バトル/【順番待ち】

Last-modified: 2023-09-23 (土) 11:42:09

全般

ATB系のバトルにおける、いずれかの敵味方の行動中(演出中)に他の敵味方が同時に行動できない現象のこと。
元来ATBでは普通の仕様だが、FF10-2やFF12においては、特定条件で複数キャラの同時行動ができる場合とできない場合があり、順番待ち発生の有無が戦局に影響しやすいため、とりわけ重要な要素となっている。


PS2の時代に入って、ATBシステムは「複数の敵味方が同時に行動する」という、よりリアルタイム性の高い方向性へと進化し始めた。
しかしこの頃はまだ、「PS2の処理能力的に無理のない範囲で」という、特定の条件付きでの同時行動に留まるものだった(ド派手な演出の行動は他のキャラの行動と同時には行えない、など)。
これは開発上の苦肉の策のような仕様だったが、結果的にはこの仕様により、「順番待ちが発生する行動と発生しない行動の使い分け」などの独特な戦略性も生まれることとなった。


複数の敵味方が長時間順番待ちになっている状態のことは「渋滞」と呼ばれる。

  • FF9が特に顕著であり、誰かが行動している間に他の敵味方のATBが満タンになるようなバランスなので、常に渋滞が起きていると言っても過言ではない。

敵味方の行動中でも時間が経過する仕様の作品では、順番待ち中の「演出の長さ」が戦況に影響を及ぼし得る。
演出中の敵味方のATBゲージ(待機時間)の進行、演出中のリジェネによる自動回復など。
 
演出中に時間が経過すると不利になる場合に、ウェイトモードで魔法やアイテムなどのウィンドウを開いて時間を止めておき、演出が終わるのを待つ(味方が行動している最中の敵のATB増加を最小限に抑える)というテクニックが存在する。


FF10-2より過去作のATBでも、作品によっては「行動の順番待ちに割り込んですぐに発動できる」という特性を持つ行動が一部存在する。
FF6のジャンプ、FF7のリミット技など。

FF10-2

他の敵味方の行動中に割り込むような形で同時行動が可能なコマンドと、同時行動が不可能なコマンドが存在し、同時行動不可能なコマンドを選択したときに起こる現象。
本作はATBで「複数の敵味方の同時行動」を初めて実現した作品だが、PS2の性能の限界のためか、派手な演出のアビリティなどは同時行動ができない仕様となっている。
HD版でも同様の仕様?


同時行動可能なコマンドはたたかうクイックトリガーなど。このような「順番待ちを起こさない行動」は、チャージタイム(準備時間)も短い傾向にある。
また同時行動を前提としたチェインというシステムがあり、味方同士でタイミングよく連続攻撃するなどして連続でダメージを与えると、より大きなダメージを与えられる。

  • これらの仕様から、本作のバトルはたたかうなどの「順番待ちを起こさない攻撃」がシステム的に有利であり、使い勝手が良い。
  • 逆に黒魔法などの派手な行動は、順番待ちに引っかかりやすいため扱いにくいものとなっている。
  • FF10-2ILMのクリクリで仲間にできるマキナレンジャー?をはじめとしたロボ集団が異常に強いのは防御無視のキラースパイクが順番待ちを起こさないことも大きい。

FF12

PS2のマシンパワーの限界から設けられた処理落ち対策用の裏仕様。
順番待ちが起こると「通常攻撃」「遠隔攻撃」「1.5倍撃」以外のアクションが実行できなくなる。
順番待ちを解析する過程で「エフェクト量」という仮想の数値がプレイヤー間で考えだされた。
エフェクト量の合計値が8を超えると順番待ちが発生する。

  • 順番待ちもエフェクト量も公的な呼称ではない。
    あくまでプレイヤー間で使われているものである。
    • TZA版アルティマニアにて「”順番待ち”」の記載を確認。
      元々そう呼ばれていたのかは不明だが一応公式用語となった模様。
  • 解析初期には「詠唱レベル」という仮の概念を用いて解析が進められていた。
    しかし「詠唱レベル」は同時に実行されるアクションが4つ以上だと順番待ちを予測できない。
    (「エフェクト量」なら同時にいくつ実行されていても予測が可能になる。)

順番待ちは裏の仕様ではあるが、戦闘に及ぼす影響は極めて大きい。
「PS2の制約」という単なる足枷ではなく、本作の戦術理論の礎となる重要な要素である。
順番待ちは大変危険な状態で、その対策は正式システムの敵対心よりずっと早くから議論されてきたが、
議論の帰結は役割分担というごく基本的な戦術であった。
また議論の中で順番待ちを逆手にとった高度な戦術も生まれた。
 
答えは基本戦術だが導出根拠が複雑で、実際のところ順番待ちへの理解度は決して良くはない。
また理解したとしても「窮屈な戦闘だ」という感想を持つ人も多い。
本作への評価の賛否、オリジナル派とインターナショナル派の分断などの原因にもなっている。


参考動画
順番待ちについて検証・解析している動画。

(英訳付き再編纂版)

  • 海外でも順番待ちはよく知られているが、発生の法則性はあまり知られていない。

事情

FF12では複数のアクションが同時に飛び交う仕様だが、そのままだと大量のエフェクトが飛び交った時にPS2の限界で処理が重くなってしまう。
処理落ちが起こらないように各アクションの同時実行数が制限され、制限を超える数のアクションが一斉に実行された場合、後から実行されたアクションは先のアクションが終了するまで待機するような仕様になった。
この仕様が順番待ちと呼ばれているものである。

  • チュートリアルで教えておいてくれよ、バッシュ。
    • バグというよりは仕様だが、正式なシステムではないので教えてくれるはずもない。
      あくまでもプレイヤー側が処理落ち対策のことを順番待ちと仮称しているだけ。
      • 正式にシステム化しなかったことが、帰結としてプレイヤーの理解の妨げになったとも言える。
        「バグや仕様すら取り込むゲーム性こそ河津作品の華」と手放しで称賛する向きもあろうが、
        この仕様がシステムに与えた影響は、説明を放棄して放置するにはあまりに基本的で大きすぎた。
        マスクデータとなっているあらゆる行動のエフェクト量を開示しろとまでは言わないが、
        基本戦術が重要なればこそ、その重要さの理解はあくまでシステムによって導かれるべきであった。

内容

通常攻撃やモンスター固有技の体当たり、ひっかきなど順番待ちと全く関係ないアクションもある。
しかしほぼ全てのアクションは同時実行数が決まっていて、派手なエフェクトを持つ上位魔法や大技は必然的に制限が大きく、最上位のアクションは基本的に1つ実行すると順番待ちに関係する他のアクション全てが実行不可能になる。


攻撃魔法の中でもダーク系は順番待ちを起こしやすく、ダーラが上位、ダーガが最上位扱いとなっている。
ダーク系魔法は黒のローブや片手メイスのメイスオブゼウス属性強化できるため、余った手に盾を持たせることで防御性能も兼ね備えることができる。
その点を考えると、攻守万能にならないようにあえて上位に引き上げ、同時実行数を減らして攻撃性能を落としたのかも知れない。
ダーガのエフェクトも地味で最上位魔法には見えないし。

戦闘への影響

順番待ちの一番の弊害は回復魔法・回復アイテムが全て使えなくなることである。
順番待ちが発生しても通常攻撃や1.5倍撃は実行可能なので、サンドバッグ状態となり非常に危ない。
回復以外の行動も実行不可になるため、上位魔法で火力を上げたり補助魔法で強化したつもりが、順番待ちのせいで逆に弱くなるということが起こる。

ケアルガなどの上位アクションは極力1人だけが使うようにしたり、補助魔法も戦闘終了後にかけるようにするなどの対処が必須。
超火力で無属性の範囲魔法は全て最上位魔法扱いで、一発で順番待ちを引き起こす。
ラ系魔法でも属性強化等で大ダメージを出せるので、最上位魔法はほとんど使い物にならない。

  • 順番待ちを起こさない戦いかたが今作の基本戦術。
    ただ順番待ちによる渋滞は敵側も同じであり、そこに目をつけた詠唱妨害という上級戦術も存在する。

デコイが渋滞してしまうと、後衛にタゲが移り一気に崩される。
デコイを用いるなら順番待ちには細心の注意を払わなければならない。


強力な魔法を撃ちづらいという攻めへの影響だけではなく、回復の渋滞という守りへの影響も大きい。
戦闘を著しく複雑にしていることは疑う余地がなく、イージタイプを標榜するIZJSでは大幅に緩和された
しかし戦術性を飛躍的に高め、今日のやり込みを支えている極めて重要な要素でもある。

対策

味方のアクション

ラ系魔法でも基本威力は70~90程とマサムネクラスの威力がある。
魔装備HP満タン魔力UPフェイス属性強化などで強化すれば最後の最後まで主力として使える。

上位魔法は基本威力が120以上もあるが、詠唱圧迫でスムーズに撃ちにくく回復渋滞の危険も高い。
ランクの高い魔法ほどリスクも高いことによく注意して使わなければならない。


魔装備&属性強化だけでもダメージは強力。
天候補正で知らない間に強化されていたなんてことも珍しくない。
たとえ属性強化に気付かなくても、魔装備で魔力を高めて敵の弱点を突くという、
ごくごく基本的なことができていれば、そこまで意識しなくても高ダメージを出せる。


簡潔にいえば役割分担が重要。
戦士は攻撃に専念して、魔法使いの詠唱を妨害しないこと。

敵のアクション

敵の技にも順番待ちの起こりやすさが個別に設定されていて、こちら側がいくら気を使っても敵が最上位アクションを行って順番待ちを起こしてくることがある。
 
この場合はサイレスで敵の魔法を封じたり、ドンアクストップで敵を行動できないようにして、順番待ちを起こさせないようにするのが有効。
アクションは射程内に入らないと実行できないため、ドンムブで敵の足を止め、敵対心を稼いで敵の注意を引きつけた盾役が敵のアクションの射程外から攻撃することでも敵のアクションを封じることができる。
 
もしも順番待ちを起こされてしまった場合、周囲にいる敵が攻撃をしてくる。
しかし敵も順番待ちの影響を受けるため、通常攻撃と体当たり、ひっかきなどしかできない。
そのため事前にブラインをかけておくと、攻撃ミスやガード率上昇効果で被害を抑えられる。
また近接攻撃がほとんどなので周囲の敵にドンムブをかけておくとやり過ごしやすい。
順番待ち中の行動を遅らせるためにスロウをかけておくのもいい。
他にもドンアク、ストップ、スリプルなど、有効な弱体や足止めならなんでもいい。
とにかく事前に周囲の敵を大人しくさせておくことで、順番待ちを起こされた時の被害を抑える。
 
これらの状態異常すべてに耐性を持っている敵には、防御力と回避率を極限まで高めた盾役ができる限りダメージを抑えて踏ん張るか、
通常攻撃は順番待ち中でも実行できることを利用して、白の仮面や黒の仮面などの属性吸収装備をつけさせたキャラが敵対心を稼ぎ、そのキャラにエクスカリバーやダークショットなどで殴り掛かり、通常攻撃のダメージを吸収させて強引に回復させるなどで対処しなければならない。


ポイントは順番待ちを「起こさせない」か、起こされても「耐えやすくする」という2点。

順番待ちを利用したテクニック

ボスの大技の直前に順番待ちを起こし、大技の発動を妨害して遅らせるという技がある。
この間に大ダメージを与え、大技を出される前に倒してしまおうというのが狙い。
通常プレイでは使うような場面が殆どないが、制限攻略では基本テクとまで言われる重要な技である。

順番待ちに起因するバグ

今作のバグ技のなかには、順番待ちが原因と思われるものがある。
詳細は以下の項目を参照のこと。


上の2つのバグは、順番待ちだけでなく召喚における「召喚退場」が関係しているという点でも共通している。

FF12IZJS

ダメージ限界がないので、順番待ちが頻発しはじめる終盤は上位魔法一発で敵の群れを殲滅できる。
サイレスやドンアクなどで敵のアクションを封じて順番待ちを抑えるより、
あえて上位魔法で順番待ちを起こして敵のアクションを封じ、その間に瞬殺する方が早い。

  • 通常版に比べて順番待ち対策という戦術的な意味合いが薄れ、単なるストレス要素に。
    • 一応弊害だけではなく詠唱妨害を利用して連撃を叩き込む戦法もある。
      特にインター版はダメージ限界突破があるので通常攻撃を用いない相手には有効である。
      有名どころだと確率も絡むがゾディアーク辺りだと秒殺もある。

ジョブ次第では、敵の耐性に合わせた状態異常の使い分けが難しい。
敵が起こす順番待ちを抑制しにくい以上、やられる前にやるほかない場面が出てくる。

FF12TZA

順番待ちが無くなった。
回復魔法・回復アイテムの渋滞が起こらないため、盾役の負担が大きく下がっている。
最上位魔法を撃っても回復を渋滞させないため、黒魔道士も思う存分に暴れられる。
さらにジョブを二つ設定できるようになったこともあり、盾役が敵対心を上げるために最上位攻撃魔法を撃つという戦術も可能になった。

  • 基本的にはその認識で正しいが、ムービーを伴う攻撃は以前までと変わらず順番待ちが発生する。

フレアーやコラプスといった最上級魔法を併用可能になり、かなりド派手な戦闘が楽しめるようになった。


順番待ちが無くなった事で、敵側も高エフェクトのアクションを停滞なしで連発してくるようになり
キチンと対策しないとあっという間に死んでしまう。
乱戦の最中、突然演出付きの必殺技を打たれようものなら…

  • 従来の敵の高エフェクト攻撃は「大ダメージ+回復妨害」なので脅威だったが、今回は回復妨害が無いため回復を怠らなければOK。
    また順番待ちの発生源になるためかけすぎは危険だった補助魔法も、好きなようにかけていい。
    つまり一般的なRPGと同じ感覚で戦えば大丈夫。

厳密に言うと順番待ちに必要なエフェクト量が大きく引き上げられただけで、順番待ちそのものは未だに存在しているらしい。

  • 普通にプレイしていればお目にかかることは無いだろうが。
  • 召喚獣や一部のボスが持つ画面遷移しての演出付きの特殊攻撃に関しては引き続き順番待ちが発生する。
    とはいえ、ボス側の構え・詠唱が順番待ちで遅らされることはほぼなくなったため、やはり全体としては大幅にスピードアップしていると言える。
    一部のオトモの雑魚が大量に湧くタイプの召喚獣戦については多少意識した方が良いかもしれない。
  • TZAのRTAではタイム短縮のために意図的に引き起こして、魔神竜やヤズマットをハメ倒すプレイがよく見られる。4倍速のプレイなので、技を発動しようとしても出来ない魔神竜やヤズマットがプルプル震えているように見えてとてもにシュール。そして、震えているだけの敵を狂戦士状態や超瀕死連撃で切り刻むヴァン達。

根幹に関わってくる仕様だっただけに、一部の敵やボスとの戦闘に対する感覚がガラッと変わっている。
例えば召喚獣のキュクレイン戦では、「1秒ごとに最大HPの3%ダメージ」という無視できないフィールド効果がある中、
オリジナル版ではドンアクガや周囲に湧くフォーバーが使ってくるタクシクなどエフェクト量の多い魔法で大渋滞が発生するため、
漫然と戦っていては戦闘不能が頻発する相手だったが、順番待ちの解消によりこちらの回復行動が妨害されなくなったため、さほど厄介な相手ではなくなった。
逆に、HPが減ると魔法CT0を得た上で上位魔法を連発してくるエクスデスなどは順番待ちの枷が無くなったことでより脅威になっている。

  • 完全防御を使用してくる場合、行動パターンによる順番待ちがあったが
    それを無視してくるので、順番待ちによる妨害工作も不可能になった。