ファスト聖書

Last-modified: 2024-04-07 (日) 12:08:35

個人的にアブラハムの宗教信じてる人は今すぐ閉じて

Super_FSM_PinkUnicorn.jpg
迷い込んだ人向け:ここブルアカ用のページです
知らん人向け:知ってブルアカ楽しくなるとは限りません


宗教的な忖度は避け、民族史書としての観点から簡潔に

↓↓ここはひたすらカジュアルに走る↓↓

神話を堅苦しく紹介するのはどう考えてもナンセンスなのでそれはもうグズグズに崩す

本文に書いてあること

YHWH=あらゆる意味で面倒なので神とだけ書く
預言者=神の声受信する人のこと
聖書=後から割り込んできたキリスト教的には「旧約」聖書
   でもこのページはキリスト教と無関係

神話パート

創世記(前半部分)「むかしむかし…」

あまり友人にはしたくないタイプの神による天地創造、アダムとイヴ@エデンの園、カインのアベル殺し、ノアの方舟と大洪水、バベルの塔の建設と破壊&言語の混乱

基本的には起源譚等であり特に歴史的な体を取る話は無い

創世記(後半部分)「我々のはじまり…」

神「お前の息子のイサクさん、今度の生贄な」

ア「はい…」

神「嘘だよ♥ 信仰試したかっただけだよ♥」

ア「はい…?」

無事にクソゲーを乗り切ったアブラハムとその子孫が祝福されてめっちゃ繁栄するパート
その子孫こそが我らイスラエルの民って寸法よガハハハ と繋がる

  • ソドムとゴモラの滅亡、ヤコブやヨセフ等なんか名前だけなら聞いたことあるであろう面々はだいたいここ ゲームでよく名前だけ引っ張られるイスラエル十二部族の起源もここ(なんか各パートを合わせて数えると十三部族くらいいる気がするため、直近2000年くらいの人類は頭を捻りながらとりあえずもっともらしい理由を付けている)
  • このアブラハム&子孫パートが実質その後の信仰(宗教)のスタート地点とされており、後から便乗してきたキリスト教やイスラム教も全力で取り合っている
  • この辺登場人物の寿命が限界突破しているので当時の基準でも露骨に神話やってるのは見えたであろう箇所

伝説パート

そしてある程度時が流れた
ところでイスラエル人はエジプトで奴隷扱いされていた
ん…弱肉強食

  • この「エジプト」は新王国に相当する
    いわゆるピラミッドな古王国はさらに500~1500年くらい遡る
    古代エジプトの歴史はとても長く古い
    とても長く古い
    無限湧きユスティナ聖徒会を前にアビドス勢が何一つ焦りを見せず、メインストーリーのシリアスパートでビナーの熱線が直撃しても余裕ぶっている最大の理由は間違いなくこれ
    ユスティナもセフィロトも所詮は西暦回って以降の神学ネタに過ぎず、考古学レベルで紀元前3000年とか普通に出てくるホルスさんやアヌビスさんの前ではまるでお話にならない 格が違いすぎる

あいつら酷い!って話とか若き日のモーセに箔を付ける話とかとかここに入るがバッサリ省略する

出エジプト記(前半部分)「エジプトから逃げた」

神「やあモーセ、お前民を導け」

モ「皆にあんたの事どう説明しろって?」

神「I AM THAT I AM(私は「私はある」というものだ)

モ「それで納得する奴いると思う?」

神「まあ杖やるから奇跡で信じさせな」

モ「俺そういうの苦手なんだけど」

神「じゃあ得意な兄貴(Aaron)に補佐してもらえ」

🐳んぃ?

モーセとアロンがエジプト市民に散々迷惑を掛ける形でファラオに圧を掛ける
息子まで殺されて心折れたファラオを背にイスラエル民族引き連れエジプト脱出、思い直してぶっ殺すつもりで追ってきたファラオの軍勢から海を割って逃げる
空からマナが降ったりしながら旅が続く

心折れたファラオ
出エジプト記エピソード直前に在位していたファラオっぽくラムセスの名前が出てくるため、聖書的に描きたがっていた時期は本人またはその次あたり=紀元前13世紀末から紀元前12世紀となる
  • ラムセス2世は今も昔もファラオ的知名度が高すぎる
    紀元前6世紀~において司祭らが聖書執筆に取り掛かる際、話を創ったり盛ったりする過程でテキトーに知ってるファラオの名前を使った可能性は決して低くない
    • もしオジマンディアスと書いた方が分かりやすい奴がいたら知識を修正しなさい、ラムセス2世は代名詞的に超有名人だ
テキトーに知ってるファラオの名前を使った可能性
↓の方でまた念押しするが、旧約聖書エピソードには基本的に裏付けとなる他の史料が無い
加えて「エジプト新王国側に対応しそうなエピソードの記録が一切無い」事実はユダヤ教側の主張の信憑性を疑うに足る負の説得力を持つ
  • 古代エジプトは現代のエジプトからは想像できないが非常に先進的な文明だった
    良きにつけ悪しきにつけしっかりと記録を残しまくっている
    しかし奴隷が万人単位で大脱走した話など当然どこにもない
    • 史料が大量に残っている古代エジプト新王国と執筆時期が1000年弱離れていて何も物証の出てこないユダヤ教、どちらの話を信じるかって言ったらまあ前者が妥当だろう
      奴隷の大量脱走を仕留め損ねるマヌケなファラオの治世時代が後代に新王国の全盛期として伝えられはしまい

出エジプト記(後半部分)「偶像崇拝NGと十戒」

☆シナイ山の麓☆

~シナイ山の麓~

「モーセ戻ってこねえな」

「入山から何日経ってんだ?」

「本当に神と喋ってんの?」

「あいつ死んだんじゃね?」

「おいアロンなんとか言え」

「みんな忍耐の限界なんだが」

「拝める神作ってくれ」

「モーセはもういねえんだぞ」

「いい加減切り替えらんねえのか」

🐳えぇー…じゃあ偶像作ります

🐳手持ちの金属とか出してください

約三千名「っしゃあ宴じゃああああ!!」

★シナイ山の中★

~シナイ山の中~

神「は?は?????」

神「なんだあいつら舐めてんの」

神「モーセ今すぐ山降りろ、下の奴ら全員殺すぞ」

神「今からお前個人をイスラエルの民と見なそう」

モ「おいバカやめろ思い直せ、事件関係者はしっかり殺すからそれで手打ちにしろ」

モ「あとアロンは俺の顔に免じてどうか許してやってくれ」.

神「お前がそこまで言うならまあ…」

  • 実際に本文中のやり取りもだいたいこんな感じ、モーセは神に面と向かって反論する特別な預言者として扱われている なお本文中の神は↑の比でないくらい完全にブチ切れている

シナイ山に籠もったモーセが初版ルールブックとしての十戒を持ち帰り、「民を滅ぼし尽くす」と宣言した神をアブラハムの名前まで持ち出し必死に止めたケジメとして、偶像崇拝に関わった約三千人(アロン除いて)皆殺しにする
ここで大事な物入れとしての契約の箱登場

滅ぼし尽くす
とりあえず新共同訳(国内カトリック勢力×プロテスタント勢力共同の現代口語訳)からの引用 このページはユダヤ教の話なので本来ならユダヤ教勢力の翻訳から引用するのが筋だがまあ妥協
神が不信心にブチ切れるシーンは多々あるものの、「イスラエルの民を皆殺しにする」とまで宣言するシーンはここくらい
つまり偶像崇拝は聖書・ユダヤ教において律法(ルールブック)以前のレベルで最大の禁忌
契約の箱
「偶像崇拝に走ったバカを容赦無く皆殺しにした」エピソードの下で、十戒(の記された石板)を収める箱として登場する点をよくよく覚えておこう
日本版ユーザーWikiが2024年3月現在記述しているように「契約の箱=シッテムの箱から異教のローカル信仰である聖母マリアを大参照する」には、聖書本来の教えにおいては殺害対象になっても何らおかしくないほどの強い覚悟が必要になる
……で、ユダヤ教相手に逆方向からの参照としてそれをやった宗派が歴史上ただ一つだけ、地球上に存在します。みんなも予想してみようね

レビ記/民数記/申命記「荒野でルール作り」

何十年もの荒野放浪

 律法組みつつ何も得ず

しまいにゃ信仰乱す奴

 異教を信じる背教者

天罰食らって死ねと消す

  • ここからいきなり地に足が付いた具体的なルール(律法)や身内の争いの話になる

神舐めてる奴はたとえ身内でも…というか身内だからこそ容赦無く殺すからなと散々脅すパート
約束の地カナンも見えてくる頃にモーセとアロンがやらかし死亡確定する
契約の箱にアロンの杖が収められる

何十年もの荒野放浪
一応テキスト的には40年だった事になっているが、地理的には明らかにおかしい エジプトからシナイ山(概ね中間地点と推定されている)まで数ヶ月で辿り着いたのに残りの行程でいくら迷走しようと40年も掛かるはずがない
聖書的にはあれこれ理屈を付けているが、歴史書としては数字を疑う(もっと言えば一連のイベントの歴史的信憑性を疑う)方が自然な読みとなる
地に足が付いた
「神を信じなかったせいで疫病が蔓延して身内から何万人も死者が出ました、お前らのせいです、あーあ」
みたいなエピソードはいくらでも描かれている この程度は序の口
モーセ五書
創世記~ここまでの5パートをひと括りにして「モーセ五書」と呼ぶ
伝統的にはガチでモーセ作と信じられてきたが現代ではそうじゃないとバレてる

歴史書のつもりパート

ヨシュア記「カナン着いたら即聖戦」

カナンに辿り着いたよ!すごい豊かそうな土地! やったね嬉しいね!

あれ? でも変だね、邪魔な異教徒が暮らしてるね…

神に捧げ(ぶちころし)ちゃえ! パパパパパウワードドン

ジェリコの戦い

イェリコの戦い
ジェリコだったりイェリコだったりエリコだったりするがまあとにかく現地での戦い

🧱🧱🧱🧱🧱

👤堅固な防壁!ヨシュアさんどうします?

👨とりあえず斥候送るべ


🧱🧱🧱🧱🧱

👥壁の下まで来たけど守り完璧やん

 👤👤👤👤

👥ってか見張り来たヤバイわよ!

👋👩おいっす~

👥!


🧱🏠🧱🧱🧱🧱

 👩👤👤👤👤怪しい奴見た?

 見てないですね☆


~~~~~


👥なんで助けてくれたん?
👩エジプトでの悪評散々聞いてるからです
👩助けてあげたので私の家族には手を出さないでほしいですね
👥はい


~~~~~


👥って事がありました
👨あーなる正攻法は無理そうね
👨しかしどうすっかなぁ…

👨   

👨!?🥷ミ

👨! 📦👈🥷


~~📦👈🐳これ契約の箱です~~


【1~6日目】

   👤👤👤👤❓

🧱🧱🧱🧱🧱🧱🧱🧱🧱🧱🧱🧱

  🚩👨👥👥~

     👥📦👥~ 

      👥👥👥~

【7日目】

   🤯🤯🤯🤯❗

💥💥💥💥💥💥💥💥💥💥💥💥

  🚩👨👥📯👥📯ブォォォォォォ

     👥📯📦👥📯ブォォォォォォ

    👥📯👥📯👥📯ブォォォォォォ

防壁を失ったイェリコの民は👩←の家族を除いて家畜に至るまで皆殺しにされたのでした
イスラエル的にはめでたしめでたし

カナン地方の征服

  • 何も言うまい ここから先はだいたい地中海東岸辺りの一帯が舞台になる

士師記「延々戦った」

士師≒軍事的リーダーの元で何代も延々と不毛に戦争

士師≒軍事的リーダーの元で何代も延々と不毛に戦争

イスラエル民族的にもだんだんこれ全滅させるの無理じゃね?的な風潮になってゆく
友好的な相手とは共存する路線に 神ピごめんね?

  • 本当に延々とゴチャゴチャ戦ってるだけで派手な奇跡がドーン!みたいなのも無いためものすごく人気がない
    個人レベルで多少エピソードが知られている奴が何人かいるもののほぼ空気
    ここまともに読むくらいなら三国志演義とか読んだ方がまだ楽しめるし有意義だと思う

勢力単位で見た場合ほとんど進展はない

延々戦った
ここで一生抗争している主要な現地人に「ペリシテ人」がいる
勢力としてのペリシテ人は古代のうちに消えた扱いだが、「ペリシテ」に由来する土地の名前がパレスチナとなる。カナン(カナーン)に相当する地域は現代の地球上でパレスチナ地方と呼ばれている
嫌な予感がしてきたら大正解

サムエル記「王国を作った」

とりあえず王国を作るに至る話

とりあえず王国を作るに至る話

指導者の政治的腐敗によって民衆の不満が高まる
おいサムエル爺さんどうにかしろや、他の土地の奴らみたいに王を立ててくれと迫る民衆

元は士師やってたサムエルさん的には「バカな事するんじゃねえ王は神だけだ、やめとけやめとけ後悔するぞ」という立場だったが民衆の圧に負けて渋々折れた

  • 腐敗政治やってた指導者はサムエルの息子たちに他ならないため自業自得でもある

モーセ存命の伝説パート区間で同じ民衆が事言ったら情け容赦なく即殺していたであろう神もなぜか「チッしゃあねーなお前らいっつも不信心だよなどうなっても知らねえぞ」的にOKしたため王を選んだ

  • なぜかはみんなで考えてみよう

初代サウル王は現場判断に優れる良い感じの王だったが、次第にサムエルの話を聞かなくなったのでサムエルNGというか神NGが出た
代わりを見繕えと神に言われたサムエルがこっそり美少年チョイスしてダビデを選ぶ

何も知らんサウルはダビデを重用するが、ダビデはなろう主人公みたいな無双っぷりな上に顔も良かったので当然民衆人気はそっちに集まる
ダビデがゴリアテ仕留めたあたりでサウル王ついに嫉妬へ反転、馬鹿な役回りを散々引かされた末に自滅してしまった

ダビデがあらためて王になりイスラエル王国を確立

ペレツ・ウザ
別に大したシーンではないが、牛車で輸送していた契約の箱が地面に落ちそうになったので咄嗟に掴んで支えたら逆ギレした神に即死させられたモブ男の名前(ウザ)およびインシデント発生地点に付けられた地名ペレツ・ウザ(ウザは爆散)
ダビデが素っ裸でダンスする有名シーンの直前
新共同訳(国内キリスト教勢公式ver.)からの引用

一行がナコンの麦打ち場にさしかかったとき、牛がよろめいたので、ウザは神の箱の方に手を伸ばし、箱を押さえた。ウザに対して主は怒りを発し、この過失のゆえに神はその場で彼を打たれた。ウザは神の箱の傍らで死んだ。ダビデも怒った。主がウザを打ち砕かれたためである。その場所をペレツ・ウザ(ウザを砕く)と呼んで今日に至っている。その日、ダビデは主を恐れ、「どうして主の箱をわたしのもとに迎えることができようか」と言って、ダビデの町、自分のもとに主の箱を移すことを望まなかった。
(『サムエル記下』6、新共同訳)

どのくらい大したシーンではないかといえば、2024年現在「ペレツ・ウザ」で検索すると真っ先にエホバの証人が出てくる程度には注目されていない
注目されていない
「ユダヤ教の部族神としてはいつもの行動(神に触れるのはお前の領分ではない死ね殺すはい死んだ!)だが、後乗りしたキリスト教のラブアンドピース的教義と合致させるにはあまりに苦しいがゆえ題材にしにくい」と書く方が正確かもしれない

列王記(ソロモン)「王国が栄えた」

ダビデの後継者にソロモンが出てくる

  • 若年ソロモン超賢人、中年ソロモン酒池肉林、老年ソロモンやや虚無ってばにたす というのが伝統的な理解
    老年ソロモンは多神教を容認する
    • そもそも本来的に一神教やってた勢力だったのか?という疑問は常に投げ掛けられている

列王記(その後)「王国の衰亡…」

ソロモン死んだ後というかソロモン晩年あたりで既に怪しかったが、案の定王国は衰退→分裂(北イスラエル王国/南ユダ王国)→内紛→周辺地域のもっと強い国(北王国←アッシリア、南王国←新バビロニア)に飲まれて滅亡

君              こ
の イスラエルバイブルカグラ の
不   キングダムロスト   王
信              国
心              が
の              毀
せ              れ
い              た
な              の
ん              は
だ               
よ               


その後~(当時の)現代パート

バビロン捕囚と聖書編纂スタート

南王国を潰した新バビロニアの政策
①反乱とか起こされても困るし指導者層は隔離
②それ以外の人はこれからウチで暮らしてね

ご覧の通り指導者層以外はそれほどお上の事に拘りもなかったため、素直に現地文化に溶け込んでいく

  • 具体的には十二部族のうち北王国側の十部族はその後どうなったのか学術レベルで誰も知らん状態

反対に王国の支配階級だったらしいユダ族の司祭階級などは排外的になっていく

  • 具体的には他所との婚姻NGにしたり

ここでユダ族のユダ族によるユダ族のための宗教であるユダヤ教が確立し、信者はユダヤ教徒と呼ばれる形になる
=聖書執筆の文化的な前提環境が整う 紀元前6世紀頃

  • つまり人種*1として「ユダヤ人」が存在するわけではない
    しかし身内で固まる傾向が非常に強い&西暦が始まりしばらく経つとどこぞの宗教のせいで差別対象にされるため、閉鎖的なコミュニティとして後の歴史を生きるのはご存知の通り

バビロン捕囚の終わり

アケメネス朝ペルシアが新バビロニアを滅ぼした
よう分からんけど自前の土地帰りたいの?じゃあ帰っていいよ
サンキューペルシア、エルサレムで神殿作り直そうね

~完~

……初見だと「なんかイメージより神話パート短くね?」という感想が出ると思う
主に後から乗ってきたキリスト教が創世記ばかり使いまくるせいでそっちに印象引きずられてしまうが、歴史書のつもりで書かれたであろうパートの方がエピソードのボリューム的にはよほど長い

↓↓ここから真面目なトーンに戻す↓↓

いつどこで誰が何のために書いた?

いつどこで誰が

  • 「バビロン捕囚の途中で執筆スタート、紀元前2世紀あたりで現在の形がとりあえず整ったらしい」とされている
  • スタート地点は新バビロニア、その後も何代もかけて編纂を続けた形
  • 書いたのは主にユダ族の司祭階級 ただしちょっと見栄張った結果としてモーセ五書などは当時の預言者(モーセ)らがリアタイで書き残した体を取り、その後近代に至るまで本気でそう信じられてきた

何のために→政治と宗教のために

「何のために」に関しては比較的単純で、「支配階級(元支配階級)から出てきた神話」の目指すところは基本的に決まっている……

①「自身が有する(有した)権力の出自の補強・正当化」
政治的意図がまず先に来る。古事記とか日本書紀とかあの辺の感じね
 国家神話 https://en.m.wikipedia.org/wiki/National_myth
 政治神話 https://en.m.wikipedia.org/wiki/Political_myth
最近暇だしちょっと俺には都合悪いけど神話でも纏めるか! なんて判断をする変わり者な権力者は基本的にいないため、神話をテキストとして批判的に読む行為=当時の政治に踏み込む行為となる
テキスト成立後の流れも追えば当然歴史の中の政治へと直結し、場合によっては現代まで地続きだったりする

聖書の場合は現代のパレスチナ問題まで直結しているため、
現代人の目で書いてある事を鵜呑みにせず読むなら史学としての評価軸だけは絶対に避けられない

世界各地の神話宗教が美少女やっているスタイルのブルアカ内に限った話ならそれほど厳しい目を向ける必要はない(神々が実在しているから!)けど、作品を飛び出して元ネタとしての神話を含めた読解・考察に走る気であれば背景まで一定程度理解する必要がある
背景の理解抜きに検索して引っ掛かったエピソードだけ拾おうとすると、シッテムの箱から13世紀カトリックローカルの聖母マリア二次創作を参照する大考察が飛び出すハメになる
②リアルタイムの権力闘争的文脈
 信じる者は救われる
 信じぬ者は罰される
 というか可能なら神がキレる前に殺せ
 ところでルールブック=律法は我々司祭が司る
 ……我々に楯突くのが何を意味するか分かる?
このように捉えると現代人にも事情が見えてくる
神の意志(おれたち)に逆らうなメソッドね
  • これは世俗権力としての宗教を考える上で最も重要な要素で、何世紀か後に現れて司祭とバチバチ喧嘩する誰かさんも「あいつら司祭こそ律法を守っていない」と戦うが「律法なんか無意味だ」とは絶対に言わない
③歴史・文化・法の編纂による民族の団結
このページでは歴史書パートのみ引用したが、
先頭に書いてある律法
詩歌などの作品集
バビロン捕囚後の区間で歴代預言者が受信した様々な電波
付録も盛り沢山のセットになっている
  • 古今東西の権力が成す数少ない善行の一つは文化の保存
  • ばにたすばにたーたむえとおむにたばにたす(『コヘレトの言葉』)も作品集に収録 ソロモンの名前を使っているだけあって流石にクオリティはなかなか高い、暇なら読んでもいいと思う

とりあえずの補足など

このページの要約どのくらい正しいの?

歴史書として大きく民族情勢動く箇所はちゃんと載せてる
単なる宗教イベントは文化圏内でどれだけ重要シンボル扱いでもほぼカットした

  • 高校レベルの倫理の授業くらいなら問題なくパスできる水準と思っていい

後のキリスト教世界におけるイコン/偶像崇拝をめぐる論争や現代のパレスチナ紛争に繋がる最初の火種は分かるようになる、宗教画はほとんど分かるようにならない

描かれる神の性質

ラブアンドピース要素は皆無と思っていい
付いてくるなら助ける、疑うなら殺す、不平言っても殺す、そんな態度
砂漠&荒野生まれのコミュニティとしては甘い事言ってるとその辺で野垂れ死ぬため、コミュニティから異分子を徹底的に排除するのは当然
ご先祖様はそうしてきたんだからお前らも倣えよ? そんな執筆方針


信じた者にこんな良い事があった!
ではなく
信じなかった不届き者はこんな悲惨な末路を迎えた
と主張するテキスト

  • これはまだ正確ではない 「荒野で野垂れ死にせずに済む以上の何をお前は求めてるんだ?」がエピソードの前提となっている

我ら部族の神であってその他大勢の人類とか知らん邪魔すんな殺すぞ死ねというストロング砂漠スタイル

現代日本の常識で考える限り、他の立場のコミュニティがここに割って入る余地など一ミリも無い
 ……所変われば品変わる。

ストロング砂漠スタイル
Wikipedia:ミュンヘンオリンピック事件等も、こうした文脈下においては「同一ルール下で殺り合っているだけ」とも位置付けられる

一章あたりのボリューム

基本的にソシャゲの1話より余裕で短い
〇〇記〇〇章〇〇節とか聞くと壮大なサーガを連想してしまうが、当然成立初期段階では司祭がフルボイスで語ったりするわけなのであまりパート毎ボリューミーな構成にはできない
細かく区切られている 〇〇章は「〇〇話」、〇〇節は「話の先頭から〇〇文目」と読み替えれば現代の感覚にある程度近くなる

史学・現代の紛争として

記述された内容の信憑性

(とりあえずユダ王国が新バビロニアに負けて滅ぼされた何らかの勢力であるという点を除いて)旧約聖書以外の史料による学術的裏付けはほぼ無い
「自分たちに都合の悪い創作はわざわざしないだろう」と想定すればエジプトからの逃亡奴隷が出自に含まれる可能性が高いとは考えられる 一方でエジプト側に『出エジプト記』が語るような大脱走の記録は無い

なぜこんな注意書きが必要かと言えば
「俺たちは古代ローマにパレスチナ地方(エルサレム)を追い出されたが、あの土地は俺たちに与えられたもんだと神が言ってる、そう聖書に書いてある、だからいつか絶対取り返す」というイデオロギー=シオニズムが2000年近くに渡る西洋でのユダヤ差別や近代イギリスのろくでもない口約束やナチスドイツによるホロコーストを経て現代イスラエルで炸裂、現在進行形で死人を作っている話まで繋がってゆくため
(もちろん執筆当時と同じ割合が本気でそう信じているはずもないが、侵攻には常に大義名分が振るわれる)

「(ジェリコの戦いを含めて)現代のパレスチナ問題にも繋がる地域紛争の話」と意識した瞬間に物語として聖書を楽しむ余地はほとんど消えてしまうが、この視点はあえて元ネタ探しをせんとて外から聖書を漁るなら最低限持つべき大人の責任でもある 人が大勢死んでるからね!

聖書成立後の地域社会

例によって権力は腐敗するので、コミュニティの中で特権階級化するうちに司祭階級の態度も怪しくなっていく
おいあいつら律法司ってるくせに腐敗してねえか?とケンカ売る誰かさんの出現はもう何世紀か経ってからの話

専門家の目

  • 概ね近代以前は伝統的な言い伝えを鵜呑みにしていた(モーセ五書はモーセが書いた等)
  • 若者の宗教離れが相対的に進んだ近代以降、テキストとしての聖書を忖度無しで分析する学問が興る
  • 文体の特徴や神の呼び方などいくつかのポイントから本文のグループ分けを行い、複数の執筆者によって編纂されていく過程を歴史の闇から引きずり出そうとした
    といったような話はとりあえず
    Wikipedia:高等批評
    に書いてあるので興味があったら流し読みするといいよ
    Wikipedia:Historical_criticism
    当然ながら現地の方が詳しい
    こうした切り込みにブチ切れる保守派=聖書に書いてある事は文字通り正しいんだ!と唱える派閥は福音派と呼ばれているが、これはもうユダヤ教関係ねえキリスト教世界の話になるので後々ページを移動する予定