【第二章 おてんば姫の冒険】

Last-modified: 2024-12-15 (日) 23:58:57

・DQ4の章
一章二章三章四章五章(―六章

DQ4

【ドラゴンクエストIV 導かれし者たち】を構成する【章】のうち、2番目の章である。
英語版でのタイトルはNES版ではPrincess Alena’s Adventure、DS版以降ではAlena and the Journey to the Tourney(アリーナ・大会への旅)。
 

むかしむかし あるところに
アリーナひめ という それはそれは
おてんばな おひめさまが おったそうじゃ。

とまるで当時放送されていたアニメ『まんが日本昔ばなし』のような語り口調で始まる。
元々ドラクエは中世風の世界観な上、天空シリーズはDQ5の時系列が一番新しいので(DQ4の数百年後)その布石とも取れるが……他の章では「昔」という言い回しはされていないので、捉え方によっては一章より前の時代に思えてしまう。いきなりツッコミどころ満載な始まり方である。
もちろん、実際には二章での冒険中に、旅をする【ライアン】と出会うことからもわかる通り、一章よりもだいぶ未来の時系列である。現実の現代世界でゲームをプレイしているプレイヤーの目線から見た、メタ的なメッセージといえよう。
そんなツッコミどころ満載なイントロから続いて、城の壁を蹴破って脱出する破天荒な姫のドタバタ珍道中が展開されていく。
(主に主人公のせいで)コミカルな演出が多いが、魔物の脅威に苦しむ村、誘拐事件と黄金の腕輪、王の予知夢と奪われた声、謎の存在デスピサロ…と、シリアスな場面や最終章へと続く重要な伏線も多い章である。
 
主人公は【サントハイム】の姫【アリーナ】
まず彼女が【サントハイム王】に内緒で城を飛び出し冒険に出るところから物語が始まり、その直後に城の神官【クリフト】と、教育係の【ブライ】が登場し、アリーナと彼らによる3人パーティーで物語が展開される。NPCとして加わる仲間は登場しない。
ちなみに主人公のアリーナは、FC版ではドラクエの慣例にしたがって【はい/いいえ】以外、全くセリフがないが、リメイク版で追加された【仲間会話】ではブライ・クリフトと共にパーティ全員が普通にしゃべる。
 
第一章に比べると行動範囲も広くなり、サントハイムの大陸全体と対岸の【エンドール】が舞台となっている。
ただし、エンドール周辺の橋は壊れており、第二章ではそこから先へ進めない。
フィールドのBGMは【おてんば姫の行進】
 
この章の特徴として、アリーナは「力試しの旅に出る」とはいうものの、前半のうちは特に明確な目標を持たないためとりあえず行ける町に行き、そこで人々の依頼を受けて人助けをする、ということを繰り返していくことになる。
なおシナリオ攻略の自由度は低く、【テンペ】【フレノール】【砂漠のバザー】→エンドールの順でしかイベントが進行ができない。
ただし、テンペ攻略以降の行動範囲はそれなりに広く、フレノールはイベントをクリアしないと買い物できない店もあるが、スルーしてさばくのバザーまで行ってしまえばシナリオ進行に関係なく強い装備品が買える。
またボス戦も増え、序盤には中ボスの【カメレオンマン】+【あばれこまいぬ】戦、終盤には【武術大会】での5連戦が待ち受ける。
章末のボス以外で中ボスが登場するシナリオは第五章を除けばこの章のみである。
また、冒険開始直後に訪れるような場所でいきなりボス戦があるという展開はシリーズでも珍しく、マスターズクラブ【堀井雄二】インタビューでも、バランス調整に苦労したことが語られている。
 
フレノール編で登場する【おうごんのうでわ】の話は、第五章への重要な伏線となっている。
また武術大会が開かれるエンドールでは、本作の黒幕である【デスピサロ】の名が頻繁に登場するが、まだ実際にデスピサロが登場することはない。
ハッピーエンドであった前章とは異なり、この章の最後には故郷サントハイムで事件が発生し、新たな謎を残す形で終了する。
 
第一章はゲーム慣れしていないプレイヤーに対するチュートリアルに近い内容だったが、この章は直接攻撃・回復・呪文攻撃という役割分担を学んでくれと言わんばかりの内容である。
肉体派のアリーナが攻撃の中心で、クリフトが回復担当、ブライが呪文攻撃&補助担当というバランスの取れたパーティ構成となっており、3人での冒険はDQ2を彷彿とさせる。
ただしDQ2とは似て非なる職業バランスであり、あまりDQ2を意識してプレイするとバランスの悪さを感じかねない。
特徴としてクリフトはダメージ系の呪文を覚えず、ブライが【ヒャダルコ】を覚えるのも章の終盤なので、それまでは大量の敵が現れてもちまちま1匹ずつ倒さなければならない。
ヒャダルコを覚えた後も、エンドール周辺で狙ったように【ヒャド系】に耐性を持つ敵が出てくるため、攻撃呪文に頼ってばかりだとうまく戦えない構成になっている。
さらにDQ2と比べるとアリーナが武闘家に近いため、装備の使いまわしの面でも勝手が異なるものとなっている(【くさりかたびら】【くさりがま】までの武器と鎧は割と普通に利用できるので、それまでは【どうのつるぎ】と盾類を装備できない点を除いて戦士に近い感覚で運用できる)。
 
一章に比べると難度も高くなり、この章で攻略する2つのダンジョン(【フレノール南の洞窟】【さえずりの塔】)とエンドール周辺は、特に敵が強い。
人によっては武術大会の対戦相手よりもさえずりの塔やエンドール周辺の雑魚の方が強いと感じるかもしれない。
敵の素早さが全体的にかなり高め(アリーナですら先手を取れない…というかこの時期でのアリーナの素早さ成長率はそこまで高くない)で、【コドラ】【さそりアーマー】【ひとくいサーベル】【さまようよろい】【痛恨の一撃】を放つ敵が4種も存在する点も、この章の難度を上げる要因となっている。
特に前二者は砂漠のバザー周辺にも(特にコドラは集団で)しれっと出てくることがあり、順路を無視して高価な装備を先取りしようとしたら、運悪く返り討ちに遭って資金半減、などという事故も起こりうる。
例え状態が万全であっても不意打ちや痛恨の一撃で一気に窮地に立たされたり即死したりということがあるため、こちらのレベルが高くても油断できない。気を引き締めてかかろう。
なお、アリーナはレベルに応じて会心率が高まることが有名だが、2章の時点ではレベルが低い関係で会心には期待できないため、バクチ的な期待はしないように。
 
第一章の【ライアン】に比べるとメンバーの【HP】が全体的に低めで初期装備も軽装なので、最も弱い【キリキリバッタ】【スライムベス】相手でも油断せず、慎重に戦いたい。
特にブライの【初期装備】は貧弱そのもので、通常攻撃ではダメージが通らない。
【ヒャド】を使わないときは、むやみに攻撃させるよりも【ぼうぎょ】させたほうが良い、ということもここで覚えることになる。
また、アリーナとクリフトの初期装備も頼りなく、そのままでは2人がかりで攻撃しても1匹も倒せないこともザラにある。敵が3匹4匹と出現したら、倒すのにとても時間がかかってしまうだろう。
そのため、初期資金を使って最低でもクリフトに【どうのつるぎ】を買い与え、アリーナにはクリフトの【こんぼう】をお下がりさせ、殲滅力のアップを図りたい。
DS版以降では初期資金が足りないため、拾い集めた小銭やアイテムを売らないといきなり銅の剣の購入はできなくなった。その代わり、城の屋上テラスに落ちているゴールドがキラキラ光るようになったので見逃す可能性は少し減っている。
教育係のブライのアドバイスに従い、まずは最初の町から離れずにじっくりレベルを上げ、装備を整えていこう。
 
そして次の村【テンペ】ではいきなりボス戦となる。
当初テンペでは買い物ができないため、最初の町【サラン】で可能な限り良い装備品を整えてから戦いたい。
安定して撃破するにはある程度のレベルが必要であるが、ゴールド稼ぎをしていれば自然とレベルも上がっていくだろう。
回復役であるクリフトの生存を最優先に、【スカラ】を駆使しながら戦おう。
 
テンペを抜けると一気に敵が強くなり、その先のダンジョン【フレノール南の洞窟】【さえずりの塔】、さらに先の【エンドール】周辺のフィールドでも難易度が2~3段階ずつ一気に上がっていくため、それぞれの段階でしっかりと装備を整えないとすぐに死人が出る。
面倒かもしれないが、テンペ(武器のみ)、フレノール(防具のみ)、砂漠のバザー、エンドールと、新しい町に着くごとに、横着せず装備をしっかり更新しよう。
最優先で装備を整えるべきなのはクリフト。
クリフトがやられると回復できなくなって詰んでしまうので、クリフトの防具は最優先で強化しよう。
また、物理攻撃役もアリーナだけでは物足りないし、ブライが呪文を撃てる回数にも限りがあるので、クリフトは武器もしっかり強化して攻撃参加できるようにすることも必須だ。
クリフトの装備を整えるだけで、見違えるほど戦闘が安定するはず。
なお、ブライも死にやすいので防具を整えたいところだが、装備できない物が多すぎるので難しい。【ぼうぎょ】でカバーしていこう。
アリーナについても、防具はフレノールの段階で打ち止めとなる。それ以降は武器を更新していけば良い。
 
そしてエンドールに到着すると、そこでDQシリーズ初の【カジノ】を楽しむことができる。
しかもこの章では【コイン】の売り値が安いので、カジノ好きでお金が余っているなら気軽に楽しんでいくと良いだろう。
章をまたいでゴールドの持ち越しはできないので、クリアする前の下準備として高価な装備品を買ってゴールドを使い切り、5章でそれらを売って金策とするのが一般的だが、コインの枚数も5章で合算されるので、余ったお金をコインに回しても良い。
もしDS版等の3章でトルネコの【ふくろ】に高価な装備品を大量にを入れてクリアする予定なら、5章で入手困難な【てつのつめ】などを除くアイテム・装備を全て売り払ってコインを買い漁り、5章での装備はトルネコの持つアイテムを売却して書い直すという方法もある。
お誂え向きに、5章で3人が仲間になる【ミントス】では、エンドールと同ランクの装備品を売っている。
逆にFC版で裏技を自重しないのであれば、ここでコインを買う必要性は皆無。
 
なかなか難度の高い章ではあるが、レベルの大切さを知ることができる章でもある。
急いで攻略を目指すと苦戦必至な難関ポイントも、少しレベルを上げるだけでその難易度は大きく変わる。
フレノール南の洞窟は、クリフトのLvを8までにして臨めば【キアリー】を習得するので攻略がしやすくなる(フレノール~フレノール南の洞窟で大体10~15回程度の戦闘)。
難関と言われるさえずりの塔も、ブライがヒャダルコを習得するLv11まで上げていればだいぶ楽になる(砂漠のバザー~さえずりの塔で10~15回程度の戦闘)。
武術大会もアリーナのレベルが16あたりまで上がればほとんど楽勝になる。
いずれも、それほど面倒でもなくちょっと手間を惜しまなければできる程度の範疇である。
【メタルスライム】もこの章のエンドール周辺で初登場する。マニュアル戦闘でしかも3人いるため、FC版では【せいすい】さえ買っておけば倒しやすく、なおさら稼ぎやすいだろう。
ここで稼いでレベルを上げておけば、5章での合流時にも冒険が楽になる。もちろん、やり過ぎるとゲームバランスを崩すが。
特にしばりプレイをしていないならば、ちゃんとレベルを上げてから冒険を進めよう。しっかりレベルを上げれば金も貯まるので、装備も無理なく更新できるはずだ。
前作まで【公式ガイドブック】は大体、到達レベルがやたら高めに見積もられていることが多かったが、本作に関してはレベルが上げやすくなったこともあり、割と妥当なレベルになっているところが多い。
 
ここまで見れば分かるが、章のストーリーは長く、1~4章の中で最も長編である。
リメイク版(特にPS版)は設定レベルどおりに呪文を習得できないことが多いので、よほど運がよくない限りは進行が遅れることもザラにある。
【タイムアタック】などでも他の章に比べて2倍近い時間がかかる。

余談

城を脱出したのち、3マス移動するとキャラの動きが停止し同時にブライとクリフトが駆けつけてきて仲間に加わるのだが、さすがにこの間はエンカウントが発生せず、時間も経過しない。そのため、アリーナ一人で敵と戦って【デスルーラ】でサランの教会にワープするというようなことはできない。
 
また、このシーンではどうやら「2人が加入していない状態でフィールド上を規定の歩数歩くとイベントが発生する」というプログラムが組まれているらしく、チートを利用して「キメラの翼所持」「ワープでの行き先を完全開放」という状態を用意した上で、キメラの翼を使ってサントハイム以外の場所に逃げてもしぶとくアリーナを追いかけてくる。
ゆく手に山や海があろうとマグマが遮る地底の奥底だろうと、特定の乗り物がないと入れない地域だろうとお構いなしである。
天空城まではさすがにおいかけてこれないようで入り口付近で歩き回っていても大丈夫なのだが、アリーナでは城に入る資格がないので、仕方なく地上に戻ってから改めて移動しようとすると、やっぱり動きが停止したうえで2人が追いかけてくる。
しかも2人がフィールド上に出現する座標がサントハイム城で固定されているため、場所が離れるほど2人が追い付いてくるまでに時間がかかるという妙なリアリティ。姫の身を案じる忠心を通り越した、執念とも思えるストーカーっぷりである。

関連作品

本章の独立したコミカライズ作品として【ドラゴンクエスト プリンセスアリーナ】が存在するのだが、詳細は当該項目を参照。
 
1995年4月1日にタイトーから発売された『レディストーカー ~過去からの挑戦~』というSFC用のゲームは、元々アリーナ、クリフト、ブライの一行を元にしたDQの外伝ゲームになる予定だったと言われている。
開発元は「クライマックス」。【内藤寛】が立ち上げた会社である為、ドラクエとは決して無関係ではない。
しかし、諸事情によりDQの外伝としての開発が中止され、代わりにキャラを無関係なものに差し替えたとのこと。
ヒロインやお供の2人のキャラは確かに一行と格好や雰囲気が似ており、アイテムや設定、モンスターなども類似した点も多い。
ドラクエに精通していれば、レディストーカーという作品そのものに加えて、「『このシーンにはドラクエ作品のあのアイテムやあのキャラクター、あのモンスターにあの用語を登場させる予定だったのではないか?』と考察する」という斜め上の楽しみ方を味わうことが出来るだろう。
【持ち上げ】等、ドラクエを先駆けた要素も存在する。ただしドラクエがこの作品からの影響で持ち上げを採用したのかは不明。