【第六章】

Last-modified: 2023-08-12 (土) 09:17:22

・DQ4の章
一章二章三章四章五章(―六章

概要

【ドラゴンクエストIV 導かれし者たち】における第六番目の【章】のこと。
本来、オムニバス形式であるDQ4は5つの章から構成される物語であるのだが、FC版時代から裏面として六章の存在についての噂が飛び交い、そしてリメイク版でクリア後の追加要素として実装されるに至った。
 
ここではFC時代→GBC版DQ3→リメイク版DQ4と時系列に解説していく。

FC時代の噂

FC版DQ4の発売前、雑誌『ファミコン必勝本』の【ドラゴンクエストマスターズクラブ】には次のような投稿が掲載された(伏せ字は原文ママ)。

ドラクエには必ずウラがある。
ようするに、Ⅲでいうところのア○フ○ル○の探検といったようなものだ。
だからⅣにはきっとまぼろしの6章があるのではないだろうかっ!!

そして、この投稿に対する編集部のコメントも

あんまりにもありそうな予想だなあ。コワイ…。

というものだった。
当時のDQが持っていた神秘性のようなものが垣間見える投稿とコメントである。
 
また、発売後には次のような噂が飛び交った(『ファミコン通信』1991年11月1日号)。

もちろんこれらは単なる噂であり、実際にFC版DQ4に第六章は存在しない。
しかしこの噂を受けて、次のDQ5ではクリア後の追加ダンジョン【裏ボス】が初登場することになった(【週刊少年ジャンプ】1993年11号「V-NET」での【堀井雄二】の発言より)。

DQ3(GBC版)

2000年に発売されたGBC版DQ3では【モンスターメダル】のシステムが採用されたが、その内部データからDQ4のモンスターが描かれたモンスターメダルが発見された。
開発当時はDQ4もGBシリーズでリメイクすることが構想されていたようで(DQ25周年記念公式サイトに記載あり)、これらのメダルはそれをにらんだものと推測できる。
その中には【クインメドーサ】をはじめFC版に登場しないモンスターも存在し(詳しくは【GBC版DQ4の没モンスター】を参照)、これらについては隠しダンジョンで出現するのではないかと予測された。
この時点では今のPS版以降とは全く異なるシナリオが構想されていた可能性が高く、そもそも「第六章」という形態ですらなかった可能性もある。

DQ4(リメイク版)

2001年にPSでリメイクされたDQ4では、クリア後の追加要素が登場した。
ただし後述のように内部データ内にボツタイトルはあるものの、実際に「第六章」という表示がされることはなく、【デスピサロ】を倒して【エンディング】を迎えED後にセーブすると、その【冒険の書】に「6章Lv◯◯」と表示されるという程度である。

ストーリー

DQ4のストーリーは、オリジナル版から存在する第五章までできちんと完結はしており、ここでプレイをやめたとしても違和感はない。
「6章」は、従来(DQ5~DQ7、リメイク版DQ3)の裏ダンジョンのシステムを発展させ、裏ボスの後に新たなストーリーと【ラスボス】を付け加えた形である。このため、表示が「6章」に変化したばかりの冒険の書で再開するとデスピサロを倒す前まで時間が戻っており、スタート時のメンバー構成や世界の状態もデスピサロとの決戦前のものが継承される。
実質的に第五章の最終決戦前から分岐する別ストーリーともとれる。
 
【ゴットサイド】の祭壇に大穴が開いているので、そこから【謎のダンジョン】に突入することになる。
ダンジョン最深部にいる【エッグラ】【チキーラ】との戦闘に勝つと【世界樹】【せかいじゅのはな】が咲き、それによって【ロザリー】を蘇らせ、怒りと憎しみに満ちたピサロの暴走を止めさせる。
その後は主人公たちとピサロが手を組み、【デスパレス】にいる物語の真の黒幕である【エビルプリースト】(所謂【究極エビルプリースト】)を倒しに行く。
これをクリアすると、デスピサロを倒した場合とは少しだけ違ったエンディングを拝むことができる。【戦歴】画面ではこれを「ハッピーエンド」と呼んでいる。
 
なお、ロザリーを蘇らせた時点でラスボスとしてのデスピサロとは戦えなくなる。つまり、ピサロvsデスピサロなんて戦いはできない。また戦いたい人はロザリー蘇生前のセーブデータを残しておくこと。

特徴

章の大きな特徴は何と言っても【ピサロ】が仲間になること。しかも【NPC】ではなく一般【プレイヤーキャラクター】としてである。
彼は導かれし者たちが使えない独特の【呪文】【特技】(多くはDQ7などからの輸入)を扱えるのが特徴。
ただし、第五章終盤で【ドラン】を仲間にしている場合は、ピサロ加入前に脱退してしまう。
ピサロをフィールド上で先頭に立たせるとBGMが【ピサロは征く】になる。
ピサロの能力は高く非常に頼りになるが、初回は彼なしで挑むことになる裏ダンジョンのモンスターはそれ相応に手ごわいものばかり。出現する全ての敵に対して真剣に対処しなければ先には進めないだろう。
 
なお、前述のGBC版DQ3のメダルに描かれていたモンスターたちはPS版以降では登場せず、クインメドーサも含めて全てお蔵入りとなった。
その代わりにPS版で追加されたモンスターは、DQ7からコピーしたザコと、新たに描き起こされた鶏卵コンビ、そしてデスピサロの色違いであるエビルプリーストである。
DS版以降もモンスターはPS版を引き継いでいるため、メダルのモンスターは登場できていない。

章タイトル

ゲーム内では章のタイトルは無く、前述のように冒険の書選択画面で「6章Lv◯◯」と表示されるのみ。
しかしPS版のROM内にはデータとして「第六章 ピサロと愉快な仲間たち」というタイトル画像が存在する。
愉快な仲間たちとは状況から【導かれし者たち】のことだろう。
第六章のシナリオの中身はほぼ「ピサロのピサロによるピサロのための追加シナリオ」とも言うべきもので、ラスボス戦も導かれし者たちは完全にオマケのお供のような扱いなので、そこまで外れたタイトルとも言えない。
とは言え、エッグラ&チキーラ以外では愉快な要素は特にない。
流石にこんなものが真面目にタイトル案として検討された結果のボツとは考えにくいので、余った容量にプログラマーのお遊びが入っていたとかだろう。

リメイク版と小説版との関係

FC版ではエビルプリーストがロザリーを暗殺した理由は「ピサロに対する強い忠誠心から、あえて罠に嵌めることで彼の「情」を捨て去り、人間への憎悪を増大させてより完全な魔族の王に進化させる」ためであった。
彼の忠誠心は「もうすぐデスピサロ様が、我が魔族の王として目覚めるだろう」という戦う前のセリフからも読み取れる。
 
一方で、リメイク版ではピサロに対する忠誠心は一切なく、ロザリー暗殺の理由は「私利私欲のためピサロを嵌めて魔族の王から追い落とす」ために変更されている。
【結界のほこら】で戦う前にも「デスピサロは二度と魔族の王に君臨することなく、自ら朽ち果てるのだ!」と発言しており、ピサロを呼び捨てにしたり奴と呼んだりと完全に見下している。
 
ピサロについてはFC版開発時から仲間になる構想であったことが語られている。
そのうえ、こういったエビルプリーストの所業と扱いに関してはFC版の後に発売された小説版で描写されているため、「FC版の時点でこのストーリーは決まっていたがボツになり、PSリメイクでそれを復活させた」と言う説もある。
ただしこれは俗説に過ぎない。
そもそもDQ4に限らず小説版はゲームとは全く違った独自の設定がテンコ盛りである。
エビルプリーストの忠誠心無き裏切りが無ければピサロの加入はあり得なかったかというとそうでもなく、FC版のセリフのまま(エビルプリーストの忠誠心を持たせたまま)でも、ピサロを加入させるストーリーを作ることは可能である。
小説版の設定とFC版のボツ設定が一致するという根拠も乏しい。