寸胴ボルト

Last-modified: 2024-02-29 (木) 22:40:03
人形DNA鑑定:HG|SMG|AR|RF|MG|SG〕

起伏のない美しいフォルム
416: 上は通気ダクトだわ……ダメ……挟まった、この穴、狭すぎよ!
UMP9: わたしが試してみる……あ、ダメ……わたしまで挟まっちゃった。
UMP45: 私がやるわ……入れるみたい。
 

 

簡単な説明

ローテーティングボルトのボルトアクションライフルの中でも、ボルト本体の直径が、ボルトヘッドのラグを含んだ直径と同じか、より大きくなるように設計されたグループ。
こうすることでボルトの操作をスムーズにするんだそう。
当然ながら全てボルトアクション・ローテーティングボルト、(多分)ストライカーファイアである。

 
もう少し詳しく
  • 実際に写真で見るとわかりやすい。左が寸胴ボルト、右が普通のボルト(代表レミントン700)になる。
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  • 注目はロッキングラグの奥に見える、ボルト本体の"肩"
    • ボルト本体を太らせることで、レシーバーとの摺動面に対してロッキングラグが出っ張らないようにしているわけだ。
  • 今度はレシーバーを見比べてみる。左がウェザビーMark V(多分)で、右がレミントン700。
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  • 寸胴ボルトのウェザビーMark Vのレシーバーは、ボルトが通る穴が真ん丸なのが分かるだろう。
    • 確かにこれなら寸胴ボルトの方がスムーズに前後動させやすそうである。
  • また寸胴ボルトにする都合、ラグの高さは抑制したい。
    • ラグが高いとボルト本体の直径も大きくなり、当然それだけレシーバーも無駄に大きくなってしまう。
  • そのため3ラグ、あるいはその倍数個のラグを採用することが多い。
    • 自ずとボルト操作は60度になり、その点でもマウザータイプの2ラグより美味しい。
  • このようなメリットを備えた寸胴ボルトの創始者は、ウェザビーが1957年に発売したMark Vというボルトアクションライフルなんだそう。
  • その後徐々に勢力を拡大している模様。
    • ちなみに"寸胴ボルト"という用語はこのページのオリジナルなので、他に通用している語があったら教えてください。
    • "寸胴ボルト"はこのページの"Fat Bolt"の訳になります。
 

ウェザビー直系っぽいの

 
RT-20
241 rt20.png主な弾種20x110mm
生産期間1992-
備考バックブラストによる無反動砲めいた反動相殺システムに目が行きがちだが、ボルトそのものはウェザビーMark Vのものを20mm口径にパンプアップしたようなよくある形状である。
論より証拠
  • 並べてみるとあら不思議。左がRT-20、右がウェザビーMark Vである。
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  • ラグの形状からベントホールの位置まで一緒とは恐れ入った。
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Sauerっぽいの

 

2段目のラグに少しテーパーが掛かって、傘のような形状になっている。
どこが元ネタかは分からないが、ここでまとめてあるものの他にもオーストリアのRößler Titan6も似たような形状のボルトを採用しているので、どうやら中欧ドイツ圏あたりが発祥のような予感がする。

 
SSG3000
273 ssg3000.png主な弾種7.62x51mm NATO
生産期間1992-
備考↑Sauer 200 (1984-1993)を元に開発された、法執行機関向け狙撃銃。
Sauer 200の2段3列6ラグボルトは明らかに寸胴ボルトの系譜である。
ザウアー社と寸胴ボルトの縁
  • まあともかくSSG 3000のボルトを見てみよう。
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  • 60度ずつ離れているロッキングラグと、ボルト本体の"肩"は紛れもなく寸胴ボルトの特徴を備えている。
  • ところでSSG 3000の前身であるSauer 200の、さらにその前のザウエル社の主力ライフルにSauer 90 (1973)がある。
  • こちらもスムーズな射撃に心を砕いており、かなり凝ったボルト構造をしている。
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  • 上の写真の赤い矢印のちょっと右側で、ロッキングラグが出っ張っているのが分かるだろうか*1
    • このロッキングラグが60度離れて3つ付いている。
  • そしてボルトを開くと下のようになる。
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  • 出っ張っていたロッキングラグがボルト本体に引っ込んでしまった。
    • なんとローテーティングボルトに見せかけてボルト自体は回転しないという、変則的な直動式ボルトとでも呼ぶべきアクションをするのである。
  • 当然ながらSauer 90のこの凝りに凝ったアクションは、信頼性とコストの両面で不利だったのだろう、Sauer 200ではより堅実な寸胴ボルトを採用することになった。
  • さて話は戻るが、寸胴ボルトの元祖であるウェザビーMk.Vの製造を請け負っていたのは、何を隠そうザウアー社だったのである。
    • 今のところSauer 200の設計にあたって、ウェザビーMark Vの構造を参考にしたという話は聞いたことがない。
    • しかしこのときの経験がSauer 200ひいてはSSG 3000の寸胴ボルトに繋がっていたと考えるのは、決して突飛な想像ではないだろう。
      • これは本当に余談だが、ウェザビーMark Vの生産は1970年から日本の豊和工業に任されていたんだそう。
      • 豊和工業での生産は、Mark Vの生産が米国本土で開始される1994年まで続いたらしい。
 
Gd DSR-50
179 dsr50.png主な弾種.50 BMG
生産期間2003-
備考ブルパップレイアウトから繰り出される50口径の圧力を2段3列の6ラグボルトで受け止める。
↑DSR-1 (2000)をアップスケーリングした。
 
SRS
211 srs.png主な弾種.338 Lapua Magnum
生産期間2008
備考2段3列6ラグボルト
↑基本構造はDSR-1のものを引き継いでいるので、上のDSR-50とは親戚筋に当たる。
ウェザビー系とはちょっと毛色が違う
  • DSR-50のボルトを見てみると、ボルトヘッドの雰囲気はSSG 3000と似ている。
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  • しかしボルトハンドルの位置など細かい違いがある。
  • そんなときに役に立つデザートテック社の親切マニュアル。
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  • なんとボルト本体の上からボルトスリーブを被せることで、寸胴ボルトになるように造られている。
 

どこともあんまり関係なさそうなの

 

ちょっとどこら辺に源流があるのか分からない

 
スカウト
255 steyr scout.png主な弾種7.62x51mm NATO
生産期間1999-
備考2段2列計4ラグの寸胴ボルトを持つ猟銃。寸胴ボルトとしては珍しく2列ラグだが、複数段にすることで高さを抑えたのだろう。
 
スカウトのボルト

ボルトフェイス
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ボルト本体
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  • 上がボルト閉鎖時、下が開放時と考えてみると、ボルトの操作角が90度近いことを感じられる
  • 閉鎖時にボルトが水平を向くのも、一般的なマウザーアクションと異なるポイント
    • もちろん寸胴ボルトになっている
 
Ballista
204 ballista.png主な弾種.338 Lapua Magnum
生産期間2010s
備考ボルトフェイスが角を落とした三角形になっているのが特徴的なスナイパーライフル。
↑FN社が販売しているが、ベースとなったのは独Unique Alpine社の
TPG-1 (2000) というライフルだそう。
↑さらに遡ると仏Unique社(現FMR Unique)のTGCスポーティングライフルに行き着くようだ。
純粋な競技用銃から発展した軍用銃という意味では、SV-98とも近い存在と言えるかもしれない。
 
欧州の天地は複雑怪奇……

フランス生まれ、ドイツ育ち、ベルギー在住的な?

BallistaとTPGシリーズの比較から
ボルトフェイス
左がBallista、右がTPG-1
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  • 基本的に殆ど同じ
    • FN社製というよりはUnique AlpineにOEM生産させてるんじゃないだろうか
 

セーフティ
左がBallista、右がTPG-1
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  • リボルバーのハンマーみたいな形状のセーフティが特徴的
 

こちらはUnique T-3000のレシーバーのアップ
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  • 寸胴ボルトが確認できる
  • エキストラクターの配置もBallistaやTPG-1と同一なのが分かるだろう
    • 一方セーフティはどうやらレシーバー右側面で操作する形のようだ
      • Unique社は軍用銃をほとんど生産しておらず、インターネットで手に入る情報がかなり限られているのが痛い
 
T-CMS
268 t-cms.png主な弾種7.62x51mm NATO
生産期間2010s (?)-
備考4ラグローテーティングボルト
そもそも1段4ラグという構成が珍しく、お仲間が思い当たらないへんなやつ。
セーフティがトリガーガード内側にあるのも特徴的だが、その他は比較的オーソドックスな狙撃銃といえるだろう。
 
つるぺろ写真集

情報が無さすぎるんですけお!

ボルト周り
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  • 90度ごとにラグが付いているので、おそらく4ラグだろう
    • ボルト操作角が45度で済むのは素直に長所
 

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  • 解像度がかなり厳しいが、ボルトヘッドとボルト本体の間のくびれ(・・・)が見て取れる
 

レシーバーには…
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  • ロッキングラグを通すための切り欠きが見当たらないので、おそらく寸胴ボルトで間違いないだろう
 

 
 

 

コメント


*1 この写真自体は分解途中のものなので、組み立てた状態でこのような隙間があるわけではない。