無線LANの動作モードの一つ。
モンハン界隈においては長い間特別な意味を持つ用語として使われていた。
目次
概要
- 超簡単・超適当に説明すると、無線LANを利用し、
アクセスポイントと呼ばれる機器を経由したWi-Fi通信を用いて、ネットワークに接続した端末同士で接続を行うこと。
対になるのは後述のアドホックモードである。
- 厳密に説明すると、無線電波通信規格「IEEE 802.11」を用いた無線LAN通信を利用したネットワーク通信の事を指す。
IEEE 802.11の内、広く普及されている規格は「Wi-Fi Alliance」と呼ばれる、
「Wi-Fi規格策定、監理団体」によって認証が行われており、2023年現在では- Wi-Fi4(IEEE 802.11n)…2.4GHzと5GHz周波数帯の電波を用いる。最大速度1.2Gbps。
- Wi-Fi5(IEEE 802.11ac)…5GHz周波数帯の電波のみを用いる。最大速度3.5Gbps*1。
- Wi-Fi6(IEEE 802.11ax)…2.4GHzと5GHz周波数帯の電波を用いる。最大速度9.6Gbps。
- Wi-Fi6E…上記のWi-Fi6に「6GHz周波数帯の電波利用」を盛り込んだ規格。
Wi-Fi Allianceによって認証を受けた製品は「Wi-Fi」の名を利用することが公式に認められているため、
Wi-Fiの名を冠している無線LAN機器を用いれば、意識せずともWi-Fi通信を利用する事が可能である。- かつては「無線LANは有線LAN接続より速度が遅く、不安定になりやすい」と言われていたが、
これは無線LAN通信技術がまだまだ未熟だったこと、
及び多くの家電製品が利用する2.4GHz帯の電波を用いていたがために、
電波干渉が頻繁に起こりやすい(=通信に悪影響が出やすい)事が原因である。
Wi-Fi5規格から本格的に使用を開始した5GHz帯、及びWi-Fi6Eで新たに追加された6GHz帯の電波は、
Wi-Fi通信専用の周波数帯として定められているため、電波干渉とはほぼ無縁である。
そのため、Wi-Fi5以降のWi-Fi規格を用いれば、
有線LANと同等以上のインターネットライフを送る事が可能である。*2 - なお、ニンテンドーDSはIEEE 801.11規格に準拠した無線LANアンテナを搭載しているが、
Wi-Fi Allianceから公式に認証を受けていないため、正規のWi-Fi機器ではない。
後継機であるニンテンドー3DS以降の任天堂ハード、
及びPSP以降のSIE製ゲーム機はWi-Fi Allianceの認証を受けているため、
これらは公式にWi-Fiを名乗る事ができ、パッケージにもWi-Fiのロゴ付与が認められている。
- 無線LANの機器同士は直接通信を行わず、アクセスポイントがアクセス管理を行うため高効率。
上記で「ネットワークに接続した」と記したが、これはアクセスポイントがインターネットに接続されていれば、
インターネットを通じて他の端末*3と接続が行える。
そのためインターネットへの接続は基本的にこのインフラストラクチャーモードで行われる。
MH4、MH4Gにおけるニンテンドー3DSを使用したインターネット経由のオンラインプレイや、
ダウンロードコンテンツの入手は全てインフラストラクチャーモードである。
- 現代のWi-Fi対応機器は、それこそスマホやゲーム機に至るまでこの「モード」を意識する必要はない。
それは対となる「アドホックモード」が古い規格故に殆ど用いられなくなったため、
特殊な運用例を除くとモードの切り替えを意識しなくても済むようにハード側が配慮しているからである。- PCにせよスマホにせよPSPや3DSのような携帯ゲーム機にせよ、無線LANへの接続を行うハードウェアについては
その用途が「PCを無線LANに接続するため」なのか「他の機器からの接続を待ち受けるため」なのかを決める必要がある。
基本的にはハードウェアを駆動させているドライバやソフトウェアによって制御されているのだが、
PSPや3DSといった携帯ゲーム機の場合は基本的に前者で決め打ちとなっている一方、
PS3やWii Uといった据置型ゲーム機や、PCに接続するタイプのアダプタでは用途によって切り替えることができる。
例えばPCに接続したUSB経由の無線LANアダプタを経由してインターネット経由のオンラインプレイや
ダウンロードコンテンツの入手を行う場合は
無線LANアダプタと携帯ゲーム機の間の通信はインフラストラクチャーモードであり、
後述するXlink kaiやアドホック・パーティー、MH3Gのパケットリレーツールの場合における、
それらを稼働させているデバイスと携帯ゲーム機の間の通信は後述のアドホックモードとなる。
- PCにせよスマホにせよPSPや3DSのような携帯ゲーム機にせよ、無線LANへの接続を行うハードウェアについては
モンハンにおいて
- モンハン界隈においてインフラストラクチャーモードが重要な意味を持つようになったのは、
ポータブルシリーズの発売、普及後である。
- 据え置き機モンハンはインターネット経由のオンラインプレイ(当時は有料)に対応していたが、
ポータブルシリーズは「一人でも遊べる」ことがコンセプトだったため、
インターネット経由のオンラインプレイには対応していなかったのである。
しかしポータブルシリーズは各自で持ち寄ってのPTプレイを行うには恰好の代物であり、
これをインターネット経由のオンラインプレイに対応して欲しいという声が出るのは当然の流れであった。- この解として有志が広め、普及したものがあのXlink kaiである。
ただしXlink kaiは導入にPCが別途必要などハードルが高く、
やはり標準機能で通信プレイが可能な環境を要望する声は多かった。
- この解として有志が広め、普及したものがあのXlink kaiである。
- その流れの中で発表されたMHP3の発表内容に
「インフラストラクチャーモード対応」との文言が書かれてあり、
インフラマルチ(インフラ(中略)を利用してのマルチモード)ができるんだ!
と喜んだユーザーが多かったが、実際は上記のダウンロードクエストなどを入手するモード、
つまり今までどおりということであった。
- ちなみにPSPでもPSN(PlayStationNetwork)経由で、
インターネットを介したオンラインプレイに対応する作品は存在しており、
技術的には可能であったが何らかの理由で実施されなかったのであろう。
しかし技術的には可能という点から、期待されて当然という声は多く、
上記の対応にがっかりしたユーザーも少なくなかったようだ。
なお、MHP3は後にアドパを利用することにより、
PS3の所持が絶対条件だがXlink kaiを使わずにインターネット経由のオンラインプレイは可能になった。
- MH3Gも基本的にはMHPシリーズと同じシステムであり、
しかもハードが3DSに変わったことでXlink kaiが使用できなくなってしまった。
やはりがっかりしたハンター多数である。
ただしMH3Gはその後、オンラインモードに対応したHDVerの発売に伴い、
WiiUで「パケットリレーツール」をダウンロードすることで、HD版の部屋に3DS版を繋ぐという形での、
オンラインプレイが可能になった。- ただ、本当はインターネット経由のオンラインプレイを実装しようか悩んでいたようだ。
それは任天堂のプレイ後アンケートで専用の項が設けられていることからも窺える。
- ただ、本当はインターネット経由のオンラインプレイを実装しようか悩んでいたようだ。
- 更にその後発売されたMH4及びMH4Gでは、
標準でインフラストラクチャーモードを用いて、オンラインプレイを楽しむことができるようになった。
MHX系でも同様であり、この頃になるとインフラストラクチャーモードがどうのという話はほぼ無くなっている。
アドホックモード
- 超簡単・超適当に説明すると、無線通信に対応した機器同士で直接通信するモード。
アクセスポイントを必要としないので、対になる機器同士の物理的な距離が近ければ接続できる。
PC用の無線LAN機器は基本的に一対一での通信に対応しており、上述の通り通常の通信にはあまり用いられないが、
プリンターとPCやスマホを無線で直接つないで写真を印刷したり、
カメラからWi-Fi経由で撮った写真をダウンロードしたりする際に用いられる事がある。
ただし一般的にはどちらも、インフラストラクチャーモードでも対応できるようになっており、
無線LANインターネット環境が無い場合の対応策としての趣が強いが。- インフラストラクチャーモードと比較するとデータの転送速度や、セキュリティの面で劣る。
特に後者は昨今の事情を鑑みると致命的であり、基本的にはすぐそばに存在する機器でしか使えず、
有効範囲も極めて短く設定されている事が多い。
- インフラストラクチャーモードと比較するとデータの転送速度や、セキュリティの面で劣る。
- PSPのマルチプレイ時の通信方法は一般的にこれである。
前述の通りPC用無線LANはソフト側が一般的に一対一での接続にしか対応していないのだが、
PSPは最大16台の機器と同時接続できるアドホックモードが搭載されているため、
ゲームソフトによってではあるが最大16個のPSPでマルチプレイが出来るようになっている。
モンハンで言えば友人や家族でPSPを持ち寄り、協力プレイをするCMを見たという人も多いだろう。- また、MHP3HDを単体で起動しその場にいるPSP版MHP3との間で通信プレイを行う際も
PS3とPSPの間の通信はこれである。
- また、MHP3HDを単体で起動しその場にいるPSP版MHP3との間で通信プレイを行う際も
- 本来、アドホックモードでは無線機器は近くにある他の機器としか通信できないのだが、
アドパやXLink Kaiでは、
遠地の無線機器と通信するため、アドホック通信を中継する役割を持っている
(これを専門用語ではトンネリングと言う)。
MH3Gのオンラインプレイを可能としたパケットリレーツールも仕組みとしてはこれに近い。
- ニンテンドー3DS・Switchの場合はマルチプレイにおける接続の種類は
「ローカル通信」「インターネット通信」と表記されていることが多く、
この場合前者がアドホックモードに相当し、後者がインフラストラクチャーモードである。
また、すれちがい通信もアドホックモードであると言える。
- なおPSVitaでサービス開始されたMHF-Gはアドホックモードには対応していない。
これはMHF-Gがインターネット接続大前提の完全オンラインであり、
なおかつPCやPS3と同一のサーバーにキャラクターデータが存在するためである。
余談
- インフラストラクチャーモードは無線LANの動作モードの一つであり、
特に設定しない場合、購入した家庭用の無線LAN機器は標準でこのモードになっている。
前述の通り、現在ではアドホックの切り替えについてはハード側で勝手にやってくれるケースが殆ど。- ただしアドホックモードではその仕様上同時にインターネット接続ができないので、
アドホックモードで接続中にインターネットに接続しようとすると、
接続できなくなるか或いはアドホックモードが解除される(接続している機器による)。
モンハン絡みで言えばNintendo Switchにてローカル通信プレイ中は、
ホーム画面に戻すと無線の状態表示アイコンにLと表示され、
この間はインターネット接続が不可能となる。
- ただしアドホックモードではその仕様上同時にインターネット接続ができないので、
- MH3Gは上述したようにパケットリレーツール経由のオンラインプレイであることから、
シリーズでインフラストラクチャーモードのオンライン協力プレイに正式対応したのは、
元々完全オンラインのMHFを除けばMH4からであると言える。
- そのMH4の発売によって現在では聞かれなくなったが、
当初は携帯機モンハンの通信は身内やリアル集会所でやるものと言う人もいた。
ただ、協力プレイがアドホックモードでしか出来ないPシリーズにおいて、
Xlink kaiやアドホック・パーティーを用いてのオンラインプレイが大人気であることから、
上記の意見に関しては否定的な意見が圧倒的である。
まあそんな簡単に何度も集まったりリアル集会所に行ける訳がないというのが全てであろう。
- なおインフラストラクチャーモードのオンライン協力プレイは、サーバーの維持管理に多大な費用がかかる。
(詳しくはこちらも参照のこと)
3G発売当初、任天堂がオンラインプレイの導入に二の足を踏んでいたのはそのような事情もあったのだろう。
- アドホックモードやインフラストラクチャーモードは無線LANにおける用語であるが、
無線LANにおけるアドホックモードのような機器同士の直接接続を有線LANで行うことを
システムリンクと呼ぶこともある。
その複数台の内一部が無線LAN経由で接続されているというケースもありうるが、
その場合無線LAN経由で接続されている機器との間の通信における遅延が大きくなるので注意。
- インフラストラクチャーは「下支えするもの、下部構造」の意を持つ用語で、
日本国では良く「インフラ」と略されて用いられる事が多い。
インフラに挙げられるものとして、電線、水道、通信網が良く挙げられるが、
インフラストラクチャーモードは、
有り体に言えば「無線LANを経由して、既に整備されている通信網を用いて通信する」事である。
関連項目
モンハン用語/Pシリーズ
ゲーム用語/Xlink kai - アドホックモードでインターネット経由のオンラインプレイに対応するソフト
ゲーム用語/アドホック・パーティー - PS3のサービス。主な機能は上と同じ。