DQ2
【サマルトリアの王子】がDQ2の主人公である【ローレシアの王子】と会ったときに発するセリフ。全文は以下の通り:
*「ボクは サマルトリアの
◯◯おうじです。*「もしや キミは ローレシアの
△△おうじではっ!?
いやー さがしましたよ。*「さあ ちからを あわせ
ともに たたかいましょう!
「◯◯」や「△△」には彼らの名前が入る。SFC版以降も文字が漢字になっている以外は同じセリフである。
ゲーム中のヒントにしたがって行動すると、ここにいたるまではすれ違いの連続である。
- スタート地点である【ローレシア】で、【ローレシア王】から
と言われるので、サマルを探すべくサマルトリアに向かう。サマルトリア ムーンブルクには おなじロトのちをわけた なかまが いるはず。
そのものたちと ちからをあわせ じゃあくなるものを ほろぼして まいれ! - 【サマルトリア】では、【サマルトリア王】から
との情報を得るわしの むすこ ◯◯も すでに たびだち いまごろは ゆううしゃのいずみ のはずじゃ
- 【勇者の泉】では、そこにいる老人から
という情報が得られる。ひとあしちがいであった。おうじは いまごろ ローレシアの おしろに むかっているはず。
- 再びローレシアに戻ると、ローレシア王から
という情報を得る。さきほど サマルトリアのおうじが △△を たずねてきたぞ。
しかし そなたが サマルトリアに いったとしって また もどって いったようじゃ。 - 再びサマルトリアに向かうと、
という情報が聞ける。まだ ◯◯おうじと あえぬのか? ここには もどってないぞよ。
- ここでサマルの居場所のヒントがなくなるが、当て所もなく【リリザ】に向かってみると、やっと宿屋で彼を発見。そこで彼からでてくるのがこのセリフである。
実はFC版では勇者の泉の老人と話す段階でリリザに出現するフラグが立つので1→2→3→6だけでよいのだが(SFC以降は4も必要)。
プレイヤーの中には散々すれ違いで人をイライラさせておきながら!と感じ、「それはこっちのセリフだ!!」と言いたくなったプレイヤーもいたのだろう。
サマルと会えなかった理由として事前にサマルの妹から
おにいちゃんね わりと
のんきものなの。*「けっこう よりみちしたり
するんじゃないかなあ
との情報も得ているので、このようなプレイヤーがいたのも納得である。(上記の5番でサマルトリアに戻らずにリリザに寄り道したというヒントなのかもしれないが、2番の時点でこのセリフを聞けてしまうので、かえって混乱の原因になったプレイヤーも多かっただろう)。
二次創作の【4コママンガ劇場】でもこの出会いネタは多く、皮肉たっぷりに返すローレや出会いがしらに殴り飛ばす短気なローレもいた。
今でこそ当たり前だが、家庭用ゲーム機向けRPGの先駆けであった本作においてはこのイベントによって「プレイヤーが必ず村のアイコンに入って宿屋を訪れることになる」という重要なチュートリアルとなっている。
MPが0のローレであれば道中の回復を薬草や勇者の泉でのHP回復で賄えないこともないが、サマルはMPも回復させる必要があるため、彼が加入後はより一層、宿屋の重要性が増す。
二人が出会えるまでのサマルはどこに行っていたのであろうか。妹のセリフを勘案しつつゲーム中のヒントからサマルの行動を推測してみると、
サマルトリア→勇者の泉→ローレシア城→サマルトリアに帰らずリリザに寄り道
となる。勇者の泉に行った理由が不明だが、ローレシアと同様、サマルトリアにも戦いの前にこの泉で清める習慣があって最初に立ち寄ったのかも知れない。だとするとサマルはローレと違い無駄足を踏んだのはローレシア城に立ち寄った一回だけなので、プレイヤーと違ってイライラせずに呑気なこのセリフを述べたのも納得できる。
しかしサマルはどうやってローレを探していたのであろうか。序盤の一人旅はローレも魔物に袋叩きにされてあっけなく死ぬことが少なくない。さらにサマルの初期装備は【こんぼう】とローレより武器が弱く危険度が高い。さらにさらに、サマルのスタート地点はサマルトリア城~勇者の泉の洞窟であり、ローレのスタート地点よりもずっと敵が強い。FC版をプレイした人間ならば、彼が合流するまでどんなに過酷な旅をしてきたかが分かるだろう。
合流時のステータスを見てみると経験値0。つまり戦闘に一度も勝利していない。恐るべきことに彼の一人旅の方針は「Lv1のまま全逃げ」である。
FC版の逃走成功率が66%固定である仕様を突いた、その後の攻略にも役立つかなりの上級者プレイ。
ローレシアの王子も含めLv1で武器がこんぼうだけのDQ2キャラではサマルトリア城~勇者の泉の洞窟の魔物に勝つことはほぼ不可能なので、これしか選択肢がないと思われる。
所持金すら0であるところを見ると、ありったけの薬草や毒消し草を買い込んで逃げ続けたに違いない。(全滅を繰り返して所持金が減っていた可能性もある。もし薬草を減らした後に全滅してしまえば、薬草を買う金すら無くなって、文字通りの詰みである。)
そして道具も全て使い果たし、最後の最後に何とかリリザに辿り着き、ナケナシの所持金すらも全て使い果たし、宿屋で傷を癒やしていたのだろう。
そこをのんきものと罵るケースもあったであろうが、【やくそう】が15GもするDQ2ではローレも過酷な1人旅の途中で傷つき宿に泊まることくらいは何度も経験しているはずであり、サマルトリア城に向かう途中で彼が宿に泊まる事など当然のことなので、この点について彼を叩くのはあまりにもスジ違いなのである。
ちなみに【どうのつるぎ】は75Gで売れるので、60Gの棍棒に買い換えれば、差額でちょうど薬草が1個買える。もしかしたら最初はローレと同じく銅の剣を持って旅立ったのに、全滅を繰り返して所持金が尽きかけたために、棍棒にグレードダウンしてまで薬草を捻出したのかもしれない…などと考察することもできる。
サマルが気が短い性格だったら、プレイヤーが怒りを覚えるのと同様に、同じく怒りを覚えていたはずである。出会って早々に怒りをぶつけ合ったりしたら険悪なチームになるし、最悪いきなりケンカ別れになる可能性すらある。
そこを「いやー、さがしましたよ。」で済ませられるあたり彼は心が広く、逆にこのイベントにイライラしてしまったプレイヤーは、気が短く心が狭いと言えるのかもしれない。
とはいえ、あらかじめ伝令を送りどこか待ち合わせ場所を設定して知らせ合った上で合流する、手紙などを送りどちらかを城に招いて合流させてから旅立たせるなどすれば、このようなすれ違いは起きなかったのだが。
ローレシア国・サマルトリア国は共に勇者の泉の洞窟を共同利用するなど友好国同士かつ協力的だし、DQ8のようにはじめから2人で旅立っていれば最序盤の王子たちの負担や危険性も大幅に減っていただろう。
なぜその発想に至った者が誰もいなかったのか。
サマル再加入バグ
FC・MSX・MSX2版は「何らかの理由(主に暗転時)によってサマルトリア王子が『進入不能なマス』に入ってしまう」とこのイベントを再度見られる。
一例としてハーゴンの神殿の6F(本来は5Fからでも同じ飛距離のはずだが、神殿の内部処理の都合で1階層低く計算され距離が足りない)から「【かぜのマント】」を装備した状態で西(左)側に飛び降りると岩山にめり込んでしまう。
この時唯一平地の東側には進めるのだが、ここで振り返ってサマルに向かって話すと「ボクはサマルトリアの○○おうじです。(以下略)」とサマルが加入時のセリフを突然言い出し、その後加入時のSEが流れてサマルだけ後をついてくるようになる。
(なぜかムーンには話せず、こちらが動くと地形を無視してずれた動きを始める。もちろんコマンドを開けばちゃんと存在しているので安心してよい。)
なお、【フィールド】(ワールドマップ)上に誰かがいて話し掛けるという状況自体、シリーズを通して他に類を見ない。
【ランシールバグ】で仲間と会話できるバグとよく似た状況ではあるが、あちらはフィールド上ではない。
一見滑稽なだけで無意味に見えるが、サマル死亡時にこれを行うとサマルが「HP0かつ棺桶姿のまま」生き返る。この状態のまま戦わせたり、ホイミや薬草等でHPの回復も可能。
棺桶の姿も、何かしらの建物に入ったりルーラを唱える等で画面を切り替えれば元の姿に戻る。
ザオリクも覚えているのなら、ムーンがもし死んでいれば復活させることが可能なので、サマルもムーンもやられてキメラの翼も世界樹の葉もないという絶体絶命の状況での保険になるかもしれない。
(尤もアイテム所持数が厳しい仕様上、この時点で風のマントを持っている人はあまりいないと思うが…)
上述の地形めり込み以外に、宿屋で「起きた時にサマルがいる位置」に村人が重なっていてもこのサマル再加入現象が起き、いずれの場合もサマルとムーンの生死にかかわらず、めり込んだ彼らを置いて別マップに行ったり戦闘画面になると全員集合している。
同じ様な現象をペルポイの町とハーゴンの神殿の幻の中でも発生させられる。まずペルポイにおいては宿屋の女性宿泊客、ハーゴンの神殿においては誰でも良い(効率で言うなら宿屋近くにいる犬が良い)が、誰か城の住人を宿屋に泊まってチェックアウト時に丁度サマルが立っている位置に追い込み宿屋の主人に話しかけ宿泊をすると、チェックアウト時に女性宿泊客や住人がサマルと重なった状態になっている。
その状態で女性宿泊客や住人の方を向き話すと宿泊客や住人ではなく重なっているサマルと話す現象が発生し、「ボクはサマルトリアの~」の会話の後、ローレが向いてる方向の後ろにサマルが移動し、ムーンはもともと立っていた場所にいるまま。そのまま歩きだすとムーンが他の2人とは離れた位置を歩くことになり、ムーンだけが本来歩けないはずの壁なども御構いなしに歩き回る現象が発生する。
因みにハーゴンの神殿では住人の行動範囲が無制限ゆえに可能なバグではあるが、住人の行動範囲の制限が狭くて宿屋の中まで追い込めないローレシア城では不可能なバグとなっている。
他にも【ロンダルキアへの洞窟】の平地側の入口でも可能である。
当然ながら入口の岩山が閉じていなければならないので、【ロンダルキアのほこら】で聞いた【復活の呪文】で再開する必要がある。
ロンダルキア側から洞窟に入っても【リレミト】すれば平地側に脱出する仕様があるので、お手軽に岩山にめり込むことができる。
DQM+
漫画【ドラゴンクエストモンスターズ+】では、本編とは逆にサマルトリア王子(サトリ)がローレシア王子(ロラン)を探し出すというシチュエーションがあり、ようやく再会を果たした際にロランが「サトリが僕を探しにくるなんて信じられないな」と軽口をたたく一幕がある。
サトリは「どういう意味だ!?」と反応していたが、読者は苦笑を禁じえなかっただろう。
DQ5(リメイク版)
【フローラ】か【デボラ】を結婚相手に選んだ場合、青年期後半の【カボチ】村を夜に訪れると、【ルドマン】からの贈り物として【しんぴのよろい】が手に入る(青年時代前半に【キラーパンサー】を仲間にしておく必要がある)。
その使者のセリフがこちら。
*「いや~ さがしましたよ。
かれこれ10年ほどでしょうか……。」
神秘の鎧を持ってきた使者は主人公たちが【サラボナ】を旅立ってからその後を追ったが、道を迷いに迷って10年かけてようやく追い付いた、というか主人公側に見つけてもらえたらしい。
DQ11(3DS版)・DQ11S
冒険の書の世界のクエスト【さらに遥かなる旅路】の【迷いの森】にて主人公にこの発言。
主人公がユグノアの王子であると知るとヤケを起こしかけるが、主人公の【勇者のチカラ】でなんとかなった。
ビルダーズ2
PS4版の【トロフィー】のひとつに、このセリフにちなんだ「いやー さがしましたよ」がある。
グレードは銀。達成条件は【みちびきのたま】を12個起動すること。すなわちストーリー中で多数の地域を訪れていることを示す。
ライバルズエース
サマルトリアの王子のレベル1ヒーロースキル。
味方リーダーのテンションを2も上げる。
呑気な顔のサマルに対して、ローレシアの王子は後ろ姿なので顔は見えない。
このテンションは喜びかはたまた怒りなのかは定かではないが、自前のコストを合わせれば強力なテンションスキルや【必殺技】を一気に発動できるようになるほどの奮励であるようだ。
タクト
【トンヌラ】の才能開花特性として登場。
「3ターン目の行動開始時 物理と呪文の威力・回復力を2倍にする 効果1ターン」
ドラけし!
DQ2イベント「ロトの血を分けた仲間たち」のローレシア~サマルトリアのボス面をクリアすると発言。
余談
2016年の【ドラゴンクエストミュージアム】では、企画の一環としてロト編(DQ1・2・3)の名場面を描いた油絵が展示されたが、そのうちのひとつが「いやー さがしましたよ」と題されたサマルトリア王子の肖像画であった。
会場で使われた音声ガイドはきっちりと「探したのはこっちですよ!」とツッコミを入れている。
ちなみに同企画でDQ2からピックアップされた名場面は【ムーンブルク】の壊滅、【ロンダルキア】の風景、【シドー】出現と、これを含めた4点。
全体的に緊張感ある作品の中で異彩を放つ一枚である。
まぁそれだけ多くのプレイヤーの印象に残る場面(発言)ということだろう。
ビルダーズ2の発売日には【ドラゴンクエスト あそびえほん2 いや~ さがしましたよ!】が発売された。
また、小説版とCDシアターでは作者の【高屋敷英夫】によってなぜか「サマルはローレにライバル意識を抱いている」というオリジナル設定が追加されており、残念ながら出会いの際にのんびりと「さがしましたよ」と言ってくれるような彼とは別人としてのキャラ付けとなっている。
さらに状況としては「くつろいでいる」というよりも「とある事情からリリザの宿屋から出られない」と表現する方が正しく、前者は「ドアの前にはサマルを連れ戻そうとサマルトリアの兵士が待機しているから」、後者は「(文無しで旅立ってしまったため)宿賃が払えないから」といった理由である。