M16一家

Last-modified: 2024-02-29 (木) 22:40:03
人形DNA鑑定:HG|SMG|AR|RF|MG|SG〕

Born in the U.S.A.
So they put a rifle in my hand
Sent me off to a foreign land
To go and kill the yellow man
 

 

かんたんな説明

 

東にAKあれば西にM16あり。
そんな感じで冷戦期を代表する自動小銃の片割れであるM16の親戚たち。

 
雑感

M16の開発や採用経緯は誰かが詳しく書いてくれていると思うので、そちらを参照のこと。
M16系の作動方式上の特徴は、燃焼ガスを直接ボルトキャリアに吹き付けるDI式*1と、レシーバーの小型化に貢献するバッファーチューブの存在だろう。
DI式にはショートストロークガスピストンに比べるとパーツ点数を削減でき、ロングストロークガスピストンに比べると長大なピストンロッドを排除することで慣性質量を抑制できるという長所がある。
またバッファーチューブはボルトのストロークを長く取ることを可能とし、それだけ反動を緩和につながる。

内部機構上の特徴はこれとあとはマルチラグローテーティングボルトくらいだが、それ以上にM16系を強く特徴づけているのは操作系だろう。
右手親指で操作可能なセーフティ/セレクター、同世代の自動小銃では珍しいマグウェルに挿入するだけの簡便なマガジン保持、リロード時にコッキングが不要になるホールドオープン等々、各要素は別にM16で開発されたものでない。しかしM16の斬新さは、こうした優れたUIを組み合わせた上にさらに、特徴的な作動方式から来る操縦性の良さを協働させた点にある。

もちろんこうした工夫の数々は製造上・整備上のコストを押し上げることになるが、それでもなおユーザビリティを優先した設計となっていると言えよう。ユーザビリティを多少犠牲にしてでも、製造上・整備上のコストの低減が図られたAK系とは好対照をなしている。

ここではストーナー式DIを備えたいわば"純血"のM16ファミリーと、作動方式をDI以外に変更した亜流のM16ファミリー、その他雑多な連中をまとめた。

特記無き場合はマルチラグローテーティングボルト閉鎖である。

 

ストーナー式DI

 
M16A1
054 m16a1.png主な弾種5.56x45mm NATO
生産期間1964-
備考AK並に子種撒き散らしパパ。
 
M4A1
055 m4a1.png主な弾種5.56x45mm NATO
生産期間1993-
備考M16にレールシステムを組み込んだり気持ち短くしたりしたカービン。
 
M4 SOPMOD II
056 m4 sopmod ii.png主な弾種5.56x45mm NATO
生産期間1993-
備考SOPMODってのは確か米軍公認カスタムパーツ群のことであって、銃そのものではないような。
 
Mk12
226 mk12.png主な弾種5.56x45mm NATO
生産期間2000s
備考M16のマークスマンライフル仕様と言ったところだろうか。
 
ベオウルフ?
383 beowulf.png主な弾種.50 Beowulf
生産期間2001?*2-
備考ベオウルフというのは銃の名前というよりは弾の種類である。.50の名前の通り直径12.7mmの弾丸*3が飛び出す。
これはすごい
 
KH2002?
342 kh2002.png主な弾種5.56x45mm NATO
生産期間2004-
備考ノリンコCQ (1980s) をブルパップ化したパキスタンの自動小銃。
M16のデッドコピー。
 
M99
128 m99.png主な弾種12.7x108mm
生産期間2005-
備考Accuracy International AS50*4によく似た見た目の、中国製対物狙撃銃。
なのだが、作動方式はストーナー式DI・ローテーティングボルト
このデカさで!?
でも中国人がそう言ってるからそうなんだと思う。
 
Super SASS
124 super sass.png主な弾種7.62x51mm NATO
生産期間2006-
備考使える方のwikiによると、AR-15を拡大した方のAR-10A2の改良版なんだそう。
 
M110?
381 m110.png主な弾種7.62x51mm NATO
生産期間2007-
備考上のSuper SASSと同様にSASSコンペに出品された狙撃銃。
こちらはストーナーを拾ったKACの強みなのかオリジナルのAR-10が大本となっているんだそう*5
実際に採用されたのはMナンバーの付いているこちらだった。
 
SCW?
169 scw.png主な弾種5.56x45mm NATO
生産期間2009
備考バッファーチューブを短縮したAR-15という趣で、DI式とガスピストン式とがあるそうだが、試作品のみのようで情報が少なくよくわからない。
 
CM901?
394 cm901.png主な弾種5.56x45mm NATO等
生産期間2010-
備考M16/M4でおなじみ*6コルトがそれらの近代化モデルとして送り出したモジュラーライフル。
モジュラーライフルとして銃身交換に対応する他、フリーフロートバレル、モノリシックレシーバーといったトレンドも一通り網羅している。
 
Honey Badger
203 honey badger.png主な弾種300 BLK
生産期間2011
備考AR-15をベースにサプレッサーの装着を前提とした短銃身化や、専用弾である300 BLKへの対応をした。
 
ST AR-15
057 st ar-15.png主な弾種5.56x45mm NATO
生産期間2011
備考Spike's Tacticalが創業10周年記念に100丁限定で生産したプレミアムなAR-15。
 
SCR?
365 scr.png主な弾種5.56x45mm NATO
生産期間2014-
備考正確にはAR-15向けのカスタムロワレシーバー+ボルトキャリアである。
バッファーチューブを折り曲げ、グリップ付き曲銃床を取り付けられるようにしたもの*7
 
OBR
230 obr.png主な弾種7.62x51mm NATO
生産期間2015?-
備考AR-10、というか7.62mm版AR-15のサードパーティ製カスタムモデルだそう。
 

DI式でない皆様

 

作動方式違うのに同じページにするのはどうよという話もあるが、M16に強く影響されてるのは事実なので……
バッファーチューブがあることを一つの判断基準にしました。

 

ストレートブローバック

 
RO635
143 ro635.png主な弾種9x19mm Parabellum
生産期間1982-
備考全体的なレイアウトはM16を引き継いだSMG。
ストレートブローバックに改められているので、ガスシステムはまるっとオミットされている。
当然閉鎖機構も持たない。
 
AR-57
328 ar-57.png主な弾種5.7x28mm
生産期間2008-2016
備考AR系のロワレシーバーを流用して5.7mm弾を発射可能にする、カスタマイズアッパーレシーバーって感じ。
動作は普通のストレートブローバックになっている。そのため閉鎖機構は無いはずである。
バッファーチューブはAR系を流用可能っぽい?
 

ショートストロークガスピストン

 
T65
193 t65.png主な弾種5.56x45mm NATO
生産期間1976-
備考AR-18の台湾人のいとこ。ということだったのだが……
AR-18をライセンス生産した経験から、その内部構造とM16の操作系を合体させたらしい。
しかしバッファーチューブが残ってるんじゃああんまりAR-18っぽくはないよなぁ。
T65の中身
  • 見ての通りご丁寧にバッファーチューブがある。
    t65kit.jpg
 
T91?
181 t91.png主な弾種5.56x45mm NATO
生産期間2003-
備考T65をレールシステムなどに対応させ、M4ライクな外見にした近代化モデル。
やっぱりAR-18よりはM16に似ている。
T91の中身
  • こちらも同じくバッファーチューブがある。
  • 正確には米WOLF Performance Ammunition社が台湾から輸入して販売しているT91のアッパーと、米国内で手に入るM4のロワを組み合わせたものになる。
    • なので当然ながらバッファーチューブが残っている。
    • 逆にバッファーチューブを必要としないもののM4のロワが使えた第一世代SIG MCXは、ある意味不思議な存在かもしれない。
      t91 wolf.jpg
 
416
065 hk416.png主な弾種5.56x45mm NATO
生産期間2004-
備考ショートストロークガスピストンに改めたM4という雰囲気。
バッファーチューブは健在。
 
けお芋ちゃん
146 g28.png主な弾種7.62x51mm NATO
生産期間2010s-
備考軍用のHK417を民間の競技射撃向けに高精度化したMR308を軍用にカスタムしたもの。
けお芋ちゃんと言うよりはけお従姉妹ちゃんくらいの雰囲気。
 
R5
289 r5.png主な弾種5.56x45mm NATO
生産期間2010-2016
備考ショートストロークガスピストン式に改めたARクローン。バッファーチューブもあるっぽい。
 
QBZ-191?
361 qbz-191.png主な弾種5.8x42mm
生産期間2019-
備考ショートストロークガスピストンを備えた中国の次世代制式自動小銃。
見た目はAR-18系のモダンな自動小銃っぽい雰囲気だが、どうやらストックにバッファーチューブが内蔵されているらしい。
近年中国はHK416のクローンモデルも生産していたということなので、そちらからの影響があるんじゃないかと邪推している。
余談だが、ここのところHK416の制式採用が続いているあたり、中国もその流れに乗ったと見ることもできるのではなかろうか。
 
QBU-191?
388 qbu-191.png主な弾種5.8x42mm
生産期間2019-
備考QBZ-191のDMR仕様のバリエーション。
 

 
 

 

コメント


*1 正確にはストーナー式DIというなかなか凝ったものだが、ここでは単純にDI式として説明する。
*2 銃、というか.50 Beowulfに対応するアッパーレシーバーの正確な発売時期はぱっと見では分からなかった。が、弾が発表されたのが2001年ということなので、同時期と考えるのが妥当だろう。
*3 とはいえM2重機関銃で使用される12.7x99mm NATO弾のような薬莢にネックがあるタイプではないので、相応に弾速は遅い。
*4 ちなみにAS50はDI式作動、ティルトボルト閉鎖。FALをそのまま拡大コピーしたような形のボルトが笑いを誘う。
*5 ということはM16/AR-15の直系ではないと考えることもできる…?
*6 と思っていたらいつの間にか製造はFNに奪われていた
*7 なぜそんなユージン・ストーナーに祟られそうなことをするのかと言うと、もちろんAR-15をターゲットとした規制を回避するためだ