珍しい閉鎖方式

Last-modified: 2024-02-29 (木) 22:40:03
人形DNA鑑定:HG|SMG|AR|RF|MG|SG〕

 
 

簡単な説明

 

文字通り珍しい閉鎖方式を採用した小火器たちである。

 

ねじ式

 

尾栓を文字通りねじで止めてしまう方式。
密閉の度合いはピカイチだが、説明するまでもなく連射性は全く期待できない。
大砲の世界ではこれを改良した隔螺式、あるいは段隔螺式が現在でも広く用いられている。

 
QSB-91
322 qsb-91.png主な弾種7.62x17mm
生産期間1992-2011
備考ネジ式の4連ハンドガン(?)
ナイフの柄に銃身があるって……?
 
一見すると柄に小物入れが付いたサバイバルナイフのようにも見える

が、開けてびっくり
qsb open.jpg

  • 柄の中からは4発分のチャンバーが出てくる。
  • それだけのシンプルこの上ない構造である。
 

火砲での使用例(南北戦争時代のウィットワース後装砲)

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  • ハンドルをくるくる回して尾栓を開いている。
    • 年代物の割には状態がよく、非常にスムーズに動作している。
    • しかしそれでも開くまでには時間がかかっている。
  • この欠点を改良したのが隔螺式・段隔螺式である。
 

隔螺式のM777榴弾砲

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  • よく見ると尾栓の半分にだけネジ山が切られている。
    • このよう部分的にしかネジ山がないので「隔」螺式と呼ばれる。
  • 見ての通り(機械力の助けもあるが)素早く尾栓を閉鎖している。
  • さらにこれを改良した段隔螺式というものもあるが、どんどん長くなってしまうのでここでは触れない。
  • このネジ山の段数を1つにしたものが、マウザーアクション等でおなじみのローテ―ティングボルトと考えることもできよう。
 

鎖栓式

 

ボルト、あるいは閉鎖機が銃身の軸に対して垂直にスライドするもの。
戦車砲の閉鎖機としてポピュラー*1なアレである。
大砲に使用されるくらいなので強度は申し分ないのだが、上下(あるいは左右)に大きくスライドする一方で前後方向に動かせない構造のせいで、カートリッジの出し入れが必要な自動火器との相性は絶望的である。

 
PzB39
180 pzb 39.png主な弾種7.92x94mm Patronen
生産期間1940-1941
備考目には目を、戦車には戦車を、と思ったのかどうかは定かでないが、戦車砲ばりに垂直鎖栓方式を採用した対戦車ライフル。
鎖栓の開閉は人力だが、一般的なコッキングレバーを用いるのではなくグリップでコッキングを行うデザインも特徴的である。
 
大変頼りになるガンジーザスの解説

鎖栓を操作するのは3:10~あたり

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TS12?
321 ts12.png主な弾種12ゲージ
生産期間2018-
備考ショートストロークガスピストン・スライディングボルト(?)のブルパップ式セミオートショットガン。
一見するとボルト前方にロッキングラグがあるタイプのティルトボルトに見えるが、どうやら垂直にスライドすることで閉鎖・開放しているようだ。
 
続けて。

TS12のボルトとボルトキャリア
ts12 bolt.png

  • 注目はボルトキャリアの溝カムが2本存在するところ。
  • 2本のカムピンがボルトを保持しているのだが、そうなると当然傾けたり(ティルトボルト)回転させたり(ローテ―ティングボルト)するような動きは不可能である。
    • 必然的にボルトは上下にスライドするほかない。
  • 正直こうした他に例のない方式を採用するほどの動機付けが見つからないのだが、IWIはそういうことをする。
 

サイドヒンジ式鎖栓

 

チャンバー横に軸を設け、ここを中心に尾栓を回転させてロッキングラグに噛み合わせるタイプ。
恐らく鎖栓式の一つと扱ってよいだろう。
回転運動により開閉する都合、噛み合う部分が限られる他、ヒンジ部は明らかに圧力に弱く火砲を含めて採用例は多くない。

 
Thunder
202 thunder.png主な弾種.50 BMG
生産期間2004
備考あほ
 
サンダーちゃんのケ◯穴見せて

どうぞ
thunder-50.jpg

  • ピンボケしている左下がサンダーちゃんの尾栓を開けた様子である。
  • 尾部左下のヒンジを軸にして回転させているのが分かる。
 

その他のサイドヒンジ式鎖栓の例
Joslyn_rifle_closeup.jpg

  • 19世紀中頃のジョスリン(Joslyn)ライフルというものらしい。
  • こちらはより分かりやすくパカッと開いてるのが見て取れるだろう。
 

スライドチャンバー式

 

薬室ごと動かしてしまうというある意味初歩的な方式である。
歴史的にも最初期の後装砲はチャンバーごと取り替えていた。日本ではフランキ(仏狼機)砲として戦国時代に使用されていたものがそれである。
その後金属薬莢の発明など*2ですっかり廃れてしまったが、ごくたまに息を吹き返す。
勘のいい指揮官は既にお気づきかもしれないが、リボルバーも広義のスライドチャンバー式閉鎖方式と言えるだろう。

 
S-ACR
313 steyr acr.png主な弾種5.56x45mm SCF
生産期間1987
備考ガス圧利用式・垂直スライドチャンバー式
見た目はAUGの血を引いているが、フレシェット弾およびプラスチック製テレスコーピングカートリッジ*3を使用するためか独特のメカを搭載している。
後述のG11とともに米陸軍のACR(Advanced Combat Rifle:先進戦闘小銃)プロジェクトに出品されていたライフルのうちの一つでもある。
 
S-ACRお嬢様の中身

脱がすのは非常に簡単な部類である

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  • まるでエレベーターのようにチャンバーが上下しているのが分かるだろうか。
 

余談だが米テキストロン社がNGSW(Next Generation Squad Weapon:次世代分隊火器)コンペに提出したライフルもS-ACR同様のスライドチャンバー式を採用している。

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  • さらにプラスチック製薬莢のテレスコーピングカートリッジを採用と、まさに令和に蘇ったステアーACRと呼んでも差し障りないだろう。
  • なお、NGSWコンペには他にもDesert Tech MDR-X(とっC~❤)やGeneral Dynamics RM277が出品されていたが、SIG MCX SPEAR改めXM7の前に揃って討ち死にした。
 
G11
122 g11.png主な弾種4.73x33mm ケースレス
生産期間1990
備考ガス圧利用式・回転薬室閉鎖
ケースレス弾を使用する意欲的な試作銃。
G11自体は結局採用には至らなかったが、ポリマーフレームを多用する設計や4.7mm口径の特性など、のちのH&K製品に色々な意味で大きな影響を残した。
それはそうと銃の中にスイス製機械式時計を組み込むのはやめろ。繰り返す機関銃の中にトゥールビヨンを設置するのはやめろ。
 
回転する方向は

絶・天狼抜刀牙と同じ縦回転である(いや向きが逆だ)

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コメント


*1 知らん? 今すぐにガルパンを見てきたまえ
*2 可動部や隙間が多く、近代火砲の爆発力に耐えられなかったというのも大きいだろう
*3 薬莢の先に弾薬が飛び出さないタイプの実包のこと。実包の全長を短くでき、携行性を向上させられる