【冒険の書】

Last-modified: 2024-05-14 (火) 08:21:11

概要

冒険の記録を書き残した書物。
 
大抵の場合、DQシリーズにおける【セーブ】データ、すなわちゲームの各種状態を保存したRAMデータのことを指す。
DQ3から登場し、それ以降ジョーカー以降のモンスターズを除く作品全てに採用されている。英語版ではadventure log(GB版のみadventure journal)。
剣神とアーケードのバトルロード2とクロスブレイドでは、セーブデータを記録する製品として存在する。詳しくは【冒険の書(製品)】を参照。
 
DQ10では【だいじなもの】として登場。
DQ11(3DS版)・DQ11Sの【ヨッチ村】では過去のシリーズの物語を記した書物としても登場し、主人公たちがその中の世界に入ってクエストを受ける。
 
さらに、FC版DQ1の場合は「取扱説明書」のことを指す。詳細は下記を参照。

セーブデータとしての「冒険の書」

ゲーム開始画面において、【ぼうけんのしょをつくる】コマンドを選んで【主人公】の名前を入力することで作成できる。
バッテリーバックアップ、メモリーカード、ストレージなどさまざまな形態をとる。セーブファイルを「書」と表現する辺りに、セーブシステムを世界観にマッチさせようとしたセンスを感じさせる。
 
DQ1とDQ2は(当時は)筆記用具が必須な【復活の呪文】(パスワード)によるコンティニューシステムで、1文字でも間違いがあるとそれまでの苦労が水泡に帰してしまうというものであったが、冒険の書の登場によりそれらから解放された。
ところが冒険の書も万全というわけではなく、カセットに衝撃を与える、端子部の接触不良などによりデータが故障した場合に修復せず消去する仕様上、データが消えてしまう場合も多い。
このトラウマ現象は、ソフトがカセットタイプであるFC・SFC時代の多くのプレイヤーに深く刻み込まれている(ただし、後発の作品ほど消えにくくはなっている)。
メモリーカードやゲームカード内部のフラッシュメモリ、本体のストレージなどにセーブされるようになった作品では、バッテリーバックアップ時代の作品に比べて頻繁に冒険の書が消える事はないが、それでも消える可能性はゼロではないのでメディアを大切に扱う必要があるのは変わらない。
詳しくは【呪いのモチーフ】および【おきのどくですが ぼうけんのしょ○は きえてしまいました】【壊れた冒険の書】も参照。

バッテリーバックアップ機能

当初の冒険の書で使われたバッテリーバックアップ機能はDQ3が初搭載というイメージを持っている人は少なくない。
しかし実際にはこの機能を最初に搭載したROMカセットは、『ファミリーベーシック』(1984年6月21日発売)とその専用ソフトの『V3』(1985年2月21日発売)にレジューム用として特殊な実装例があることを除いても、1987年4月14日にセタから発売された『森田将棋』が初である。RPGに限ってもタイトーから1987年6月30日に発売され、DQ3の世界地図を一度再検討させた存在でもある『未来神話ジャーヴァス』が初搭載であり、同年12月18日発売のスクウェア『ファイナルファンタジー』も初作からこの機能を搭載している。
何の因果か初搭載である『森田将棋』の前身作で1985年8月に発売された『森田和郎の将棋』(PC-88:PC-98)はエニックスが販売元で、DQ制作に【すぎやまこういち】が加わるきっかけになったソフトだったりする。
 
DQ3はセーブデータが比較的消えやすい(厳密には「消されやすい」)のだが、同じ1988年の8月に任天堂から発売された『ファミコンウォーズ』は接触不良などがなくても普通に電源をOFF・ONしただけで消えているなどザラで、その消えやすさは本作の比ではない。それを体感した者からすればむしろDQ3バックアップは比較的マシな方だという見方もされている。
 
このバッテリーバックアップを搭載したカセットでは、従来からファミコンカセットの裏面に共通して貼られていた「カセットについてのお願い」と題した注意喚起が「バックアップカセットについてのお願い」というものに差し替わっていたが、その中でもDQ3とDQ4では文中の「バックアップされた内容が」の部分がしっかりと『「ぼうけんのしょ」が』という単語に置き換わっていた。

DQ1・DQ2

【復活の呪文】によるコンティニュー方式であるためゲーム内に冒険の書は登場しないが、「冒険の書」という単語自体は初代の時代から既に使われており、DQ1の【取扱説明書】の中表紙に「ドラゴンクエスト 冒険の書 これを勇者たちに贈る」と書かれている。
 
NES版およびリメイク版ではセーブデータとしての冒険の書が採用された。
2作品のカップリングであるSFC版では、DQ1とDQ2それぞれで冒険の書が3つ用意されている。冒険の書のリストには主人公の名前とレベルが表示されるが、DQ2であってもセーブ場所は表示されない。
GB版DQ1・2以降では各タイトルごとに中断の書1つ、さらにスマホ版以降では【オートセーブ】枠も1つある。

BSDQ1

4週4話に渡る期間限定配信作品のため、変則的な仕様となっている。
冒険の書はバッテリーバックアップを備えた受信用カセットに1つのみ作成・保存が可能。各話ゲーム終了後にセーブを行うため、ラダトーム王に話す必要はない。
ラジオ音声では王とおばばがそれぞれ冒険の記録をすると発言しており、設定の不整合が見られる。
本放送最終週には冒険の書のデータからイベント応募用パスワードを発行するためのプログラムも放送された。

DQ3

冒険の書を初めて採用した作品。
冒険の書はROMカセット内部に作り、ファイル数は3つ。冒険の書リストに記載されるのは冒険の書の番号と主人公の名前のみ。
ただし【ぼうけんのしょをけす】ときには「ゆうしゃ」とレベルも表示される。「ゆうしゃ」の表示は固定で、クリアしていても「ゆうしゃロト」とは表示されない。また、バグ技で勇者以外を主人公にする(名簿の先頭に置く)場合も「ゆうしゃ」と表示される。
 
この「3つ」は当時の【堀井雄二】のこだわりであったようで、【ドラゴンクエストマスターズクラブ】でのインタビューでは次のように語っている。

堀井 (ファミコンの限界を問われて)RAMが少ない。ほんとは、もっといろんなコトをやりたいんだけど、ゲームのことを覚えておくワークがないの。まあ、冒険の書をひとつにしちゃえばできるんだけどね。

―でも、それはよくないですよ。

堀井 やっぱり、3つあるからイロんな遊び方ができるんだしね。ひとつにすれば、もっと複雑なイベントができるんだけど、そうもいかないよね。もうひとつRAMをのせることもできるけど、そうすると今度は経費が上がっちゃう。

限られたメモリのなかで、ゲームのボリューム増強と冒険の書の数を天秤に掛け、当時の堀井は後者を選んだ。
これにより、家族や友人どうしでの1本のカートリッジでのプレイや、クリア後のデータを残しての周回プレイをすることもできる。
 
SFC版でも冒険の書は3つだが、レベルとセーブした場所がわかるようになったほか、クリアフラグ保存後は「.ロト」が名前に付加される。
GBC版以降は冒険の書3つに中断の書1つ、さらにスマホ版以降ではオートセーブ枠1つが加わっている。

DQ4

FC版での冒険の書は3つ。冒険の書には【主人公(DQ4)】の名前が表示される。
 
PS版では冒険の書1つあたりメモリーカード1ブロックを使用。冒険の書リストにセーブ場所と章・勇者のレベル・プレイ時間が表示されるようになった。
メモリーカードのアイコンは【ホイミン】をイメージする【ホイミスライム】。ソニーハードから発売された本編では唯一スライム以外からの抜擢。
 
DS版は冒険の書3つに中断の書1つ、さらにスマホ版ではオートセーブ枠1つが加わっている。

DQ5

冒険の書は3つ。本作から主人公のレベルとセーブした場所がリストに表示されるようになった。
 
PS2版ではメモリーカード(PS2)に188kBの空き容量が必要。プレイ時間もリストに表示されるようになった。クリアフラグを保存したデータには★マークが付く。
DS版は冒険の書3つに中断の書1つ、さらにスマホ版ではオートセーブ枠1つが加わっている。

DQ6

冒険の書は3つ。
仕様は前作と同じだが、どの世界でのセーブかの表示には対応せず、上下世界で同じ地名がある場合でも見ただけではどちらの世界かわからない。
 
DS版は冒険の書3つに中断の書1つが加わり、プレイ時間もリストに表示されるようになった。クリアフラグを保存したデータには★マークが付く。
さらにスマホ版ではオートセーブ枠1つが加わっている。

DQ7

CD-ROMにはセーブができず、初代PSは本体のストレージもないため、外部メモリーカードに冒険の書を作る形式になった。
冒険の書1つあたり1ブロックを使用し、1つのメモリーカードに最大15個まで冒険の書を作れる。以前のデータを多数残しておくこともできるようになり、お気に入りのイベントをすぐに見返したりといったこともやりやすい。
リストにはセーブ時までのプレイ時間も表示されるようになったが、やはり過去・現代のどちらの時代かまでは表示されない。
 
本作ではモノとしての「冒険の書」が机や台の上に置かれているケースもあり、これを調べると自ら記録ができる。
 
3DS版ではゲームカード内や本体ストレージに保存され、ファイル数は冒険の書3つに中断の書1つ。クリアしたデータには★マークが付く。
さらにスマホ版ではオートセーブ枠1つが加わっている。

DQ8

外付けのメモリーカード(PS2)に冒険の書を作成・保存する。最低178kBの空きが必要。
クリアしたデータには★マークが付く。
メモリーカードのアイコンのスライムはコピーしようとすると宙返りしたり、削除しようとすると怯えたりと、PS2で発売されたDQシリーズの中では唯一コピーや削除に応じてアイコンの形が変わるシステムが搭載されている。
 
スマホ版は冒険の書3つに中断の書1つ、オートセーブ枠1つが加わっている。リストにはパーティ全員の顔とレベルが表示され、この仕様は移植版DQ8独特のもの。
3DS版の冒険の書リストでもスマホ版と同じく顔とレベルが表示されるが、冒険の書は2つ、中断の書が1つでオートセーブは非搭載。

DQ9

ゲームカード(カセット)内部に保存する形式に戻ったが、冒険の書は1つのみとなった。中断の書も1つ利用可能だが、中断後はその続きからの再開が強制され、再開後は中断データが消されるので、一度セーブするとやり直しは効かない。
周回プレイを楽しむ場合には前の冒険の書を消すしかなく、どうしても消したくない場合は新たにソフトをもう1本買う必要がある。
タイトルメニューではセーブ場所とプレイ時間、現在のパーティ全員の名前と職業・レベル・転生回数が表示される。
また、ニンテンドーWi-Fiコネクション(現在は終了)を用いて冒険の書をサーバに送ることも可能であった。これはインターネット上のプレイヤーサイトでのデータ公開や、公式による各種数値の統計に用いられた。
 
スタッフの発言によると、自由度を高くしたために保存データの容量が膨大になってしまい、また携帯機であるために中断機能も用意する必要があるため、冒険の書は1つだけにせざるを得なかったという(『週刊ファミ通』2009年7月24日号)。
同作ではセーブエリアが2つあり、セーブ(冒険の書・中断)の際にはその2つを交互に使っており、データが破損した場合はもう一方のデータを使って復旧できるようになっている(→こちらも参照)。
 
DQ9の10周年記念配信においては、冒険の書が1つでやり直す機会が少ないため、本作はストーリーの印象が薄いことをスタッフ自身が指摘している。

DQ10オフライン

PS4版DQ11と同じく、セーブデータとしての冒険の書はハードのアカウント1つにつき9つ+【オートセーブ】枠1つ。リストには主人公の顔と職業、セーブした日時も表示される。
Ver.1をクリアしたデータには★、Ver.2をクリアしたデータには★★が表示される。
 
また、ゲーム中にも【だいじなもの】として登場。転生する【種族】を決めた時に手に入る。
【出身村のおはなし】を解決した時には村の長によって表紙に【一人前の証】を押印してもらえる。

DQ10オンライン

冒険の書の数はコースによって増減するが、1キャラクターに冒険の書は1つだけである。
キャラクターが冒険の書を失うと、これまでの冒険の記憶が喪失されるということが発覚。なお、この時主人公はすぐに冒険の書を返して貰えたが、長時間失うとどうなるかは不明。
詳しくはこちらも参照。

DQ11

PS4版では冒険の書9つ+【オートセーブ】1つ、3DS版では冒険の書3つ+【中断の書】1つ。本体の内部ストレージまたはゲームカード(3DSパッケージ版)に保存する。PS4版ではセーブした日時も表示される。
 
3DS版では【ヨッチ村】の祭壇の間に過去のシリーズ作品の記憶を刻んだ冒険の書が祀られており、何者かに汚されてしまった冒険の書を元に戻すため、【冒険の書の世界】を旅するという要素がある。

DQ11S

冒険の書は9つ。3Dモード・2Dモード共通で使用され、2Dモードの冒険の書には「2D」のアイコンが表記される。中断の書は無く、オートセーブは3Dモードと2Dモードの枠が別に用意されている。
なお【体験版】も同じく冒険の書が9ファイルあり、同じ本体に体験版のデータがある場合、体験版の冒険の書を製品版で読み込んで開始できる(体験版の保存枠に製品版のセーブデータを保存したりはできない)。

モンスターズシリーズ

一人一台を前提としたプレイがメインのゲームであるため、冒険の書が1つしか用意されておらず、【配合】(GB版DQM1)、【孵化】(ジョーカー2プロフェッショナル、テリワン3D)、【ちいさなメダル】の交換(テリワン3D、イルルカ)などを行う前に強制的にセーブされる仕様になっており、やり直しは一切利かない。
 
ジョーカー1以降は「冒険の書」は登場していないが、ジョーカー2以降にメニュー画面で用いられているセーブのアイコンは「開いた本にペン」という「冒険の書」っぽい画像になっている。

トルネコ1

ファイル数は3つ。
【不思議のダンジョン】から【しあわせの箱】を初めて持ち帰ってきた時に音符のアイコンが、【もっと不思議のダンジョン】から【奇妙な箱】を初めて持ち帰ってきた時には温泉マークのアイコンが冒険の書に表示される。
 
なお、この「ダンジョンの到達度に応じてセーブデータにアイコンが追加される」という仕様はトルネコシリーズのみならず【チュンソフト】が関わった不思議のダンジョンシリーズ全般にも言えることである。

トルネコ2

PS版はセーブデータ1つあたり2ブロックを使い、メモリーカード1枚につき1つのみセーブが可能となっている。GBA版のファイル数は1つのみ。
 
今作のアイコンは以下の通り。

【ちょっと不思議の草原】をクリア
金庫【屋敷のダンジョン】をクリア
【お城のダンジョン】をクリア
十字架【墓場のダンジョン】をクリア
オレンジの光【火吹き山】をクリア
緑の光【迷いの森】をクリア
白の光【トロ遺跡】をクリア
【邪悪な箱】不思議のダンジョン27階にて邪悪な箱を倒しエンディングを迎える
【ゴールデンスライム】もっと不思議のダンジョン100階到達
【剣のダンジョン】35階到達
【魔のダンジョン】35階到達
【試練の館】30階到達(GBA版は50階到達)

トルネコ3

PS2版のファイル数は3つ、GBA版のファイル数は2つ。いずれも通常モード、【バリナボチャレンジモード】【エクストラモード】(GBA版のみ)でセーブデータをを丸々1つ使用する。
セーブデータのコピー(複製及びバックアップ)ができなくなっており、トルネコ1ではできた「別の番号の冒険の書へのコピー」や、PS版トルネコ2ではできた「PS2本体のメモリーカード操作画面からコピー」や「プレイ中に他のメモリーカードへ差し替えてセーブ」はできない。詳細は【コピーガード】を参照。
 
今作のアイコンは以下の通り。

海竜の聖火【海竜島の遺跡】をクリアし【海竜の灯台】に聖火を灯す
トルネコが【グレートバレイナ島】に到達
水晶玉ポポロがグレートバレイナ島に到達
【ヘルジャスティス】を倒しエンディングを迎える
交わった剣ポポロで【モンスター闘技場】を累計30勝する
灯台【賢者のほら穴】【仙人のほら穴】の問題に全問正解する
【プチマージ】【封印の洞くつ】99階到達
ヘルジャスティス(GBA版は?マーク)【異世界の迷宮】99階到達
指輪【不思議の宝物庫】99階到達
【まぼろしの洞くつ】99階到達

トレジャーズ

お宝として【白紙のぼうけんのしょ】【冒険の書セット】が登場。

星ドラ

2021年10月6日のメンテナンス終了後に実装された。
キャラクターを強くする、各種システムを利用するといったお題をクリアしていく事で報酬が貰いつつ、プレイヤーがゲームのプレイ方法を習得していくというチュートリアル用のシステム。
現在ははじまりの章と成長の章が存在し、今後のアップデートで章が増えていく予定。
また、これを元にしたと思われる「冒険王の書」がストーリー上の重要アイテムで登場している。

ドラけし!

DQ11の冒険の書の世界の如く、過去のナンバリング作品の冒険の書が本作の舞台。
何者かによってラクガキされてしまっており、ボスを倒すことでラクガキを消していくのが本作の目的である。
 
DQ6イベント「封印の大地と浮かぶ城」以降は基本的に冒険のしおりが舞台であり、イベント専用マップではなくクエストをこなす事で攻略していくという設定。

ダイの大冒険

クロスブレイド

バトルロード2同様、冒険の書がデータ保存用のカードとして実在する。

それぞれの道

初版限定に付属している【ダイ】のイラストが描かれたしおりが冒険の書として扱われている。

ゲームブック

【エニックス】【ドラゴンクエストゲームブックシリーズ】では各種フラグやステータスを書き込む用紙のことを「冒険の書」と呼んでいる。
さらに、ゲームブックDQ3では特定のパラグラフで「非常用冒険の書」への記入が求められ、これが全滅後の復旧用データとして用いられる。

ドラゴンクエスト アイランド

「冒険者のしるし」と共に入場者に配布されるアイテム。地図やゲームの基本情報が記載されたガイドブック。