概要
1992年に発売されたスーパーファミコン「ファイナルファンタジーV」のゲームボーイアドバンス移植版。
2006年10月12日発売。
2016年4月20日よりWiiUのバーチャルコンソールでも配信開始(2023年3月で新規購入終了)。
売り上げ本数は24万本。SFC版の売り上げ約245万本の約十分の一である。
2006年はGBA末期でもう次期ハードのDSが出ていた時期なので、発売時期から考えて本数は妥当と思われるが、FF5自体の人気もあって本ソフトは中古市場でもずっと値段が高いまま。
- 旧スマホ版も配信終了し、WiiUのVCによるダウンロード販売も終了したため、
GBAのカセットは追加要素付きFF5を遊べる手段として、いまだに価値がある。
GBAに移植されたFF4があんまりな出来だったためか、今回は良い移植度である。
FF4GBA版に比べてキーの反応は軽い。デバッグはやや甘く、やり込みレベルだが新たな問題が発生している。
- 基本的にゲームシステムはオリジナルのままだが、吸血の計算式の変更や一部の敵に祝福のキッスが無効など、微妙に仕様の変更がされている。
BGM関連、顔グラ、一部処理落ち、新たなバグ、エクスデス城の背景がペコペコしなくなった等にこだわりがなければ、オリジナルよりゲームテンポが良く、ダッシュがデフォルトで付いている事や、中断機能のおかげで遊びやすい。
GBAのスペックがもう少し高く、バグが少なければ文句なしの完全版だった。
またFF6のようなコマンド順番送りやLRでの魔法全体がけには対応しておらず、戦闘中の操作はオリジナルに忠実である。
- 有志の調査によれば、GBAのCPUはSFCの4~6倍強力だが、本作のサウンド処理がそのほとんどを消費してしまい、その結果ゲームが重くなってしまっているとのこと。
追加要素に新たなジョブ、モンスター、ダンジョン、アイテムがある。
追加ジョブ:
データは電池切れなどでほぼ消えない上に、モンスター図鑑が追加されたので、よりやりこみに熱中できる。
合わせて2006年11月30日に「ファイナルファンタジーVアドバンス公式コンプリートガイド」が発売されている。
- 若干の誤植や誤謬があるが、定評ある良質な攻略本。
オリジナル版での取り返しのつかない要素への救済措置などは一切追加されていない。
相変わらずシヴァ・カトブレパス・カーバンクルは、取り逃がしてゲームを進めると手に入らない。
敵を撃破した時のエフェクトが非常に短くなり、逃走がSFC版以上にしやすくなったのも相まって非常にバトルのテンポが良くなった。これは他のGBA移植作には見られない改善点だろう。
また、エフェクト短縮に相まってレベル5デスのエフェクトが大幅に短縮され、爽快感が凄い。
LRでのページ飛ばしなども追加されているので、よりテンポが良くなっている。
問題点としては戦闘中に処理落ちを起こし、2、3秒ほど止まることがある。
(処理落ちはモンスターの入れ替わり処理が行われたタイミングが判別しやすい面もあったり)
また、装備の一番下・アビリティの一番下までカーソル移動させるのが処理落ちして遅い。
- 特に、装備可能アイテムが大量にあるすっぴんで盾(装備欄の一番下)を選択する際、顕著にストレスフル。
- 追加アビリティの「てきよけ」「てきよせ」が絶大な効果で頻繁に使うにもかかわらず、最下段にあるため付け替えのラグが残念。
デバッグがやや杜撰でごく普通のプレイでも重大なバグや問題に遭遇する事が多い。
HPオーバーフローバグで瞬殺される新規大ボス、放置で分身即死するパンテーラ、ものまね士ゴゴのテキストバグ、アイスシールド右手装備でEDフリーズ、エヌオー戦先頭キャラのかくれるやジャンプでフリーズ、敵HPを倍率参照枠にしている予言、全回復する青魔法吸血etc。
音楽はGBAということを考えるとやや音質が軽く感じるのはしかたないが、
それとまた別に、オリジナルで「いつの日かきっと」が流れていた所でなぜか「レナのテーマ」が流れたり
「四つの心」の音が高くなっているなど、オリジナルと明らかに異なる部分がある。
後に発売されたスマホ版では「いつの日かきっと」の件は修正されていたため、やはり移植ミスだったようだ。
- 個人的には音の劣化が何よりも大きいかな。
四つの心はあらかじめ知ってたんで我慢できたけど、
「新しき世界」とプロペラのセットが衝撃的なくらい変わっていたのは残念だった。
仕方ないのだろうけども。
効果音関連に関しては、全部変わっていると言っていい。
バイオと歌等は悪く言うとショボい音になってしまっている。
- バイオはまだなんとか我慢できるが、歌はヒドイ有り様…。
破滅の歌か、ジャイアンの歌じゃないかと本気で思えてくるほど…。
追加ジョブは「ごうせい」「ひっさつ」「あんこく」など強力なアビリティを有している。
しかし登場時期が遅く、ラスダン&追加ダンジョンぐらいと使いどころに欠けている。
もっと控えめの性能でいいから、ゲーム中盤から使いたかったところである。
また、予言士はクセが強く、ジョブ単体よりも「てきよけ」のアビリティを覚えるためのジョブという扱いになっている(決して使えないわけではない)。
あの謎のモアイも追加ダンジョン「【封印の神殿】」の入り口になった。
追加ダンジョンは本編のラスボス撃破後に解禁され、奥まで探索可能になる。
内部は広大であり、攻略情報がないと宝箱の回収などが大変である。取り逃さないようにしっかり見て回ろう。
- 隠しダンジョンではアンテサンサン、ルブルムドラゴン、ハーデスといった他のシリーズと同名のモンスターが新しく追加された。
- 追加モンスターはソウルイーターやハーデスなど、悪くするとパーティーが全滅か半壊しかかかるものもいるので気をつけねばならない。
なんとなく追加要素はFFTからのネタが多いような。
アルケオデーモンとかローブオブロードとかメイスオブゼウスとか。
- どうせならジョブか、それが無理ならアビリティだけでも輸入してほしかった。
封印の神殿内のとある強ボスを倒すと「亡者の巣窟」が解禁される。
これは簡単に言うとボス連戦であり、強化されたボスたちをひたすら倒していく。
ただし、出現するボスはアイテムを盗めないし落とさない。
鍛え上げたパーティーの腕試しである。
オリジナルでは名前しか出てこなかったエヌオーが裏ボスとして登場。
これらのボスは強力なものばかりだが低レベルでの撃破報告があり、
FF5のシステムの深さを改めて認識できる。ただ、FF4GBA版と変わらず色違いばかりなのは少し冷める。
新しいデザインのモンスターが少ない。
アイテムは主に武器が加わっており、ブレイブブレイドが霞んでしまう性能のものが多いが、作品最強武器はやはり依然チキンナイフ。
「音」関係ではハード的な制約もあり残念なものが多いが、
エクストラダンジョンと追加ジョブ&アイテム&モンスターは
ゲームバランス的になかなか絶妙にできていると思う。
FF5ファンならばプレイを勧めたい。
…地味な点だが、個人的に戦闘背景がキレイになったことがうれしい。
特に「草原」と「海岸」は本当にキレイで、「すがすがしい(!?)」気分で戦闘できる。
- 追加ダンジョンでもある1匹のモンスターを除いて低レベル+ABP0で攻略可能なので、その点でもオススメ。
上述のように、GBA版から一部のボスに壊れアビリティだった祝福のキッスの強制バーサクに対する耐性が追加された。
キャラクターの心情に焦点をあてたイベントは追加されていない。
これに対しては
- 「主人公が比較的目立たない作品であるため、FF4GBA版のカインとかギルみたいに追加があった方が良い」といった意見や、
- 「いろんな意味でさっぱりしてるのがFF5のいいところだと思うので、逆に変にディープなところに突っ込んだイベントが足されなくてよかった」
といった意見がある。
ガラフに関してのイベントも追加されていない。
- ガラフを最後まで、もちろんラスダンや隠しダンジョンでも使えるようにし、ガラフのものまねしグラと上記で述べている新規ジョブのグラを追加してほしいと思ったプレイヤーもいるはず。
- 復活イベントなどが追加されると賛否両論になりそうだが、SOR的に死亡した暁の4戦士たちを使用出来る本編と関わらない裏シナリオの追加などは良いかもしれない。使用キャラが多いのはジョブチェンジのシステムと相性が悪いので難しいが。
GBA版のリメイクは全部言えることなのだが、あのセリフのウインドウの天野絵はなんとかしてほしい。
特に5は天野デザインとドット絵(渋谷)デザインが全く異なるので違和感が半端ではない。
せっかくドット絵で表情豊かなイベントシーンが繰り広げられるというのに
そんな中であの無表情な天野絵が出てくると気分が台無しである。
せめてPSP版2のようにON・OFFの設定くらいできるようにしてほしかった。
- 単にFF5だと相性が悪いというだけ。会話中に顔グラが表示されるゲームは他にもたくさんあるしね。
- FF5に顔グラを付ける上で一番の問題はFF4,6と違って、SFC時代に全く顔グラが使われてなかった。というのもあると思う。
4と6はメニュー画面で顔グラを使用していたので違和感は幾らか緩和されている。 - 天野絵とドット絵の差が原作絵と作画絵くらいの差があるのが原因。
- 自分もそれが原因で最初は手を出さないでいたが、やってるうちに気にならなくなった。
- ガンハザードみたいに、ウインドウの天野絵も表情が変化したら少しはマシだったかもしれないな
バッツ(喜):
こりゃあ おもしろいや!- FF1・2A、KHCOMで搭載されてるのに、なんで4以降外したんだろうか。
わざわざ打ち直してるのに。 - 携帯ゲームでは、公式絵がそのまま立ち絵として扱われているので
そういうやりとりがそのまま行われている事が少なくない。
- FF1・2A、KHCOMで搭載されてるのに、なんで4以降外したんだろうか。
これとFF6GBA版で現在スクエニに在籍していないスタッフがOPとEDでの
スタッフクレジットから削除されているという事態は2chの野村アンチスレのテンプレ入りしている。
個人的にも流石にこれはちょっと…と思った。
- これはクロノトリガーPS移植版からの伝統で、鈴木社長か坂口氏どちらの関与かは不明だが
辞めたスタッフは削除する方針だったらしく現在のスタッフから独断でやっている事ではない模様。- おそらく著作権は全部会社にあるのだろう。しょうがない。
ミュージックプレイヤーの「覇王エクスデス」と「エクスデスの城」で
エクスデスの英語名がX-Deathになっているのはなぜだろう?
公式ガイドブックではEが頭に付いていたが、FF5はGBAで初プレイだったので
本当はどっちなのか分からなかった。
第一世界の隕石パワーを集めたワープスポットの脈動がGBA版ではなくなって、止め絵になっている。
同様の演出のグレードダウンは他にもあると思われる。
- 逆に、バリア発動中のバリアの塔がピカピカ明滅するなど、グレードアップした追加演出も存在する。
関連作品
FF6共々、いまだにGBA版準拠の移植は携帯アプリ用の【ファイナルファンタジーV iOS版】しか存在しない。
- 比較としてFF4は続編とも併せて散々移植、リメイクされている。
ファイナルファンタジーV iOS版は、本wikiでは「(旧)スマホ版」と表記される事が多く、同じくスマートフォン版のある【Final Fantasy V ピクセルリマスター版】発売に伴い「旧」を付けて差別化する場合が多くなった。
旧スマホ版準拠のSteam版も存在していたが、日本の公式ストアでは販売しておらずいわゆる「おま国」扱いだった。
海外プレイヤーからギフトで送ってもらうなどの方法で入手できたが、もちろん日本語非対応。
- こちらもピクセルリマスター版FF5販売開始に伴い、もう購入できなくなっている。
2016年よりWiiUのバーチャルコンソールでGBA版が完全移植されてダウンロード販売されていた。
中古パッケージ品と違って価格も700円と手頃なので、WiiU本体を持ってるなら迷わずオススメ…だったのだが2023年3月末でWiiUのニンテンドーeショップが販売終了したため、もう新規購入できない。