるホルスここを基準とする セトに復讐
ユメ先輩オシリス父、セトにより惨殺
   イシス母、オシリス復活に奔走
( ? ) セトおじ、オシリスを殺害
ノノミネフティスおば 父相手に強引に浮気
ホルスらに協力
シロコアヌビス↑が浮気で産んだ腹違いの兄弟
死んだオシリスをミイラ化
アヤネ?トト赤の他人、ホルスに助言

が、しかし現段階ではなんとも言い難い
もし今後アビドス(対策委員会編)過去エピソードの中にユメ先輩と対等な面をした新キャラが出てきたらそいつが一番怪しいぞ


付録の余談としてのセリカとアヤネ

アビドス勢ってセリカとアヤネ割と端役じゃね?と見る向きもあるが、
古代エジプト神話的元ネタで言えば「いわゆるホルス」の物語とはあんまり関係ない~まったく関係ない勢濃厚であるためメインストーリー的には仕方ない面もある

  • この辺り国内ブルアカページのほとんどは大雑把に大小ホルスまでしか分けていない国内Wikipediaベースで書いているらしく、
    推定セリカの元ネタ神についても「ホルスと関係が深い」等と安直に書いて色々とグチャグチャになっている
    ツッコんでいるときりがないため個々には触れない
    古代エジプトウン千年の歴史に由来する「ホルス」事情はこのページの上の方に一通り書いた、もう繰り返さない

まあアヤネは方舟乗ったしセリカは衣装違い早かったから許してやれ

(1-3-part1追記)関係ない勢濃厚であるため
対策委員会編3章からして、やはりセリカとアヤネはユメ先輩周りに関して部外者的立場で配置されているようだ
となれば「いわゆるホルス」の物語と若干ズレた参照元も意図的なものだろう
ネタ元としてのイシス枠は何らかの事情で空席になっていると見て良さそうだ

🆕[1-3-part2]シェマタ(現実)

おそらくはメンチュホテプ2世を参照している 紀元前2000年頃の歴史上のファラオ
「メントゥへテプ」だったり「メントゥホテプ」だったり例のごとく音写揺れまみれ 誰も気にしていない

  • このページでも散々書かれている通り、古代エジプトの歴史は過去方面に年代インフレが激しい
    この時代も「新しくはないがそこまで古くもない」古代エジプト中王国に相当する
    • 相当する、というか概ねこいつ以降が中王国と見なされている


韓国語表記では멘투호테프(メントゥホテプ) 2세

英語ではMentuhotep II

  • 南北で分裂状態にあったエジプト*10を統一、統一後は
    Shematawy/셰마타위/シェマタウィ
    (二つの土地を統一したもの)を名乗っていたらしい
    • 日本語版Wikipedia記事はなぜかスマタウィと表記している/理由や原音との距離は知らん


Wikipedia英語記事や韓国namuwikiには本人の文化(せいじ)的業績として「(死後の)ファラオとオシリスを同一視する初の葬祭殿/埋葬殿を作らせた」とか書いてある 相変わらずちらつくオシリスの影


なお、近年(2014年)アビドス(現実)にてメンチュホテプ2世の礼拝堂/霊安堂が発見されている

[1-3-part2](参考)33日後/70人

現時点でエジプト神話方面の直接参照は確認されていない

「33」そのものは各方面の宗教が好む値*11だが、エジプト神話一般における理解では特別な数字ではない

いわゆるホルスの神話においてはオシリスがセトの手でバラバラ殺神されているが、特に33という数字が出てくるわけでもない


「70」そのものも略
メンチュホテプ2世の時代も南北に割れてこそいたがそこまでの戦国時代とは見なされていない

付録の余談の余談としての国内Wikipedia

割と有名な話だが、日本語版Wikipediaは(オタクカルチャー系記事を除いて)全般的に英語版より内容が乏しい傾向にある

まあ英語圏と比べたら物理的な話者が違いすぎる、手が回らないのは仕方ない

海外文学や神話・宗教などのネタを調べる際も、国内版の記述は若干怪しかったり古かったりする場合が多々ある

  • 特にキリスト教系ページなどは国内シェア1~1.5パーセントに相応しく壊滅状態にあると思ってもいい
    • どこの所属かもよく分からん怪しげなマイナー国内坊主(ぼうず)の説法が平気で重要教義の一次ソースになっていたりする お前らそれでいいのか一応三大宗教*12名乗ってるんだろ国内勢

このWikiでWikipediaを持ってくる際も、適宜日本語版と英語版を貼り分けている
別に俺が西洋かぶれしているわけではない
日本語版記事だと見るからに情報が足りていないケースで仕方なく英語版記事を貼ることにしたら、神話宗教系のページは見事にそんなケースばかり→英語版Wikipediaの比率が増えてしまっている

  • 仕方ないと書いた舌の根乾かぬうちに逆の事を書くがウィキペディア編集者に文句言ってくれ

*1 ここ英訳した奴何考えてたんだ?
*2 古代エジプトも(遥か後の古代日本含む)多くの地域と同様「ファラオ俺すなわち神なり」と騙って民を平伏させんとするスタイルを採っていた
*3 アブラハムの宗教はとても陰湿なので他所の神を積極的に悪魔扱いしており、アモンについてもアメン由来説がある
*4 現代語に訳すとだからどうした壬生忠岑のおっさんと言いたくなるが、短歌とはそういうものだ
*5 素直に解釈すれば夕焼け
別軸から見る後知恵として、ブルアカは「奇跡」を暗黙的に表現する際この色(連邦生徒会長空間)に寄せた空を使う傾向がある
ここはどちらで捉えても自然に通るシーン

*6 念のため補足:このカットシーンは最終編4章にてやや異なる用例が入った シーンを回収したのか一枚絵が使い回されたのかまだ不明だけどまあ近日中に見えてくるだろう
*7 神話・宗教関連固有名詞のうち、特にブルアカに関係がある単語をおおまかに着色している
*8 英語ユーザーWikiは名前の音や性格の荒々しさに注目した上で(古の時代にはバステト神と同一視されていた)セクメトSekhmet神の方を推している 俺は二面性で理解してどちらも元ネタと見るのが妥当だと思う
*9 たぶん古代エジプト本来の発音はジェフティだったんじゃね?と言われているが出自が古すぎてよく分かっていない トト神はギリシャ語基準 何をどうしたらジェフティがトトになるのかは誰も知らない
それでも専門家は専門的な知見に基づいてあれこれ仮説を立てている

*10 当然アビドス(現実)も含まれる
*11 東では33種類の姿を持つ観音菩薩が通称三十三間堂に祀られているし、西ではキリスト教によってナザレのイエスの享年と見なされた/ナザレのイエスのプロフィールから計算すると概ねそんなものとなる
*12 これは日本と韓国くらいしか使わないローカル語 なぜか日本と韓国は揃って色々な概念を世界三大〇〇と括るのが大好きだが、これはかなり狭いローカル文化圏ワードとなっている
(参考)2024年時点の地球における宗教シェアはキリスト教>イスラム教>>無宗教>ヒンドゥー教>>仏教 キリスト教が下降傾向・イスラム教が上昇傾向にあるためそのうちランキングは変動するかもしれない