【主人公】

Last-modified: 2024-04-15 (月) 13:22:41

概要

物語の中心となる人物のこと。ビデオゲームにおいては、プレイヤーが操作するキャラクターのことを指す。
JRPGでは複数いる【プレイヤーキャラクター】のうちの代表キャラを指すが、それが曖昧な作品では最初から最後まで、あるいはストーリーの大部分でプレイヤーが操作していくキャラを言う場合が多い。
DQシリーズではDQ4前半の各章など一時的に代表キャラ以外(仲間キャラ)を主人公扱いで操作する場面もあるが、それについては最後に述べることとし、本頁ではまず作品の代表キャラという意味での主人公について解説する。

ドラゴンクエストの主人公

一般的にビデオゲームの主人公はプレイヤーの分身ともいえる存在であるが、ドラゴンクエストシリーズでは特にこのコンセプトが重視されている。
外伝の一部を除き、名前はゲーム側で決められることはなく、ゲームを始めるときにプレイヤー自身の手で決める。命名規則などについては【名前】を参照。また広報のスクリーンショットなどで使用される名前はこちらを参照。
 
ビジュアルは、作品ごとに公式イラストが作成されている。【性別】は基本的に「男」であるが、性別を選択できる作品もある。
DQ9やDQ10では男女の標準の公式イラストが存在する一方、【キャラクターメイキング】により性別とともに容姿を自由に選択できる。
 
主人公はナンバリングであれモンスターズであれ基本的に無口であり、ほとんど【はい/いいえ】でしか意志疎通できない。そのせいで一部のプレイヤーにはネタにされて弄られることも。
しかしそれは開発者の意図上のことで、主人公への感情移入を促すためである。
【堀井雄二】は以下のように語っている。(『ファミコン通信』1989年6号より要約)

  • プレイヤーがゲームの中に自然に入っていける環境作り、能動的に進めていると実感できる環境設定が一番大事なところ。ゲーム中の主人公が勝手に台詞を言うようにするとすごくストーリー作りが楽だが、あえてやらない。
  • 主人公が勝手にしゃべるとプレイヤーが疎外され、今まで自分だ自分だと思ってきたキャラがまったく別の人間のように思えてしまう。勝手にしゃべったりストーリーの分岐点で勝手に判断したりするとけっこう違和感がある。
  • ほかの脇役はいくらしゃべってもかまわないが、主人公の台詞だけはプレイヤーの頭の中だけにあるべきだと思う。

ただし、たまにベッドから落ちたり【ちいさなメダル】が当たったりすると口を開くほか、DQ6とDQ7、DQ9では【ハッスルダンス】を使用すると「そ~れ! ハッスル ハッスル!」などとつい口走ってしまう。
長く、意味を持った台詞としては、DQ1の【エンディング】での【いいえ。 わたしの おさめる くにが あるなら それは わたしじしんで さがしたいのです】がある。
その他、主人公が喋る場面についてはこちらを参照。
 
なお、上記はあくまで本編内においての話であり、漫画作品や小説に登場するときはもちろんしゃべる。
たいてい一人称は「僕」または「ボク」であり、お人よしで優しい性格であることが多い。むろん例外もある。
 
2010年代以降はヒーローズシリーズにおいて主人公の台詞が設定され、さらに【キャラクターボイス】も付くという上記の法則にとらわれない例となった。これは「ヒーローズはスピンオフ作品なのでアリ」(『週刊ファミ通』2014年12月25日号)ということである。
ナンバリングでは主人公が台詞を喋ることは現在でも無いが、欧米版DQ11およびDQ11Sからは掛け声としてナンバリング主人公にもボイスが導入されるようになった。

ナンバリングタイトルの主人公

DQ4までは一貫して作品の主人公は【勇者】であり、この当時はDQの主人公を指し示す言葉として一般的に「主人公」ではなく「勇者」という単語が使われていた。
しかし、DQ5で勇者ではない主人公が初登場。同作発売当初はそれまでの慣例からこの主人公も勇者と言われることがあったが、ストーリー上の勇者や職業の勇者と区別する必要も出てきたことから次第に「主人公」という呼び方が定着した。以後、ストーリー上の勇者を務める主人公は久しく登場せず、DQ11になってようやく再登場を果たした。
ただし外伝(バトルロードシリーズ以降)やイベントなどでナンバリング主人公が登場する場合は、肩書きにかかわらず主人公たちの総称として「勇者」が用いられることもあるほか、各主人公に対する統一された呼び名が設定されており、DQ6やDQ8の主人公にも「勇者」が冠されている。
 
DQ5以降では各主人公(DQ9は主人公含む【天使】全般)に自分自身も知らない隠された秘密があり、ゲームを進めていくことでそれが判明していくという展開が定番化した。DQ11だけは、主人公自身は自分の素性を知らないものの、プレイヤーは最初から知っているという珍しいパターンとなっている。
各作品の主人公はその多くが故郷を滅ぼされたり親が死んだりと辛い体験をしているが、各種神話の英雄などにもそういった悲劇は多いのでそうした影響もあるのだろう。
 
冒険の中心となる存在であるため、DQ3のクリア後を除いて【ルイーダの酒場】などで【パーティ】から外すことはできない。
DQ3~DQ8では【隊列】のどこにでも配置でき、スタンバイシステムのある作品では3DS版DQ8を除いて主人公をスタンバイに回すこともでき、主人公不在で町やダンジョンに潜入することも可能。ただしDQ5では町に入ると主人公が強制的に先頭に出てくる(死んでいても強制蘇生される)ほか、同作だけでなくDQ4やDQ6でも主人公がいないとイベントを進められない場面がある。
DQ9以降では常に主人公が先頭に立つようになり、DQ11、DQ10オフラインではスタンバイ中であっても移動画面では主人公を操作する。
 
【AI】を搭載した作品でもDQ9以前とDQ10オンラインでは、主人公だけは【作戦】を与えることはできずマニュアルで行動を決める。しかしスマホ版DQ8で初めてAIで動かせるようになり、以降はDQ7以前のリメイク作品を除いて主人公も作戦の対象となっている。
 
主人公の基本性能は仲間キャラよりも高めで割と恵まれていることが多く、これによりプレイヤーは優越感を感じることができる。
物理攻撃は【戦士】系キャラと同等あるいはそれ以上の能力を持ち、DQ2を除いて【呪文】も攻撃から補助・回復まで幅広く使用できる。
主人公にしか装備できない専用の最強装備一式が存在するのも一部作品を除いて定番である。
 
以下、各主人公の設定を大まかに記す(便宜上、DQ10オフラインの「スタイル」も性別として扱う)。

主人公外伝での呼び名設定性別
選択
【主人公(DQ1)】ロトの血を引く者勇者ロトの血を引く若者
【主人公(DQ2)】ローレシアの王子【ローレシア】の王子
DQ1の主人公の子孫
【主人公(DQ3)】【伝説の勇者】勇者【オルテガ】の子
後に勇者ロト
【主人公(DQ4)】勇者ソロ
勇者ソフィア
【山奥の村】で勇者として育てられた若者
【天空人】の血を引く勇者
【主人公(DQ5)】【伝説の魔物使い】
幼年期:【パパスの息子】
旅人【パパス】の息子
【グランバニア】王子→後に王
【主人公(DQ6)】勇者レック【ライフコッド】村の青年
【レイドック】王子
【主人公(DQ7)】少年アルス村一番の漁師【ボルカノ】の息子
伝説の海賊【シャークアイ】の妻【アニエス】が授かった子
【主人公(DQ8)】勇者エイト【トロデーン城】の近衛兵士
【竜神族】と人間(【サザンビーク】王子)のハーフ
【主人公(DQ9)】守り人ナイン【ウォルロ村】【守護天使】
【主人公(DQ10)】冒険者エックス時渡りの術を使う【エテーネの村】の若者
勇者盟友
古の王国王弟とそのの子

【主人公(DQ11)】勇者イレブン古の勇者の生まれ変わり
ユグノアの王子
後の【ロトの勇者】

「作品の主人公」以外が主人公となるケース

オムニバス形式のDQ4では、従来どおりに名前を付けられる主人公は第五章で登場する勇者(【冒険の書】もその名前で作られる)であるが、第一章~第四章は各章ごとに別の主人公が設定されている。
また、冒険の書を消す際には、冒険の書の名前(=勇者の名前)に関係なく、プレー中の章における主人公の名前とレベルが表示されるという仕様になっている。
【取扱説明書】においても、全員が「各章の主人公たち」という表現で紹介されている。
たとえば第一章冒頭のナレーションでは

ライアン つまり あなたも その おうきゅうせんしの ひとりでした。

…となっており、肝心の勇者をさしおいて、【ライアン】こそがプレイヤーの分身=主人公であることが明確に表現されている。まるで本物の勇者を探す次作の主人公を思わせるところである。
そして、第二章の【アリーナ】のお供である【クリフト】【ブライ】、および第四章のプロローグの【マーニャ】【ミネア】の会話シーンを除けば「主人公は喋らない」という慣例も踏襲している。
ただし、リメイク版では【仲間会話】でアリーナもよくしゃべるようになり、第四章もシナリオ内で姉妹が普通にしゃべる。
 
DQ7では【メルビン】を主人公扱いで操作する場面が一時的に登場するが、この期間のメルビンにも台詞は無い。
 
DQ11Sでは本編途中に挿入された4つのサブシナリオで【シルビア】【マルティナ】【カミュ】【ロウ】がそれぞれ事実上の主人公を務める。ただし、彼らは主役を務めるシナリオ中でもよくしゃべる。

外伝作品の主人公

外伝作品では、不思議のダンジョンやモンスターズ初期のようにナンバリングタイトルの仲間キャラのエンディング後や少年時代が主人公に選ばれているものと、全くのオリジナルキャラが用意されている作品がある。後者の場合は性別を選べることが多い。
イルルカ、ヒーローズシリーズにおいては選ばなかった性別の主人公はNPCまたは仲間キャラとして扱われる。
 
シリーズの順番は【ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書】に従い、同書出版以降の新シリーズは登場順とする。
特記のない主人公は任意に名前を付けることができる。ただし不思議のダンジョンの※印の作品はセーブデータに名前を付けられるものの主人公の名前は固定。
「性別」が他の表現に言い換えられている作品でも便宜上、ここでは性別として扱う。

作品主人公性別
選択
トルネコの大冒険【トルネコ】(名前変更不可)
トルネコ2トルネコ(※)
トルネコ3トルネコ、【ポポロ】(※)
少年ヤンガス【ヤンガス】(※)
DQM1【テリー】
テリワン3D/SP
DQM2男:【ルカ】、女:【イル】
イルルカ
キャラバンハート【キーファ】
ジョーカー1【主人公(ジョーカー1)】
ジョーカー2【主人公(ジョーカー2)】
ジョーカー3【主人公(ジョーカー3)】
DQM3【ピサロ】
剣神【主人公(DQ1)】
ソード【主人公(ソード)】
スラもりシリーズ【主人公(スラもりシリーズ)】
バトルロードビクトリー【主人公(バトルロードビクトリー)】
ヒーローズ1男:【アクト】、女:【メーア】
ヒーローズ2男:【ラゼル】、女:【テレシア】
ビルダーズ1【主人公(ビルダーズ1)】
ビルダーズ2【主人公(ビルダーズ2)】
バトルスキャナー
スキャンバトラーズ
【主人公(バトルスキャナー)】
トレジャーズ【カミュ】【マヤ】
(ダブル主人公、名前変更不可)
クロスブレイド【マイ勇者】
魂の絆【絆の勇者】

☆:DQM2のGB版は、プレイするソフトのバージョン(ルカ編・イル編)を選ぶことによってのみ性別選択(キャラ選択)できる。PS版は、ゲーム内で選択可能。