強化型艦本式缶

Last-modified: 2021-11-30 (火) 14:22:01
No.034
強化型艦本式缶機関部強化
装備ステータス
火力雷装
爆装対空
対潜索敵
命中回避+10
射程
装備可能艦種
駆逐艦軽巡洋艦重巡洋艦戦艦
軽空母正規空母水上機母艦航空戦艦
備考
開発可、改修可
天津風睦月改二如月改二Ташкент/の初期装備
任務「主力戦艦戦隊、抜錨せよ!」選択報酬
補強増設枠には装備不可
改修更新
強化型艦本式缶 → 新型高温高圧缶
新開発の高温高圧缶です。
従来の艦本式ロ号缶から換装するもので、駆逐艦「島風」で採用した高温高圧缶をベースに、実用性と量産性を高めたもの。
高出力と低燃費を実現し、回避率を大きく向上させます。また、改良型タービンとの併用でさらに高い推力を実現します。

ゲームにおいて

  • 開発他天津風睦月改二如月改二Ташкентと同改の初期装備でも入手可能。
  • 回避+10と数字は立派だが、実戦ではどうかと言うと微妙である。劇的な変化は期待できないという認識が一般的。
    • 使い道としては、羅針盤操作のために駆逐艦を使わざるを得ない3-2などで、回避率を少しでも上げるために使われることが多い。
      キラ付けを行う」などと併用すると、回避率上昇を多少は実感できる…かもしれない。

  • 2017/1/10メンテで缶タービンシナジー効果実装、および改修可になった。
  • タービンと併用することで艦娘の「速力」を上昇させることができる。速力に関する詳細は速力ページへ
    • ちなみにタービンと併用しなければ、缶だけいくら装備しても速力は一切上昇しないので注意。
    • タービンは補強増設枠に装備できるが缶は装備できないので少し注意。
  • ファミ通.com の記事「提督といっしょに創り上げていきたい」『艦隊これくしょん 艦これ』キーマン・田中謙介氏インタビュー【前編】 - より。

    ──そういえば、改良型艦本式タービンと強化型艦本式缶をいっしょに装備すると、低速の艦娘が高速になるという話もありましたよね?
    田中 あれはまだ実装されていなかったのですが、私がゲーム用語解説のところに書いてしまっていたのをサービスイン前に消すのを忘れていたという……すみません……あれは……いつか実装します! ただ、そのときはまたいろいろと考えます。たとえば、低速と高速の艦娘が混在している場合のデメリットをいまより強調したりするかもしれません。

  • 構想だけは初期からあったようだが、その記事から実に約3年経った2017年1月10日のアップデートでついに缶とタービンのシナジーによる低速艦の高速化が実現することとなった。詳細はタービンのページにて。

  • 2014年4月23日に上位互換の「新型高温高圧缶」が実装された。性能はすごいらしい。入手手段は天津風改の初期装備。
    • 2017年1月10日メンテにおいてこの缶から改修更新でも入手可能になった。しかしネジだけでなく資源や素材消費の面でも重く、改修効果も不明な現状では投資額に見合うかは不明である。
      偶然天津風を拾えたら改造して新型高温高圧缶を確保しておく程度に留めておくのが無難である。
    • 2018年2月17日実装の武蔵改二も新型高温高圧缶を初期装備として持参する。
  • この装備の妖精さんのみ、唯一ズボンを穿いている。(14年3月24日現在)
    • 洋上補給の妖精さんもズボンを穿いているので唯一ではなくなったが、それでもスカート派の方が圧倒的に多い。気になる人はチェックしてみるといいかもしれない。

小ネタ

  • 元ネタは、日本海軍の「ロ号艦本式缶」である。艦本とは艦政本部、缶とはボイラーのことである。
    英国のヤーロー社が開発したヤーロー式ボイラー*1を国産化・改良発展させたものである。
    • さらに細かく言えば陽炎型駆逐艦天津風に試験搭載され、のちに島風に乗せられたロ号改良の高温高圧缶が元ネタである。
    • この高温高圧缶の原理は長くなるので省くが、要は低燃費で高出力を実現できる日本としては画期的な缶なのである。
      • 天津風では同型艦比で300海里(6%)航続距離が延伸している。
      • 「日本としては」と書いたのは、同時期のドイツにはより強力な「ワグナーボイラー」と呼ばれる高温高圧缶があり、独商船改造空母神鷹にも搭載されていた。
      • その後神鷹のワグナーボイラーは扱いきれない!と外されており、当時の日本のボイラー技術がドイツより低いというエピソードとして紹介される事もある。
        とは言え、ワグナー式高圧ボイラーは当のドイツでも扱いに困る難物で、フル回転で安定した出力を得ることは難しかった。*2
      • ちなみに神鷹のボイラーについてはもはや日本では扱いきれず、艦本式ボイラーに載せ替えている。
      • ちなみに米国のフレッチャー級に搭載されているのも島風並みの高温高圧缶だったりする。
        艦これ参加艦のZ1級駆逐艦でも搭載されたが、シーリング・パッキンの急速な劣化などに悩まされ、続くZ5型のZ8以降はベンソン式と呼ばれる別方式に変更された。
        アメリカでも新型艦になるほど蒸気条件が下がっている事にも注意。*3
      • ドイツの高温高圧缶には他にももっと大人しいラモント式というのもあるにはある。
        だが飛鷹のラモント式ボイラーが、デビュー早々に故障を起こすというケチが付いていたり、ドイツでは重巡「アドミラル・ヒッパー」「プリンツ・オイゲン」も信頼性向上の為これを取り入れたのに不調続きだったりする
        (と言うよりドイツ水上艦は機関トラブルに悩まされなかった型を探すほうが難しい)
      • なおベンソン缶はワグナー缶どころではない難物である。
    • 島風に搭載された高温高圧缶は優秀だったものの、生産性と整備性に問題があったため量産はされずじまい。
      • もっともこれは量産不可能だったという訳ではなく既に大量生産状態にある在来機関の生産ラインを止められないということ。

  • ただ、言ってしまうと島風の「高温高圧」とは従来のロ号缶と比してという意味であり、実際の圧力は38気圧に過ぎず世界的には低圧缶とするのが通例である。やっぱりな*4
    ただし前述の通り装甲された艦同士が撃ちあう当時にあってはダメコンの観点から日米英とも50気圧程度かそれ以上の高圧缶を造る技術はあっても、軍艦用は40気圧内外以下の低圧缶が主流である*5*6
  • 因みに艦本式缶にはイ号、ロ号、ハ号、ホ号がある。イ号は旧式な缶であり、艦これ世代にはまず載っていない*7*8
    ロ号は島風搭載の高温高圧缶のベースになった他、殆ど全ての艦船に搭載されていると言っても過言ではない標準ボイラーである。
    ハ号は扶桑型戦艦の第二次近代化改装時に二基だけ載せられた。ホ号はロ号缶を縦に半分にしたような形状の小型版で、香取型の様な速度を必要としない練習艦や極寒の北方海域で使用される占守択捉型海防艦の暖房用ボイラーに使用された。
    • 同じくヤーロー缶から派生した英国海軍のアドミラリティ缶も、ロ号缶とほぼ同じ構造。
    • なお艦本缶が実用化する以前に日本海軍で主流だったのは、宮原二郎中佐が開発した「宮原缶」。
      石炭焚き時代のもので、優秀ながら若干大型で、燃料消費の激しい欠点があった。
      艦これ登場艦では、大改装前の扶桑型が搭載していた。
  • たまに誤解する人がいるが、タービンとボイラーは全くの別物であるので注意。
  • 「缶」は「罐」の略字、さらに「罐」は「汽罐」の略。この「汽罐」すなわちボイラーでお湯を沸かし、発生した高温高圧の蒸気をタービンに吹き込んで回転力を得る。
    これをギヤボックスでちょうどいい回転数に落としてスクリューシャフトを回すことで、艦は前進するのである。(一部例外を除く)
  • 構造をわかりやすく説明する動画がyoutubeにある。
  • ココらへんの仕組みについてはチャーリーにしなか氏が「艦これアンソロジー佐世保鎮守府編第一巻」においてわかりやすく漫画で解説してくれている。
    • ただし「(石炭混焼缶は)天龍と龍田だけ」という事実誤認を起こしかねない表現もまぎれているので要注意。
      • 実際には竣工時の5,500t級軽巡や戦艦などは全て重油石炭混焼缶を搭載している。川内型に至っては重油使用量増加を見越して重油石炭混焼缶の比率を増やした*9くらいである。
        ただし戦艦や5,500t級は後の改装によって全て重油専焼缶に換装されている。
      • なお戦闘に参加する必要のない間宮のような補助艦艇や、練習艦に使用されていた老朽装甲巡洋艦などには、終戦ごろまで重油石炭混焼缶や石炭専焼缶が普通に使われている*10
    • また国鉄形蒸気機関車の出力は熱出力・軸出力ではなく動輪径出力なのでそれも注意。
      (日本最強の蒸気機関車はD52形で1660馬力だが、1620馬力のC62形とは同じボイラー……というか、戦時中にこさえたD52のボイラーを転用したものである。にもかかわらず出力が異なるのは、D52形の動輪径が小さいため)
  • なお水管式というのは読んで字のごとく水の入ったパイプの群れを燃焼室の炎が炙る構造。
    • もうひとつ炎管式というのがある。これは逆に燃焼室と煙室をつなぐ煙管が水槽内を通過し加熱する方法。この方法は特に石炭時代は煙管が煤で詰まるわ水密に不利で造るのにも整備するのにも手はかかるわで、その上乾燥度の高い蒸気を得るには一度発生した蒸気をドライヤで再度加熱してやる構造が必要だった。
      このため大型の船舶用にはほとんど普及しなかった。が、別の用途で全世界に普及した形式でもある。
      炎管式の利点は横置きが出来ると言う点である。水管式だと炎が逃げてしまい加熱効率が悪くなる。したがって横置きしか出来ない用途で使われた。その代表格が蒸気機関車である。
      • 艦船用では船体スペースに制限があり、大型のボイラーを設置できなかった19世紀末から20世紀初頭の蒸気水雷艇に「汽車缶」の通称でよく用いられていた。
      • なお天龍の項で少し触れられている過熱式ボイラだが、蒸気機関車は船舶に先駆けて採用していた*11。だが国鉄蒸気の標準圧力は長く14気圧、D51形戦時型で15気圧*12、D51形・C57形・C58形各戦後型*13で16気圧と低い。ことほど左様に本来上昇する熱を利用するボイラーを横置きするというのは難しいことだったのだ。標準軌でボイラの容量が大きくとれた英米においても、蒸機最速の"マラード"で17.5気圧、最大クラスの"ビッグボーイ"で20.7気圧に過ぎない。
      • ちなみに、蒸気機関車のことを「汽罐車」と呼ぶこともあった。また、「ボイラー≒釜」であることから機関車のことを「カマ」と呼ぶこともあり、これは電気機関車・ディーゼル機関車となった現在も続いている。
      • また、明治43年に艦本式の原型となるもので扶桑型の建造時に搭載されていた宮原式水管式ボイラを使用した蒸気機関車が計画されたが……ものの見事に蒸気機関車の足回りの上に小さい艦本式ボイラを詰め込んだ掘っ立て小屋乗せた姿になり見てくれからして問題だらけだったためか実現せずに終わった。

この装備についてのコメント


*1 就役当初の金剛型やLittorioなどが装備し、金剛が搭載していたものが大和ミュージアムに保存されている。
*2 特にシャルンホルスト級巡洋戦艦のボイラーは特別不安定だったらしく、機関出力諸元に『安定出力時』なんて但し書き項目まであるほど。
*3 これはもしボイラーが損傷した時に高圧であればあるほど破損時のダメージが大きくなったり、高温の蒸気によってダメコンに支障が出るためというのもある、民間船ではダメコン等を考慮しなくていいので高圧ボイラーが採用しやすい。
*4 ちなみに海上自衛隊最後の蒸気タービン艦しらね型の缶圧は60気圧である。
*5 ドイツは第一次世界大戦前から他の列強各国と一線を画した独自の艦船設計を行っていたため、日米英あたりの“常識”が通用しなかったのである。
*6 更に付け加えると、ドイツは第一次世界大戦の末に水兵反乱事件を起こして海軍がほぼ壊滅状態にあり、技術力も低下していた。
*7 竣工直後の比叡がヤーロー缶と一緒に搭載していたが、大改装時にすべてロ号缶に替えられた
*8 ヤーロー缶やイ号缶とロ号缶の違いはボイラー下部を通る水ドラムが半円か完全な円形か。円形水ドラムを持つオリジナルのヤーロー缶やイ号缶は暫く使用していると老朽化によって水ドラムと水管の接合部に圧力がかかって亀裂が発生し、水蒸気爆発事故が起きる危険な代物であった。そのため接合部面を平らにして、水ドラムに直角に水管が接合されるようにするロ号缶が製造されたのである
*9 厳密には専焼缶を全て大型にして八基とし(球磨型・長良型の専焼缶は大型六基・小型二基)小型の混焼缶四基で低出力時の低燃費化を行う仕組み
*10 1941年竣工の給糧艦『伊良湖』など
*11 日本では純国産蒸機の8620形・9600形ですでに過熱式ボイラ
*12 もちろん粗製乱造の時期だったので、D52・C58戦時型ともどもボイラが破裂する事故が相次いだのは言うまでもない。
*13 余談だがC58形は南方に送られた「出征機関車」の形式の1つであった。だが、その大半は輸送中に撃沈されたという。