テレスコーピングボルト

Last-modified: 2024-02-29 (木) 22:40:03
人形DNA鑑定:HG|SMG|AR|RF|MG|SG〕

 
伸びたり縮んだりする棒状のもの、なーんだ
見えないモノを見ようとして 望遠鏡を覗き込んだ
 

 

簡単な説明

 

UZIの成功によりテレスコーピングボルトは世界的に使用されるようになったが、構造そのものは実にシンプルなので一気にコモディティ化していった。
ここではテレスコーピングボルトを採用してはいるものの、UZIとは明確な繋がりを見出だせないSMGを集めた。

 
ところでさっきからテレスコーピングボルト言ってるけど何なの?

例によって言葉で説明するより模式図を見た方が手っ取り早いだろう。
TelescopingBolt-Internals-3.png

  • MP40のような一般的なストレートブローバックSMGでは、ボルトの一番前方に薬莢を薬室に押し込んで保持する面(ボルトフェイス)が存在する。
    • ボルト本体はその後ろに伸びるので、銃の全長は”銃身”+”ボルト”+”ボルト後座長”+ (ストック) となる。
  • 一方UZIをはじめとするテレスコーピングボルトSMGでは、ボルト本体が銃身を包み込むように前方に伸びている。
    • 極端なことを言うと銃の全長は"銃身"+"ボルト後座長"+ (ストック) になってコンパクトにできる。

テレスコーピングボルトでは、銃身とボルトがまるで望遠鏡*1(テレスコープ)のように伸縮するので、テレスコーピングボルトの名がついたのである。

銃身を包み込まずとも、銃身の上下にボルトを伸ばしてやっても同じ効果が得られる。このときはボルトの形状がL字型(またはΓ字型)になるので、L字ボルトとも呼ばれたりする。
特にボルト重量だけで射撃の反動を受け止めて発射レートをコントロールする必要のあるストレートブローバックでは、ボルトが重く大きくなりがちなのでテレスコーピングボルトの効果が大きいわけである。

全てストレートブローバックで作動する。

 

イングラムの親戚

 
イングラム
018 mac-10.png主な弾種.45 ACP
生産期間1970-
備考オープンボルト
テレスコーピングボルトを採用したコンパクトSMGといえばこれだろう。
 
T77
218 t77.png主な弾種9x19mm Parabellum
生産期間1985-
備考オープンボルト
凄くイングラムです。一部UZI臭いところもあるけど。
 

ベレッタの人々

 

まとまりの都合で一緒にされているだけで、特に血の繋がりは無さそうですよこの2人。

 
M12
191 m12.png主な弾種9x19mm Parabellum
生産期間1959-
備考オープンボルト
ボルトやレシーバー周辺はいかにもベルグマン系のSMGを思わせる造形だが、テレスコーピングボルトを採用しているのが特徴的。
しかもテレスコーピングボルトのアイデア自体は、イタリアでも第二次大戦中にアルマゲラOG-44という形で既に実践されていたんだそう。
つまり平行進化した可能性もある。マガジンがグリップの中を通らないのもそのせいか。
 
Cx4ストーム
225 cx4 storm.png主な弾種9x19mm Parabellum
生産期間2003-
備考クローズドボルト
外装やスペックを見る限りだと何の変哲もないイマドキのPCCの雰囲気だが、フタを開けてみると巨大なテレスコーピングボルトがお出ましする。
恐らくマルチキャリバー対応する上でボルト強度に余裕をもたせる必要があったのだろう。
脱いだらすごいんです。
 

どこともあんまり似てない人

 
MPL?&MPK?
363 mpl.png
364 mpk.png
主な弾種9x19mm Parabellum
生産期間1963-1985
備考オープンボルト
皆さんご存知ワルサー社謹製のシンプルなSMG。
特別悪い設計だったということは無いのだが、セールスが振るわずややマイナーか。
 
Jatimatic?
384 jatimatic.png主な弾種9x19mm Parabellum
生産期間1963-1985
備考オープンボルト
銃身とボルト前後動の軸線が交差している*2ことが特徴のフィンランド製SMG。
ストックレスデザインとテレスコーピングボルトを採用したことで非常にコンパクトに仕上がっている。
 
シプカ
150 shipka.png主な弾種9x18mm PM
生産期間1996-
備考オープンボルト・ストレートブローバック
マグウェルとグリップの位置に対して銃口がかなり前よりにあり、かつオープンボルトであるにも関わらずトリガーからレシーバー後端までが詰まっていることを考えると、恐らくテレスコーピングボルトを内蔵しているだろう。→テレスコーピングボルトで当たってました。
なぜわざわざグリップとマグウェル分離させたのかは謎だが。
レイアウトはベレッタM12と似ている気が(ちょっとだけ)する。
 
シプカのボルト

ありがとうブルガリアのGunTuber

shipka_bolt.jpg

  • 写真下方が銃口側になる
  • 円筒を半分に割ったような錘の後端部(写真上方)にボルトが収まっている
    • まさに教科書通りのテレスコーピングボルトと言っていいだろう。
 
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OTs-39
209 ots-39.png主な弾種7.62x25mm TT
生産期間1999-
備考クローズドボルト・ストレートブローバック
何の変哲もないテレスコーピングボルト採用のSMG。
巨大なコンペンセイターが目印。
PP-19と一緒にAKファミリーの他人の空似枠に入れようかとも思ったけど、ボルト形状が似ても似つかないのでこちらへご案内した。
 
PP-2000?
024 pp-2000.png主な弾種9x19mm Parabellum
生産期間2004-
備考クローズドボルト・ストレートブローバック
銃身上方に並行してコッキングハンドルが伸びるデザインで、G36のような操作でコッキングする。
PP-90M1 (1990s) を改良。こちらはヘリカルマガジンを備えている点でユニーク。
コッキングハンドルの部分がL字ボルトとしての役割も担っている。
 
CF-05
295 cf05.png主な弾種9x19mm Parabellum
生産期間2006-
備考クローズドボルト・ストレートブローバック
レシーバー上面にヘリカルマガジンを備えた独特の構造を持つ。
給弾口が後部に位置する関係か、こちらも大きなテレスコーピングが隠されている。
ヘリカルマガジンとテレスコーピングボルトで小型・大容量を目指す設計は上記のPP-90M1に通ずるものがあり、これも平行進化というものか。
 

 
 

 

コメント


*1 カリブの海賊が持っているような屈折式望遠鏡を想像して欲しい
*2 そのせいで銃口を何かにぶつけて曲げてしまったみたいに見える