【キルバーン】

Last-modified: 2021-12-03 (金) 11:10:29

 魔王軍:ダイの大冒険

【バーン】

【ハドラー】―【キルバーン】―【ピロロ】【マキシマム】

【クロコダイン】【ザボエラ】【ヒュンケル】【フレイザード】【ミストバーン】【バラン】

概要

【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】に登場するキャラクター。
仮面と黒を基調とした燕尾服を身に着けた道化師のような出で立ちが特徴。そして使い魔として【ひとつめピエロ】【ピロロ】を従える。
武器はいかにも死神が持っているような大鎌、その名も【死神の笛】を愛用している。
名前通り本当に笛にもなり標的にレクイレムを奏でる。旧アニメ版ではDQ3の洞窟のBGMを吹いていた。
もちろんただ楽器としても使えるだけではなく、この鎌を振るうことで発せられる特殊な超音波によって相手を拘束してしまえる機能もある。
声優は旧アニメでは田中秀幸(ナレーションやアバン役も兼任)が、新アニメ版での声優は吉野裕行(こちらはピロロと一人二役)が担当している。
 
立ち位置としては敵陣営の大幹部に相当し、魔影参謀【ミストバーン】と対をなす大魔王【バーン】の側近にして、魔軍司令【ハドラー】をも上回る地位と実力を持ったバーン直下の殺し屋(暗殺者)。なおミストバーンと異なり軍団長ではない。
その見た目や立場にふさわしく「死神」の異名を持ち、彼の姿を見ることはすなわち死を意味する。敵を倒すのはもちろん、任務をしくじった者を処刑する内部粛清の役割も担っているからだ。
実際【ヒュンケル】は「キルバーンはオレたち軍団長を始末するのが仕事」と語り、【クロコダイン】も「奴の姿を見たということはすなわちその者の死を意味する」などと評している。キルバーンが粛清を行った場面こそなかったものの、評判通りというべきか魔王軍中でもバーンやミストバーン以外に彼の姿を見たものはいなかった。
 
作品中盤まではいかにも道化的な掴みどころのなさと余裕ぶりを見せ付けるが、【バーンパレス】でダイたちをハドラーごと抹殺しようと企てるも奇跡の生還を遂げた【アバン】に悉く阻まれ、お気に入りの笑い顔の仮面も斬られてしまった。
以来は復讐心を燃え上がらせ、仮面を怒りの表情に付け替えてアバンを付け狙うようになり、感情を露にすることが増えていく。
そして陰湿極まりない罠の数々でアバンを苦しめるが、怒りに身を任せたことでブレが生じて劣勢に陥る。
【ジャッジ】を用いて異空間でアバンを消そうとするが、アバンの知略と死せるハドラーの起こした奇跡によって、皮肉にも自分の罠を逆に利用され自滅、自分が押し付けたルール通りに首を刎ねられるという、道化らしい最期を遂げたと思われていたが……

主な特徴

壁に吸い込まれる様に消えたり透明になったりと神出鬼没の上、心臓を貫かれようが、胴体を真っ二つにされようが死なないという不可思議な体を持つ。
切断された体もピロロが謎の粉を振りかければ結合し、何事もなかったように活動を再開できる。
さらに体内には【魔界】のマグマと同じ成分だという超高熱かつ強酸性の血液が循環しており、常に高熱を放っているため【ヒャド系】呪文を受けない。
物理攻撃に対しても、その血液の熱と酸によって斬り付けた武器を逆に破壊してしまう。市販品では最高級と考えられる【ドラゴンキラー】でも瞬く間に跡形もなく融解させ、【オリハルコン】製の武器すら腐蝕させ、自己修復機能さえ妨害して長期間切れ味を鈍らせている。
 
しかし不思議なことに、身体が切断されるような大ダメージを受けても特に流血する様子がなく、身体に深く刺し込まれたような武器にいくらか付着するのみ。
作中ではバランが胴体を真っ二つにした時、アバンの仕掛けたファントムレイザーで首が刎ねられた時、キルバーンが自分で腕を斬り落とした時と何度か激しく身体が切断されているが、いずれも吹き出すような派手な流血はしなかった。
少年漫画の作風に合わせて流血表現を抑えていたともとれるが、ピロロの粉であっさり修復されたり、そもそも生物らしいダメージを受けたようにすら見えない不自然さは、「重傷を負ったように見せかける」という道化師らしいトリックや特殊能力のようでもある。

性格など

道化らしく飄々としており、キザったらしく相手を嘲弄するような口調が特徴。一人称は「ボク」。
その軽薄な態度は主であるバーンに対しても変わりなく、「様」づけと一応の敬語は使うがどこかくだけた口調であり、ハドラーや他の軍団長のように畏怖・忠誠などの感情は持っていない。
最高幹部たる魔軍司令ハドラーでさえも最初はベール越しで直接の謁見すら許されず、そのベール越しに発する「何気ない」バーンの一言一言に戦々恐々とする有様で、最古参の大幹部で事実上のナンバー2であるミストバーンも「大魔王様のお言葉はすべてに優先する」と語るのとは対照的に、キルバーンはハドラーが最後通告を受けた場ですら、姿勢を正すこともなく即刻の処刑を軽々しく直言するなど、大魔王を畏れる素振りを微塵も見せない。
ダイ一行とバーンの初戦時には場を煽り立ててバーンじきじきに咎められたが、これも薄ら笑いで流したりと余裕の態度。軍団長やハドラーとは根本的に違う立場だという自負と余裕を覗かせている。
 
そんなキルバーンが初めてバーンに謁見したのは他勢力の使者としてだったが、突然やって来た身でありながら挨拶も名乗りもせず、それどころか玉座につくバーンと脇に控えるミストバーンを見比べた挙げ句の第一声が

「どちら様がバーン様で?」

などという始末。
アポイントをすっ飛ばし、誰の目にも一目で明らかな王と家臣を同列扱い、さらには挨拶を後回しにし、挙げ句に格上の相手に先に名乗るよう仕向ける…初対面にして瞬く間に無礼4連発。
とても「友好を名目にやって来た使者」とは思えない態度だが、後述するキルバーンの正体を考えれば、これは単なる無礼や悪ふざけではなく、バーンとミストの正体や関係性について「お前たちの秘密は知っている・予測がついているぞ」と脅しやカマをかけた可能性もある。
 
こうした道化さながらの立ち居振舞いとは裏腹に、その本性は嗜虐的で悪辣な卑劣漢。
殺し屋らしく一度目標とした相手は確実に殺害するまで追い続けるのみならず、冷酷さや残忍さも好んで見せつけ、それでいて標的は必要以上にいたぶって絶望させてから悠々と殺す瞬間が好きで好きでたまらないというイヤな性格の詰め合わせでありながら、厄介な能力に加えて実力も申し分ないという、まさにカタキ役のお手本のような輩。
その本性も、隠すどころか「面白いですよォ 死に瀕した時の人間の表情は…!! 寿命が短いから 魔族とかよりもさらに深刻ですもんねェ…!」と嬉々としてさらけ出し、まともに戦わず罠に拘る戦法を「一途に努力してきたヤツであるほど堕ちたときの表情が楽しめる!一度それを味わうともう他の殺し方なんてバカらしくなるんだよ」と嘯くなど、お道化の一環として堂々語りだす露悪趣味でもある。
 
嗜虐的で悪趣味な敵キャラはバトルものの定番ではあるが、純粋に力の有無を重視するバーンの手駒の中では珍しい。暴虐非道も手段のひとつと考えるフレイザードや保身のために卑劣を厭わないザボエラなどとも異なるため、印象的な個性になっている。
 
その性格にはアバンも「お前ほど非道で美点の見つからない敵には出会ったことがない」と吐き捨て、大魔王バーンですら「さしもの余も残酷さではお前にはかなわん、おそらく魔界一であろうな」と評するほど。
また自尊心から来る執念深さもかなりのもので、せっかくの罠を潰して回った上にお気に入りの仮面まで砕いたアバンに「…キミだけはボクが殺す…! 絶対に…絶対に… …ボクのこの手で殺すよ…… …絶対に…だ…!!!」と宣言して執拗に狙い続けた。キルバーンから「親友」と言われているミストバーンですら「酷く執念深いから、獲物の横取りなどしたら何をされるかわからない」としている。
  
その一方、自分のプライドなどが関わらない部分では客観的な合理主義者で、奇跡の類を信じないと言いながらも、脆弱な種族であるはずの人間の「秘められた可能性」が危険な不確定要素であると理解している。
圧倒的な強者であるバーンに対してさえ「人間をナメちゃあいけません」と諫言してみせるなど、敵の成長を侮るようなこともなく、そういう相手は猶予を与えず速やかに潰すべきだと冷静な評価を下している。
劇中では【ポップ】の可能性やパーティ内での立ち位置をいち早く見抜き「こういう弱いヤツが成長したようなタイプはムードメーカーになるからね、真っ先に死んでいただきたい男さ」と評して抹殺に動いたり、【ダイ】を進化する小さな魔神と評し「これ以上戦闘を経験させるべきではない」と、後にバーンが思い知ることになる要素を言い当てている。
読者目線で見ると、ゲームでの経験値システムと絡めたメタフィクションにもなるセリフである。
 
饒舌で忠誠心が薄く、卑劣を好み誰にも敬意を示さないキルバーン。対して極端な寡黙にして主君への絶対の忠誠を持ち、敵であっても認めるに足る相手には敬意を払うミストバーン。
互いに対極を行く性格を持つ両者だが、だからこそかなぜか気が合い、親交深げに「ミスト」「キル」と呼び合っている。
しかし、お互いに相手の正体を探ることだけは禁じている。また「バーン」を外した「ミスト」という呼び方は、ミストバーンの“本名”でもあり、「ミストバーン」という名が付いたのはキルバーンが来てからである。
傍目には親しげな愛称のようだが、初対面の時と同じような含みのある呼び方と見ることもできる。
ミストバーンはキルバーンへの友情は本心であったようだが、キルバーンの方がミストバーンを本心ではどのように思っていたのかは謎のまま終わった。「友情も単なる演技」で内心はなんとも思っていなかったのか、それとも死神なりのビジネスライクなものではあっても友情そのものは偽りないものだったのかは不明。
とはいえ、キルバーンなりにミストバーンに気を遣っていると思われる描写そのものは散見されるので、少なくとも彼に対しての友情については全くの嘘偽りというわけでもなさそうではある。

戦闘能力

戦法は死神の笛で相手を無抵抗にしてから首を刎ねるのがメイン。
他に【ファントムレイザー】【バーニングクリメイション】など多彩な技を持つが、いずれも道化の暗殺者らしいトリッキーかつ残忍無比なコンセプトに裏打ちされた物が揃っている。
真骨頂は「【キル・トラップ】」を用いたバーンパレス侵入者の抹殺。トランプの数だけ存在し、かかった相手を確実に殺す恐怖の罠である。
中でも、吹き立った9本の炎でかかった相手を焼き尽くす「◇の9(ダイヤ・ナイン)」はお気に入りの技。
もっとも、そのほとんどは罠を見破る「【ミエールの眼鏡】」を装備したアバンと【レオナ】によって発動前に破壊されてしまい、日の目を見ることはなかったが……。
 
策略や罠といった絡め手にばかり注目しがちだが、本人の戦闘能力自体も十分に高い。特に剣術の腕は自他共に認める程の高さとされており、アバンとほぼ互角の勝負を繰り広げる程。
【トベルーラ】でポップにあっという間に追いつく程の速度を出していることから、呪文面でもかなり精通していると見て良いだろう。
 
しかし「敵を罠にはめる」一点のみを追い続けてきたため、高い能力を持ちながら小細工なしの真っ向勝負には不慣れで、実力が拮抗する相手と真剣勝負を行うと場数(経験)不足による精神面での脆さが露呈しているとアバンから指摘されている。
単純な力量では「ダイの半分にも満たない」とされたアバンを仕留めきれなかったのも、そういった一面が原因なのかもしれない。
 
なお当のキルバーンはこの指摘に対し、それを認めた上でこうコメントしている。

「そりゃあ その気になって修行すればまともな勝負でも無敵になれたさ それだけの力量はあるからね …でもね…そんな勝利には興味が持てなくなってしまったのさ…ボクは…!」

「蜘蛛の巣にはまってもがく昆虫のように…罠にはまって狼狽している相手を見るのは最高さ…!!一途に努力を重ねてきた奴であればあるほど 堕ちた時の表情が楽しめるっ…!!一度それを味わってしまうと他の殺し方なんてバカらしくなってしまうんだよ…!!」

「そんな相手にスウッととどめを刺してやる時 はじめて心の底から思えるんだよねェ… ボクは"死神"なんだって ね…!!」

そうしたスタイルこそが自分のアイデンティティだと言わんばかりに開き直るキルバーンにはアバンさえ激昂した。
 
だがこの残酷な趣向は彼の隙にもなっていて、仮にキルバーンが淡々とアバンの命を奪うことだけに狙いを絞っていたのなら勝負を行うまでもなく決着はついていただろう。
異空間に連れ込もうと不意打ちをした際にジャッジの鎌ではなく愛用の死神の鎌を使っていれば、その時点でアバンを真っ二つにして「復讐完了」できたのだから。
最後の最後でもこの悪趣味が自滅に繋がることになる。

正体

最終回、バーンとの死闘を制したダイたちの前に突然現れたキルバーン。それも、アバンとの対戦で刎ねられた首を片手に平然と歩いてくるという異様な雰囲気であった。
そして肩のピロロが衝撃のネタ明かしをする。
 
実は「仮面を被った黒衣の死神」はただの操り人形に過ぎず、使い魔のピロロこそがキルバーン本人だったという、大どんでん返しだったのだ。
腹話術師の如く一人で人形と自分の台詞を喋っていたわけだが、人形のときに地声で喋り、使い魔ピロロとして発言するときに声色を使っていたようだ。
もし旧アニメが打ち切りになっていなかったなら、キルバーンの低い声で喋るピロロが見られたのかもしれない。
新アニメ版では上記した通りキルバーンとピロロは同じ声優が声をあてており「声色を変えて別人を演出して喋っている」作品の設定と同じになる。
 
"死神キルバーン"はマシンやアンドロイドのようなものであり、痛覚どころかそもそも生命すら持っていない。となればどんな攻撃を受けようが首を刎ねられようが死ぬこともないし、"本物のキルバーン"が痛くもかゆくもないのは当然。これこそがキルバーンの不死身の秘密であった。
このトリックは「決して自分を痛めつけない」という彼の性格を象徴するものでもある。
ミストバーンの無敵の体が非常に高度な呪法と稀有な能力の組み合わせの産物だったことに対して、キルバーンが不死身で、ピロロの謎の粉で完全回復できるのも、「ただの人形だから」という実に単純な仕掛けだった。
ピロロの持っている粉も魔力か何かの込められた接着剤といったところなのだろう。
 
そんな死神人形の動力源は魔界のマグマ。
マグマと同じ成分の血液と自称していたものの、実際にはマグマそのものだったということである(最終回にてマグマ成液などとも言っているため、動力源として加工したものとも考えられるが)。
超高温かつ強酸性の"血液"という生物らしからぬ特徴ではあるが、バーン等からそれについて指摘された様子はないため、異質ではあるが魔族としてもまったくありえないというわけではないようだ。というか魔族の体質はかなり個人差があり、ハドラーやバーンのように心臓が複数ある者やザボエラのように多数の毒素を持つ者、非常に頑丈で生命力の強いクロコダインなど様々。
マグマがマシンオイルのような役割を持っているのなら首や胴体を斬られた時に一旦機能が止まったことや再接続後に支障がなかったことと一致するし、斬り抜いた相手へのカウンター武器にもなり、血液を演出して「血の通った生物」に見せかけることも兼ねているのだろう。
これまたミストバーンが自身の体が異様に冷たいことを指摘されて正体看破に繋がったのとは対照的である。
なお首が切断されていてもピロロが触れていれば動かすことは可能。また、人形の目は千里眼のようなものになっており、本体であるピロロは例え異空間からでもこれで状況を視認できる。
 
一応顔面を叩き割れば倒せるらしいのだが、その仮面の下にはよりによってあの【黒の核晶】が仕掛けられており、顔面をぶち抜こうものならまず起爆は避けられない。実質「機能停止に追い込まれても最悪その相手を道連れにできる」という最凶の悪あがきまで仕込まれているのだ。
 
そんなキルバーンの本当の目的は「バーンを殺すこと」。
彼の主はバーンではなく、冥竜王こと【ヴェルザー】。「監視役をしつつ、隙あらばバーンを暗殺せよ」という主からの密命を帯びて友好の証と称してバーンに送り込まれた刺客であり、頭部に仕掛けられている黒の核晶も本来バーンを暗殺するために用意していたものである。
つまり「キルバーン」とは「バーン"から"の刺客(=死神)」ではなく、その「バーン"へ"の刺客(=バーンを殺せ)」という意味。
いざネタが割れればとてもシンプルで捻りのない「暗号」ながら、コイツと対をなす側近である「ミストバーン」がバーンに影のように寄り添い、まさに霧のごとく隠し守る存在と扱われていたことも、読者を引っ掻けるミスリードとしては十分なものであった。
もっとも、バーン自身はこれを初見で見抜いて指摘しているが、不遜な態度もかえって気に入ってあえて配下に置くことに決めたようだ。こういう余裕と豪胆さもバーンが大魔王たる所以なのだろう。
また、作中の描写を見る限り、側近兼賓客の立場に収まったあとはバーンの依頼に基づいた「仕事」はきちんとこなしているようで「地上侵略に協力する」という約束も結果としては守っており、バーン抹殺に向けて動いていた様子はない。
簡単に暗殺できるような相手ならそもそも政敵たりえないので、ヴェルザー側からの立場としては、監視役がメインであり、万が一バーンが大きな隙をさらすような事があればすかさず始末役に移行させるといったところだろうか。
地上についての処遇の完全不一致故に対立している両者ではあるが、神々に対しての感情はまったく同じであるため、「友好のための使節」というのもまるっきり嘘というわけではないようである。
 
ダイ達との戦いによってバーンが倒れたため「バーンを殺す」というキルバーンの任務は結果的に達成されたが、それは同時にヴェルザーにとって「バーンをも上回る脅威」が誕生した事に他ならない。
そこでピロロは人形の黒の核晶を起動し、ダイ達を纏めて葬り去ろうとした。
ここで黒の核晶が起爆すればダイ達が助からないのはもちろん、近くにあるピラァ・オブ・バーンに搭載されたものにまで誘爆し、地上がまとめて吹き飛ぶ危険がある。
当然、爆発阻止のためにレオナが【ヒャダルコ】を使って氷漬けにしようと試みるが、死神人形の場合は全身を巡るマグマの熱がヒャド系呪文などの冷気を全て弾いてしまう。
現状唯一の対策である氷漬け作戦が効かない以上、一度起動した黒の核晶の爆発を防ぐことはどうやってもできなかった。
 
そこでダイとポップが用いた最終手段は「自ら爆発を受ける覚悟で【トベルーラ】で上空まで爆弾を運び去る」という捨て身の作戦。
持ち去った本人はまず助からないが、高高度まで持ち去ってしまえば地上にいる人間を巻き込む事もないし、ピラァ・オブ・バーンに誘爆する事もない。
そうしてダイとポップは2人で死神人形を抱えて飛び立ったが、ダイはポップを巻き込むまいと寸前で蹴落とし、そのまま一人爆発にのまれて消息不明に。
奇しくもそれは「愛する者のために命を張る」という、両親の最期と重なるものであった……。
 
ダイはそのまま跡形もなく消えてしまったが、彼の相棒である【ダイの剣】の宝玉は未だ光を湛えていた。ダイが死ねば光を失うとされる宝玉、それが輝いていたということは「ダイは生きている」ことの証明。
希望を残して物語は幕を閉じた。
 
なおピロロ本人は死神人形を起爆後は魔界に退避し、地上が更地となってから再び訪れるつもりであったようだが当然見逃されるはずもなく、アバンの【ゴールドフェザー】で動きを止められマァムに一撃でトドメをさされるという、あまりにも呆気ない最期を迎えた。

考察

「死神が人形で使い魔が本体」という真相については、それまでに以下のような伏線が多数張られている。
それと同時に、伏線と悟らせないミスリード解釈も十分可能に仕組まれているためなおのこと気付きにくい。
実際の伏線は上段、読者側のミスリードされた考察や解釈は下段に記す。
 

  • 喋る際に口元が一切動かない。なお唯一動きが見える目は千里眼である。
    • そもそも仮面だから、視線以外の表情がまったく変わらないのも含めて至極当然のことと思ってしまう。「素顔」にも口はついているがこれが動くかは不明。
       
  • ピロロと意見が異なったことがほぼなく、1回だけピロロの意見を「そうでもない」と否定したのも自演と解釈できる範囲内。またバーンが魔界一残酷と評する程の悪趣味にも一切引かず同調している。
    • 使い魔ゆえのイエスマンだから、あるいは使い魔としての役割が薄いので単純に気が合う相手を使い魔にしている。
       
  • アバンに真剣勝負で必殺の気迫が感じられないと言われている。生物でない以上、感情や気迫の類はそもそも存在しないし、さらには真剣勝負と思われたこの場面ですら本人=ピロロは安全圏から操作しているだけなのだから死線での緊張感や気迫が生まれるはずもない。
    • アバンは罠の使い過ぎで場数を踏んでいないから精神的な脆さがあると判断していた。この時キルバーンの返しのセリフ(上記)があるのでなおさら辻褄が合ってしまっており、読者側でアバンの見立てを間違いと見切るのは困難。
       
  • 仮面がアバンに壊された際にはまずピロロの方が異様な動揺を見せ、その後仮面を選ぶシーンではピロロが「お気に入りの仮面だったのに…」とまるで自分のことのように語っている。だがキルバーンは喋らない。
    • キルバーンに「……」のフキダシはあり、激昂したような描写もあったため怒りで口数が減っていると取れる。
       
  • アバンとの決闘中、ピロロは全く姿を見せず、さらに干渉不可能なはずの外の情報(大魔王バーンが追い詰められていること)を知っていた。
    • ピロロが見た情報が伝わっているように映写されており、テレパシーのような方法で情報を得ているとしてもおかしくない。
    • 正々堂々の決闘を演出するにはピロロは邪魔。
    • 外部と完全遮断するのはジャッジの機能だがそのジャッジはキルバーンによって改造済み。したがって、ジャッジの持ち主であるキルバーンだけは外の世界に干渉できてもおかしくなかったとも考えられる。
       
  • ファントムレイザーの補充にピロロが必要なこと。
    • ピロロの特殊能力か、復活のためにまいた粉のように「アイテムを利用した技」と取れば自然。元々使い魔なのだからサポートが本分であり、予備のアイテムを保持していることは何ら不自然ではないだろう。
    • キルバーンが自分で補充しなかったのは、決闘中にファントムレイザーを使った後はキルバーンの優位がはっきりしたため必要がなかったと捉えられる。ピロロに補充させたのも、キルバーンは激戦でかなり消耗していたためそこまでの余力がなかったと解釈できる。
       
  • アバンに敗れた際のピロロの発言は「もう直らない」。
    • 誤植と解釈可能な範囲。
    • 当時【三条陸】は誤植ではないかの疑問に対して「誤植ではない、意味があります」と回答しているが、文庫版では「もう治らない」と修正された。
  • ピロロが本来ひとつめピエロには使えない高位のヒャダインを使っている。
    • キルバーンという実力者の直属なので、使い魔とはいえ一般的な同種より能力が高くても特におかしくはないだろう(クロコダインの連れている【ガルーダ】などが一例)。
      またそのヒャダインを使っても効果は全くなく、怨敵であるはずのアバンにあっさり泣きつくという筋違いな上に非常に確実性の低い方法に頼っていることから、多少レベルは高くてもこの場では大した存在ではないと錯覚させている。

 
なお魔王軍の暗殺担当にも拘らず、結局作中では1人たりとも殺害したシーンが描かれずに終わっている。
【竜の騎士】として魔王軍の脅威になり得る【バラン】の暗殺を企てたのは自然だが、裏切り者である【クロコダイン】【ヒュンケル】の暗殺を企てたことは一度もない。
ヒュンケルはミストバーンの計画がかかった人物ゆえ、ミストバーンの意を汲んでいた可能性が大いにあるが、クロコダインを標的にしなかった理由は作中では描かれなかった。
読者視点ではクロコダインは戦力的に劣ってきており、暗殺するほどの脅威と見なされていない…と見ることができなくもないが、作中の人物からはクロコダインはそこまで低評価をされていないのだ。
この点、作中での理由を考えるなら、バーンが内部粛清にそれほど熱心でない性格であることとキルバーンの戦法に対抗できる人物であるアバンの影響が挙げられる。
彼と同じく「呪法も直接戦闘も得意で、心理戦の腕も立つ」という共通点があり、さらに性格までも知り尽くされたことで大きな障害になった。
キルバーンとて、ファントムレイザーでアバンを嵌めたり、あえてその場をやり過ごしてピロロ=本体を生存させたり、知略でアバンにそれなりに対抗している。
だが、彼はアバンの挑発に対し「罠にかけて決闘空間に引きずりこんでの復讐」を目論んだがそれ自体が「ターゲットを自分に引き付ける」アバンの計算の内。逆にアバンの仕掛けた罠にかかった。
アバンを殺すために拐ったがゆえに自分の方が隔離され、ダイ達に対して一切行動を起こせなくなってしまったのだ。
それ以前に仮面を叩き割られ復讐心を抱く段階からしてアバンの思惑であり、上記の知略戦の部分的な勝利も、大局で見ればアバンの誘導にまんまと乗ってしまった感は否定しがたい。
本拠地バーンパレスに仕掛けたキル・トラップに至っては、そのほとんどを彼に潰され、残った物も術者がアバンで手がいっぱいだったため発動機会を失った。
果ては 【モシャス】でキルバーンに変身し、非情な人格を演じてミストバーンすら欺きかけている(ちなみにアバンはキルバーンがミストバーンを「ミスト」と呼んでいることを失念していたことで勘づかれてしまった)。
大魔王バーンからも「もっとも厄介な男」と評されたアバンは、キルバーンにとってもあまりにも大きな目の上のタンコブだったのだ。
唯一、ピロロを本体と悟らせずに見逃させたという点はアバンにはっきり読み勝ったと言えるが、これも最後に自分で台無しにした。
隠れて黒の核晶を起爆させればそれだけでこれまでの敗北をすべて覆すほどの盤上での完全勝利となり得たはずが、悪趣味な勝利宣言のために自らネタばらしに表に出てくるという軽率さで泡と消え、勇者一行の殲滅は失敗、自身も【マァム】にあっさり討ち取られる呆気ない敗北に終わり、『アバン>キルバーン』の印象を覆すものとはならなかった。
 
さらに作品外での理由を考えるなら、「ダイ大」自体が、滅多に人が死なず、なおかつ敵味方共に正々堂々とした戦いを旨とする世界観であることも大きい。
つまりキルバーンの卑怯な企てが成功するならそれを上回る主人公側からの反撃を成功させなければならず、あくまでもラスボスの補佐役でありナンバー2ないし3の彼にはそこまでの見せ場を用意できなかったのだろう。
実際、彼の卑劣さが具体的に描かれたのはアバン戦程度であり、卑劣な罠で苦しめるも結局はアバンの知略の方が勝り、最終的に自滅する結果に終わっている。
とはいっても大魔王バーンとの死闘の後のどんでん返し要素として登場し、最終回限りの活躍ながら主人公を行方不明に追い込んで強い印象を残しただけでも、作中の立ち位置からすれば上出来以上と言って良いほどの成果である。
逆に言えば「ロト紋」のように敵側の卑怯な手段込みで命のやり取りを躊躇なく行う作品に登場していたならば、「殺し屋」にふさわしい活躍を持ってその悪名を今以上に轟かせていた可能性は高い。この辺りはザボエラやマキシマムにも共通している。

声優に関する余談

上記した通り、旧アニメ版でキルバーンを担当した田中秀幸は旧アニメ版にてアバン(とナレーション)の声も担当していた人物。
しかし優しく穏やかなアバンと対照的にこちらは無機質で淡々とした低い声(と、それに似つかわしくない妙にチャラい言動)というギャップが印象的。当時複数キャラの兼任は珍しくもなかったのだが、巧みな演じ分けはさすがの一言に尽きるだろう。
 
その影響もあってか、当時は「キルバーンの正体はアバンではないか」と予想するファンも一定数存在していたらしい。
「ハドラーと同様に死の淵をバーンから救われたアバンが敵となってダイ達に剣(というか鎌)を向ける」という展開で、その後は敵のままダイ達に斃されるか、寝返ったフリをしてバーンを殺そうとチャンスを窺っていたアバンがバーンの返り討ちにあって死亡する…といった流れである。
結果としてキルバーンとアバンは別人であったが、こちらもこちらでストーリーとして成立してはいる。
ただ、仮面であることを利用した成り済まし、かつての仲間などの展開自体は他の漫画やアニメ等でもしばしば見られる古典的ネタなので読者も容易に予想がつく(≒インパクトに欠ける)だろうし、そもそもこれとほぼ同じ展開は劇場版で既にやっていたため、採用には無理があっただろう。
 
ちなみに作者の三条隆は作中にキルバーンが登場した時点で対抗者としてのアバンの復活を決めていたそうである。
そのため、キルバーンのキャスティングに原作者の要望があったのだと仮定すれば、そのキャスティング自体がミスリードとして設定されたものということになり、中々興味深い。
まあ昔のアニメではメインキャラでも同じ声優が複数の役を兼ねているのはよくあったし、ポップとミストバーン等も同じ声優なのでダブルキャスティング自体はとくに珍しい現象というほどでもない。
また、その旧アニメも原作でのアバン復活よりもずっと前の段階で打ち切りになってしまっているため、同声優同士の対決が実現することは結局なかった。
 
なお原作中では終盤にミストバーンから情報を引き出すためにアバンがキルバーンに扮して登場している。
旧アニメではここまで到達しなかったものの、「中の人が同じ」というある種の声優ネタとして見ることもでき、旧アニメのキャスティングを知っているものならばニヤリとする演出である。
 
新アニメ版では吉野裕行が担当し、アバンではなくピロロと兼任となった。(ネタバレ防止のためかピロロはクレジットなし)。新アニメでの声優の兼任はモブキャラを除いて初。
旧アニメでは正体の知れない暗殺者らしい陰気な感じの低く不気味な声であったが、新アニメでは道化師のイメージ通りな高めの陽気な声になった。新旧アニメで最も声質の変わったキャラクターといえる。
ピロロの方は旧アニメと同じく子供らしい声質で同一人物と思わせない名演。
これはこれで原作の設定に忠実であり、原作を知らない視聴者でも声優に詳しく勘のいい人は彼らの関連性にピンとくるかもしれない。

DQMJ3P

???系のSSランクのモンスターとして登場。
イベントバトルに勝利すると【アロマ2号】から報酬としてもらえる【コラボバトルチケット】を使用すると1回目の対戦相手として登場し、勝利すると【大魔王マデュラージャ】よろしく「自らの分身」が仲間に加わる。 
闘技場での戦闘ではあるが、命令は出せるので積極的に活用していきたい。
ちなみに2戦目以降では「退屈すぎて誰かを殺しに行くところだったよ」等と言い出す。
やめれ。
 
闘技場で戦う個体は、【ファントムレイザー】【ジャッジメント】【地獄落とし】【羅刹斬】を使用。
特に1ターン目は必ずファントムレイザーを使ってくる。耐性無視して即死させられるため、物理モンスターは要注意。
ファントムレイザーは本来MP全消費するが、闘技場で戦う個体に限りMP無限となっており、何度も使ってくるので注意しよう。
特にせいけんづきなどの溜めでターンを終えると危険。
呪文で攻撃する手もあるが、【ときどき黒い霧】で封じられることがあるのでその場合に備えて体技や息も用意しておきたい。
 
上述の通りファントムレイザーのせいで物理構成には厄介な相手ではあるのだが、こいつも今回のイベントバトルの例に漏れずマヒやらの状態異常が効いてしまうという致命的な弱点を持っている。状態異常にした後は煮るなり焼くなりお好きにどうぞ。
ついでにマヒや休み等で動きを止めた場合はファントムレイザーも不発にできて一石二鳥である。
 
なお、ゲスト出演してはいないが【クロコダイン】【やけつくいき】に相当する技【ヒートブレス】を習得している。もし彼が本編でこの技を習得していたのなら、十分に優位な立場に立てていたことであろう。
 
固定特性は【ときどきピオラ】。他は【メガボディ】【死神のレクイエム】【AI1~3回行動】
+25で【ときどき黒い霧】、+50で【やみのはどう(特性)】、+100で【最後のあがき】、ギガボディ化で【即死ブレイク】、超ギガ化で【笛吹き名人】が解放される。
合体特技は【闘魔爆炎斬】、合体特性は【あやしいひとみ】
所持スキルは固有の【キルバーン(スキル)】
 
大魔王バーン、ミストバーン、【魔界神マデュラーシャ】と配合すると仮の主の最終形態である【鬼眼王バーン】を生み出せる。
 
ネタバレ防止のためか豆知識では「使い魔のひとつめピエロとつねに行動を共にしている」と説明されている。

クロスブレイド

第6弾の【ギガレア】としてようやくのカード化となった。必殺技は死神の鎮魂歌(レクイエム)。

ダイ大コラボ

星ドラのダイ大コラボイベントではコスプレ装備ごと登場。
DQMSLでは物質系でウェイト25。転生前が通常のキルバーン、転生後は怒りの仮面をかぶった死神キルバーンが登場した。
 
ファントムレイザーやキルトラップ、バーニングクリメイション、死神の笛に加えてまさかの黒の核晶を特技として使用可能。
まず、ファントムレイザーは斬擊と通常攻撃を反射、キルトラップは斬撃使用した場合にHPを半減させる刻印を付与する。
特性はライトメタルボディに加え状態以上をラウンド開始時に治癒するオートリペア、攻撃を受けたときにダメージを与えた上で攻撃力を下げる魔界のマグマを持つ。
上述した要素だけでも実装当時マスターズGPにおいて採用率トップを維持していたダークドレアムのメタになりうる性能だった。
黒の核晶は自身の素早さと防御をあげた上で2ターン後の通常攻撃の際に自爆して敵全体にみがわりを無視して反射無効の特大ダメージを与えた後に1ターンの間回復封じを付与するというもの。また爆発前に倒した場合でも小ダメージと回復封じを与える。
このままでも厄介極まりない性能であるが1ターン目に核晶、2ターン目を反射やみがわりで耐えた後に3ターン目に刻印付与で先制した後のAIの通常攻撃で起爆というおそろしい芸当ができた。
更にラプソーンの盲信のかくせいによってこの起爆ダメージを更に増加させるコンボまで存在し、実装当初はかなり猛威を振るっていたようだ。