【光の教団】

Last-modified: 2021-04-18 (日) 19:32:22

DQ5

DQ5に登場する宗教団体。
DQ5の裏側で蠢く陰謀の中心であり【主人公】の不幸の元凶でもある、光とは名ばかりの邪教団。
本部は【セントベレス山】の頂上にあり、【イブール】が大教祖を務めている。
表向きは普通の宗教団体として活動しており、魔族による組織だということは知られてはいない。
「大教祖イブールを信じれば神に愛される」「教団の教えに従えば光の国へ辿り着ける」などという謳い文句の下、着実に信者の数を増やし続け、かなり大きな組織として人間社会に入り込んでいる。
 
DQ5の世界では他作品と異なり魔王やそれに類する巨悪の存在は人々に知られてはいないが、魔物は普通に跋扈しているため、「教団に入れば救われる」というこのような組織が幅を利かせている。
【ハーゴン】【バラモス】のような恐怖と武力による直接的な支配を行おうとはせずに、あくまでそれと知られないよう「宗教」という表向きの看板を掲げ、影から人間達の生活を侵食しているのが特徴。
入信した信者達は自分達の生活がその教団下の魔族に脅かされてるとは露ほども知らずに信仰と献金を続けている。
CDシアターでは教団の者が各地(ラインハット含む)で奇跡を起こして信者を集めている事が語られる。【ヘンリー】曰く『どうせケチな魔法を使ってるんだろうが…』とのこと。
 
とはいえ、魔族の組織だけあって一皮剥いてみれば中身は悪の組織そのもので、神殿にやってきた信者達や各地から拉致して来た子ども達を奴隷として使役させたりしている。
リメイク版の【サンチョ】によると「(魔物が跋扈するこの時代に)教団に入れば救われるということは、教団が魔物とつるんでいる証拠」という話をする。そう、ちょっと考えればすぐわかるのである。
 
教団の目的は世界に版図を広げ、教祖イブールの信じる魔界の神【ミルドラース】の手助けをすることと、伝説の勇者の復活を阻止すること。
しかし、どのような手段で勇者の復活を阻止するつもりだったのかは、教祖イブールや幹部の【ラマダ】【ゲマ】の台詞からも伺い知ることはできない。それ以前に教団そのものの描写が非常に希薄である。
また、イブールに勝利した時の彼の台詞から、伝説の勇者が復活し、教団が壊滅するところまでは、ミルドラース自身が予言していたことがわかる。
ちなみに、教団幹部の1人である【ジャミ】の台詞で、「勇者の子孫が生きていたとは」という部分があり、少なくとも彼は勇者の子孫の生存は把握していなかったことが伺える。
せっかくの魔界の神の予言や、教団の目的が部下にうまく通達できていない可能性がある。
 
別の視点から仕事ぶりを見ると、天空装備の一つである【てんくうのよろい】を手に入れていることから、それなりの成果を上げていることがうかがえる(仮に勇者が生まれても、勇者の強化を妨げるという意味では保険にもなる)。
しかし、肝心の鎧は神殿の外の隅っこにおかれており、警備もそこら辺のモンスター1匹という体たらく(もっとも、後述のことから、本拠地に乗り込んでこないと思っても仕方がない)。
 
主人公から奪った物資の扱いを見ても、何と10年間も、各種装備品から薬草1枚に至るまで、全て放ったらかしにされていた。
一応神殿完成後は奴隷は解放されるという建前なので所持物を保管しておくのはそれに説得力を持たせるため、と取れなくもないが、日用品はともかく武具は没収する言い分はいくらでも付けられるし、売却すれば多少なりとも教団の資金源になるはずなのだが。
結局、脱出時に全物資が【ヨシュア】から主人公の手に渡り、そのまま奪還されてしまう。
…尤も、この辺は種などの貴重なアイテムが無くなろうものなら不興を買うのは明白なので、メタ的にはゲーム上都合とかスタッフの配慮ではあるのだが…ドラクエ8の暗黒魔城都市のように、取り逃した(奪われた)アイテムを別の場所で回収できる仕様にするまでは、当時は至らなかったようだ。
それにしてもこの10年間、誰かが物資の処遇を問題にした描写が全く無いあたり、ヨシュア以外その物資のことを忘れていたとしか思えない。
同じく主人公から奪った資金についても、10年経っても全額使い切っておらず、まだ1/4が残っている。
まぁこの時点で主人公が持っていた金銭はそれほど多い金額ではなく価値としては低いのだが、それでも10年もかけて全額使っていないというのは、予算管理も杜撰である。
 
これらの点から、組織全体において現場力がなく、詰めが甘い部分、杜撰な点が多い。
 
歴史はそれほど深くないらしく、幼年時代の頃はまだ大きな勢力とはなっておらず、大神殿も建設途中
上記の通り主人公とヘンリーはゲマに拉致された後にここへ連れてこられ、以降10年間もの間奴隷として使役されることとなる。
青年時代前半は、この組織から逃げ出すところから始まる。
 
青年時代後半になる頃には【大神殿】も完成しており、宗教組織らしく各地で布教・勧誘にも勤しみ続々と信者の数を増やしている。
各地には熱心な信者(スポンサー)がおり、ヘンリーによれば、主人公の自国であるグランバニアにも信者がいるとのこと。
【アルカパ】の宿屋の女将などは、多額の寄付金をこの教団に送付しているらしい。
また、布教活動には【イブールのほん】というものが用いられており、主人公も【ルラフェン】に居る教団信者のおばさんから購入することができる。
しかし一方で、その実態が噂話として広がり始めてもおり、奴隷を労働力として使っていること、大神殿が悪の巣窟であること、ひいては教団そのものへの疑いの目などを向ける人が増えている。
大神官(=ラマダの変装)が女性であることが【ネッドの宿屋】でわかることから、かなり重要な情報も漏れているようだ。
 
勇者の子孫である主人公の妻が教団の手の者に拉致された時には既に勇者たる人物は生まれていたため、この教団の存在によって希望が潰えることはなかった。
その後、成長した男の子(勇者)や主人公達が大神殿に乗り込み最高幹部の1人であるラマダを倒した際に、信者達は正気を取り戻して自分達が魔物に騙されていたことにも気付く。
そのまま大教祖たるイブールも討伐されるため、これで光の教団は事実上消滅したことになる。
ただし物語終了時点までは末端の信者までは教団本体が潰れたという事実が認識されてなかったようであり、アルカパ宿屋の女将はまだ寄付金の捻出に腐心しており、ルラフェンではいつでもイブールの本が買える。
 
なお、相当な規模で展開している魔族の組織だけあって、擁する有力な魔物も多い。
DQ5に登場するボス級モンスターも、その半分近くが何らかの形でこの教団に縁のある者達である。
大教祖イブールを筆頭に、その配下のゲマとラマダ、ゲマの配下のジャミ・【ゴンズ】、ジャミの配下の【オークLv20】【キメーラLv35】、下級信者の【ムチおとこ】が該当。
イブール ⇆ ゲマ → ジャミ ・ゴンズ→ オークLv20・キメーラLv35と、縦の繋がりが見れるのも組織らしいといえばらしいかもしれない。

リメイク版

子どもを拉致しているのは、ミルドラースが「勇者の子孫は高貴な身分にある」という予言をしたため、という設定が加えられた。
リメイク版において、光の教団が子供を攫う理由を「『高貴な子供が勇者になる』というミルドラースの予言があったから」という追加設定で補完された。
王族であるヘンリーや、資産家の子息である【ジージョ】が拉致されたことなどの理由付けのためだろうが、客観的に見てイマイチ効率のいい方法とは言えないだろう。
 
対象選びの基準も非常にちぐはぐで、王族にしてもヘンリーだけ拉致しておいて弟の【デール】は放置されている。
グランバニアも、王妃はたびたび誘拐されるが、主人公の従妹【ドリス】らは無事である。
また、主人公に関しては、王族であることは隠されていたものの、偶然ヘンリーと共に居合わせたために拉致されてしまっている。この時点で、目的と行動が一致していない。
王族だけでなく、ジージョのような資産家の家も対象の様だが、世界的に有名な資産家の娘であり教団の拉致の目的としてはむしろ大本命といってよい【ルドマン】の娘【フローラ】(DS版以降で登場する【デボラ】も同様)には、全く手を出す気配もなかった。
厳密にいえばフローラとデボラは養女なのでルドマンの実の娘ではないが、光の教団のあまりに雑な情報収集能力(後述で指摘)を見るに、そんな事情など教団は知らなかった可能性が高い。というわけでルドマンの娘らをターゲットにしないのはおかしいのだ。
例え養女だとしても、世界的大富豪ルドマンに実子のように大切に育てられている彼女らが「高貴な子」であることに変わりはない。ましてやミルドラースは「高貴な子供」とは言ったが「高貴な血筋」とは言っていない。もし事情を知った上で勘違いして手を出さなかったのならば、予言を正確に解釈できておらず、教団はミルドラースの予言を読むに足る能力が欠落していたということになる。
長らく修道院に修業に出されていたフローラについては、そもそも存在に気付かなかったこともあり得るかも知れないが、それもちょっと調べればすぐ分かることである。
何故調べずに放置したのか。
ルドマン邸には天空の盾があるため、その聖なる力で彼女らが守られていて一般の魔物には手が出せなかったのかも知れないが、それならば強大な力を持つ幹部が出向けば良いだけの話である。
結果的にルドマンの娘らは天空の勇者の子孫であった為、この失敗により伝説の勇者の誕生を許してしまった。
 
それ以上に、高貴な子供が勇者になるという予言が実現しない様にするには

「高貴な身分の者(即ち世界中の富豪や王族)を、大人含め全て殺せばよい」

という事に、ゲマ含め光の教団の幹部面々は誰も気づいていない。
高貴な生まれの者を狙ったのは良いのだが、ターゲットを子供ばかりにする視野の狭さが誤算を招いた。
ミルドラースもミルドラース、予言をするだけで直接的かつ的確な指示ができておらず無責任ではあるが、光の教団も予言を的確に活用どころか、正確な解釈すらできておらず、フォロー不可能。
とはいえターゲットが1人だけなら工作活動で王族を誘拐することもできようが、王族を皆殺しにするとなると工作活動だけでは無理がある。
普通は全面戦争を仕掛け、そのどさくさに紛れて殺すことになるので、光の教団にそこまでの兵力が無いのかも知れない…
と思われたのだが、極めつけは、国王に子供のいなかった【レヌール城】

「光の教団が王家の後継ぎを誘拐しようとしたら、そもそも後継ぎがいなくて、ハズレを踏んだ腹いせに住人皆殺し」

光の教団は情報収集をしなかったために、レヌール城には王族の子供どころか後継ぎが生まれる気配すら無かったにもかかわらず、それすら知らずに「存在しない子供」を誘拐しようとレヌール城へ行ったという……あまりにも間抜けすぎる。
フローラの件や主人公の子供(【ゲマ】の項目を参照)の件も含めて総合的に考えると、「ちょっと調査すればすぐ分かること」も分かっていないまま行動するあたり、どうも光の教団は「情報収集」の能力があまりにも欠落し過ぎているようだ。
そしてハズレを踏んだ腹いせに、特に意味もなく城の人間を皆殺しにしている。兵力あるじゃん!!
腹いせ程度の行きあたりばったりな理由で一国を滅ぼせるほどの兵力があるのなら、ラインハットもグランバニアも皆殺しにすればいいのである。教団幹部の誰も、そのことに何十年も気付かなかったのか?
ジージョの誘拐事件一つ見ても、ジージョの家には兵士すらおらず簡単に一家全員皆殺しにできそうなのに、子供のみをダイレクトに誘拐してその他の者を放置している。
ただ設定だけ追加し、それに合わせた描写のテコ入れがほぼ行われなかった結果生まれてしまった粗である。
 
オマケと言わんばかりに金銭管理もさらに杜撰になっており、
リメイク版ではあろうことか主人公から奪った所持金に一切手をつけない。
教団は資金稼ぎも重要な要素であり、青年時代後半には信者から多くのお布施を巻き上げている。そうでなくとも資金は組織運営の重要な要素であるだけに、鐚一文たりとも現金に手を出していないというのは到底信じがたい。
 
この教団、こんなに杜撰で本当に大丈夫なのだろうか。いや、大丈夫じゃなかったから最終的に崩壊したのか。

英語版

ちなみにDS版以降の英語版ではモチーフがチェスネタにされており、組織名が "Order of Zugzwang"(Zugzwangはチェス用語で「強制的な差手」、転じて自分から悪手を打つしかない「切羽詰まった状況」。【エビルマウンテン】の英名にも使われている)。
幹部連中はチェスのコマに見立てられており、

  • イブール→King Korol
  • ラマダ→Queen Ferz
  • ゲマ→Bishop Ladja
  • ゴンズ→Slon the Rook
  • ジャミ→Kon the Knight
  • オークLv20→Orc Pawn
  • キメーラLv35→Chimaera Pawn

そしてミルドラースがこれらの駒を動かすGrandmaster Nimzoという構図になっている。
Korol,Ferz,Ladja,Slon,Konはロシア語でチェスのキング、クイーン、ルーク、ビショップ、ナイトのこと。
基本的に同じ駒の英語とロシア語を合わせたものだが、ゲマとゴンズは異なる駒の組み合わせになっている。
チェスの駒の価値はルーク>ビショップ=ナイトなので、RookとBishopが入れ替わった可能性がある。
Nimzoはチェスの打ち方、あるいはその打ち方を考案したチェス棋士から取ったものと思われる…作中の教団の描写だけでは、チェス棋士のような戦略性のカケラも見られないのが残念ではある。
 
DQB2のようにこの世界観のスピンオフ作品が開発された際は、是非この集団の理由付けを明確にして欲しいものだ。