概要
Ver.5.1から登場する【人間】型【魔族】の男性で、外見は【メルー公】などに似た太っちょの中年魔族。CVは高木渉。
なおVer.5.0時点で、ゼクレス魔導国にある日記などで存在は示唆されていた。
【ゼクレス魔導国】の王太后・【エルガドーラ】の弟で、【アスバル】にとっては母方の叔父。
前述した日記にはエルガドーラは王家の遠縁にあたるとも記述されているが【リンベリィ】によれば、オジャロスは王家の血を引いておらず王位継承権も無いという。
しかし【想いを針にこめて】に登場する子供時代のオジャロスである「ベーチ」曰く、遠縁ながら王家の血を引くらしく認識に齟齬がある。
大公の地位に就いており、【ベルヴァインの森西】の南部に自らの領地を持つなど高い権力を有する。
にもかかわらず、エルガドーラを筆頭に選民思想の強いゼクレス貴族においては珍しく、他国からの来訪者かつ初対面の【主人公】【イルーシャ】に対しても紳士的に接している。
彼の護衛は高圧的な態度を崩さないため尚更際立っている。
しかし、その一方でどこか冷たい感じがあると評しているゼクレス国民もいる。
領地内にある小屋には彼の肖像画が入った額縁と共に、多くの釣竿やルアーが飾られている。【釣り】が趣味なのだろうか。
【魔界大戦】(Ver.5.1ストーリー)
自身の領地にある魔瘴塚の調査を行っている最中、【魔仙卿】の依頼を遂行中の主人公一行と出会う。
イルーシャが魔瘴塚の魔瘴を一瞬にして払うのを見るや、彼女を「魔瘴の巫女」と讃え、感謝を伝える。
彼が魔瘴の巫女と呼んだことでそれを映像を介して見ていた【ヌブロ長老】にも伝わり、魔瘴の巫女の二つ名は魔界で広がっていくことになる。
その後、姉エルガドーラの指示で【砂の都ファラザード】に向かい、共に【バルディスタ要塞】を叩くことを目的に手を結ばせている。
しかし、これは魔界を我が物にせんとするエルガドーラの陰謀であり、ファラザードはまんまと彼およびその背後のエルガドーラにハメられてしまう。
その後はエルガドーラの傍らにつくようになるが、彼女が問答無用でアスバルを洗脳し【太古の魔人】を召喚。
両軍を光線で薙ぎ払い、ファラザードの副官【ナジーン】をも戦死させるがこれ以上はアスバルの身が持たなくなるから止めるようエルガドーラを制止する。
エルガドーラは与えた打撃からこの戦の勝利を確信するがバルディスタ軍及びユシュカと主人公にゼクレス城まで攻め込まれ、再び太古の魔人を召喚。
【ヴァレリア】を吹き飛ばし、バルディスタ軍は撤退に追い込むも【ユシュカ】に魔剣アストロンで額の宝石を石化させられたことから光線を封じられ、エルガドーラは全ての魔力をなげうって息絶えてしまう。
戦闘終了後アスバルの洗脳が解け、【ユシュカ】がトドメを刺そうとすると間に入り、全ては姉エルガドーラが仕組んだことであると弁明、その姉はもう死んだので、彼を許してやってほしいと必死に説得。ユシュカに剣を向けられるものの、剣はすぐに収められる。
初対面の相手に紳士的に振る舞い、アスバルの助命嘆願をする優しい一面と、ファラザードをまんまと騙し切り「古ダヌキ」と罵られた狡猾な一面を併せ持つ人物。
どちらが彼の本性なのかは、後のストーリーで語られていくことになる。
【王の戴冠】(Ver.5.2ストーリー)
紳士的な優しい面は表向きのもので、今回の話でその裏に秘めた深い闇が明らかとなる。
先の大戦で姉でありゼクレスの実質的な権力者でもあったエルガドーラが亡くなったと公表、母の死に塞ぎ込み部屋に引きこもっているとされたアスバルとは対照的に積極的にゼクレスの政務をこなし、国民からの信頼を得ていた。
一方で「エルガドーラの葬儀は国民が介入することなく早々に済まされた」「その遺体はヴァレリアの手によって激しく損傷している*1」など、一部の国民からやや不可解な話を聞くことができる。
なお、この時点で部屋にひきこもっていた「アスバル」はオジャロスが用意した声だけがそっくりの偽者で容姿は全く似ていなかったために部屋に鍵をかけてその鍵を自室に置いて管理することで外部との接触を避けさせ、替え玉だと気付かせないようにしていた。
一方、本物に対しては先の大戦の傷を癒すという名目でアストルティアのヴェリナードへ赴かせている。アスバルがかねてから政務に興味を示さずアストルティアにご執心であることは知っていたと思われ、アストルティアに行かせたらもう戻ってこないだろうと踏み、自分が実権を握るために体よく追い出したとも言える。
しかし、イルーシャがエルガドーラとアスバルしか知らないはずの詩の続きを歌ったことで疑問を持ち、魔界へ戻ったアスバルに問い詰められると真実をうれしそうに教えたようだ。
曰く、瀕死の状態だった姉を助けたこと、魔力が尽きて抜けガラ同然になった身体を「みじめで 下等な 魔物の姿」に新しい生命として再構成したこと、アスバルのような強い魔力はない自身では変わり果てた姉を生かしておくだけで精一杯なこと、アスバルが部屋に閉じこもっていなければ手伝うことが可能だったこと。更には自分が醜悪な姿に作り替えたことを棚に上げて「今の彼女は知能がないのだから今の自分を認識できない分却って幸運だ」と言い放つばかりか、彼女が息子にしてきたことを盾に「君にとってはこれでよかったのだ」とまでのたまう。
しかしアスバルはオジャロスがひとつだけ嘘をついていることを看破。
かつて、エルガドーラがアスバルの支配に用いていた魔法の首輪に使われたものと同じ宝石が水槽の中の魔物にも使われていることから知能が残っていることを見抜く。
表向きはオジャロスに王位を譲る事を宣言することで油断を誘い、裏では主人公に【リドのタリスマン】の入手を密かに依頼、王位継承の場において母の洗脳を解くとともに国民の前でオジャロスの罪を暴くことをもくろむ。
しかし、オジャロスもまた油断することなくアスバルの行動を警戒しており、あらかじめ国民や兵士に自らの操る魔瘴を宿しておくことで襲わせる行動に出る。*2
イルーシャが魔瘴を取り込むことで国民や兵士は呪縛から解放されたが、この行動も読んでいたオジャロスは奥の手としてさらに大量の魔瘴を召喚、自らに取り込ませることで【魔瘴魂オジャロス】へと変貌、主人公とアスバルに襲い掛かる。
オジャロスの部屋には【魔瘴塚】や【魔瘴魂】について記された本があるが、それも魔瘴を自らの力とするために調べていたのだろうか。
倒されてもなお強気の姿勢は崩さず、アスバルに対して母親が以前の姿に戻ることは無いという現実を突きつけ、さらに再構築した際にその肉体を爆弾へと作り変えていたことも告げる。
「アスバルの魔力をもってしても解呪に何日かかるかわからない」「殺せばすぐ解呪できる」と伝えた上で、王として母親を殺すか息子として母及び国と運命を共にするかの二択を迫る。
それでもアスバルは解呪を諦めようとしなかったが、迷いつつ母の冷徹な一言を受けて自ら手にかけることを決心したアスバルに召喚されたレイジバルスにエルガドーラと共に掴みあげられ、そのまま引き込まれ爆発に巻き込まれてエルガドーラと共に死亡した。
なお、オジャロスの過去についてはその後クエスト「想いを針にこめて」や魔瘴魂オジャロスのまめちしきなどで明らかになる。
はた目からは「とても仲の良い姉弟」に見えていたのだが、これは表向きのものであり、その裏でエルガドーラは幼少時から容姿端麗な自分自身とは似ても似つかない彼のことをゼクレス建国以前に使われていた古代魔界語でブタを意味する「ベーチ」と呼んで蔑み、精神的虐待を繰り返していた。
両親もまたエルガドーラに比べ劣る彼に目を向けることもなく、努力も評価せずとほぼ育児放棄状態であったと思われる。
一方のオジャロスは姉に従順な態度を取りながらも、裏で彼女に似た人形にブスブスと針を刺し続けるなどして鬱屈した感情を募らせていき、姉と【イーヴ】との婚姻の姿を見た際に復讐を誓い、今回それが爆発した形となったようだ。
上記クエストにて登場した「ベーチ」はこの人形に宿っていた残留思念ともとれるが、死してなお具現化しさらに第三者の部屋への侵入を拒むほど力も強く正体ははっきりしない。
姉や親、引いては自分を傷付ける全てのものに対する憎悪はそれだけ強かったということであろう。
またゼクレス城内では大臣や使用人がある日忽然と消えるように辞めていく事態が多発していたのは彼に意見しようとする者や逆らう者を牢に入れて処刑していたからという事も判明する。
上記をまとめると、
- 落ち込んだアスバルに気晴らしのアストルティア旅行を勧める。
…という穏便な名目で(当時のアスバルなら一度逃避の機会を与えればそのまま戻らなくなるだろうと読んだ上で)彼を事実上の追放処分とする。 - アスバルが不在になってからしばらくは、替え玉のボッガンを立てて「一応アスバルはいるが、腑抜けた彼を自身が支えている」状態を装うことで時間を稼ぐ。
その間にエルガドーラ・アスバル支持層などの敵対勢力を粛正し、強引に彼をいない者扱いにして自身が即位しても誰も逆らえないような独裁体制を作り上げる。 - 実は生きていたエルガドーラを改造し、万一自身が追い詰められた際の人質兼自爆装置に据える。
単に殺したり知性と美貌を奪ったりするだけでは飽き足らず、弟を軽蔑していた彼女を他ならぬ弟本人である自分の野望を叶えるための道具に貶め、曲りなりにも愛していた自国を滅ぼし得る爆弾として利用することによって、徹底的にその尊厳を破壊する。
…ということが彼の目論見であったと考えられる。
姉からは精神的虐待を、両親からはネグレクトを受け続けるという幼少期を過ごしたためにどんどん歪んでいってしまったことは想像に難くない。
それでもエルガドーラから虐げられているという共通点を持つアスバルに対しては演技抜きで親身に接していた可能性も考えられる。
実権を握る上で邪魔になるはずの彼を始末しないどころか、Ver.5.1終盤では見殺しにできた場面で身を挺してまで助命するよう頼んだり、アストルティアへの放逐に留めていることからもそれがうかがえる。
アスバルもまたオジャロスに対して「恩義がある」として、罪を公にする前にリンベリィの協力の元で国民や兵士を幻惑状態に置き、周囲に詳しい話を聞かれないような措置をとった上で罪を認めるよう懇願している。
だが、この時点では罪を認めるどころかアスバルを煽る始末で、結局はアスバルに引導を渡される形となった。
オジャロスもアスバル同様にエルガドーラの被害者であり、彼女への復讐心を抱くのも当然の反応ではあるのだが、それに留まらず歯向かう相手を容赦なく処刑してきたことには擁護の余地はない。
とはいえ表向きの政務は真面目にこなしていたようで、能力はエルガドーラに及ばないと評する者もいるが、王位に就くということ自体は血筋の点を除けば国民にはおおむね受け入れられていたようである。
全てが明らかになった後も、エルガドーラ亡き後、アスバルが腑抜けていた間のゼクレスを支えた点は評価している国民もいる。
ちなみにベーチと呼ばれていた幼少期の彼はドワーフ男風魔族の姿である。前述のボッガンもよく似た姿であり、ほかにもドワーフ男風魔族はたくさんいるので別にそこまで醜い姿だったというわけでもないが、そこは姉の性格的な部分も大きかっただろう。
実際、ゼクレス城2階にいるメイドのフェルノからは「ポッチャリしていてかわいかった」と言われている。
Ver.5.5後期
クエスト【モンスターバンド再始動!】で、【デルクロア】に追っ手を差し向けていたのが彼であったことが判明した。
また、【亡き王国に捧げる詩】では、エルガドーラの死を公表した後、エルガドーラの部屋の鍵を誰にも無断でこっそりと変えて誰も入れなくしてしまった事と、アストルティアへ渡ったイーヴから送られてくる再会を希望する手紙をエルガドーラの手に渡らないようにしていた事も判明。
そして、それらは全て彼の私有地にある釣り小屋の床板の下にあった木箱に全て隠していた。しかもその木箱を開けようとすると強力な呪いがかかるようにまでする徹底ぶり。
イーヴの追放自体に彼が関わっていた可能性は低いものの、手紙がエルガドーラに渡った場合に万が一にも彼女が心変わりをしてイーヴとヨリを戻し、イーヴが王として国に戻ってくることを危惧したためと思われる。