ローテーティングボルトショットガン

Last-modified: 2024-02-29 (木) 22:40:03
人形DNA鑑定:HG|SMG|AR|RF|MG|SG〕

 
ベネリ社のボルトフェイス模式図
 
きほんはまる
まるかいて まる
 

 

簡単な説明

 

薬室の閉鎖にローテーティングボルトを採用したショットガンの寄り合い所帯。
ライフルやアサルトライフルではほぼ一強だったのとは対照的に、ショットガンでの採用例は少なめ。

 

ベネリ家

 

ベネリ社は特にセミオートショットガンに定評のあるイタリアの銃器メーカーだが、実はボルトの形状も独特である。
もちろんローテーティングボルトなのだが、ボルトフェイスの大きな円にロッキングラグの小さな円が2つ組み合わさった形をしている。

 
Nova?
352 supernova.png主な弾種12ゲージ
生産期間1990s-
備考レシーバーとストックをポリマーの一体成形とすることで、軽量化に成功したポンプアクションショットガン。
 
問題のボルト形状

見る角度によっては四つ葉のクローバーのようにも見える
nova 12ga bolt.jpg

このボルト形状はM1 Super90 (1986) から採用されたらしい
m1super90.gif

その前の世代の製品であるSL80 (1978)ではプロップアップ式の閉鎖方式を採用している
sl80 bolt assembly.jpg

  • 下側のバーのような部分が飛び出してレシーバーに突っ張る
    • 実際の動作はこの動画を見ると分かりやすいだろう
 
M1014
165 m1014.png主な弾種12ゲージ
生産期間1999-
備考M3までの慣性利用式を改め、ショートストロークガスピストンによるセミオートになったやつ。
しかしボルト形状は変わっていない。
 
M4 Super90の中身

ボルト周りの図
Benelli_M4_schem.jpg

  • 見ての通りロッキングラグが丸みを帯びた特徴的な形状をしている
  • 一方、先ほどのM1 Super90と見比べてみると、ボルトキャリアに内蔵されていたスプリングが無くなっている
    • ガス圧作動式の採用で、慣性を蓄えるバネが要らなくなったためこうなっている
  • 慣性利用式についてはこの動画が詳しい。
  • M4のガス圧作動は今更解説するほどでもないと思うが、いつものWorld of Gunsで解説されている。
    • 銃身の下側にオペロッドが2本通るレイアウトは、アサルトライフルではあまり見られない。

余談だが、ベネリ社はストック内にメインスプリングを納めるレイアウトが大好きなようで、SL80やこのM4 Super90といったセミオートショットガンに留まらず、5.56x45mmを使用するセミオートライフルであるMR-1でも一貫して採用している。

 
LTLX7000
323 ltlx7000.png主な弾種12ゲージ
生産期間2007
備考ベネリ スーパーノヴァ (2006)あたりをベースにしたと思われる、低致死性武器の試作品。
開発はベレッタ社だが、この頃にはすでにベネリはベレッタの傘下に収まっている。
 

ウィンチェスターさんち

 
ウィンチェスター Model 1200
404 not found.png主な弾種12ゲージ
生産期間1964-
備考生産コストが嵩む上に陳腐化していたModel 12*1 (1912)の置き換えのために開発されたローテ―ティングボルトのポンプアクションショットガン。
残念ながらレミントンModel870の勢いには勝てなかったようだ。
 
ウィンチェスターModel1200のボルト

ウィンチェスターModel1200のボルト
win1200_bolt.jpg

  • 背の低いロッキングラグが4つ並んだ構成が特徴的
  • ブリーチを銃身側に設けることでレシーバーのコストを削減する手法は同じく60年代に登場したM16でも実践されている
 
KS-23
158 ks-23.png主な弾種23mm
生産期間1971-
備考23mmとかいうヤケクソみたいな口径のポンプアクションショットガン。
4ラグ?のローテーティングボルトを備えている。
 
中身拝見

分解した図
ks-23 parts.jpg

  • フォアグリップからアクションバーが延びてボルトキャリアに接続される構造は至って素直なポンプアクションショットガンのレイアウトである

ボルトフェイスを拡大
ks-23 bolt.png

  • 意外!それは米帝ッ!
  • 上述のModel 1200のボルトとそっくりである
  • 当然AKベースのSaiga-12のローテ―ティングボルトとは血統が違うということになる

比較のためにウィンチェスターModel 1200のボルトキャリアを横から
win1200_bolt carrier.jpg

  • ボルトキャリアのシルエットも酷似していると言って差し支えないだろう
 
TPS?
387 tps.png主な弾種12ゲージ
生産期間2003-2012
備考ウィンチェスターModel 1300に様々な近代化改修を施したポンプアクションショットガン。
↑Model 1300はModel1200を改良したものだが、内部のメカ的にさしたる相違はないようだ。
 

その他の皆様

 
CAWS
281 caws.png主な弾種12ゲージ
生産期間1980s
備考後座機構付きロングストロークガスピストンとか言う凝り凝り設計のフルオートショットガン、しかもブルパップ。
通常のショットガンより長射程を求められたため、重厚なマルチラグを備えたローテーティングボルトで高い腔圧に耐えられるように設計されている。
 
CAWSの中身

G11なんかとも共通する雰囲気を感じる
caws parts.jpg

  • 上側に置かれているのがガスシステムとボルトアセンブリ
    • 解像度の関係で見にくいが、前出のKS-23のボルトに比べるとロッキングラグが肉厚なように見える

内部構造の概念図
caws schema.png

  • もうバネだらけで何が何だか
    • 先に銃身+ボルトアセンブリが後退を始め、その後ガスシステムが駆動し薬室を開放するという順序のようだ
 
SPAS-15?
366 spas-15.png主な弾種12ゲージ
生産期間1986-2005
備考SPAS-12の後継となるセミオート/ポンプアクション切り替え式ショットガンだが、内部構造にその面影はなく直動式ボルトからローテ―ティングボルトに変更されている。
 
SPAS-15のボルト

上のウィンチェスター1200系に比べると肉厚に感じる。
spas15_bolt.png

  • ボルトキャリアからローテ―ティングボルトが生えている
    • それなりにオーソドックスな構成と言っていいだろう
 
UTS-15?
368 uts-15.png主な弾種12ゲージ
生産期間2012-
備考特異なブルパップ構成や大容量チューブマガジンはNS2000を下敷きにしているそうだが、閉鎖機構はより一般的なローテ―ティングボルトに落ち着いている。
 
UTS-15のボルト

なかなか写りのいい写真が見つからなかった…
uts15_bolt.png

  • ボルトキャリアに切られたガイドはどう考えてもローテ―ティングボルト用のそれである
 

 
 

 

コメント


*1 コイツ自体はイサカM37のものに近いティルトボルトを備えているポンプアクションショットガンだった