チ○コ機銃

Last-modified: 2024-02-29 (木) 22:40:03
人形DNA鑑定:HG|SMG|AR|RF|MG|SG〕

ティルトボルトって確かにあんまり流行らなかったもんね金いいよね……
 

簡単な説明

無故障機関銃の異名を取るチ○コ機銃と、その丈夫さを支えるティルトボルトメカニズムを引き継いだ自動火器のグループ。

 
もう少し詳しく
  • ティルトボルトとは、銃の閉鎖方式の一つである。
  • その名の通り、ボルト本体が傾く(ティルト)することでボルト後端をレシーバーの凹みに引っ掛けて、撃発時に踏ん張りが利くようにする。
    • 撃発後は逆方向に傾けて、凹みからボルト後端を外し後退可能にする。
  • 文字で説明するより動画で見たほうが早い。

tilting bolt cycle.gif

そして肝心のチェコ機銃のボルト周りはこんな感じ。
zb26 30 bolt.jpg

  • 右側が銃口、銃口側に長く伸びているパーツがガスピストン兼オペレーションロッドになる。
  • オペレーションロッドの上に乗っかっている"\―"な形をしているパーツがボルト。
    • オペレーションロッドが前進すると、その上に乗っかったボルトも同時に前進する。
    • ボルトはやがてチャンバーに突き当たるが、オペロッドの方は前進を続け、オペロッド後端のスロープでボルト後部のロッキングショルダー("\"部の左上の角)を押し上げる。
    • ロッキングショルダーがレシーバーの溝に嵌って、薬室が閉鎖される。
      • オペロッドが後退するとこんどは鉤爪みたいな部分でボルトを引きずり下ろして、薬室を開放するのである。
 

特記無き場合、すべてティルトボルト閉鎖である。

 

ショットガンの仲間

 

なんで自動火器の中にポンプアクションが居るんだよ!
タイトルはどうなってんだタイトルは
お前ら筋じられた肉体を
平気で使ってんじゃねえか
わかってんのか!?
「ジョン」が生まれたのは
ユタ州のオグデンだろうが
特許取んのかよ!?
くそったれ!

 
M37
153 m37.png主な弾種12ゲージ
生産期間1937-
備考ポンプアクション
イサカ社がレミントン モデル17 (1913)というショットガンの設計を流用して開発した、下面排莢式のショットガン。
レミントン17の設計自体はおなじみジョン・ブローニングおじさんが1915年に取得していた特許に基づいていたため、イサカ37はこの特許切れを待って発売されたんだそう。
こんなデカ乳ぶら下げて何がフェザーライトだ反省しろ反省
なんで機関銃の中にポンプアクションショットガンが混ざっているのか

とりあえず落ち着いてイサカ37のボルトキャリアグループを見てほしい。
Ithaca-Model-37-Featherlight-12ga-Bolt.jpg

  • ボルトがレシーバー上面に嵌まり込むための"肩"の出っ張り方や、ボルトを上下させるために斜めに切られたボルトキャリアの溝の雰囲気を、上のZB26のボルトキャリアグループのものと見比べてみよう。
  • なんとな~く気持ち似ている気がしないだろうか。
    • しない? ごもっともで……
  • レミントン17の特許は1915年にはすでに取得済みであり、同時代の銃器設計者がブローニングの設計を知っていても特段おかしくはない。
    • ので、この後登場するZB vz. 26は彼の設計を参考にしたんじゃないかなあと邪推している。
      • もしオリジナルの設計だとしたらお許しくださいヴァーツラフ・ホレクさん。

ちなみにこちらはイサカ37とレミントン17のボルト比較
ithaca vs remington.jpg

  • おおよその形状は変わりないが、イサカ37の方が軽量化のためにくびれ(・・・)ができている。
 

マシンガンの仲間

 

主役は遅れてやってくる。
タイトル通りZB-26とその派生モデルである。

 
ZB-26
307 zb26.png主な弾種7.92x57mm Mauser
生産期間1924-1953
備考ロングストロークガスピストン・オープンボルト撃発・マガジン給弾
WW2前後の機関銃業界で一大トレンドを築いたチェコの至宝とでも言うべき軽機関銃である。
特筆すべきはやはり信頼性だろう。当時の工作精度でも十分な強度を発揮できるティルトボルト閉鎖、長大なボルトキャリアを駆動させるのに十分なエネルギーを持つフルサイズライフル弾薬との相性、重力に逆らわない給弾・排莢フロー、こうした細かい美点の積み重ねが、ZB vz. 26の名声を高めたのだろう。
 
ブレン
089 bren.png主な弾種.303ブリティッシュ
生産期間1935-1971
備考ZB vz. 26*1をイギリス向けに小改良、ライセンス生産された軽機関銃。
WW2後も部隊配備され続け、規模は限定されたものの1991年の湾岸戦争でも使用された。
まさに無故障機関銃の名に相応しい丈夫さである。
ブレンのボルトキャリアグループ

bren bolt.jpg

  • 当然だが基本的にはZB vz. 26と同じレイアウトである。
  • ただし噛み合い部が側面に露出しないように小改良が施されている。
 

ライフルの仲間

 

ZB vz. 26の構成をライフルに応用した皆さん。

 
SKS
041 simonov.png主な弾種7.62x39mm
生産期間1945-2000s
備考ショートストロークガスピストン・ハンマーファイア
↑シモノフ対戦車ライフルPTRS-41 (1941)を縮小コピーしたような構造のセミオートカービン。
もう少し詳しく。

まずはSKSのボルトキャリアグループ
sks-disassembly-3728.jpg

  • ZB vz. 26で特徴的な斜めの切り欠きが見て取れる。
  • ただしガスピストンの配置はチェコ機銃とは上下が逆になっている。(右方向が銃口側で、上のパーツがボルトキャリア)
  • そのため、ボルトの"肩"がレシーバー下部の溝に落ち込む形で、薬室を閉鎖する。

続いてPTRSとSKSの比較
PTRS and SKS.JPG

  • 止まって。
  • 別にこれはフォトショップで同じ写真を拡大縮小したわけではない。
  • もちろん上が対戦車ライフルPTRSのボルトキャリアグループ、下がSKSのそれである。
  • ただし、開発の時系列は必ずしもPTRS→SKSというわけではなく、1940年の時点で既にSKSの前身となる試作小銃は完成していたようである*2
  • もともと軽機関銃として開発された閉鎖方式だったため、試製SKSを対戦車ライフルのサイズに拡大しても強度を保つことができた、と考えた方が良いのかもしれない。
 
56式半
049 type 56.png主な弾種7.62x39mm
生産期間1956-1985
備考SKSのコピー。以上。
 

アサルトライフルの仲間

 

ZB vz. 26の構造は、比較的軽量でありながらフルオートに耐えるせいか、初期のアサルトライフルへ応用されたようだ。
ブレン軽機関銃なども、アサルトライフルのように構えながら射撃したという話もあるくらいなので、適正はあったのだろう。
多分そんな感じの皆さん。

 
StG44
061 stg44.png主な弾種7.92x33mm
生産期間1943-1945
備考ロングストロークガスピストン
試作段階のMKb 42 (H)がオープンボルト撃発だったことを考えると、ボルト構造の元ネタはZB vz. 26じゃないかと睨んでいるが、確証はない。
確証はないんだけど……

このボルトキャリアグループの雰囲気は……!?
mp44_bolt.jpg

  • さすがにドイツというべきか、あまりチェコ機銃の面影は残っていない。
    • なんかプレス加工を組み合わせる都合で云々という話を聞いた。
 
TKB-408
340 tkb 408.png主な弾種7.62x39mm
生産期間1946
備考ロングストロークガスピストン
ブルパップレイアウトを採用したはしり(・・・)の一人でもある。
一世代上にSVT-40やSKSがあるわけだが、開発者や開発時期的にはそれらの影響は薄く、やはりZB vz. 26からの影響のほうが強い気がする。
TKB-408の中身

正直あまり情報に恵まれているとはいえないけど、内部の画像があるだけありがたい。
tkb408 bolt.gif

  • マッシブなボルトキャリア兼ガスピストン兼オペレーションロッドの雰囲気は、どことなくZB vz. 26っぽい気がするようなしないような。

改めてチェコ機銃のオペレーションロッドを眺める。
zb26 oprod.jpg

  • ZB26の方のお尻のスロープ(?)とか似てない?
 
64式自
243 howa type 64.png主な弾種7.62x51mm NATO
生産期間1964-1980s
備考ショートストロークガスピストン・リニアハンマー撃発
ピストン部はレミントンM8Cという、M40無反動砲用スポッティングライフルを、ボルト部はFALやSKSをそれぞれ参考にして出来上がった戦後国産AR。
しかし各所にふんだんに独自要素が盛り込まれている。
例えば一見するとFALのメインスプリング構造を模倣したかと思ってしまいそうな銃床内に伸びる部分も、実はリニアハンマー式というかなりマイナーな撃発機構のために用意されている。
64式のボルトとか

モデルガンの部品だけど……
type64 bolt assy.jpg

  • ボルトキャリアの形状などはとてもわかり易くチェコ機銃風だと思う。
  • しかもZB vz. 30とかみたいな改良型じゃなくて、オリジナルのZB vz. 26っぽい。
 

 
 

 

コメント


*1 正確にはZB vz. 27というモデルだそう
*2 参考URL