簡単な説明
マウザーが作ったからマウザーアクション。
ボルトアクションライフルといえばコレ、という感じのすごいやつ。
フロント2ラグのローテーティングボルトで、コックオンオープンで作動するのがマウザーアクション共通の特徴だろうか。
また、見た目の上での特徴としてはボルト後部にセーフティ機構をまとめていることが多い。
細かい点だが、ボルトの閉鎖時にラグが垂直向きになるのもマウザーアクションに多い特徴といえる。
Gewehr 98のカットモデルを動かす動画。
- ボルトを閉鎖すると、ボルト前方のラグが縦向きに薬室を閉鎖しているのがわかる。
- 手前側に鎮座まします巨大なクロー・エキストラクターは、古典的なマウザーアクションの特徴でもある。
- ボルトハンドルを回転させても、エキストラクターは回転しない。
- このクローエキストラクターは排莢動作が確実になるという長所があるらしい。らしい。
- ボルトハンドルを回転させても、エキストラクターは回転しない。
- 細かいところだが、薬莢を薬室から抜き出しても、すぐには飛んで行かないところも、狭義のマウザーアクションに見られる特徴といえる。
- プランジャー式のイジェクターではなく、外装式のブレード・イジェクターを使用する。
- バネ力に依存しないため、ある意味では確実に動作する。
- しかし動画にあるように、勢いが足りないと飛んで行かないので、ジャムの元にもなりそうな…
- 静かに排莢させたり、薬莢を回収しやすいように射手のすぐ隣に転がしたりというような応用が効くんだそう。
- J隊さん、お一ついかがですか?
すべてフロント2ラグのローテーティングボルト、コックオンオープンである*1。
WW2まで
第二次世界大戦までの、まだ歩兵の主力武器だった頃のボルトアクションライフルとしてのマウザーアクションな皆さん。
春田さん | ||
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主な弾種 | .30-06スプリングフィールド | |
生産期間 | 1903-1975 | |
備考 | 基本的な特徴がGew98と共通した、アメリカ合衆国の制式ボルトアクションライフル。 |
春田さんのボルト
- 予備の第3ラグがボルトハンドルと同じ側に突き出している。
Gew98のボルト
- 元祖Gewehr 98では予備ラグはボルト下面に突き出している。
- それ以外にボルトでは目立った違いが無いような…?
明確に春田さんで改良されたと言えるポイントはイジェクターだろう。
左がかーちゃんのイジェクター、右が春田さんの断面図。小さいが上の方に"EJECTOR"の文字が見える。
- かーちゃんの方は写真下側の箱の中に板バネが入っていて、その力で写真上側にブレード状のイジェクターが飛び出すようになっている。
- 一方春田さんのイジェクターは、ラグに押されてテコの原理で飛び出すようになっている。
- 春田さんは部品点数が減ってシンプルな上に、バネがヘタって排莢不良となる心配もない、合理的な改良である。
おまけ
その名も ~Mausingfield~
- メーカーであるAmerican Rifle Company (すごい名前だ) 曰く、2つの世界大戦を通じて生まれたボルトアクションの現代版とのこと。
- でもマウザーもスプリングフィールドも第一次大戦前の銃では?
- 細かいことはいいんだ。ともかく、Gewehr 98とスプリングフィールド1903のいいとこ取りを狙ったアクションなんだそう。
- 具体的にはエキストラクター周りはマウザーのものを、イジェクターはスプリングフィールドの機構を取り入れている。
- でもそれってただのスプリングフィールドなのでは?
- 細かいことはいいんだ。ともかく、銃の精度そのものより、確実な装填・排莢を重視したアクションとして仕上がっているようだ。
- ちなみにトリガーグループ及びセーフティはレミントン・モデル700のものを流用している模様。
- それってMausingfieldじゃなくてReminingfieldなのでは?
- 細かいことはいいんだ。
Kar98k | ||
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主な弾種 | 7.92x57mm Mauser | |
生産期間 | 1935-1945 | |
備考 | WW2時のナチス・ドイツの制式ライフルだが、本を正せばGewehr 98 (1898)の短縮版なので、原設計の古さではこの並びで最古参と言えよう。 ↑さらに遡るとMauser Model 1895とかMauser Model 1893とかにたどり着くんだそう。 |
冒頭で述べた(かもしれない)通り、マウザーアクションの特徴は次の3点にあるだろう。
- フロント2ラグ・ローテーティングボルト
- コックオンオープン
- 大型のクロー・エキストラクター
これらの特徴はGewehr 98で一度に揃った訳ではなく、19世紀後半に徐々に形成されていったようだ。
まずコックオンオープンの機構や、フラグ・セーフティと呼ばれる形状の安全装置レバーはGewehr 71 (1871)で既に備わっている。
- ただしこの頃はまだ単純な1ラグ閉鎖で*2、フロント2ラグにはなっていない。
- 巨大なクロー・エキストラクターも無い。
- 写真はチューブマガジンを備えて連発化したGewehr 1971/84だそう。
続いてモデル1889 (1889)までには、現在に続くフロント2ラグの形式が登場する。
- ボルトヘッドに2つのラグが付いているのがよく分かる。とてもシンプルな形状。
- クロー・エキストラクターは未登場で、代わりに慎ましい小さなエキストラクターが付いている。
そしてトライアル提出用の試作品であるモデル1892 (1892)では、Gewehr 98のボルトを大きく特徴づけるクロー・エキストラクターが初めて組み込まれた。
- スペイン・マウザー、モデル1893 (1893)にて制式採用される。上の写真はそれ。
- ここまでで一通りマウザーアクションの諸要素は出揃ったことになるが、細かい改良が続く。
スウェーデン・マウザー (1894)やモデル1895 (1895)では、ボルトハンドル基部を予備の3ラグ目とする改良が加わる。
- レシーバーのボルトハンドルが収まる部分に、小さな切り欠きがある。
- 記憶が定かではないが、このタイプの予備ラグは左右方向に弾が散りやすい(?)というデメリットがあった気がする。
- ボルトハンドル基部を予備ラグとする都合で、右側にもう一つロッキングラグが加わることになる。
- 一方マウザーアクションの主ラグは前方2つのラグが縦方向に閉鎖する。
- つまり右側の予備ラグの閉まり加減が、そのままボルトの左右の微妙な傾きに繋がるんだそうな。
- そのため左右方向の集弾に個体差が出やすい……んだった気がする。
そこでGewehr 98では予備ラグをボルトハンドルから独立させ、ボルト下面でレシーバーと噛むように変更した。
- トリガーグループと弾倉の間にある切り欠きが、予備ラグの収まる部分になる。
- 予備ラグをどうしても残したい辺りは、まだまだ無煙火薬のエネルギーへの警戒感があったのだろうか。
- ともかくここにマウザーアクションは一定の完成を見たと言って良いだろう。
実は……
この項では敢えて"Gewehr xx"と"モデル xxxx"を書き分けていたことを、賢明な読者諸氏はお気付きであっただろう。
そう、マウザー製のドイツ軍制式ライフル(つまり"Gewehr")はGewehr 71からGewehr 98まで大きく間が開いている。
ドイツ帝国のライフルというとマウザー、そういうイメージが大きいが、実のところ上の2つの間にGewehr 88 (1888)、またの名をコミッションライフルが挟まっているのである。
このドイツ陸軍謹製コミッションライフルはしかし、設計が不味かったことで有名で、一方マウザー製の最新ライフルがその性能から世界中で契約を勝ち取ったことから、ドイツ以外の国々がドイツ製の高性能ライフルを次々と装備していくという不条理が発生していたのだった。
流石にこれは不味いと思ったのかどうかは分からないが、ドイツ陸軍は1898年に満を持してマウザーの最新鋭ライフルを調達する。
これがボルトアクションライフルのマスターピースであるGewehr 98だったのだ。
81式カービン | ||
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主な弾種 | 7.92x57mm Mauser | |
生産期間 | 1940s | |
備考 | 日中戦争中の八路軍で開発・生産されたライフルなのだが、実態としては共産党が現地生産した各国小銃のコピー品という感じのようで、三八式騎銃のレシーバーを持つものや、漢陽88式のレシーバーのものなど、規格化された制式装備というわけではなかったようだ。なんでも開発者の証言ではチェコのvz. 24に基づいて作ったんだとかなんとか。 漢陽88式はさておき、三八式騎銃とvz. 24はどちらもマウザーアクションの小銃なので、81式もマウザーアクションという扱いで問題は無いだろう。 |
カラビネックのお友達
意外! それはポーランド!
wz.29 | ||
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主な弾種 | 7.92x57mm Mauser | |
生産期間 | 1930-1939 | |
備考 | ポーランドでコピーされたGew98 |
PTRD? | ||
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主な弾種 | 14.5x114mm | |
生産期間 | 1941-1945 | |
備考 | ショートリコイル動作による自動排莢機構付き、ソ連製ビックリドッキリ対戦車ライフル。 ↑ポーランドの単発対戦車ライフルWz.35 (1935)を下敷きに、PzB38 (1939)の自動排莢を取り入れたやつ、ということらしい。 ↑KP-32 (1932)という試作小銃の発展拡大型とのこと。 ↑wz.29の生産性向上を図った改良案 |
まずはwz.35→PTRDのところ。ボルトの比較(←PTRD│wz.35→)
- 見ての通りwz.35を拡大コピーするとPTRDになる
- ご丁寧にエキストラクターの形状までほぼ一致している
- 分解手順なども基本的にwz.35を踏襲している。詳しくはこの動画をチェック。
KP-32については、実銃が残っていないようでなかなか断定的なことは言えないけれど、wz.29とKP-32のパーツを並べたスケッチが残っていて、設計の上で強く意識していたことが感じられる。
- PTRDではオミットされているが、KP-32とwz.35にはマウザーアクション恒例の予備ラグが備わっている
ウィンチェスター・モデル70っぽいの
ウィンチェスター・モデル70は、戦前の登場から戦後しばらくの間、アメリカのスポーティングライフルといえばコレ、という人気と信頼を誇っていたすごいやつ。
戦後は色々あってトップの座をレミントン・モデル700に取って代わられたが、それでもスタンダードなマウザーアクションのボルトアクションライフルとして、現代の狙撃銃の設計の参考にされているようだ。
ウィンチェスター・モデル70 | ||
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主な弾種 | いろいろ | |
生産期間 | 1936-63 (Pre-64), 1964-2006 (Post-64), 2008- | |
備考 | 「ライフルマンのライフル」「世紀のボルトアクションライフル」の異名を取るビッグネームで、なぜかドルフロ未実装勢No.5くらい。 ↑ウィンチェスター・モデル54 (1925) に改良を加えたもので、特にトリガーの重さが改善されたんだとか。 ↑Gewehr 98に大いに影響を受けたデザイン。正確には間に限定生産のモデル51"インペリアル"が挟まるんだそう。 |
レシーバー周りを並べてみよう。
まずGewehr 98
次にモデル54
終わりにモデル70
- 基本的なレイアウトが共通しているのが分かるだろうか
- 特にGewehr 98とモデル54ではセーフティの形状まで同じで、瓜二つといった感すらある
- 外見上の特徴としてはやはり、外装式の大型エキストラクターだろう
モデル70のボルト
同ボルトフェイス(ついでにGewehr 98とマウザー・モデル1893)
- こちらを見ても、典型的なマウザーアクションの構成を採っていることが分かる
- Gewehr 98との違いは、イジェクターが通る切り欠きの位置がズレている程度か
C14? | ||
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主な弾種 | .338 Lapua Magnum | |
生産期間 | 2005- | |
備考 | 基本的にはウィンチェスター・モデル70の近代化といった雰囲気のスナイパーライフル。 なお、C14として採用されたPGW Timberwolfだが、現行品はレミントン・モデル700系のアクションとなり仕様が異なる。 |
Post-64タイプやね
SPR A3G | ||
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主な弾種 | .308 Winchester | |
生産期間 | 2008(?)- | |
備考 | 色々あってFN社に買われたウィンチェスター・モデル70を、法執行機関向けに改良した狙撃銃。 売りは何と言っても復刻されたPre-64なアクションである。どんだけ好きなんだ。 |
T-5000 | ||
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主な弾種 | .338 Lapua Magnum | |
生産期間 | 2015- | |
備考 | トリガーグループをレミントン・モデル700よろしくモジュール化したという雰囲気のウィンチェスター・モデル70。ロシア製ライフルでメリケンなアクションを使ってるのはなんだか面白い。 |
こっちもPost-64タイプ
索引(人形名からページを探す) | ||
人形DNA鑑定 もくじ | ||
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手動操作 | リボルバー|中折式HG | |
反動利用式 | ティルトバレル:ティルトバレル|シグ・ザウエル閉鎖方式|グロックインスパイア | |
それ以外:プロップアップ式|その他の反動利用式 | ||
ブローバック | ワルサーPP系|ブローバック式ハンドガン | |
ベルグマン系 | ベルグマン本家|ベルグマン東分家|ベルグマン西分家 | |
テレスコ | ウージー系|テレスコーピングボルト (UZI以外) | |
その他 | ブローバック式SMG|レバー遅延ブローバック | |
Pre-AK/M16 | 戦後第一世代ティルトボルトAR|ローラー遅延ブローバック | |
カラシ系 | AK一家|戦後第二世代AKインスパイアAR|大陸系AR|AS-Val系 | |
ストーナー系 | M16一家|AR-18系|G36系|SCAR系|ストーナー風味 | |
ボルト アクション | マウザー系:かーちゃんち|M700系|その他ドイツっぽいの:Gew88系 | |
その他:梨園さん風|寸胴ボルト|ルベル系|白旗 | ||
自動ライフル | 平たいボルト族|ハイセンスなボルト|ロングリコイル | |
一応調査完了 | チ○コ機銃|PK系|HIRAKI|直動ボルト式MG|MG30系 | |
一応調査完了 | レミントン870系|直動ボルト式SG|ローテーティングボルト|その他のセミオート|中折式SG | |
銃種混合 | 珍しい閉鎖方式|その他のティルトボルト |