【はかぶさの剣】

Last-modified: 2024-02-26 (月) 00:39:31

概要

DQ2で実行できたバグ利用型の裏技と、その産物である強力な剣の呼び名。
攻撃力は低いが2回攻撃可能な【はやぶさのけん】に、
最強の攻撃力を持つが呪われている【はかいのつるぎ】の攻撃力を移植し、
2回攻撃できて攻撃力が高く、呪いもないという武器を作り出せる。
 
インターネットが普及するずっと前に人気を博したDQ2だけに、この裏技はプレイヤー間の口コミで広まった。
そのため、呼び方については地域やコミュニティによって一定せず、はかぶさの剣を「けん」と読むか「つるぎ」と読むかと言う些細な違いから、
「はかいのはやぶさの剣」や「はかいのはやぶさ」など、ローカル名称は多彩。どう呼ぶかでプレイヤー間の論争に発展することもある。

【ドラゴンクエストマスターズクラブ】の宝島社から発行された「バグボーイスペシャルII」では「はかぶさの剣」として紹介されているが、この書籍がどれほどの知名度があったのかは不明。
 
公式で似たような物が登場した事は複数回あるが、30年近い時を超え、ビルダーズ2で「はかぶさのけん」と公式に表記されるアイテムが登場。作り方もDQ2のバグをモチーフにしている。

DQ2(FC・MSX・MSX2版)

DQ2の【装備技】を応用したもので、最終盤でのみ可能な裏技。FC版・MSX(2)版でのみ実行できる。
はかいのつるぎの攻撃力で2回攻撃可能な武器であり、もちろん作中圧倒的最強の破壊力を見せる。
【ロンダルキア】の恐怖である【ブリザード】【デビルロード】はもちろん、運が良ければあの【アークデーモン】ですら1ターンで屠り去ることが出来てしまえる。
【シドー】戦では会心の一撃を出せないため、低レベルで倒すには必須とされ【タイムアタック】で使われる事もある。
 
詳細は後述するが、はかいのつるぎやはやぶさのけんに限定した裏技ではなく、いろいろ応用が効いてしまう。
それの中でも「はかぶさ」が有名になったのは、凄まじい攻撃力というわかり易さ故なのだろうか。
 
この技は徳間書店発行の『ファミリーコンピュータmagazine』1987年5号の『超ウルトラテクニック50+1』で紹介されていた。
そして同号のDQ2特集記事では(原文ママ)
 

のろいは恐い
身につけると呪われてしまうのだけど、つよさだけは最強になるアイテムがあるぞ。あくまのしっぽ、しにがみのたて、はかいのつるぎ、あくまのよろいだ。なんとか利用できないものかな?

 
と、まるで同号の裏技コーナーにその有効利用法が載っていることを匂わすような記事があった。
因みに【あくまのしっぽ】だけは全く強さに還元されないただリスクがあるだけのアイテムである。

作り方

  1. はやぶさのけんとはかいのつるぎ(ギガンテスなどから入手可能)を用意して【ハーゴンの神殿】に行く。
  2. ハーゴンの神殿にはやぶさの剣を装備した状態で入る。【ルビスのまもり】は使わない。
  3. はかいのつるぎを装備する。当然呪われるが、そのまま何もせずに外に出るか、ルビスのまもりを使う。
  4. 幻術にかかった状態だったので、はかいのつるぎを装備した情報は保存されず、はやぶさのけんを装備した状態に戻る。

 
この手順を踏むと「はかいのつるぎの攻撃力の値が維持されたまま、装備の指定がはやぶさのけんに戻される」という状態になる。現象は「つよさ」コマンドで確認可能。
武器ははやぶさのけんとして判定されるため、呪われることなく2回攻撃もできる。
 
実は、3人のキャラそれぞれで装備品を複数所持すれば、どの武器や防具でもこの現象が起こせる。
たとえば【どうのつるぎ】【てつのやり】を使って上記と同じ事を行えば、装備表記はどうのつるぎのまま、攻撃力はてつのやりとなる。
もちろん、これでは単に武器を持ち替えたのと同じなので、バグの恩恵を得たいなら、
はやぶさのけんのような装備することで特殊性能が発揮できる武具のステータスを強化させるか、呪われた装備の性能を呪いの無い装備に移す手段として利用する形になる。
 
鎧や盾についても同様で、【あくまのよろい】【しにがみのたて】のような、強いが呪われている防具の値を、他の呪われていない防具に移す事ができる。
こちらも引き継がれるのは守備力のみで、耐性などの特性は元々装備しているものが発揮される。
例として【みずのはごろも】【あくまのよろい】の防御力を上書きさせると、はごろもの呪文・炎耐性に、ロトの鎧より高い守備力を併せ持つ防具が作り出せる。
 
一方で、【ロトのたて】の防御力を備えた【ちからのたて】を作ることはもちろん可能だが、これは両者の守備力差が少ない以前に、たとえ特殊性能があっても上記の銅の剣+鉄の槍と同様の無意味な組み合わせであることに注意。力の盾の効果は装備せずとも利用できるので、両方持っているなら最初からロトの盾を装備すれば良く、道具欄を空けるにしても呪われていないなら後述のように何らかの手段で手放すだけでもステータスは維持される。
 
ただし、この裏技は装備可能な武具の間でしか成立しない。
例えば破壊の剣を装備できないFC版の【サマルトリアの王子】は「はやぶさの剣に鉄の槍の攻撃力を移植」による攻撃力+20の2回攻撃までしか強化できない。
サマルはもともと装備による補正の恩恵が小さいため、レベルが低いままではロンダルキア台地のボスにダメージが通らないのは変わらない。彼の不遇さを物語る数字である。
それでもレベルを上げれば一人で世界を救ったご先祖様の勇者(DQ1)とほぼ同じステータスになり、独力でシドーまで倒してしまえるのがサマルトリアの王子の末恐ろしいところなのだが…。
大器晩成型なせいで使えない呼ばわりされてしまうことが多いのが実情。
 
【のろいをとく】でもこの裏技と同じ現象が発生する。
攻撃力や守備力がそのままで装備が消滅するため、破壊の剣と並ぶ威力を出す拳とか、裸で悪魔の鎧並みの防御を実現する肉体みたいなこともできる。
 
MSX版でもこの技は使える。MSX版オリジナルの【あぶないみずぎ】(守備力1)と他の装備を組み合わせれば、守備力が鎧並みの水着で敵の視線を釘付けにするムーンブルクの王女の勇姿も見られる。
前述の理由により、【みずのはごろも】の耐性と両立させることは不可能なのが残念なところ。
 
北米版の Dragon Warrior II でもできるが、SFC版からはできなくなった。

注意

  • レベルアップすると元の攻撃力に戻るので、例えばはかぶさのつるぎを作ってハーゴン戦に臨みたい場合、道中でレベルアップするとやり直しになる。
  • 【そうび】のコマンドを選んだ時点でもステータスが再計算されるので、数値移植状態を維持したければ装備コマンドは選ばないこと。
  • 裏技で上書きした攻撃力と守備力は復活の呪文には保存されない。
  • はかぶさ状態で再びハーゴンの神殿に入ると、その時点で解除されるので、上述の手順を再度やり直す必要がある。

DQ2ゲームブック(エニックス)

そんな「はかい+はやぶさ」だが、さっそく公式採用されている。
下巻で「破壊のはやぶさの剣」として登場。はやぶさの剣にどす黒いオーラが纏わりついた剣として描写されている。
FC版と同様の手段で入手できるが、条件として下巻の序盤で「北回り航路」を選び、特定のイベントを見ている必要がある。
ただしそのイベントは運が悪いと見られないほか、見た場合はレベルが1つ下がってしまうというリスクを伴う。

DQ3

【モシャス】の仕様を利用することで似た戦法が可能。
はやぶさの剣装備者がモシャスを唱え、はかいのつるぎ装備者の姿を真似ると、はかいのつるぎの攻撃力で2回攻撃が可能となる。
裏技紹介本などでは、DQ3版はかぶさの剣として紹介されることもあった。
はかいのつるぎを装備した戦士は攻撃力が最も高くなりやすいため、打撃力を高めるのには特に有効といえる。
 
リメイク版では【はかいのてっきゅう】が登場し、更に高い攻撃力を得られるようになった。
剣ではなくなったが、呪いのリスクもなくなり、まさに「はかぶさ」の名にふさわしい威力を得られる。
その威力たるや、SFC版においては裏ボス【しんりゅう】の最速撃破にはかぶさ戦法が使われるほどである。
 
またGBC版DQ3では【キメラバグ】により、はやぶさの剣を装備しながらすさまじい攻撃力を得ることができる。
もっとも、このバグを解禁すると一発目でどんな敵でも粉砕できるほどの次元となるため、2回攻撃できる意味がほとんど無くなるが。

ビルダーズ2

入手方法はやや変則的だが、コンシューマーゲームとしては初めて正常なゲームシステムの一環として入手できる。
アイテムとしての名称も「はかぶさのけん」。元々はプレイヤー間の俗称だったものが、30年近くの時を経てそのままの名前で公式に登場した。
 
【はかいのつるぎ】を装備した状態で【ドレッサー】を使い、武器の外見をはやぶさの剣に変更すると
高い攻撃力で2回攻撃できて呪われてもいない「はかぶさのけん」に変化する。
はかいのつるぎを装備した状態がベースになるのは正にFC版DQ2の裏技と同じ流れだが、
あちらの結果が【はかいのつるぎ】の攻撃力を移植した【はやぶさのけん】を生み出すのに対して、
こちらは【はかいのつるぎ】の見た目を【はやぶさのけん】にしたら2回攻撃の特性を得る、言うなれば「はやぶさの特性を得たはかいのつるぎ」であり、作成手順が逆転している。
ついでに、なぜか見た目を変えただけで呪いも消えてしまう。
 
両武器ともに強敵を倒してレシピをひらめき、素材を集めて作成という手間が必要なものの、2本ぶんの貴重な材料を合計しても必要なのはオリハルコン3個にメタルゼリー1個と、【ロトのつるぎ】と同程度の労力で作れる。
はかぶさの剣に変身する都合上、ベースになったはかいのつるぎは失われてしまうが、はやぶさの剣は見た目の選択肢に出るだけなので消費しない。
 
はかぶさに変身した後も攻撃力は126。はかいのつるぎと同等で作中最強かつ、はやぶさの剣同様に通常攻撃が2連打になる。
さすがに回転斬りまでは二連化しないが、通常攻撃連打で出せる時間当たりダメージならば、【主人公】の最強武器と言って良い。
ロトのつるぎの方は回転斬りの威力が大幅アップというメリットがあるものの、攻撃力118で通常攻撃も1回ずつなため、密着して斬りまくる戦法なら、はかぶさのダメージ量に軍配が上がる。
手数の多さから、攻撃力アップの料理との相性も非常に良好で、効果量が大きい物を食べてから戦えば更に火力が跳ね上がる。
 
本作の戦闘では基本的に相棒の【少年シドー】が専用武器の高い攻撃力で敵を蹴散らして行く事になるのだが、
はかぶさを入手すると主人公もシドーと同等の戦闘力を獲得する。
さらに一般装備扱いなのでNPC住人達に装備させることも可能。主人公が装備した場合と異なり1回攻撃しかしないが、それでも火力トップなので非常に役立つ。
惜しむらくはストーリークリア後にしか手に入らないこと。圧倒的な攻撃力を攻略に活かすことはできない、冒険後のお楽しみ要素となっている。
少年シドーに次ぐ戦闘力を持つ【アネッサ】ならば持たせて活用できなくもない。
 
入手経路が特殊なためビルダーハート交換では手に入らないが、元のはかいのつるぎは交換できるので、そこから再作成可能。
ちなみに戦闘可能な名有り固定NPCは全部で13人おり、装備変更可能な名無しNPCはそれぞれモンゾーラ島に2人、オッカムル島に9人、ムーンブルク島に14人存在する。
つまりプレイヤー用含め計39本用意すれば、全固定キャラにはかぶさのけんを配備することができる。

ちなみに海外版では普通に”Falcon Blade”表記。

ドラけし!

はかいのつるぎとどうぐ・はやぶさのけんを錬金すると入手可能。
はやぶさの剣を黒くしたような見た目で、星5の赤属性。攻撃力は最大350で、HPは235まで上がる。
スキルは単体を2回物理攻撃する「破壊のはやぶさ斬り」。

関連作品

DQ10,11

【はやぶさの剣・改】が片手剣の中でもトップレベルの攻撃力を持つことからこう呼ばれる。
10のものは戦闘開始時にバイキルトがかかることも。

バトルロード

公式にネタにされており、はかいのつるぎ・まじんのよろい・しにがみのたてを装備することで、2回攻撃の「滅・はやぶさ斬り」を使えるようになる。
ご丁寧に実況のマイクマンも「恐るべき隠し技!」「まさかの2回攻撃!」とノリノリで叫んでくれる。

スキャンバトラーズ

新1弾SP【エクステンションフルブレード】?のフィニッシュにある、はかいのつるぎとはやぶさのけんの二刀流はまさにこれが元ネタである。

ウォーク

はかいのつるぎで覚える「破壊の双隼」がまさにこれの再現。
威力190%のジバリア属性斬撃ダメージを2回与えるが、まれにHPが最大HPの15%ほど減ってしまう。

ロトの紋章

【剣王キラ】が呪いによって強化されたはやぶさの剣を振るう。
【幻魔剣】の記事も参照のこと。

漫画DQM+

サマルトリア王子サトリが「破壊の気を纏いしはやぶさの剣」を使用している。
明言はされていないが、はかぶさの剣のことを言っていると思われる。
だが前述の通り、このバグが使えるFC版ではサマルトリア王子ははかいのつるぎを装備できないため、ゲームでの再現は不可能。
あくまでパロディという事だろう。