【ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅】

Last-modified: 2025-12-12 (金) 18:02:37

・DQモンスターズシリーズ

DQM1 - DQM2 - DQM1・2(PS版) - キャラバンハート - ジョーカー1 - ジョーカー2 - テリワン3D/SP - イルルカ - ジョーカー3 - DQM3

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DQM3関連一覧
キャラクター - モンスター - 地名 - スキル - 呪文 - 特技 - アイテム(道具/アクセサリー) - 音楽

概要

ドラゴンクエストモンスターズシリーズ25周年記念の年に発売された、同シリーズ通算7作目。2023年(令和5年)12月1日に世界同時発売、対応ハードはNintendo Switch。
公式サイト
プロモーション映像
プロモーション映像(スマホ版・Steam版)
 
モンスターズシリーズとしては2020年のイルルカSP以来3年振りかつ、移植やプロフェッショナルを含めない新作としてはジョーカー3以来7年ぶりかつ令和初、正統ナンバリングとしては2001年3月9日に発売したDQM2以来約23年振りとなる。
コンシューマ向けモンスターズとしてはジョーカー2以来12年振りに海外でも発売された。英題は "DRAGON QUEST MONSTERS: The Dark Prince" でナンバリングがつかない(日本向け製品でも言語を英語に設定すればこのタイトルになる)。
通常価格は7,678円で、有料追加DLCとして【追憶のモグダンジョン】【エビ師範の修練迷宮】【時の無限ボックス】がある。また、追加DLCに加えゲーム内アイテムがついてくるマスターズ版、さらにそれにオリジナルグッズがついてくる超マスターズ版が発売された。
12月27日にVer.1.0.3アップデート、2024年3月5日にVer.1.0.5アップデートが配信された。
本作はモンスターズシリーズとしては初のCERO:B(12歳以上対象)作品である(コンテンツアイコンは「犯罪」)。
 
【パッケージイラスト】に加え、【Vジャンプブックス】ではピサロ、【ロザリー】【ベネット】【アゲぴぴ】の公式イラストが掲載されており、【鳥山明】が生前に発表した最後のドラクエイラストとなった。
また、モンスターズシリーズでは初の【キャラクターボイス】が実装された。
 
売り上げは好調のようで店頭では早くも品薄が続出し、発売から約1ヶ月半で全世界の売上が100万本達成。
翌2024年9月12日にはスマホ版(iOS/Android)、パソコン版(Steam)が発売された。モンスターズシリーズのパソコンへの進出は初となり、非ハンドヘルド型デバイスへのリリースもPS版DQM1・2以来である。
 
【ドラゴンクエストIV 導かれし者たち】の公式スピンオフであり、DQ4の悪役かつリメイク版の仲間キャラである【ピサロ】【主人公】を務める。DQ4のストーリーと同時に本作のストーリーが進行するが、「これは誰も知らない、もうひとつの可能性の物語──」とプロローグで表示される。本作は「あったかもしれない」世界(いわばifルート)の話であり、途中でDQ4とは大きく展開が変わる。
また、その分岐点に関係なくDQ4と一致しない箇所も多々ある。
音楽もDQ4のものが多く使われており、DQ4でも登場した地域は当時のマップが3Dで再現されている。
本作のプロデューサーの【横田賢人】によると、従来のモンスターズシリーズに比べストーリーの比重が大きくなっているという。

発売までの経緯

モンスターズシリーズの新作については2018年のモンスターズ20周年記念番組でDQ11の【カミュ】【マヤ】を主人公とした新作が制作中と発表されていた。2021年5月27日(ドラクエの日)の「『ドラゴンクエスト』35周年記念番組」での発表でその作品は【ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤】へと変更されたものの、モンスターズの新作については別途制作中であることが語られた。
そして2023年のドラクエの日に公開されたモンスターズ25周年記念サイト【はなまきドラゴ】のイラストとともにNintendo Switch向けに新作開発中と明記され、6月22日に正式にタイトルと発売日が発表された。
 
YouTubeの公式動画「#ドラゴンクエストモンスターズ」の歴史【#スクエニの創りかた】【#DQM3】」によると、ジョーカーシリーズの全てを引き継ぐと実質ジョーカー4になってしまうので、無印ナンバリングに戻す意味合いも込めてGB時代とジョーカー時代のノウハウの融合をコンセプトにしたという。
システムの簡略化についても、ジョーカー3Pの時点で特技・特性が増えすぎたりサイズ・特性の入れ替えもどこに手を付けていいか分からないなど新規ユーザーが受け入れづらくなった為、直感的に遊んでもらうためであると横田は語っている。
また主人公がピサロである理由は堀井雄二がテリー&ミレーユを主人公にしようと考えたがすぐに新鮮さが無いと判断し、数週間後に横田がピサロを提案したため。
 
なお、【ドラゴンクエストモンスターズ 20thアニバーサリー モンスターマスターメモリーズ】によると、当初はDQM2の次作となった【ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート】が企画段階で『ドラゴンクエストモンスターズ3』となる予定だったという。

ストーリー

【藤澤仁】が執筆。
魔界を治める【ランディオル大帝】と人間の母の間に生まれた【ピサロ】は、父王に魔物を攻撃できなくなる呪いをかけられて人間界に追放されてしまう。魔物を攻撃できないピサロは自らモンスターマスターとなり、父王に復讐し自らにかけられた呪いを解くべく魔界中を巡る冒険へと身を投じてゆく。

システム

物語の舞台となる各魔界は「初級」「中級」「上級」の3つのエリアに分かれており、各魔界の初級を全てクリアすると中級に行けるようになり、中級を全てクリアすると上級に行けるようになる。一部の魔界は攻略順が固定ではなく、好きな順番で攻略可能になっている。
イルルカ・ジョーカー3に多く見られた「敵が急激に強くなる箇所」は減らされている。
 
モンスターの育成(スキルや特性)は基本的にジョーカーシリーズやテリワン3D、イルルカを引き継いでいるが、【配合】システムには大きな変化が見られた。まず位階配合、プラス値が廃止され、配合結果がモンスターの見た目や設定から想像しやすくなった。性別の概念もジョーカー3のように存在しない。また、モンスターの特性を組み換える配合も存在しない。この影響で、対戦では同じモンスター、似たようなパーティのぶつかり合いの時代に回帰している。
【上限値】に達したステータスはオレンジ色で表示されるようになった。
配合の際低確率で「キラキラ」と呼ばれるエフェクトが発生し、いずれかの能力が通常より高い個体が生まれることがある。キラキラが発生したモンスターはステータス画面のアイコンにマークが付く。
また、3枠・4枠のモンスターが廃止されてSサイズ(1枠)、Lサイズ(2枠)の2つだけになった。サイズが特性として決まっているわけではなく、配合の際に親のサイズから子のサイズが決まるので、全てのモンスターがSサイズ、Lサイズになることが可能。(ただし同じサイズ内でもいくつかの大きさに分かれており、見た目でもよく違いがわかる他ステータスも微妙な違いがある。)
また、前作までモンスターはF~S、SSの8つのランクに分かれていたが、今作ではG~S、Xの9つに分かれていて、それに伴いモンスターのランクは刷新されている(Xへの変更理由はおそらくナチス親衛隊、SchutzStaffelの略称がSSで連想してしまうからと思われる)。
【スカウト】システム自体は続投だが、一部仕様が変更されている。

  • 攻撃力と賢さの高い方が【スカウトアタック】に影響する
  • ストーリーでクリアしたエリアのモンスターをスカウトする方が成功率が上がる
  • スカウトアタックで0%になる場合、肉を与えようとしても跳ね除けられて与えられない
  • スカウトアタックが必中になり、身かわしや【幻惑】によるミスが起こらなくなった

 
フィールドは初めて春、夏、秋、冬の四季が登場。
出現モンスターや行ける場所が同じフィールドでも変化する。四季は時間経過か特定のアイテムを使うことで変えることができる。
 
戦闘面では、味方がピンチの時にモンスターが【バースト】と呼ばれる状態になることがあり、与えるダメージや行動回数が増加する。
また、ジョーカー2プロ以降の作品に見られた特技の消費MPのインフレに歯止めが掛かっており、過去作よりも消費MPが少なくなっている(特に回復特技が顕著)。その一方で回復呪文の回復量も大幅に低下している。
 
【モンスターのタマゴ】システムが復活し、レア度が低い順に白、銀、金、虹の4種類がフィールドで発見することができ、タマゴからしか手に入らないモンスターやスキルも存在する。
 
DQ10オンライン、PS4版DQ11のモンスターのモデルを使っているためか、本作では眠り状態になった時に専用のモーションが充てられる。これはイルルカやジョーカー3のモデルを流用したモンスターにも新規で作られている。
また、モンスター名は基本的に初出の作品での名前を使っている。過去作では漢字表記だった魔王の使いや肩書がある大魔王ゾーマといったモンスターはいずれも名前を変えている。例外はくさった死体ひかりの番人いっかく竜くらい。
 
その他の変更点

  • 【テンション】システム、【連携】【相殺】の削除
  • 【ベタン系】【マジックバリア】【霧】、予測系など、一部特技の削除
  • 【○○ブレイク】の強化(スーパーライト同様、「無効」以上の耐性も下げられるようになった)
  • 同一ターンに2体以上のモンスターが【みがわり】出来るようになった
  • モンスターを蘇生させた際、そのモンスターに行動順が回っていなければ蘇生したターンから行動できるようになった
  • 敵シンボルに背後から接触された場合以外でも【不意打ち】が発生するようになった
  • ライブラリ関連の変更点
    • モンスターのモーションを観賞可能になった
    • モンスターのステータスが☆の数で表記されるようになり、上限値を確認不可能になった
    • モンスター以外(特技、特性、スキル、アイテム)の図鑑の削除
    • 倒した【ボス級モンスター】の情報が記録されるキャラクターライブラリの追加
  • 【モンスターシンボルの特殊行動】の大幅削減
  • モンスターと別れた際に種が手に入るようになった
  • モンスターをお気に入り登録出来るようになった

問題点

ストーリーに比重を置いたためか、過去作の良かった点やモンスターズとしてのゲーム性などが一部犠牲になってしまっており、過去作を遊んできたユーザーから不満の声が多く上がっている。「モンスターズシリーズ最低の駄作」「クソゲー」といった厳しい評価を下すファンも少なくない。

  • 配合システムをはじめとしたシステム面が前作のジョーカー3に比べてかなり簡略化されている(詳細は「システム」の項を参照)。
    • 簡略化の理由については前述の公式動画で新規ユーザーへの配慮であると語られているが、【メタルエリア】や配合時に引き継がなかったスキルの保持、冬眠、お気に入り編成、牧場フリーバトルといった便利機能まで削除されており、かえって新規ユーザーに厳しくなった面がある。
      四体配合や【タマゴ】限定モンスターといった面倒な要素はしっかり続投している点も含め、新規ユーザーに配慮されているとは言い難い。
    • また、プラス値や【経験値分配システム】、ローカル通信といったGB時代の作品から存在したシステムの一部や、【勝ち抜きバトル】【スカウトQ】といった寄り道要素など、新規ユーザーへの配慮とは関係なさそうな要素までもが廃止されている。
    • その他にも、スカウトの際に肉をあげたターンにも怒り状態になったり、【トラップモンスター】とエンカウントした際に周囲のモンスターがお供でついて来たり、【称号】が無くなったり、【ステルス】だけでなく【ラナリオン】まで廃止されてしまったりと、一昔前の作品の仕様に戻ってしまっている部分が目立つ。スカウトアタックの成功率も異様に悪く、90%台でもよく外れたりするし、2~30%台だと10回ぐらいやって1回も当たらないということもザラ。
      • また、敵シンボルに接触した際の向きが先制・不意打ち判定に全く関係しなくなったり、Yボタンで【いれかえ】コマンドを開けなくなったり、敵が【痛恨の一撃】を出してきた際にも「かいしんの いちげき!」と表示されたりといった単純な作り込みの粗さも見られる。
  • 登場モンスター数が523種とテリワン3Dやイルルカよりも少ないうえ、DQ4、DQ10オンライン、DQ11、ジョーカー3に登場していたモンスターが大半を占めている。
    • ジョーカー3程ではないが、リストラ・色違いの多さも目立ち、色違いの選出基準に違和感のあるモンスターも散見される。
    • DQ4出典が多めなことに関しては本作の世界観を表現するうえで仕方ないともいえるが、DQ4初出で過去のモンスターズシリーズに出ていたモンスターを全て網羅している訳でもない。
    • 一部の【ボス級モンスター】を配合で作れない。
    • 過去作で問題視された【配信限定モンスター】は、【マクドナルド】コラボの3種のみに減らされてコンプ率にも影響しなくなったものの、全て揃えようとすると最低でも5,400円は掛かる上、一般のWi-Fiでの配信が解禁されたのも配信終了から1年以上経過した2025年3月と過去作の同様のモンスターと比較して非常に遅かった。
  • 新システムも、戦闘の運ゲー化を招くバースト、探索やスカウトを制限される四季、未クリアのエリアではスカウト率が上がりにくくなる仕様等、評価が芳しくないものが多い。
    • イルルカの【新生配合】やジョーカー3の【超生配合】にあたる強化配合が存在しない等、目新しさを感じる要素が少ない。
      • この影響で特性の入れ替えも一切不可能になった為、自由にパーティを組みにくく、対戦でも同じモンスター、同じパーティのぶつかり合いという一昔前の状況に逆戻りしている。使用率の低いモンスターにボーナス加点が付くシステムも廃止されてしまっている。
      • 高ランクモンスターでも特性と能力がいまいち噛み合っていないモンスターも多く、作成難度に全く見合わない高ランクモンスターが非常に多い。このため、低ランクモンスターが高ランクモンスターを食いつぶすということも多い。
    • システムだけでなく特技や特性の削除も目立つが、削除・続投の基準が不可解(属性斬撃が全属性分存在しない、【フバーハ】はあるのに【マジックバリア】は存在しない、【亡者の執念】【ラッキー】などは削除された一方でジョーカー3でナーフされた過去のある【根に持つタイプ】は凶悪なまま続投され、結局本作でもナーフされている等)。
  • 過去作よりも【AI】の思考が悪くなっている。
  • 【ちいさなメダル】が大半のナンバリング作品同様マップ上の宝箱などからしか手に入らず、見つけられないプレイヤーへの救済措置が皆無(なお、景品を全て交換するには全72枚中70枚を取得する必要がある)。
  • Switch末期のソフトとしてはグラフィックが粗く、色味や質感・陰影もデフォルメ調に寄りすぎており好みが分かれる。
    • 木の葉や地面に生えている草がベタ塗りに近い塗り方をされており、リアリティの低さを感じる一因となっている。
    • 過去作では一部モンスターのグラフィックが色違いのモンスターと差別化されていたのだが、本作ではそれらが単なる色違いに戻されている(【キラーマジンガ】の持っている武器が【キラーマシン2】と同じものになっている、【しにがみのきし】【あくまのきし】の色違いになっているなど)。原作と同じデザインに回帰していると捉えるか、手抜きと捉えるかで賛否が分かれている。
    • 特技のエフェクトは概ね過去作よりも美麗になったが、全体対象の属性斬撃のエフェクトは同じものを色を変えて使い回している上に演出が妙にショボい。
  • 初期バージョンではエラー落ちが発生しやすかった。