【第三章 武器屋トルネコ】

Last-modified: 2023-11-27 (月) 09:32:56

・DQ4の章
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DQ4

【ドラゴンクエストIV 導かれし者たち】を構成する【章】のうち、3番目の章である。
英語版でのタイトルはNES版ではTaloon the Arms Merchant、DS版以降ではTorneko and the Extravagant Excavation(トルネコ・大金をかけた発掘)。

ここは エンドールから遥か北にある 小さな町 レイクナバ。
この町には トルネコという 一人の男が住んでいました。
今はただ 人に使われる身ですが
お金を貯めて 世界一の武器屋になる
それがトルネコの夢だったのです。

舞台は【サントハイム】大陸より東に位置するレイクナバからその南の【ボンモール】、そしてエンドール周辺までの地域。
主人公は【レイクナバ】に住む商人【トルネコ】。フィールドのBGMは【武器商人トルネコ】

最初は町の【武器屋】でアルバイトをする身分のトルネコが、【エンドール】とボンモールの戦争回避に尽力し、自分の店を構え、さらには【てんくうのつるぎ】の噂を聞いて【ブランカへの洞窟】を完成させ、世界へ旅立つところまでがこの章の内容。
それぞれの【町】で暮らす「人々」にスポットが当たっており、トルネコの行動が多くの人を救い、本人の気付かないところで【導かれし者たち】の旅の助けにもなる。
物語の本筋に関わるストーリーはほぼ無い。人間同士の戦争が起ころうとしている不穏な動きもあるが、それもアッサリと解決する。
不吉なラストを迎えた第二章、ゲーム的にもシナリオ的にも厳しい第四章の間での箸休め的な意味合いもある。【ライアン】【アリーナ】として戦い続けることに疲れたプレイヤーは、トルネコとしてのんびりお金稼ぎを楽しもう。
基本的にトルネコの一人旅であるが、エンドールでは【スコット】【ロレンス】をそれぞれ5日間限定で、有料で雇ってNPCとして仲間に加えることができる。

「エンドールとボンモールを繋ぐ橋」と「エンドール東の橋」はこの章で修理されて、以後通れるようになる。
エンドールは第二章に続いての登場となり、【武術大会】が終了した後の状態。
ただし【カジノ】は、武術大会が終わって客が減ったということで休業している。エンドールとブランカを繋ぐトンネルが着工すると再開される。恐らく客足の回復を見越したのだろう。

一見すると人間相手の商売だけで物語が独立しているのだが、トルネコはトンネルを開通させて国を繋いだことで人々の助けとなった一方で、魔族には恨まれることとなり追われる身になってしまう。
こうして戦いに巻き込まれた彼は、魔族に追われながら旅を続け、やがて船のオーナーとなり【勇者】のパーティへ加わることになる。
 
DQシリーズ内でも異色の、かなり特殊な章で、魔物退治ではなく金を稼ぐことを主な目的とする。
【ドロップアイテム】の仕様が通常とは異なっている。どの敵も、良い値で売れる装備品を落とす確率があると考えればいい。
【フィールド】を歩いていると【モンスター】だけでなく、【旅の商人】【道具屋】【宿屋】)ともエンカウントすることがある。
他の章ではボス撃破から章の終わりまでノーエンカウントになるが、この章ではそれもない。そもそもボス戦自体がないという、最後の最後まで変則的な章である。
 
第1章でRPGの基本を、第2章で【パーティ】を組むことを覚えたプレイヤーに対して、次に提示されたのは「自由」である。
【ゴールド】を稼ぐことを主眼におき、そして稼ぐ方法もあれこれ存在する。
【ダンジョン】は2つ存在するが、攻略必須のものは1つもなく、どちらも任意である。
自分に合ったやり方を模索するのが三章のセオリーであり、面白さと言える。
幸いにも、この章ではドロップアイテムに始まり、アイテムを超高額で買い取ってくれる人々、実は商才溢れるネネの存在等、ゴールドを稼ぐのに有利な特殊仕様が大量に存在する。
地道に敵と戦ってゴールドを稼いでも一向に構わないし、敵と戦わずゴールドの工面方法をひたすら考えてもいい。
1人旅をしてもいいし、誰かを雇ってもいい。これまでの章で学んだことを、今度は自分で考えて実行する時なのだ。
RPGの世界観とはなにも戦いだけで成り立っているわけではなく、特殊仕様に支えられて簡便化されているものの「商売」という面からRPGを見ることができる貴重な機会だ。
 
この章では資金ゼロで【ぬののふく】(守備力+4)一丁という最低レベルの経済状態でスタートする。ネネやポポロの様子を見てもあまり貧しそうには見えないが、実際は随分と困窮しているのだろうか。
さすがに布の服一丁ではマトモに戦えないため、大抵のプレイヤーはまずバイトに励むことになる。1日バイトすれば100G+αが手に入るので、これで資金を稼いで装備を整えるのが最初の目標になる。
そこで出てくるのが、DQ1以来の「【初期装備】に何を選ぶか問題」。
DQ1の時は初期資金が120Gで固定だったが、今回はバイトをすればするだけ資金を稼ぐことができるため、「冒険開始前にどこまで稼いでどこまで装備を整えるか」もプレイヤーに選択権がある。
 
まず、最初から遠出するか、最初は遠出せずレイクナバ周辺で稼ぐかの選択になる。
トルネコは、第一章のライアンに比べて初期ステータスがかなり劣っており、レベルアップすると力の差がさらに開いていく。
そのため、遠出するのにライアンと同程度の装備で旅立ってしまうとさすがに苦戦する。ライアンよりランクの高い装備をしてから旅立ちたい。
武器は最低でも【いばらのむち】or【せいなるナイフ】(200Gで攻撃力+14)、できれば【ブーメラン】or【クロスボウ】(350Gで攻撃力+18)あたりを仕入れて買っておきたい。
茨の鞭or聖なるナイフを装備すればレベル1でもとりあえず【スライム】だけは確実に一撃で倒せるようになる。ブーメランorクロスボウなら【はさみくわがた】【いたずらもぐら】も高確率で一撃で倒せる。
前者なら2日、後者なら4日のバイト代で賄える。
 
最初から遠出する場合、防具も布の服のままでは無謀である。
トルネコの素早さの初期値は4で、素の守備力は2なので、布の服だと守備力6しかない。周辺の雑魚の打撃ですら平均3~4ポイントものダメージを受ける。
初期HPも20しかなく、一人旅としてはかなり頼りない数値なので、しっかりと守りを固めたい。
レイクナバで薬草とお弁当が1つずつ手に入るので、とりあえずボンモールまでの道中であれば、よほど不運が重ならない限りは皮の鎧単品(180Gで守備力+12)か、【たびびとのふく】&皮の盾のセット(160Gで守備力+11)があれば事足りる。バイト代にして2日分でおつりがくる。不安なら余った資金で薬草を2~3個買い足せばよい。
万全を期すならば、上記の敵からの被ダメージを平均1未満に抑えることができる守備力16を目指すとよい。
さらに1~2日追加でバイトして【かわのよろい】&【かわのたて】のセット(270Gで守備力+16)か【くさりかたびら】(350Gで守備力+18)を装備すれば、これを上回ることができる。
これらの武器防具をちゃんと整えれば、【きりかぶおばけ】以外に苦戦することはないだろう。
総じてプレイヤー次第だが、ある程度の武器防具を揃えるのにおよそ4~7日バイトを続けるのが目安となる。
 
あるいは武器を買わずに旅人の服&皮の盾だけ買って、逃げの一手で【レイクナバ北の洞窟】【くさりがま】(攻撃力+20)を拾いに行くのもアリ。これもやはりバイト代は2日分あれば追加の薬草も買えて十分に安全に取りに行ける。
4~5日ほどバイトして良い防具でガチガチに固めてしまえば道中の敵の攻撃は0~1ダメージになるので、薬草を買わずとも辿り着く前に殺されることもまずなくなるが、それぐらいバイトするなら素直に武器も買って普通に戦いながら行けばよい。
また、防具すら買わず、初期装備の布の服にネネのお弁当と自宅の薬草を合わせるだけでも高確率で辿り着ける。
ただし、リメイク版では戦歴で逃走回数や全滅回数が記録されるため、そこが気になる人はこの方法はできない。
一方でレイクナバの町中で拾えるアイテムが増え、皮の盾と【かわのぼうし】がタダで手に入る上、敵との遭遇率も下がっているので、逃走回数を気にしないなら、ほぼ確実に鎖鎌の宝箱まで辿り着ける。
ここは攻略必須の場所ではなく、三章では取らずに五章序盤に回収して資金の足しにする手もあるので、行くかどうかも含めて考えておきたい。
 
一方で、最初に遠出せずレイクナバ周辺で稼ぐ場合、防具は布の服のままで、とりあえず武器だけ装備すれば良い。これならバイトは1~2日だけで済む(3日以上バイトするなら防具も買ったほうがよい)。
銅の剣と布の服だけでもレイクナバ周辺でちょっと戦うくらいならなんとかなる。
自宅を【タダ宿】に使えば薬草は温存できるし、お弁当は何度でももらえる。ドロップアイテムの特殊仕様で雑魚敵が頻繁に装備品を落としてくれるため、武器を装備してモンスターを倒せさえすれば、ドロップアイテムを活用できる(何を落としてくれるかは運に大きく左右されるが)。
 
なお、バイトを長く続けるとそれなりの確率で【はじゃのつるぎ】を入荷できるので、それを狙ってバイト日数を多くしてもいい。一度入荷したら、トルネコのバイト中に買われない限り在庫がなくなることは無いので、後で金稼ぎが楽になってからこれを購入しよう。
逆に、運良く(運悪く?)1日目に客が破邪の剣を売りに来ると、その後破邪の剣を所望する客が続出してバイトの効率が著しく悪くなるデメリットがある。「あんた冗談が好きだなぁ…」の連発にウンザリしたプレイヤーもいるだろう。そうなるとバイトを早めに切り上げた方が良いかも知れない。
その場合は上記の鎖鎌を取りに行けば序盤の資金はなんとかなる。
 
初期装備を整えて、一度ボンモールにさえ辿り着けば、そこから先は少しシナリオを進めるだけで一気に資金バブル状態が始まるので、後は苦戦しないだろう。
具体的にはレイクナバ~ボンモールを一往復すれば序盤の【ボンモール北の村】のイベントはこなせるはずで、手に入った【はがねのよろい】をボンモールで粘ってから売れば早々に4000G前後もの大金が手に入る。
このお金があればレイクナバ~ボンモールでの最高装備が買い揃えられる。
防具の転売で資金を工面すればレイクナバ~ボンモールの往復は【キメラのつばさ】でできるので、一連のシナリオを進める上でボンモール周辺の強敵と会うリスクもほとんどなくなる。
強力な装備が揃えばエンドールに遠征するのも容易になり、そこで【せいぎのそろばん】【てつのまえかけ】【てつのたて】に換装してしまえば、もう負けることはほとんどなくなる。
必要性は薄いが、ボンモールより先に北の洞窟を攻略したい場合はある程度強めの装備を揃えるか、少しレベルを上げておく必要がある。
いずれにせよ金は貯まりやすいため、良い装備に買い替えるのも難しくない。どのような手段でも【せいどうのよろい】に簡単に手が届く。
余った防具はボンモールで定価より高く売り払えるので、金が貯まり次第積極的に防具を買っても無駄にはならない。
シナリオを進めるほどに資金は湯水のごとく貯まるので、変にケチらずに装備は躊躇せずに更新していこう。
 
というわけで、バイトでしっかり稼いで良い装備を買うも良し、武器だけ買ってその辺のザコから奪った装備品を売り捌いて防具の資金にするも良し、奪った防具をそのまま装備するも良し。
この章はとにかく自由だ。自分はどういう風に冒険を進めたいのか、そのためにどんな装備が必要か。上記の装備品の中から何が欲しいか取捨選択して、いくら稼げば良いか考えよう。
 
また、【痛恨の一撃】を繰り出す敵と戦う機会が全くない唯一の章でもある。
同時に出現する敵の数も少なく、最大でも3匹、大抵の場合は2匹以下でしか出現しない。
そのため、戦闘の難度は低め。過剰な苦戦が無い=お金稼ぎに集中できるという気配りだと思われる。

注意すべきは、【メラゴースト】【メタルスライム】【メラ】と、【ダックスビル】【ルカニ】、それから【バブルスライム】【ポイズンリザード】【毒】
メラはどんなに良い防具を装備しようと貫通してダメージを与えてくるし、ルカニはせっかく良い防具で得た守備力を台無しにされてしまう。
大金を持っているときにメラやルカニでやられてしまっては悲惨の一言なので、これらの敵に遭遇したときは慎重に戦いたい。
特に低レベルのまま進めていて洞窟の爺さんに60000Gを持っていくときは注意を要する。
また、三章ではキアリーを覚えるキャラがいないため、町の外で【毒】を治療する方法は【どくけしそう】しかない。
そして2つのダンジョンにはどちらも毒使いがいる。前者は全滅しても資金が半減しない【てつのきんこ】が手に入るので、それほど気にする必要はないが、これを取らずに進めて後者の女神像の洞窟へ行く際は念のため毒消し草を携帯した方が良いだろう。
 
他章でのクリアレベルはプレイヤーによる差があまりないのだが、この章はあまりに変則的なため、プレイヤーによるクリアレベルのムラが大きく出やすい。
転売で稼ぐのがセオリーの攻略法ではあるが、キメラの翼で飛びまくってほとんどの戦闘を回避することもできるし、逆に転売をせず戦闘とドロップアイテムで稼ぐこともできるので、戦闘頻度の差が出やすいのだ。更にトルネコ自身のレベルアップのスピードが圧倒的に速いので、尚更レベル差が顕著に現れる。
極端な話、レベル1でのクリアも十分に可能だし、転売をせずドロップアイテムで稼ごうとするとLv12~13程度まで上がる。
一応、通常の手順で進めた場合のクリアレベルは8~9程度で、これが目安となるだろう。
低レベルでクリアしてしまうと第五章での合流時に戦力として不安が残るかも知れないが、トルネコはレベルアップが早く、すぐ他の仲間に追い付くため、低レベルでクリアしても全く問題ない。
 
この章は、熟練者にとっては「五章を有利に進めるための準備」という要素も持っている。
特に【女神像の洞窟】の宝箱は【キメラのつばさ】【ぎんのめがみぞう】以外全て残しておく、三章クリア直前にアイテム欄を全て【はじゃのつるぎ】で埋めておく、などをしておくと、第五章が格段に楽になる。
まだ【ふくろ】が登場しないFC版・PS版では、第三章の最大の敵はアイテムを持ち切れなくなること。
敵との戦っているとドロップアイテムであっという間に道具枠が埋まることが多いので、旅の商人のエンカウントを上手く利用し、不要物はどんどん断捨離して売り捌き、アイテム欄を空けると良い。
ダンジョンに入ると旅の商人とエンカウントしなくなる上に、上述の通り毒を警戒して毒消し草の携帯も視野にいれないとならない。
アイテム欄を空けておくことが何より大事なので、薬草は積極的に使ってしまって構わないし、鎧盾はともかく三章最強の兜【きのぼうし】は端から装備しないか、洞窟内でより高価なドロップアイテムが手に入った場合は捨ててしまうこともあるだろう。
なお、上述の鉄の金庫は道具枠を圧迫するという理由から慣れたプレイヤーには敬遠されがちであるが、全滅のリスクとの兼ね合いでこれを取るべきかどうかはよく考えたい(DS版以降であれば特定の称号が取れない以外に特に攻略上のデメリットはない)。
 
逆に「ふくろ」が登場するDS版以降のリメイクでは、トンネル開通資金を得るための【はがねのつるぎ】【てつのよろい】を貯めておけるため後半の進行が楽になった他、五章への【アイテム】の持ち越しが大量にできるようになった。
高く売れるアイテムを個数限界まで持っておき五章に持ち越せば、その後クリアまで金稼ぎをする必要が一切なくなるほど、バランスブレイカーな要素になっている。
 
【公式ガイドブック】の再登場モンスターリストは「レイクナバ周辺~エンドール周辺」として、この章で再登場する全ての【モンスター】を1頁に載せており、その中には女神像の洞窟で出現するモンスターも含まれている。
当然レイクナバ周辺とエンドール周辺では出現するモンスターは別のテーブルなのだが、あのような掲載の仕方ではまるでレベル1で出歩くレイクナバ周辺までも【はえおとこ】【サンドマスター】に出くわすように見えてしまう。
かなり投げやりな感が否めない構成である。
ちなみに、上述のリストの次頁に載っている本章で初登場のモンスターは【エレフローパー】のみである。
この頁に挿入されている「あらえっさっさー」のイラストは強烈に印象に残っているだろう。