DQ5
【アルカパ】の北にある【城】兼【ダンジョン】。幼年時代から登場する。
【公式ガイドブック】での英語表記はLenule。
色々と凝った仕掛けや演出が盛り沢山であり、FCからSFCにハードが変わったことを実感できるダンジョン。
ゲームバランスの都合もあってか、アルカパから遠く離れた山奥にあるが、シナリオ的には城からのすすり泣く声が町に届いたり、幼児が歩いて一晩のうちに往復できるぐらいの距離になっているため、実質的には町の裏山の城ぐらいの距離感だと推定される。
フィールド上の縮尺がゲーム内世界の寸法と必ずしも一致するとは限らない典型例である。
アルカパの詩人の話では、昔々逞しい王と美しい王妃が住んでいたそうだが、2人の間に子供ができず、王家は途絶えて誰もいなくなり【廃墟】となったらしい。
だがアルカパの住民曰く、最近になって夜中にすすり泣く声が聞こえるという。そのため近づく者は皆無。
そして実際、城には悪霊たちが居座り、最後の王【エリック】とその妻【ソフィア】は、眠りにつくための墓石の名前を書き換えられた影響で安らかに眠れないでいる。
中には主人公達に目もくれず、宝を探している亡霊もいたりする。
DQMに登場する【ちからのとびら】の最下層のモデルとなった場所でもある。
主人公とビアンカは、虐められているベビーパンサーを救う条件として、ここにいるお化けを退治することになる。
本作初のボス戦つき本格ダンジョンで、中にいるモンスターも周辺と比べてかなり強力。
また、広さもかなりのものでどうしても長丁場になる。レベル上げや装備品の強化はしっかりしておこう。
集団で登場する敵が多いので、アルカパで【ブーメラン】【いばらのムチ】を購入しておくとかなり楽になる。
ダンジョンではあるが基本的には城というややこしい仕様になっており、【リレミト】は無効、たとえ室内であっても【ルーラ】・【キメラのつばさ】は使用可能。
【ビアンカ】が攫われている最中のみ脱出不可になる。
また、【毒】状態で歩いてもダメージを受けない。出現敵の中には【バブルスライム】がいるが、この仕様のおかげで全く気にする必要はない。細かな所では、戦闘BGMも洞窟内のようなリバーブ効果がない。
内部はイベントが満載で、鳴り響く雷、出口の閉鎖、仲間の誘拐、ポルターガイスト、墓地、【幽霊】、真っ暗な通路、追いかけてくる敵、ダンスパーティーなど、お化け屋敷の恐怖が満載。
ここでしか使われていない、白い布を被ったいかにもな幽霊のNPCも用意されている (接触・会話はできない)。
初めて【死の塔】を聴ける場所でもあり、BGMの不気味さも恐怖感を煽ってくれる。
城の正面扉は内鍵で閉じられているので、横のハシゴを登って屋上から侵入する。このとき侵入口が閉じられ、後でビアンカを救出するまでは脱出不可能になる。
その下の階ではただのしかばねが動いてビアンカが誘拐される。この際に【呪いのモチーフ】が流れるので、苦手な人は屋上侵入後から主人公が一人になって操作可能になるまで音を消しておこう。
その後、お墓から声が聞こえてオバケかと思ったらビアンカだった、というドッキリを経て来た道を戻ると、隠されていた階段がソフィアの霊によって解放され、その先でエリックの霊から悪霊を追い払うよう依頼される。
なお、ソフィアとの初対面時は何も語らずに消え、さらに意味深な書置きを残していくので、最初は彼女も敵側かと勘違いするかもしれない。なんでそんな子供をビビらせる真似するの…。
エリックとの会話後は台所で【たいまつ】を入手でき、真っ暗な通路の階段を見つけ出せるようになる。階段の先の通路では変な石像が追いかけてきて、調べると戦闘になる。
その先には一方通行でワープする壺があり、調べると正面扉から入れるエリアの2Fにワープする。
余談だが、正面から侵入するエリアと屋上から侵入するエリアを行き来する手段はこのワープ以外になく、幽霊騒動の解決後はワープもできなくなる。正面側には食堂や玉座、屋上側には台所や王族の寝室があるので、分断されていると不便極まりなさそうだが…。
元は双方を繋ぐ階段や扉があったが崩落した、といった様子もなさそうなので、謎の構造である。
正面側には1Fに正面扉 (調べると開けられる)、2Fに宿屋がある。
宿屋はオバケ運営のくせにちゃんと回復してくれるので是非役立てたいが、同時に城の外に放り出されるので、泊まる前に正面扉を開いておこう。忘れるとまた屋上から入り直しになる。
おそらくエリックによるものであろう、自動で開く扉に導かれて3Fに行くと、黒幕の【おやぶんゴースト】がいるが、最初は話しかけると1Fに落とされ、待ち構えていた骸骨…ではなく【おばけキャンドル】と戦闘になる。
もう一度3Fへ行くと、今度は親分ゴーストとの直接対決になる。彼を倒して退散させるとエリックとソフィアは眠りに就き、幽霊騒動は解決される。この際に【ゴールドオーブ】が手に入る。
騒動が解決するとBGMは【王宮のトランペット】に変更され、敵は固定エンカウントの動く石像も含めて消滅、城内にいたNPC幽霊なども全ていなくなる。
正面扉の内鍵を開けていなかった場合も、騒動解決後は開放される。
ソフィアは「この小さな城で2人きりで平和に暮らしていたのに」と語るが、【ラインハット】の城などと比べても余程大きくて立派に見える。
まぁこれもアルカパ~レヌール城間の距離と同じく「子供だけの視点だと広いお城での大冒険に見える」マジックで、実際はもっと小規模なのかもしれないが…。
台所に使用人用らしきベッド付きの部屋がきちんと併設されていたり、店っぽいカウンターもあったりと、往年は「2人きり」で運営されていた城でもなさそうであるが、たぶん幽霊になってからの話なんだろう。
年月が経って青年時代に来た場合、一応は元ダンジョンだからか、メニュー画面に馬車メンバーは表示されない。
また、何者かから逃げてきた1組の男女が隠れ住んでいる。
心中しようとして偶然ここにたどり着き、「城が温かく迎えてくれている」と感じて住み着いたらしい。SFC版ではここで彼らのエピソードは完結するため、青年時代後半でも変わらずいる。
なお、青年時代後半になると周辺の敵が【封印の洞窟】近辺と同様の、かつて討伐したお化け達よりよっぽど恐ろしい化け物達になる。
徒歩で向かうつもりなら、アルカパから大きく迂回して、西側の海岸沿いから行くルートが安全。
本作を制作した【チュンソフト】は、『弟切草』という本格的なホラーゲームを制作したこともあるので、雰囲気は十分である。
かと言って、今作は(怖いSEを聞かせるのはともかく)怖い画像をいきなり見せるようなビックリ系の演出はないので、それほど大きなトラウマにはならないはず。
リメイク版
DS版以降の英語版での地名はUptaten Towers。
リメイクの際、多くのダンジョンは構造も宝箱の配置や中身もほぼそのままなのに対し、ここはかなり大規模に変更されているので、SFC版経験者でも新鮮な感覚で挑める。
ワープ壺必須という無茶な構造ではなくなり、最初は錆びて開かない扉および道を塞ぐ幽霊で探索エリアが制限されているという形に。
エリックと会話すると錆びた扉を開けてくれて、その先のエリアで松明を入手、松明を灯して幽霊をどかしてボスの元へ、という攻略手順になった。
動く石像の配置場所がビアンカ誘拐直後のフロアになっており、迂闊に調べると一人で戦うハメになる。
最初のビアンカ誘拐シーンでは、呪いのモチーフが使われるタイミングが微妙に変化しているので、ピンポイントで消音したい人は注意しよう。
(SFC版ではビアンカの悲鳴のウィンドウを閉じた後だったのに対して、リメイク版では悲鳴の表示と同時に流れる。)
攻略とは関係ない部分で、城内のNPC幽霊の中に、親分ゴーストの配下ではない城の元住人らしき幽霊が多数追加されている。
宿屋もSFC版の「ヒッヒッヒ…」という怪しげな口調ではなくなっているため住人側っぽいが、城外へ放り出されることは変わらない。お前味方じゃないんか…。
また、敵勢力も親分ゴースト配下だけでなく「魔界の幽霊」なる新勢力が加わっている。松明を点けないと退かない連中もそいつららしい。
魔界の幽霊が出張って来たことで、「魔界の王【ミルドラース】が地上に目を付けたのか?」と予想する住人霊もいる。SFC版経験者は「あの影の薄い名前がこんな序盤に出るのか」と別の意味で驚いたことだろう。
ダンスパーティーは住人霊が無理やり踊らされている設定になったり、コックの幽霊がガイコツに脅されて主人公たちを味付けしたりと、魔界の幽霊の影響なのかSFC版よりも悪霊のやっていることが過激になったように見える。
リメイク版では後述のように、城が滅びた原因が【光の教団】の襲撃によるものとされており、「廃墟にイタズラオバケがいる」程度のノリだったSFC版に比べると、亡霊が出る殺人現場を探索する、というシチュエーション的な不気味さもアップしている。
殺人現場という設定に便乗したのか、仲間会話でのビアンカの【たましい】に関する考察も怖いと評判になった (詳細はそちらの項目を参照)、
城内では【ぎんのトレイ】【ぎんのポット】【ぎんのティーカップ】の3つのアイテムが手に入り、これらを揃えると名産品【ぎんのティーセット】となる。
青年時代後半になるとエリックとソフィアが夜間に再び姿を見せるようになっており、【みがきぬの】でキレイにしたティーセットを渡すと、代わりにもう1つの名産品【レヌールのおうかん】を入手できる。
これらの名産品と合わせて、工芸の盛んな地域であったという設定が追加されている。
SFC版から存在する、青年時代になると現れる男女は、青年時代後半にはいなくなっている。ソフィア曰く、光の教団を頼るためにここを発ったとのこと。
最初から最後まで、光の教団の影が見え隠れする地になったといえる。
青年時代前半でも宿屋には幽霊がおり、普通に泊まることができる。ちなみに1人1G。
クリア前の人魂ではなく人の姿なのだが体は透けており、パーティーの人間キャラを連れてくると各々反応を見せてくれるので【仲間会話】を楽しみに来るのも一興。このときは外に放り出されなくなっているが、ゴースト達がいなくなったからなのか宿屋の主が変わっているのかは不明。
青年時代後半には幽霊がいなくなるために宿泊は不可能になる。
考察
リメイク版では滅亡した理由が「【光の教団】が勇者の芽を摘みにきたが、そもそも子供がいなかったために腹いせに滅ぼした」となっている(「腹いせ」についてはソフィアの推測であり、真相は不明。腹いせ以外には「これから生まれる可能性があるから念を入れて」という理由があり得るのだが、他の城に攻撃を仕掛けた記録がないのでここだけそういう根回しをかけた可能性は低く、ソフィアの推測もある程度真実性があると思われる)。
「外敵に人間を皆殺しにされて滅ぼされた」割にはお城の損壊具合が軽度であり、外観に至ってはほぼ原形を留めているのは随分と不可解な話である。外観を全く傷付けず、暗殺者の如く丁寧に内部の人間だけを殺したということだろうか。
また、リメイク版での光の教団の動きの杜撰さはここに限ったことではないが、王家に後継ぎがいるかどうかの下調べすらしていないというのは行き当たりばったりもいいところである。単独犯の【ニセたいこう】のほうが余程計画が上手い…。
もう1つ不可解なのは、皆殺しにされたはずなのに2人の立派な墓が立てられていること。襲撃メンバーの中に【マリア】のような慈悲深い人物でもいたのだろうか。
あるいは、幽霊となったエリックとソフィアは、本棚を動かしたり扉を開けたりと物理的な力も持っていた(レヌール城を占領したオバケ達も、碑文を勝手に書き換えて遊んでいた)ので、死んで教団が撤収した後に自分で墓を作ったのか。
ちなみに、ゴールドオーブを失って天空城が落下したのは既に伝承に謳われるような昔 (数十~数百年前?) なのだが、そのオーブが落ちるシーンで2人の墓が映ってしまうので、リメイク版ではそれ以前から光の教団が活動していたことになる。
その割に幼年時代時点での知名度はまだまだ低く、活動拠点の【大神殿】は形すらもできていない。意外と草の根活動から始めていたのかもしれない。
余談だが王妃の台詞では「十数年前に」滅ぼされたことになっている。おいおい。
これは上記のゴールドオーブ落下の時期と大きく矛盾する。
物凄く都合の良い解釈をすれば、墓自体は歴代王&歴代王妃の墓所として大昔から存在しており、碑文は都度書き換えられるのが慣わしになっている、ということになるか。それならば、「ゴールドオーブが城に落ちてきたのはまだ城が平和だった頃」という解釈も成り立つ。国宝になっていた可能性もあり得るだろう。
教団の主な目的はあくまで勇者の芽を摘むことでありその勇者は高貴な身分の者から産まれるという予言である。
襲われたのはレヌール(幼年時代の十数年前)→グランバニア(幼年時代の6年前、ただしこのとき狙われたのは王子ではなく王妃)→ラインハット(幼年時代)→グランバニア(青年時代前半)→ジージョの家(青年時代前半と後半の間)の順である。
全体的に各国を襲うスパンが長いが、代替わりの後継ぎが生まれるのは、1国につき20~30年に1回なので、こんな所だろうか。
それにしても、本当に光の教団がレヌールを襲った頃から活動していたのなら、グランバニアを襲った際に王妃と共に王子も攫っていればその時点で(ストーリーを度外視して)物語を強引にジ・エンドにもできたはず。
その際も、【グランバニア4階のおばさん】の様なファインプレイがあったのだろうか?
一番のツッコミ所は、アルカパの詩人はSFC版そのままの台詞で「昔々に子供がいなくて自然と滅んだ」と語っていること。
十数年前のことを「昔」なら兎も角、「昔々」というのも少々違和感があるが、それよりも元住民が何人も幽霊にさせられダンス・料理をさせられていることや、教会・宿屋・立派な調理場といった施設もあったことを考えれば、レヌール城にもそれなりの人口があったはずで、滅ぼされたら其処彼処に死体が転がり凄惨な光景と異臭が漂うことになる。アルカパとレヌールは子供の足でも夜の間に往復できるほどの距離であり、交流が途絶えたことを不審に思い1人でも城の様子を見に行けば、直ぐに「魔物に滅ぼされた」ことがわかるだろう。しかし、アルカパの住民はレヌールが滅ぼされた理由を把握していない。
上述の通り、滅ぼされた割には建物が奇麗過ぎる点から、「まだ教団の戦力も整っていないため、活動が露見して敵を作らぬよう秘密裏に暗殺・死体の処分をした」といった事態もあり得るが、それはそれで「自然に (人口が減っていって) 滅んだ」なんて解釈がなされるはずがない。「住人全員が一夜にして蒸発!?」とニュースになる事請け合いだろう。
アルカパの住民のセリフが全く変更されていないせいで、レヌールの人々のセリフとの整合性が全く取れておらず、もはや無茶苦茶になってしまっているのである。
知られざる伝説
ポートセルミの宿屋の娘・アリシアとその使用人・ヨーゼフという設定で、男女のエピソードが語られている。
2人は身分違いの恋仲の関係にあり、アリシアの母親・ジョジョルによって引き裂かれそうになるが、周囲の人たちの助力を得て駆け落ちし、その後は各地を転々として最終的にレヌール城へと辿り着いた。
しかし途中でバブルスライムの襲撃を受け、ヨーゼフはアリシアを守るためひのきの棒でこれを撃退。
しかし毒を受けてしまった彼は城に辿り着く頃にはすでに虫の息で、エリック王とソフィア王妃の墓前に辿り着くとそのまま力尽きてしまう。
アリシアもひのきの棒に付着したバブルスライムの毒を服毒し、ヨーゼフの後を追ったのだった。
そんな2人を憐れんだ王夫妻は不思議な力で2人を蘇生させて毒を消し去り、2人はそのまま城で静かに暮らすように。
3年後、ずっと娘を捜していたジョジョルが城へやってきて、2人の仲を許して結婚式を挙げることを約束し、3人はポートセルミへと帰っていった。
DQM
【ちからのとびら】最下層のモデルになっている。
ただしこちらではおやぶんゴーストもDQ5のうごくせきぞうもいないので(ミステリドールはいた)、DQ3の【うごくせきぞう】が主を務めている。
ミステリドールはランクが低いので主には不適切だと判断されたのだろうか。
テリワン3D/SP
主が【オーガヘッド】に変わり、ネタ元としてはもはやDQ5繋がりしかない状態になった。おやぶんゴーストは相変わらず欠席。