怪文書

Last-modified: 2024-03-12 (火) 07:20:38

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生徒との思い出を保存する場所
直接的にエッチなのはコハルリニンサンに焼却されるので控えるかアップローダーにあげましょう
クラフトチェンバーにぶち込むと二度と戻らないので注意しましょう

行数が増えてきたため分割を検討しています。そのうち工事すると思います。


コハルのシャーレ当番

コハルがシャーレ当番のある日先生が少し外出しててその間せめて当番らしく書類整理くらいするかと思い立って作業を始めるとえっちな本が転がってるのを発見するんだ
まずいまた自分のをその辺に出しっぱなしにしてたかと慌てるコハルだけどよく見るとその本は自分が持ってる本ではない事に気づく
内容は小さな女の子が男の人に無理やり手籠にされてしまう陵辱もので普段自分が読んでいるような女性向けのものより幾分か描写が過激なんだ
バカなコハルも流石にこれがたまたま紛れ込んだ書類ではなく先生が自ら購入して所有しているものだとは察しがつくし自分と似たような体型の女の子で宥めすかしていることも容易に分かる
やっぱり自分のことをこういう目で見てたんだと失望と同時に怪しい期待が胸の内に広がって自然と指先が恥部へ向かう
そんな折に何も知らない先生が帰ってきて広げられた自分の秘蔵本とその前で自分を慰めるコハルと目が合う

先生としては普段からそういう目で見てないよともう弁解することは出来ないだろうという状況
コハルも痴態をはっきりと今見られたことによる混乱とまさしくオカズにしていた本のようになってしまうのではないかという不安と期待でフリーズしている
先生が徐ろに一歩近づくとコハルはびくりと身体を跳ねて少し後ずさる
未発達な少女らしい容姿に紅潮した頬と湿った指先と内腿が歪なコントラストを生んで妙に扇情的に見える
こんな本持ってるなんて最低
やっぱりそういう目で見てたんだ
そのうちこういうことするつもりだったんでしょ
監視しといてよかった
被害者が私だけでよかった
私だけ…
心の中は非難でいっぱいなはずなのにどこからか劣情に塗れた声が聞こえてくる

先生に女にしてもらえる
優しい先生
勉強教えてくれる
頭を撫でてくれる
とても優しい男の人
期待がどんどん膨れ上がって心臓の跳ねる音がうるさい
鼓動に堪えかねるように感情が逸る吐息となって溢れてくる
いつのまにか先生はコハルの目の前まで来てしまっている
明らかに勃起している股間を目にするコハル
どちらともわからない生唾を飲み込む音が聞こえる
そっと肩に置かれたはず手からいつもより強い力を感じるコハル
肩の紐に指をかけられる
何か言わなきゃ言わなきゃと思ってどうにか声を絞り出す
「…先生、おかえぃ」

フウカの抱擁

その日は先生の帰りが特に遅かった
行方不明の生徒の捜索…その依頼が連邦捜査部シャーレに舞い込んでからは先生のお仕事は苛烈を極めていた
いつも穏やかで優しい先生の表情が日に日に強張っていくのを見ると辛くなった
私にできることは温かいお料理をご用意して先生を待つことくらいだった
疲れた顔で帰ってきた先生が私の顔を見るとふっと力が抜けたように安心してくれるように見えるのは自惚れ…ではないと思う
そうして二人だけの時間を過ごすことに少し優越感を感じていた
いつもならもう帰ってるはずの時間…私は座って角にかかった髪を弄りながらため息をついた
時刻は12時を遠に回っている
そろそろ支度をするか…と悩んでいると玄関から物音がした
私は急いで立ち上がって先生を迎えに行く
「先生、おかえりなさ…」
言いかけた私は目を疑った
先生…そう先生には違いない
でもその目の隈は酷くて、髪はボサボサで、服には赤いシミがついていた

驚いた私は急いで先生に駆け寄った
…良かった…先生のじゃない
そう安堵して事情を聞こうと先生を見上げようとした瞬間不意に抱き締められた
いつもの優しい手つきではなく、酷く乱暴に
「ひゃっ…!先生…!?」
先生から感じる確かな力
非力だと思い込んでいたそれはしっかりと男性を感じさせるものだった
「先生っ…待って…!」
私は何とか冷静に努めようとしたが先生は止まらない
まるで自分の存在を確かめるように他者を求めている
私が欲しいのではなく、ただ不安の解消のために
「先生…っ」
どれだけつらいお仕事だったんだろう
あの優しい先生が、いつも私を気遣ってくれる先生が
こんな風になるなんて普段からは全く想像出来なかった

私はとても哀しかった
こんな時に先生を救えない自分が
こんな形で初めてを失うだろうことを少しでも哀しんでいる浅ましい自分が
いいじゃないか、先生の役に立てるんだ
先生には今私しかいないんだ
先生に必要なのは女の身体だ
それができるのは今ここにいる愛清フウカだけだ
「先生…」
先生の劣情が伝わってくる
こんな痩せぎすな私でも興奮してくれていることに、こんな状況にも拘らず私は暗い充足感を抱いた
「大丈夫ですから…私がいますから…」
私は抵抗をやめた
うだるような熱い夏の夜のことだった

マキと先生の秘密

二人で一緒にグラフィティを描いた日からあたしは先生のことを目で追うようになった
あの時はとても幸せな時間だった
あんな風に信頼できる人と並んで絵を描くなんて初めてのことだったから
「いつかまた、こういう機会があったらいいな」
そう呟いたあたしに先生は優しく微笑みかけてくれた
以来、当番のない日もシャーレに顔を出すようになった
急な訪問にも先生はいつも温かく迎えてくれて、あたしは嬉しくなった

その日はあたしが当番の日だった
あまりやりたくないけど、先生のためだからとあたしは資料を纏めていた
先生は連邦生徒会に話があるとかで外出中だった
オンラインで済ませればいいのに、わざわざ律儀に向かうあたりが先生らしい
自然と緩む頬を自覚しつつ作業を進めていると、妙なフォルダを発見した
いかにもって感じの内緒のやつで、あたしはピンときた
「ははーん、先生も男の人だからなあ、どれどれ…」
ロックが掛かっているみたいだけど、ヴェリタスのハッカーには朝飯前だ
こういうのを見ると解かずにはいられないのだ
その時のあたしは、あとでちょっぴり先生を揶揄ってやろうとか、そんな軽い気持ちだった
「…よしっと、さて先生のお宝は…えっ」
フォルダの中は案の定、画像ファイルの山
でもあたしが想像してたのは、もっと肉感的で、女性らしい体つきの、有り体に言えば大人の先生に相応しい大人の女性の、そういった目的のものだったけど、違った
見覚えのある赤い髪、凹凸のない身体、子どもっぽい顔つき
見慣れた自分がそこにいた

「なんで…?」
何で自分の写真がこんなにたくさんあるのかわからなった
よく見れば小中学校の卒業アルバムのものもあれば、撮られた覚えのない最近のものまである
手口は分かる、自分もハッカーだ
生徒一人を盗撮するくらい造作もないことだ
でもなんであたしなのかわからなかった
あたしは自分の身体に魅力があるなんて思ったことがなかったから
だから先生が、あたしの写真をそういう目的で蒐集してると思い当たるまで時間がかかった
具体的には、先生が既に帰ってきていることに気づくまでかかった

「あっ…先生…」
先生は驚いたような、バツが悪そうな表情をしていた
悪いことがバレてしまった子どもみたいな表情
あたしは困惑を飲み込みつつ、先生に話しかけた
「も、もう~っ!帰ってきたなら言ってよ、びっくりするじゃん!」
あたしはまだ、先生の異変に気づいてなかった
「それにあたしの写真なんて集めちゃって、何に使うの?何でもいいけど、変なことに使わない…で…」
そう口にして、はじめて思い当たった
先生があたしをそういう目で見ているかもしれないことに
そして気づいた
先生の股間が隆起していることに

「あっ…」
どくんっと鼓動が跳ねるのを感じた
いつからだろう、いつからだったんだろう
あたしも先生のことを見ていたはずだった
でもそれは憧れとか信頼とか…そういう感情で、えっちしたいとかそういうのじゃなくて、この人の隣なら幸せだろうなって、この人ならいいやって…あれ?
先生がゆっくりと近づいてくる
先のあたしの問いには何も答えない、きっとあたしが理解したことを知っているから
あたしが抵抗しないことを知っているから
先生の手が優しく頬に添えられる、そのまま髪を横に梳く
生徒ではない、女を撫でる時の手つき
それだけであたしはなにもかんがえられなくなって、ただしあわせなきもちでいっぱいになっていく
(もっと大人っぽい下着にしてくるんだったな)
最後にそんなくだらないことを思って、あたしは先生に身を委ねた

コンビニ店員の「用事」

「暇だなあ…」
私の働くエンジェル24シャーレ店は今日も閑散としている
それもそのはずだ、ここはただでさえ外郭のD.U.地区にあり、人通りも多くない
それに加えて店舗はよくわからない建物の一階のテナント、これでお客さんが多い方がおかしい
それでも最近、お客さんが増えた方なのだ
連邦捜査部シャーレが活動を開始し、部室のあるこの建物もいろんな学園の生徒が出入りするようになった
そして常連のお客さんもできた
「ソラちゃん今日もお疲れ様」
シャーレの先生
このよくわからない建物の、いわば主人
なんでもシャーレは超法規的組織で、色々な学園の生徒を制限なく入部させることができるのだとか、恐ろしい

「い、いらっしゃいませ…先生」
私はこの人がちょっと苦手だ
女生徒たちからの評判はいいし、見た目も悪くないと思う
それに優しい人だと思う
でもこの人は
「えらいね、いつも一人なのに」
(うぅ…おでこ触らないで…)
そう、私のおでこを触るのだ
というか、本人は頭撫でてるつもりなだけだろうけど
この人は女の子をよく撫でる
この前連れ添って歩いてた私とそう歳の変わらない髪のとても長い可愛い女の子のこともずっと撫でてた
それが喜ぶ子は良いんだろうけど、私は困ってしまう
いや、厳密には私もちょっとだけ嬉しい
けど問題はそこだけじゃなくて…

(ヒッ)
「?どうしたのソラちゃん」
先生は人気だ
それこそ一人の生徒に構いすぎるとネットが怨嗟の声で満ち溢れるほどに
なんだか急にお店を遠巻きに眺める生徒が増えた気がする、それもみんな目が怖い
何もしてないのに…バイトしてるだけなのに…
「今日もドリンクお願いね」
「あっはい、少々お待ちください…」
先生はよく栄養ドリンクを買う
それこそ毎日のように大量に買いにくる
そのため先生と会う頻度の高い私は妬まれることが多いのだとか
「今日もありがとうね、ソラちゃん」
「い、いえ、またお越しください…」
先生は笑顔で手を振りながらお店を後にする
私は今日もふっと肩の荷を下ろして深く息を吐く

「うぅ…まただ…」
先生は私をよく撫でる
よくお店に来るから、生徒の嫉妬も買う
でもそれだけじゃない
「…また濡れてる」
先生におでこを撫でられるだけで、いつの間にか私は発情するようになってしまった
だから困るのだ、だから苦手なのだ
「うぅ…」
先生は一度お店に来ると24時間来ないことが多い
その間に私は「用事」を済ませる
いつかバレてしまうことに、不安と期待を覚えながら

アリスのログインボーナス

にぎやかな街中を、びんに満たされたミルクがこぼれないように横切るのはたいへんな冒険です。
シャーレに来るようになってから、先生の朝食がわりのミルクを手に入れるのは、アリスの大切な役目でした。
先生はいつも朝はこのミルクだけを飲んで済ませているのです。
先生はいつも決まった時間に執務室で仕事を始めていて、書類仕事をしながらアリスがミルクを届けるのを待っているのでした。
執務室につくと、いつもアリスはこう言います。
「先生、今日のログインボーナスです!」これがアリスにとっての「おはよう」なのです。
先生がびんをうけとって、アリスのことを褒めてくれます。
それから、先生がミルクを飲むようすを見ながら、とりとめのないおしゃべりをするのです。
毎日、ミルクを飲む先生を見ながら、アリスはこれが永遠に続くものだと思っていました。
昨日、ミドリが先生の夢を見たそうです。
夢の中で先生が何をしていたのか、ミドリに何を言ったのか、ミドリは話してくれませんでした。
アリスも夢を見ることができたらいいのにと思います。

先生が最期にどんなことを言ったのかも、アリスは知りません。
シャーレの仕事での外征中に、想定されない突発的な衝突があったのだと、ユウカは話してくれました。
その日以来、ユウカが先生のことを話しているのを見たことはありません。
先生が亡くなってもうずいぶんになりますが、アリスは毎朝、ミルクを先生の執務室に届けるクエストを続けています。
ただし、「先生、今日のログインボーナスです!」の言葉は心のなかにしまっておきます。
それから台所に行って、先生のことを思いながら、びんの中身をゆっくりと一滴残らず排水溝へと流すのです。
ミレニアムの人たちは、アリスが続けているこのクエストは非合理で無意味だといいます。
アリスにも、アリスがどうしてこれを続けているのか、うまく答えることができません。
ただ、こうする以外に朝の時間をどうやって過ごせばいいのか、アリスにはわからないのです。
アリスはもう壊れてしまったのかもしれません。
いつか先生が戻ってきて、アリスのことを直してくれたらいいのにと思います。

風紀委員の絶望の夜

ゲヘナ生徒の反体制的な連中が出入りしていると聞いてブルセラマーケットへやってきたイオリ
しかしそれは先生の仕掛けた罠だった
「バカな!入場するのにこんな格好をしないといけないのか!?」
強制的にブルマ体操服に着替えさせられ持ち物を没収される
「風紀委員のお嬢ちゃん、ここではあんたの着てる服が通貨なんだよ」
ヘルメット団に体操服を渡すことでようやく目的地に辿り着くイオリだったが…
「フフフ…よくここまで来たなイオリ…だがおっぱいが溢れるのを気にして手ブラしている状態で私に勝てるかな?」
抵抗虚しく悪虐非道の先生に捕まってしまうイオリ
尻尾の先端をシコられ未知の快感に仰け反りながら無様にアクメを迎える
「いくら私を汚しても無駄だ!私が帰らなければ風紀委員長がここに踏み込む手筈になっている!」
「それはこの雌豚かね?」
「ブ、ブヒィッ…先生こんなところ誰かに見られたら…イオリ?」
絶望の夜は終わらない

コハルは頑張ってる

放課後の廊下を歩く私に刺さる声
エリートの私と違って、うわさ話にご執心な女生徒は履いて捨てるほどいる

「ああ、あの子が……クスクスクス」
「そうそう、正義実現委員会をクビになっちゃったんだって、成績悪すぎて」

私は足早にその場を去る
決して陰口に堪えられないというわけではない、ただ忙しいのだ
最近は、シャーレの仕事もある、あの子たちと私は違う
たくさんやることがあるのだから、少し勉強に手が回らなくなってしまっているだけ
本気を出せば、なんてことはないのだ、だから耳を貸す必要はない

「そう、必要ない……ないもん……」

そうして、私は学校を後にする

向かう先は外殻地区のD.U.、シャーレのある場所
早歩きで駅に向かい、電車に乗って最寄り駅へ
途中すれ違う人たちと、なるべく目を合わせないように伏し目がちに移動する
建物に着くと、真っ先に部室に向かう

 

先生と出会ってから、ほとんど毎日放課後はシャーレに来ていた
先生は大人だ、大人の男の人だ
お嬢様学校であるトリニティ生徒にはあまり馴染みのない存在である
だからこそ、エリートの私が常に先生を警戒し、監視する必要がある
だから、頻繁に会いに来ていた

 

「コハル、今日も来てくれてありがとう」

先生が私に声をかける、他の生徒は誰もいないようだ
私は監視しているだけで、先生のために来たわけじゃない

「……でも、助かってるよ、勉強も大変なのにありがとう」

また、お礼を言われる、まあ悪い気はしない
この人は大人の癖に結構危なっかしいところがあるし、私の力が必要なのは明白だ
監視のついでだが、少しくらい手を貸してやってもいいだろう

「実際、コハルはすごいよ、他の生徒への補給と相手への攻撃、両方そつなく出来る子がいて私は助かってる」

へえ、中々わかってるじゃないか、そうだ、私はすごい
他の子たちには……例えばマシロには出来ないことが私にはできる
ハスミ先輩にだって褒められたことがあるし、救護騎士団にも一目置かれている
当然だ、努力の結果だ、正義実現委員会に入るために本当に死に物狂いで努力したのだ
だから絶対、補習授業部なんて抜け出してやる、もっと本気で努力すれば、きっと……

「……だから、コハル」

不意に、先生の優しい声が響く
いや、違う、この人の声は最初からずっと優しかった

「そんな風に、泣かないで」

いつの間にか、先生は私を抱きしめていた
大きな手が頭を撫でる感触がする
大事なものを傷つけないように、そっと安心させるような、そんな手つき

「なにかつらいことでもあったの?話してみて」

先生は椅子に座ったまま問いかける
ああ、そうか
私が先生に抱き着いて、それを先生が抱き留めたのだ
絶対に、どこにも逃がさないように、零れ落ちてしまわないように、しっかりと
それに気づいた私は、一層、小さな子どものように、しゃくり声をあげながら泣いた
心の底から安心して、泣き喚いた

 

「……落ち着いた?」
「……うん」

随分と長い時間が経った気がする
ふと見ると窓の外は暗がりが差していた
先生は、私が泣き止むまでずっとそうしてくれたのだ

「もう遅いから、送ってくね」
「……」

嫌だ、まだ帰りたくない、本当は先生ともっと一緒にいたい
そんな私のわがままを感じ取ったのか、先生は少しだけ困った顔で言った

「……じゃあ、泊ってく?」
「……うん」

 

シャーレの休憩室
簡易的なベッド、ソファに冷蔵庫や電子レンジなどがそろっている

すでに灯りは消され、私はベッドの上で横になっている
先生はソファだ、もう寝てしまっただろうか

私はそっと身体を起き上がらせ、先生のもとに近づいた
穏やかな寝顔、こうして見ると、少しだけ幼さが感じられるようだった

「……ふふっ」

なんだか不意におかしくて笑みが零れる
多分、私はこの人がいなかったらどうにかなってしまっていたと思う
どこかあどけない寝顔の、普段はどこか頼りない男の人
私の好きな人

私はそっと顔を寄せ、先生の頬に口づけをした

破廉恥な行いだと思う、でも、本当はもっとすごいことをしたい

この人の役に立てるようになるまで、私が私に自信を持てるまで、それはお預け

「待っててね、先生」

私は先生がそうしてくれたように、そっと先生の頭を撫で、眠りについた

マキの誕生日プレゼント

「プレゼントはなにがいい?」

シャーレを訪れたあたしに先生はそう尋ねた
今日はあたしの誕生日、無論忘れてなどいない
学校では、先輩たちやミドモモにお祝いしてもらった

今日が当番だったのも、先生にプレゼントをおねだりするためだったりする
大人なんだから、ちょっとお金出して貰っていいもの買ってもらおう
そんな風に思ってた

 

だから、プレゼントに何が欲しいかなんて先生から言い出されて、あたしは少し戸惑った
あたしのこと、普段から気にかけてくれてるんだって、嬉しくて、戸惑った
そうしてあたしは、「先生の服、あたしがチョイスした色で塗ってみてもいい?」だなんて、わけわからない言葉しかいえなかった

というか、普通にすごく恥ずかしいことを言ってる
どこの世界にプレゼントに何が欲しいか聞かれて男の服を塗りたいなんて言う女子高生がいるんだ
言ってしまってすぐに後悔した

けど先生は、「いいの?楽しみだなあ」だなんて、答えた

あたしに自分の服を好きにされていいと、そう答えた

じゃあ服以外は?

 

先生はいつもあたしたち生徒に優しい

あたしは、どう贔屓目に見ても不良少女だ
グラフティやハッキングが原因で警察に補導されかけたことなんて一度や二度じゃない
その度に先生はあたしを庇ってくれた
あたしだから優しいのかと思ったけど、そうじゃない
先生は誰にでも優しい、生徒であれば、誰にでも
本当に素晴らしい人だと思う

同時に、疑問を抱く

もし、先生がとある一人の生徒に告白されたら、どう返すのか

先生として一人の生徒だけを愛することはできないと拒絶するのか
それとも、受け入れてしまうのか
そうして受け入れてしまった場合、他の生徒はどうなるのだろうか
その子にばっかり構っちゃって、今までみたいに、先生と過ごす時間が無くなってしまうに違いない

あたしは嫌だった、『他の生徒』になるのは、たまらなく嫌だった

あたしは、『その子』でいたかった

 

気が付くと、あたしは先生を押し倒していた

大人の先生はあたしより大柄だけど、不思議なほど抵抗を感じずに倒すことができた

「うわっ、マキ!大丈夫!?」

先生は、なぜかあたしの身を案じていた
あたしは、先生があたしを庇うために抵抗しなかったのだと気づいた

あたしがわざと押し倒したなんて考えもせず、先生を巻き添えに倒れ込んでしまったと思っているのだ

「……先生はさ、優しいよね」

先生の鼓動を感じる、いつも優しい先生の、落ち着くような心音
今、あたしだけが聴いている音

「他の子にもそうだよね、先生は、優しい」

先生は戸惑っているけど、あたしを無理にどかしたりはしない

「マキ、何を……」
「プレゼント、の話だけどさ」

あたしは先生を遮って言う、あたしが『その子』でいたいから

「服以外も、全部、ちょうだい」

 

先生は生徒を、あたしを拒絶することはなかった
少しだけ哀しそうで、そんな顔を先生にさせてしまったことがあたしはとても哀しかったけど

それでも、あたしは『その子』になれた

16歳の誕生日のことだった

ひとりぼっちのアリス

先生
先生はすっかりおじいちゃんになってしまいましたね
モモイもミドリも、ユズもユウカも、みんなみんなしわしわのおばあちゃんです
…アリスは、アリスだけはずっと昔のままです
みんながよぼよぼのおばあちゃんになっていくのに、アリスだけはずっと昔のままです
…きっと、アリスだけは歳を重ねることも姿を変えることもなく、ずっとこのままなのでしょうか
先生…アリスは怖いです
ひとりはいやです…
アリスをひとりぼっちにしないてください…
お願いです…お願いです…

モモフレンズとは

「先生もじきに分かりようになります!」
ヒフミはそう言ってペロロ着ぐるみの頭部を私に被せた…
全ては私がペロロの可愛さは私には分からないと口にこぼしたのが発端だ…
あの日以来ヒフミは私にペロロがいかに可愛く尊い存在であるかを語るようになった
来る日も来る日もペロロの話をするヒフミにいい加減嫌気がさした私はペロロの話はもういいと言ってしまった…言ってしまったのだ…
あの時見たヒフミの目は狂気そのものだった…虫けらを見るような冷酷で冷めた目…思い出すだけで震えが止まらない
気がつくと私は手足を縛られペロロの着ぐるみを着せられようとしていた
着ぐるみの中は息苦しく意識が曖昧になってきた…
そうかペロロ様とは…
モモフレンズとは…

忠犬ヒビキ

「お手!」
そう言うとヒビキがポフっと私の手に手を重ねる
「よーしよしよし」
そう言って頭を撫でる
「髪が乱れちゃう…ふふ」
そう言ってヒビキが微笑む

キッカケは他愛もない会話だった
「先生はどんな動物が好き?」
そう仕事をする私の膝に顎を乗せたヒビキが聞いてきたから私は
「やっぱり犬かな、犬って懐いてくれるし飼い主のことを信頼してくれるからなそう言えばヒビキってちょっと犬みたいだな」
そう言うとヒビキは何故か顔を赤くして少しの間黙ってしまった
「…ヒビキ」
気を悪くしたかと思い声をかけると意を決したようにヒビキが言った
「…っ、…じゃ…じゃあ、私が先生の犬になろうか…?」

それからこうしてヒビキを犬のように可愛がっている
「…撫でるのは、もう終わり?」
そう言って私の手に頬ずりをするヒビキはとても愛らしく、しかし少し目を下にやるとチョーカーに結びつけたリードが目に入ってしまいいけない事をしているような気持ちになりつい私の股間の分身が反応してしまった
「…どうしたの?」
私が動かない事を不思議に思ったヒビキが視線を落とすと明らかに盛り上がった私のズボンが目に入って硬直してしまった…本当に可愛い愛犬だ…

そわそわヒビキ

改良型失神鉄パイプのテスターとして寝ている先生の顔をじっと見つめる
普段は見守っていてくれるカッコいい顔が今は力が抜けて可愛い
小さく寝息を立てているのも可愛い
寝返りをしてこちらを向く先生は赤ん坊みたいで目が離せない
改良型失神鉄パイプの事前に設定した目覚ましタイマーが鳴る
無事に目覚ましが機能していることを確認しながら先生の寝顔を惜しんでいると先生が目を覚ました
「ああ…おはようヒビキ。よく眠れたよ。」

「おはよう、先生。協力してくれてありがとう」

ああ、ああ、先生と一緒にいるだけで耳も尻尾もそわそわしてしかたない

「虫刺され」

いつも走り回って遅くまで仕事をしてる先生は生徒に心配をかけないように平気なふりをしてるけど……先生がいつも疲れているのは知っている
そんな先生の為に作ったのが──
「よし…マッサージチェア完成だね……手伝ってくれて有難うウタハ」
「なに…例には及ばないよ
ちょうど暇していたところだしね」
 このマッサージチェアだ
最初は私だけで作りたかったけど緊急離脱機能を搭載するのに手こずって結局ウタハの手を借りてしまった
「お礼は…また今度するね」
「期待しているよ……それと『虫刺され』の治し方を知りたいならいつでも言ってほしいな……首元が赤くなっているよ?」
虫刺され…?目立ちやすくて嫌だな……
そこまで考えてから
「……ッ!!」
 不自然だとわかっているのに思わず首元を隠してしまった
顔を真っ赤にした私の横で「それじゃあ」なんて言ってウタハが去っていく
───……最近は薄着だから気をつけてって言ってたのに……!

ヒビキの自己嫌悪

「もうヒビキ、大丈夫だって言ったでしょ?」
「だって、だって…私の、せいで…」
「わざとじゃないんだしヒビキは悪くないよ、ほら元気出して」
先生は包帯まみれの胸に私を抱きしめまだ痛いだろう手で優しく頭を撫でてくれる…
やめて優しくしないで、もっと怒って嫌いになってどうか許さないで…

私が付けた自爆装置の誤作動で先生は全身に火傷を負ってしまった
あの時の苦しむ先生の声が忘れられなくて私はもう工具が握れなくなってしまった
何の成果も出せない私に居場所はミレニアムには無い退学になるのは時間の問題だろう
そうなったら先生は被害者なのに責任を感じてしまう
だから何かまた作らなきゃと思うのに工具を握ろうとするとあの時の光景を思い出して吐いてしまう

「ヒビキ!大丈夫か!?」
心配して様子を見に来てくれてた先生が私を抱きしめて背中を擦ってくれる
「…嫌い、嫌い…」
先生を遠ざけるために胸が張り裂けそうになりながら言った言葉も先生には通じず
「私はヒビキが大好きだよ」
と優しく受け止められてしまった

嫌い…嫌い…私はこんな自分が一番嫌い…
死んじゃえ…死んじゃえ…
優しく頭を撫でる先生の腕の中で私はそう何度も願っていた

涙の理由

「先生…?どこか痛いところはないかな…?大丈夫?」
私は先生の足をマッサージして床ずれしないように身体の位置を変えながら言う
「あぁ…ヒビキありがとう大丈夫だよ…」
先生はそう言って優しく微笑んでくれる
「ヒビキ…私の事はいいからちゃんと学校に行ってきなさい」
「大丈夫だよ、エンジニア部には顔を出してるし発明品が評価されてるから落第なんかしないよ」
先生が流れ弾で脊椎を損傷してから一ヶ月私はシャーレに泊まり込んでこうやって先生のお世話をしている
先生は私にとても申し訳無さそうな顔をするけど私は…
「先生、私は先生と居られるだけで幸せだよ」

「先生、どうかな?ちゃんと足の感覚はある?ちゃんと足が動く?」
「おお!すごいぞヒビキ!ちゃんと動くよ流石ヒビキの発明だな!」
「私だけの発明じゃないよ。ウタハもコトリも手伝ってくれたし、ヴェリタスの皆もプログラミングを手伝ってくれたんだ」
「それでもヒビキがずっと悩んで考えてやっと作れたってウタハから聞いたよ、本当にありがとうヒビキ」
そう言って先生が優しく私の頭を撫でてくれる
そうしたら私は涙が止まらなくなってしまう

─ごめんなさい
先生の脊椎に埋め込んだチップには先生の行動を把握して私のパソコンに送る機能がついているの
「ヒビキ泣かないで、私はこんなに元気なんだから」
─ごめんなさい
違うのあの日先生に当たった弾は流れ弾なんかじゃなくて私が先生が死なないように、それでいて下半身の自由を奪うように計算して撃ったの
「…大丈夫かヒビキ?」
─ごめんなさい
先生のお世話をしていればずっと傍にいられると思ったけど先生が余りにも申し訳無さそうにするから脊椎のチップを作ったの
「ヒビキ…何か辛い事があったんだね…でももう大丈夫だよ足も動くようになったしこれからは恩返しも含めてずっとヒビキを守ってあげるからね?」
─ごめんなさい
違うの全部私のせいなの…なのに先生がこんなに心配してくれて嬉しいって思ってしまうの
「よしよし…大丈夫だからな…大丈夫大丈夫…」
─ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
─悪い子でごめんなさい

ヒビキと占い

朝に新聞やニュースに目を通すのはこの学園都市キヴォトスの先生として大事なことだ
<昨夜ゲヘナ第三学区にて停電>
<ミレニアム最新スイーツ 炭酸シューアイス>
隣の椅子で朝食をとっていたヒビキが椅子をこちらとぴったりくっつけてきた
<今週の天気 雲一つない晴天 洗濯日和>
ヒビキが横からぴったりと密着してくるので彼女を新聞を広げている腕の内側に入れて一緒に新聞を読む
<本日ミレニアム打ち上げ花火大会>
新聞をめくろうとするとヒビキがじっと記事を見つめている
「先生…今夜って…その…」

「ヒビキ、今晩は一緒に外で食事でもしないか?あー…もしよかったら花火を見ながらとか」

「うん…うん!」

<占い 一位 大切な思い出ができるかも ラッキーチャームは夜景>

アリスと猫ちゃん

アリスは先生が大好きです
先生だけじゃありません、猫も、友達も、ゲームもみんなみんな大好きです
だからアリスがずっとずーっとアリスの大好きなものと一緒にいたいと感じるのは自然なことだと思います
けれど、それを聞いた先生は少しだけ悲しそうな顔をしてアリスをナデナデしてくれました
そんな顔を先生がするものだから、先生がナデナデしてくれているというのにアリスの皮膚はちっとも温かくなりませんでした
ミドリも、モモイも、ユズも、ユウカも、アリスのこの話を聞くと先生と同じ表情をします
どうしてでしょうか
アリスはただみんなと一緒に居たいだけなのに、なぜこんな思いをしなくちゃいけないのでしょうか

アリスの大好きな猫ちゃんが死んでしまいました
あんなに暖かくてフワフワしていた猫ちゃんはもう動きません
アリスが近づいてももうにゃーと鳴いてくれません
猫ちゃんを撫でたらもうフワフワじゃなくて何か伸び切ってしまったゴムのような感触と冷たさを感じました
アリスは胸の中が空っぽになるような心から何かが欠けてしまうような感じがして怖くて泣いてしまいました
アリスはこれが「悲しみ」だということに気づきました

「アリス…もう埋めてあげないと…」
そう言って猫ちゃんを穴の入れて土をかけます
「やめて、やめてくださいアリス嫌です!猫ちゃんを埋めるないでください!」
いつもアリスの我儘を聞いてくれる先生が何故か今日はアリスのお願いを聞いてくれません
くっついても服を引っばっても先生は猫ちゃんを埋めるのをやめてくれません
「アリス…ちゃんとお別れを言わないと…」
「…やだ」
「アリス」
「やだ!アリスお別れしたくないです!お別れ嫌です!」
アリスはまた我儘を言って逃げ出してしまいました
アリスはその日お別れの「恐怖」も知りました

「アリスちゃん…その、お勉強しないといけないからちょっと離れて欲しいかな…」
「嫌です!」
アリスはお別れが嫌です
お別れしないためにはアリスが大好きな先生もユズもモモイもミドリもユウカもずっと守れば良い事に気づきました
「アリス、ユズが困ってるよ?」
先生がそう言ってアリスを抱きしめます
アリスは先生も守らないと行けないので今度は先生を守ることにします

「ユズ、アリスは今夜は私の所で預かるよ、いいね?」
「は、はい」
そう言ってアリスはシャーレに連れてこられました
先生はアリスと手を繋いで片手で料理をしてご飯も膝の上で食べさせてくれました
お風呂も一緒で髪を洗ってくれて一緒にお布団に入ってくれました
こんな日をずっと続ける為にもアリスはみんなをもっと守らなくてはいけません
「アリス、ユズにあんなにくっついたりしたら駄目だよ?」
先生は信じられないことを言います
「みんなはアリスが守らないといけないんです!みんなとお別れしたくないです!」
「アリス…」
先生は悲しそうな目をしています
どうしてそんな目をするのでしょうか

「アリスどんなに怖くてもお別れはいつかやってくるんだよ」
先生が私を抱きしめてそんな事を言います
「嫌です!アリスお別れ嫌です!」
耳を塞ごうにも先生が抱きしめているからアリスは耳を塞げません先生はひどいです
「死んじゃわなくてもみんな卒業してそれぞれの道に行ったら毎日は会えなくなるんだ」
先生が酷い事を言いますアリスがお別れは嫌だって言ってるのに
「でもねアリス遠く離れていてもずっと一緒に要られる方法があるんだ」
「それはなんですか?」
先生は凄いですそんな方法があるならもっと早く教えて欲しかったです
「それはね、思い出を作ることなんだ」
「思い出?」
「そう、思い出を作ればその人がそこに居なくてもその人がアリスの心の中にいるから寂しく無いんだよ」
「アリスには難しくて分かりません…」
「そうかもね…でもこれだけは覚えていてね、毎日別れに怯えるんじゃなくて楽しい思い出を作れるようにアリスには生きて欲しいんだ…強く抱きしめてごめんね?痛くなかった?」
そういって先生は離してくれました

アリスには先生の話は難しくてよく分かりません
今でもお別れは怖いです
でも、何故かずっと胸にあった重りが少し軽くなった気がします
「先生…またぎゅっとしてくれませんか?」
「うん、喜んで」
そう言って先生に抱きしめて貰いながら今までの楽しかった「思い出」を思い返していたらアリスは久しぶりにお別れの恐怖を忘れてぐっすりと眠れました

ジュンコは全部食べちゃいたい

ねえ先生
私、さっきもお団子落としちゃったんだ…まあ戦闘中だったししょうがないんだけど
でもそれ見てあーあまた食べ損ねちゃったなって思った時にふと先生の顔が頭に浮かんだの
先生が買ってくれたスイーツは美味しかったなぁとか一緒に食べたなんちゃって高級食材の微妙な味とかそういうの思い出して
でもさ、何よりも一緒に食べたカップラーメンとか中華料理はほんとに美味しくって
あの時どうせ先生はからかったんだろうけど一緒にジュース飲んだらもしかしたらもっと美味しかったのかなって、後から思ったりもしたよ

でも先生はイズミともよく食べ歩きしてるんだよね。ハルナとたい焼きを食べ歩きしたりしてるのも、私知ってる
子供だと思った?知ってるんだよ。美食研究会のみんな先生と二人で食べるご飯が大好きだってこと
…先生のことが、好きだってこと
アカリはきっとこの四人だったら仲良く分けましょうとかいうんだろうね
でもね先生。私はもう美味しいものを食べ損ねたくはない
自分一人で全部食べつくしちゃいたいって思うくらい卑しいんだよ
…ねえ先生
今度はいつ、二人でご飯食べに行く?

キスの数だけ

点数と同じだけキスをしてもらう
そう私は先生と約束した
初めは私のいつもの妄想癖だった
それをつい口にした、いつものように
そうしたら先生が、冗談混じりだったけど「それもいいね」なんて言うから
次の補修テストで、40点も取ってしまった
先生は、この前の約束なんてすっかり忘れて、手放しで私を褒めてくれた
そうして私は不満混じりに「約束、忘れてないでしょ?」って言ってしまった
それから今の関係が始まった

キスを40回
それで済むはずがなかった
もう回数なんて数えられないくらい唇を重ね、舌を貪った
先生はやっぱりというか、男の人だった
いざこう言う場面になると、遠慮も知らず私を求めた
私も、先生を求めた
唇に、なんて決まり事はなかったからと、先生は私の身体中に舌を這わせた
私も、先生の苦しそうになっているところに口づけをしてあげた
先生は私の体の刺青を舌でなぞり、大事なところを脅かすのが好きだった
私も好きだった
「かわいいよコハル」って言われるたび、幸せでいっぱいになった
私も先生に答えるように、いっぱい好きを身体で伝えた
それがテストの後の日課だった
明日は何点を取ってやろうか
私は楽しみで仕方がなかった

ユズの妹?

「アリスちゃん今日はこんなお洋服どうかな?」
「はい!アリス着てみたいです!」
ミドリちゃんもモモイちゃんも来ない日の部室でアリスちゃんと一緒にファッションショーごっこをしていむす
アリスちゃんはとっても素直で良い子です
アリスちゃんが来てから夜も寂しくありません

「ユズ!どうですか!」
「わあ、とっても可愛いよアリスちゃん!」
目をキラキラと輝かせるアリスちゃんは本当に可愛くてこんな妹がいたら毎日楽しいんだろうなって思います
「あっアリスちゃんそろそろお風呂に入らなきゃ一緒に行こう?」
「はい!」
アリスちゃんの手を引いてお風呂に連れていきます
「アリスちゃん?お風呂に入ったら肩まで浸かって百まで数えるんだよ」
「はい!いーちにーいさーん…」
髪を結んで浴槽に浸かってそんなお話をします
幸せってこんな事なのかなって思います
髪を乾かしてあげてからアリスちゃんがこっちをチラチラと見てくるので「どうしたの?」って聞くと
「あの…アリスもユズみたいにしたいです」と私の編み込みを見て言います
「うん勿論いいよ」
アリスちゃんの綺麗な髪を結んであげるととっても可愛くてまるでお姫様みたいです

「とっても可愛いね…」
私とは違って…と言う言葉を飲み込んでそう言うと
「ユズの髪型だから当然です!」
と胸を張って言いますどういことかと聞くと
「可愛いユズお姉ちゃんの髪型だから可愛いんです」
「ユズ…お姉ちゃん…?」
「あっ…その前にミドリとモモイが髪を弄っていたのを見てユズとアリスもあんなふうに仲良しの姉妹みたいだっておもって…ごめんなさい…嫌でしたか…?」
「ううん!えへへ嬉しいな…こんな可愛い妹が出来て本当に嬉しいよ…」
つい泣き出してしまった私を大丈夫ですか?とアリスが頭を撫でてきます
「ううん違うの!嬉しくて泣いちゃって…ごめんね心配かけちゃって…」
「大丈夫ですお姉ちゃんはアリスが守りますから!」
そう言ってアリスちゃんは胸を張って言ってくれます
こんな可愛いくて優しい妹が出来て私は本当に幸せ者です

誰よりも幸せな17回目を

深夜を回って、丑三つ時
私は新作のゲームのプログラミングで、このところ毎日夜遅くまで作業していた
「もうこんな時間…寝なきゃ」
寮に帰っていない私は、ゲーム開発部の部室が実質的な家となっていた
そうしていつも通りソファで横になろうとすると、不意に扉の開く音がした
「あれ、ユズ、まだ起きてたんですね」
怪訝に振り返った目線の先には、アリスちゃんがいた
『廃墟』で見つかったという不思議な女の子
今ではもう、掛け替えのない私たちゲーム開発部の一員だ
「あれ、どうしたのアリスちゃん、今日はシャーレじゃなかったっけ」
アリスちゃんも寮ではなく、シャーレか部室のどちらかで寝泊まりしている
今日はシャーレの日だったはずだが…
「はい、でもクエストがあるのでこちらに来ました。ちょっと予定とは違いますが、これもランダム要素ですね」

アリスちゃんはそう言いながら、後ろ手に隠してあったものを突き出した
綺麗で、華美な個包装に包まれたもの
俗に、プレゼントと呼ばれるもの
「えっ、あっ…!」
すっかり忘れていた、そうだ、日付が変わったのだ
ということは…
「今日はユズの、人生初の接続日です」
そう言って、アリスちゃんはとびきりの笑顔で続ける
「ユズ、おめでとうございます!」

いわく、本来は私が寝ている間にプレゼントを枕元に置いて、驚かせるつもりだったらしい
アリスちゃんだけでなく、ミドリちゃんもモモイちゃんも、ユウカ先輩までも来るとのこと
「ありがとう…本当に…本当に…」
寮では居場所のなかった私、でも、今は違う
17回目の誕生日、それを自覚するには十分すぎるほど、幸せな誕生日だった

マキは悪い子

「この度はうちの生徒がご迷惑をおかけして……」
まただ
また、先生があたしのせいで大人の人に頭を下げている
先生は何も悪くないのに、あたしに全て落ち度があるのに、何度も何度も腰を折って謝っている
ようやく話が片付くと、先生は疲労困憊といった声であたしに言う
「マキ、お話は終わったからもう帰ろう。イタズラはもうこれっきりにしてね」
その言葉を聞いたあたしは、いつもいつも胸が締め付けられるような気分になる
嫌われたらどうしよう、見捨てられたらどうしよう、嫌われたくない、嫌だ、怖い、嫌いにならないで……
そんな言葉があたしの思考を塗りつぶす。気がつけばあたしの身体は考えるよりも先に動いていた
先生をその場に突き倒し、先生におしりを向ける形で先生に跨る
その体制のまま、あたしは先生のズボンのファスナーをゆっくりと下ろす
「ま、マキ!?何を…」
「ねえ、先生……これを気持ちよくしたら、あたしを嫌いにならないでいてくれる?」
やめろと懇願する先生の声も無視して、先生の分身をまさぐる
だってあたしは悪い子だから

ぼっちゃま

「ほえ゛っ あうっ あーあっ」
先生、ご主人さま、ダーリン……いえ、「ぼっちゃま」が言葉にならない声で私を呼ぶ
ピョン、もといひょんなことから頭部が脳の入ったメカミジンコになってしまったかつての先生
こんな状態の先生のお世話ができるのはメイド……つまりC&C以外ありえない、と真っ先に世話役を買って出たのは大正解でした♥
なんてかわいい、お世話しがいのある姿……4人がかりで指の一本まで甘やかされ、すっかり幼児退行しきった姿は母性本能をくすぐります♥
───さて、今日はどのようなご奉仕をお望みですか。かわいいかわいいアカネの「ぼっちゃま」♥

名もなきヘルメット団

お前は人質なんだ!つべこべ言わず従いな!
ヘルメットを被り直したαは目の前の冴えないおっさんに言った
先生などと呼ばれるこのおっさんは戦闘指揮に異常な能力を持ってるらしく我々ヘルメット団はこいつを利用するしかないのだ
スカートを翻しΣがおっさんに蹴りを放つとおっさんはいやらしい顔をした…信用ならない大人だ…ヘラヘラと説明を要求する顔に緊張感は皆無だった
世間の爪弾き者でいらない学生の私たちに衝撃的な知らせがあったのはちょうど2日前…潜伏している場所はキヴォトスから落伍したかわいそうな生き物であふれていた
街宣車とともに降りてきた傲慢そうなロボットが高らかにここを再開発と言い放ち我々の同士を殴る
傍には少し引き攣った顔のゲヘナの生徒がいた
腐ってもゲヘナの便利屋だ…私たちだけでは抗えない
私はできるだけ目の前の縛られたおっさんに説明する
果たして私たちみたいな落ちこぼれに力を貸すだろうか
おっさんは立ち上がる
何でもかんでも仕事をうけちまう便利屋にはお仕置きが必要みたいだねと
「xxxとoooと▲▲▲ちゃん力を貸してもらうよ」
先生は教えた事ない私たちの名前を呼んでニコリと笑った

シロコの早起きは三文の得

汗を流すのは気持ちがいい。
愛用のバイクに跨って風を切りながらアビドスの道路を駆け抜ける。
道すがら銀行強盗のシミュレートも忘れない。
その途中先生がいたのでとりあえず足を撃っておいた。
けおおっ、と先生が苦悶の声を上げながら地面を転がるので駆け寄って何事か聞くと何者かに狙撃されたのだという。
おそらくカイザーPMCの報復に違いない。
ともかく先生の手当と保護が必要なので背中におぶってカイザーローンに愛車ごと飛び込んでおいた。
駆けつけ一発飛び六方で持ち合わせていた手榴弾を投げるとバン、テリンッと小気味の良い爆発音と共に悲鳴が挙がる。
カバンに札束を入れる間物音に驚いた先生が何事かを言いかけていたので口に札束を突っ込んでおいた。
怪我人なのだから体力の消耗は避けるべき。
それにしても、早起きは三文の得と先生は言っていたけれど、綿密な計画を立てた上での早起きは三文どころの得じゃないと思う。
先生が目を覚ましたら教えてあげよう。

ヒナの誕生日に

2/19。朝
「おはよう、先生。今日は私が当番だから1日よろしくね」
【ヒナ、早速だけど何か欲しい物とかある?】
今日も1日シャーレ当番生徒として頑張ろうと、朝6時から身嗜みを整えシャーレに現れたしたゲヘナ学園風紀委員会委員長空崎ヒナを待ち受けていたのは先生からの唐突な質問だった。
先生からの問い掛けに、ヒナはフリーズして固まる。
一瞬、頭に浮かんだ自由な時間、平穏な1日という何時の答えを振り払い、先生の問いには何か意味がある筈だと思考する。
ふと、目に入ったのはカレンダー。2/19と2/20に赤丸が付いていた。
なんだろう、と先生に助け船を求めようと、視線を先生に戻す。
【誕生日おめでとう、ヒナ!】
先生は満面の笑みでヒナを祝う。
「あ、ああ、ありがとう、先生。私の誕生日か……。忘れてた。」
【……誕生日を!?】
「そ、そんなに驚かなくても良いでしょ!い、忙しかったから…」
ヒナは先生の驚く表情に顔を赤くして思わず言い訳をしてしまう。
忙しかったのは本当だが、元々誕生日というものをそれほど重要だと思っていないのも確かだった。

【私もみんなに言われて思い出したから分かるけど…】
先生も人の事言えないじゃない。と喉まで出掛かった言葉を飲み込む。
【あ、ヒナ。先生も同じじゃんって思ったでしょ?】
「お、思ってないよ」
ヒナは心中を見抜かれた事が恥ずかしく反射的に顔を反らしてしまう。
先生は何時もヒナの考えている事を読んでいかのような言動をする……たまに思いもしない突飛な事もするが。
【そうだ、誕生日なんだし何か欲しいものとかない?私が買ってあげるよ!】
「何か、欲しいもの……?」
「いや、別に何も……」
先生の言葉に何かないか考えてみるが、特に何も浮かばない。
ヒナも決して遠慮しているわけではないのだが、──先生が無駄遣いをしてユウカ辺りに怒られているのを知っていても──何も思い浮かばなかった。
思わずヒナは私はそこまで我欲がなかったのかと我ながら可愛げがないと呆れてしまう。
申し訳無さそうに先生の方へ視線を送ると先生は良いことを思い付いた、とでも言わんばかりに左の掌を右拳で叩いた。

【じゃあ出掛けようか!】
「うん?一緒に出掛けようって?」
でも、シャーレの仕事は?とか考えていたヒナは先生に良いから、良いから!と押しきられ、外に連れ出されてしまう。
もう、強引なんだから…と頬を膨らませて不服そうな態度を取るが、実際の所満更でもなかった。

「先生、ここは?」
ヒナが先生に連れられて来たのはミレニアム学園の一角にあるスポーツジムだった。先生に案内されて奥へと進む。
最新の設備が整ったスポーツジムを眺めながら流石ミレニアムだと感心したが、先生の見せたい物はジムの設備ではないようだった。立ち止まったヒナを手招きすると先生は奥にあった扉を開ける。
「これって……」
【今日は私とヒナの貸しきりだよ!】
そこは天窓から陽の差す屋内プールだった。驚きながらもヒナがプールに手を入れると仄かに暖かい。温水プールだ
「でも、先生。私、水着とか持ってきてないよ?」
【大丈夫、全部手配済みだよ!】
「……待って、私の水着のサイズをどうやって知ったの?」
ヒナの疑問に答えず露骨に目を反らす先生。

「まあ、いっか。この話はまた今度じっくり聞くから」
目を細めたヒナの圧に、先生は蛇に睨まれた蛙のように身を竦めたのだった。

ジムで用意されていた水着はミレニアムらしい、機能的な競泳水着だ。
明るい青色の水着は体型にピッタリとフィットしていたが、背中側がばっくりと開いており、泳ぎやすいがヒナは少し恥ずかしかった。
もう少し可愛らしい水着が良かったな…なんて珍しく柄でもない事を思っていたヒナだったが、先生の似合ってるよヒナ!という言葉にすっかり機嫌を良くしている。
「ところで先生。何で温水プールに?」
温水プールで先生に泳ぎを教わっていたヒナはふと、思った疑問を口にした。
【ほら、夏はヒナと一緒にいるって約束したのにあんまり一緒にいれなかったから…】
ヒナの言葉に申し訳なさそうに答えると、先生は、ははは、と少し照れ臭そうに頬を掻いた。
(気にしなくて良いのに…)
またしても、言葉を飲み込むヒナ。
【ヒナ、ヒナはもっと思っている事を表に出して良いんだよ?】
先生の言葉にヒナの心臓がどきりと跳ねる。
(本当に、先生は私の考えている事が分かるみたい…)

ヒナの動揺も分かっているように先生はただヒナの言葉を待っていた。
「でも、先生に迷惑が……」
胸に秘めた思いを毛糸をほどくように言葉を少しずつ紡ぐ。
【迷惑なんかじゃないよ。全部は受け止められないかも知れないけど、私も出来るだけ頑張るから!】
先生の真っ直ぐな目にヒナはゆっくりと頷く。
「じゃあ私、これから我が儘言って先生困らせるかもしれないよ?」
【任せて!我が儘には慣れてるから!】
「……そんなに先生に我が儘言う子いるの?」
【いや、そんなに、まあ、それなりに……】
困り顔の先生に我が儘は程々にしておこうと、ヒナは苦笑した。

ヒナと先生がジムから出ると陽が沈みかけ、既に夕方になっていた。
「ジムの外に出ると寒いね」
【ヒナ、手繋ごうか?暖かいよ?】
「………うん。」
一瞬、躊躇したヒナだったが、先生の手をぎゅっと握った。
シャーレに戻る道中、先生とヒナは手を繋ぎながら帰っていく。
まだ真冬で冷えきっている筈なのに不思議と体も心も暖かかった。

ヒナの匂い

「この前はSRT…今度はアリウス…先生は家のない子に好かれるオーラが出てるの?それともそういう子を狙ってるの?」
深夜のシャーレ、その執務室でヒナは少し頬を膨らませながら私と相対していた。
〖うん…でもね…あの子達は本当に困ってるから…〗
別に怒られている訳でもないのに言い訳がましいことを言ってしまう。
「別に非難してるわけじゃない。こうして私の為に深夜に時間を作って会ってくれるし」
とは言えヒナの目は細められて此方を見続けていた。
最近分かったが、ヒナは不満やストレスがあると目を細める。そして今はかなり危険だ。
「まぁ、いいけど」
実際は全然良くない。ヒナは窓に近づくとカーテンを閉め、持参してきた盗聴防止の妨害装置をコンセントに差した。
一頻り周囲を確認するとヒナは当然かのように無言で私の膝の上に座る。
じっと上目遣いで私を見てくるヒナ。頭を撫でろと言う催促だ。
ヒナのふわふわの髪を撫でると満足そうにヒナが笑みを浮かべる。
うん。これは暫く立ち上がりそうにない。
「……先生、先に言っておくけど、匂いは嗅がないでね」
そして考えは読まれていた。

ロボドックへの嫉妬

「え?先生この子が羨ましい…それって嫉妬してるんですか!?」
その日先生は妙に機嫌が悪く、疑問に思ったユウカが問い質すと最近ユウカが連れているロボドッグに嫉妬していると観念したように吐いたのだった
「……もう、何言ってるんですか先生! そんな子供みたいな事を言わないで下さい! ほら、仕事しますよ!」
子供のように口を尖らせる先生を宥めて一緒に仕事を終わらせてミレニアムに帰ってきたのがつい先程
「知ってる?先生、貴方に嫉妬してるんだって?」
セミナーの机に座りながら傍らのロボドッグに話しかけると良く分からないとに体を傾ける
「……そうか。貴方に嫉妬するって事は私に好意を向けてくれてるんだ」
ふふ…と先生の可愛らしい一面を思い出し微笑むとユウカははっとしたように立ち上がった
思わず顔が赤くなり口元が緩み、にやける
ダメだ、笑みが止まらない、変な声が出そうになる
先生、私の事が好きなんだ!
ダメだ、立っていられない。椅子に座り、突っ伏すと足をじたばたさせる
「……あら?どうしたんですかユウカちゃん」
「べ、別になんでもないから!」
ノアとロボドッグは不思議そうに顔を見合わせてると首を傾げた。

ユウカの嫉妬

「先生…そんなにその子可愛いですか?……そりゃ私は先生に可愛くないところばかり見せてますけど」
先生はここのところユウカが連れてきたロボドッグに夢中だった。
先生が動物好きなのは常日頃から猫のおやつを持ち歩いていることから知っているし、シャーレの職務でペットを変えないことも知っている。何故か首輪も持ち歩いてるし
だからと言って、自分と仕事を無視して ロボドッグと戯れる先生を前に何も思わないでいれる程ユウカは大人ではない
「先~生~! 没収!この子は没収です!」
ロボドッグを取り上げると先生は肩を落としてあからさまに落ち込んだ。
「そ、そんなにこの子に構いたいなら…後で私の部屋に来ますか…?」
行く!
一も二もないとはこの事か。半ば冗談めいたユウカのお誘いを先生は快諾した
「じゃ、じゃあ! この仕事が終わってからですね!」
ユウカの声が思わず上擦る
普段から先生の面倒を見ているのだ。だから…うん、まぁこのくらいは役得というやつだろう
ユウカは心の中だけで思わずガッツポーズをしていた