【ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章】

Last-modified: 2020-09-13 (日) 12:18:30

概要

1991年から1997年まで【月刊少年ガンガン】に連載された漫画。
原作・設定:川又千秋、脚本:小柳順治、画:【藤原カムイ】
 
エニックスがガンガンの創刊に際して看板として打ち出したドラクエ漫画であり、ガンガン創刊期を飾った最初のヒット作。
ジャンプに掲載されていたもう1つのドラクエ漫画「ダイの大冒険」が王道的少年漫画のカラーを打ち出していったのに対し、ロト紋は一貫してカムイの持ち味であるニューウェーブ色を突き通した。
 
『ダイの大冒険』は王道的な英雄譚のカラーを打ち出すとともに、単純な勧善懲悪ではない魔王側の大義や種族間の差別・そこから生まれる悲劇や苦悩など重厚な問題をテーマとして描きつつも、それらに立ち向かい、乗り越えていく人間たちの単純な武力だけではない戦いが描かれており、決して暗澹とした作風にならない王道の人間讃歌とも言うべきストーリーが展開されていく。
魔王軍の虐殺による国家の壊滅や大量破壊兵器による世界中の爆撃など、犠牲者の数はむしろロト紋よりも多いものの、グロテスクな描写は控えめになっており、暗い物語ではなく勇者のもとに人々が力を結集し世界中の心を一つにして戦う希望の物語が描かれる。
戦闘では最終的には超人的パワーを発揮した主人公などの特定のキャラが大立ち回りを演じるが、決してそれだけでは勝てない強敵を人々や仲間達の機転や協力のもと倒す様を通じて、力よりもその絆の在り方、重要性を大々的に表現している他、個々のキャラクターの成長描写にも特に重きが置かれており、加えて師弟間・親子の絆などもテーマとして盛り込まれ、掲載誌のモットーである「友情・努力・勝利」を反映した、少年漫画らしい快活な作風となっている。
 
一方、こちらは勇者を主人公とした王道的なファンタジー物語という前提は共通しつつ、一般人のみならず主人公や仲間に深く関わるキャラクターが敵に直接(大勢)殺害されるショッキングな展開の多さやシリアスな画風も相まって、少年漫画としては陰惨で雰囲気が暗い。
戦いの山場においても、仲間やその他の多くの人々の協力や連携の末に強敵を撃破するシーンが前半に見られるなど、ダイの大冒険と比較すると、人並外れた超人的な強さを持った存在の強調はそちらほど押し出されてはいない。(もちろん、勇者にしか使えない特別な力、ポロンの賢者としての覚醒など、人並外れた力を持つ存在そのものは明確に描かれてはいる)
主人公以外の個々のキャラクターの成長描写があまり描かれない点は「ダイ大」とは対照的であり、雰囲気の派手さの面も控えめ。
戦闘描写においても、両断した魔物の肉体の断面や肉片(多少はぼかされているが)や出血シーンなどが頻繁に描かれており、生々しく前衛的である。
  
内容的には「ロトの伝説シリーズ」の『3』→『1』→『2』と続く時系列の中で、『3』→『1』の間に位置する物語。
もともと正史としてのスタンスを持たないためにゲームとは矛盾や疑問点(【アレフガルド】と地上界を行き来する手段が存在する等)が生じる。
基本的にはゲームと地続きの世界というよりゲームの世界観を下地にした独自設定・独自世界観のオリジナルストーリーとして位置する作品である。
 
なお、連載時はモンスターイラストの読者募集企画を行い人気を博していたが、完全版の際には全差し替えとなっている。
 
現在はヤングガンガンで続編の【ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 ~紋章を継ぐ者達へ~】が連載中。
その合間に連載された、漫画版DQ7や8に登場した【竜神族】に関わる人物なども登場している。

ストーリー

伝説の勇者ロトことアレルは、三人の仲間、戦士フルカス、武闘家フォン、賢者カダルとともに大魔王ゾーマを討ち果たす。
ゾーマの死に際の不吉な予言に備えて、
三人の仲間はケンオウ(剣王・拳王・賢王)として後継者の育成にあたり、ロトの子孫の兄弟は地上世界に二つの王国を治める。
また、地下世界の【ラダトーム】にロトの隠し子の子孫が存在し、これら三つの王国はロトの紋章を三分割したパーツをそれぞれ伝えていた。
 
あるとき、地上のロトの子孫カーメン王は男児の懐妊の報を受ける。
誕生を見ぬままに魔物討伐に赴くが、魔王軍配下の魔物によって成り代わられてしまい、王に成り代わった魔物は産まれた息子に呪われた名前「ジャガン」を付けようとするも失敗。
王子は母親の寸での介入により「アルス」と名付けられたため洗脳の難を逃れ、騎士団長の娘ルナフレアと神官のタルキンに連れられて王国を脱出するものの、魔物の進入を許した王国は滅びてしまう。
その後アルスたちは結界に守られた仙人の里で数年間平穏に暮らし続ける。
 
一方、もう一つの地上のローラン王国でも王子が誕生するが、ほどなくして魔王軍の襲撃を受け王国は陥落。
こちらの王子がジャガンとして育てられてることになってしまう。
ジャガンは魔王となるべく魔王軍の英才教育を施され、魔人王として戴冠する。

その後、身を隠していた聖域の結界が破られたことをきっかけに、アルスは勇者としての使命を果たすべく旅立つ。そして三人のケンオウ、キラ、ヤオ、ポロンを集め、ジャガンや三人目のロトの子孫アステアとの出会い、魔王四天王との戦いを経て、甦った太古の魔神【異魔神】に挑むのだった。

メディア展開

1994年にドラマCDが発売され、続刊の予定もあったが、1巻限りで打ち切りとなってしまった。
内容は原作の単行本1巻から2巻終盤(ジャガンが魔人王の称号を得るまで)までを音声化したものである。
70分の収録時間で2巻分のエピソードを詰め込んでる影響で、原作での各話やその描写がかなり端折られてしまっている。
 

1996年のゴールデンウィークには日本アニメーション制作、松竹配給で「魔法陣グルグル」「ハーメルンのバイオリン弾き」とともに映画化された。
内容は原作第1話と第2話の幕間を描いたオリジナル作品である。
同時公開された2作は後年テレビアニメ化(グルグルは2度目)されたが、本作は権利関係が複雑なためかTVアニメ化されることはなかった。

その他

今の所ダイの大冒険とは違い、公式のメインタイトルでこの作品の要素が登場したことはないが、
【流星】のみではあるが本作が元ネタか?と疑われる技も一応存在はしている。
また、ソシャゲ作品のスーパーライトでコラボした事によりキャラクターは【ティーエ】【異魔神】【グノン】【冥王ゴルゴナ】、アイテムはグノンの【ハーケン】、黒い【はやぶさの剣】【タイターンの針】がようやくゲーム作品に登場する事が出来た。
更に同作では、カムイが描き下ろした新キャラクター「巌圏王」も魔王軍幹部として登場している。メガザルロック2体を武器として持っている機械の魔物で、自らの研究所で異魔神の世界侵略のために最終兵器を開発していたが、凝りすぎて完成したのは既に異魔神が倒された後だったというコミカルな設定が付けられている。
また、星ドラともコラボし、新たに【ジャガン】【竜王】(りゅう王名義)、【サーバイン】【バラモスゾンビ】(バラモスゾンビ・改名義)、【ヤマタノオロチ】(ヤマタノオロチ・強名義)や、新デザインの拳王と賢王の装備を含むいくつかの装備が登場した。
 
本作のジパングの描写には、同時期に別雑誌で掲載していた作品「雷火」との共通項が非常に多く見て取れる。