ダンケン級巡洋戦艦 ダンケン (巡洋戦艦計画案G3)
性能諸元
性能諸元の数値は、アップグレード・基本特性・艦長スキル・ブースター・迷彩などの補正がかかっていない素の状態の数値を入力してください。
部位ごとの装甲厚や散布界など、ゲーム内には載っていない情報は将来ゲーム内で見れるようになる可能性があるので暫定で0や0-1などとする
・基本性能
Tier | 8 | 種別 | ツリー艦 |
---|---|---|---|
艦種 | 戦艦 | 派生元 | Hawke |
国家 | イギリス | 派生先 | - |
生存性 | 継戦能力 | (A)66,900 (B)75,200 | |
装甲 | 全体 10-419mm ・艦首・船尾 25mm ・上部構造 19-305mm ・装甲甲板 32mm ・砲郭 184-419mm ・主砲 152-419mm ・重要区画 25-356mm | ||
対水雷防御 | ダメージ低減 | 23% | |
機動性 | 機関出力 | 160,000hp | |
最大速力 | 32.0ノット[kt] | ||
旋回半径 | 910m | ||
転舵所要時間 | (A)23.3秒 (B)16.6秒 |
隠蔽性 | 通常 | 主砲発砲時 | 火災発生時 | 煙幕内からの主砲発砲時 | |
---|---|---|---|---|---|
海面発見距離 | 15.4km | 17.0km | 17.4km | 15.3km | |
航空発見距離 | 12.3km | 20.7km | 15.3km | - |
射撃管制装置 | 艦体 | モジュール | 主砲射程 | 最大散布界 |
---|---|---|---|---|
A-B | mod.1 | 15.4km | 0m | |
mod.2 | 17.0km | 0m |
主砲 | 艦体 | 口径 | 基数×門数 | 最大ダメージ(火災) | 装填 | 180度旋回 |
---|---|---|---|---|---|---|
A-B | 419mm/45 Mk.I(前期) | 3基×3門 | HE弾 6,150(47%) AP弾 13,050 | 34.0秒 | 32.7秒 | |
419mm/45 Mk.I(後期) | 31.0秒 | 30.0秒 |
副砲 | 艦体 | 口径 | 基数×門数 | 最大ダメージ(火災) | 装填 | 射程 |
---|---|---|---|---|---|---|
A-B | 114mm/45 Mark II BD | 8基×2門 | HE弾 1,400(8%) | 5.0秒 | 5.5km | |
152mm/50 BL Mk.XXII | 6基×2門 | HE弾 2,150(9%) | 12.0秒 |
魚雷 | 艦体 | 口径 | 基数×門数(片舷) | 最大ダメージ(浸水) | 装填 | 射程 | 雷速 | 発見 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A-B | 622mm Mk I | 2基×1門(2?門) | 29,367(355%) | 55秒 | 10.0km | 67kt | 1.7km |
対空砲 | 艦体 | 口径 | 基数×門数 | 秒間平均ダメージ | 射程 |
---|---|---|---|---|---|
A | 20mm Oerlikon Mk IV | 10基×1門 | 36 | 2.0km | |
40mm Bofors Mk IV 40mm/39 Vickers QF Mk.VII | 10基×2門 4基×4門 | 227 52 | 3.5km 2.5km | ||
114mm/45 QF Mk.II BD | 8基×2門 | 71 | 5.0km | ||
B | 0.0mm | 基×門 | 0 | 0.0km | |
0.0mm | 基×門 | 0 | 0.0km |
・アップグレード
スロット0 | スロット1 | スロット2 | スロット3 | スロット4 |
○ | ○ | ○ | ○ |
1 | 主砲改良2 | +20%:主砲旋回速度 | |
照準システム改良1 | -7%:主砲弾の最大散布界 +20%:魚雷発射管旋回速度 +5%:副砲最大射程 -5%:副砲弾の最大散布界 | ||
副砲改良2 | +20%:副砲最大射程 -20%:副砲弾の最大散布界 | ||
対空砲改良2 | +20%:対空砲座の最大射程 | ||
2 | ダメージコントロールシステム改良2 | -15%:消火時間 -15%:浸水復旧時間 | |
操舵装置改良2 | -20%:転舵所要時間 | ||
推力改良2 | -50%:最大出力への到達時間 | ||
3 | 隠蔽システム改良1 | -10%:被発見距離:敵弾の散布界+5% | |
目標捕捉装置改良1 | +20%:最大視認距離 +20%:魚雷発見距離 +50%:敵艦強制発見距離 | ||
4 | 主砲改良3 | -12%:主砲装填時間 -13%:主砲旋回速度 | |
魚雷発射管改良3 | -15%:魚雷発射管装填時間 +50%:魚雷発射管の損傷(機能停止)の発生率 | ||
副砲改良3 | -20%:副砲装填時間 | ||
対空砲改良3 | +25%:平均対空ダメージ |
・開発ツリー
軍艦名 (必要経験値/購入クレジット) | モジュールスロット (必要経験値) |
当艦 | ━ | モジュールスロット1 (-) | ━ | モジュールスロット2 (-) | ━ | モジュールスロット3 (-) | ━ | 次の軍艦1 (-/-) | ━ | 次の軍艦2 (-/-) |
船体 | ||
---|---|---|
Duncan 船体B | 5,000,000 | |
主砲 | ||
419mm/45 Mk/I* | 625,000 | |
射撃管制装置(照準装置) | ||
照準装置 Mk.Ⅸ mod.2 | 625,000 |
・消耗品
搭載可能 消耗品
十字キー左 | |||
---|---|---|---|
応急工作班 | 無制限 | 消耗品の動作時間:15 秒 消耗品の準備時間:80 秒 | |
十字キー上 | |||
修理班 | 2 回 | 消耗品の動作時間:20 秒 消耗品の準備時間:80 秒 回復:2% HP/秒 | |
十字キー右 | |||
エンジンブースト | 3 回 | 最大速度:+8% 消耗品の動作時間:120 秒 消耗品の準備時間:120 秒 | |
十字キー下 | |||
対空防御放火 | 2 回 | 平均対空ダメージ:+200% 消耗品の動作時間:40 秒 消耗品の準備時間:150 秒 | |
強化型副砲照準器 | x 回 | 副砲の安定性:+100% 副砲の散布界:-50% 消耗品の動作時間:30秒 消耗品の準備時間:160秒 |
詳細は消耗品を参照
ゲーム内説明
1920年の巡洋戦艦の計画案を更に進めたのがG3計画案です。それまでの楽観的な設計案とは異なり、主砲は16.5インチ(419mm)砲に小型化し、全長が縮小されたほか、排水量も減少していました。1921年の初め、この計画案に変更が加えられ、速力と主砲性能を犠牲に、装甲が強化されました。1921年10月には、本計画案に基づく4隻が発注されましたが、ワシントン海軍軍縮会議が始まったために建造は延期され、その後会議での合意に基づいて中止されました。
設計年:1921
解説
- 概要
イギリスの第2ツリーTier8巡洋戦艦。現時点で第2ツリーの頂点にある艦であり紅茶面全開の奇怪な見た目に度肝を抜かれるだろう。
- 主砲
16インチ級9門。一般的な戦艦より締まったシュペー散布界だがσ1.6と集弾性は悪い。
砲塔配置以外のHawkeからの差異は微々たるもの。
巡洋艦や戦艦の上部構造物に過貫通しにくいAPと、発火率の高いHEを織り交ぜて使っていくことがキモとなる。
16.5インチ砲は強制貫通(=跳弾無視)可能な部位は16インチ砲とほとんど変わりがなく*1、実質16インチ砲である。Nagato・Colorado・Nelsonなどの旧式の16インチ砲よりは優位とはいえるものの、周囲には高初速16インチ砲を持つ戦艦が多く存在するのでそれらの中では特徴的でこそあれ良くも悪くもないという性能である。
なおHEは発火率こそ英国戦艦ツリーと同等だが最大ダメージはかなり劣る(他国の戦艦よりは高い)ため、HEだけ投げる運用は推奨できない。
- 副砲
良くはない。そもそも副砲戦する船では無い。
独戦にはDPMで3割以上劣り、貫通力不足も考えると実際には倍程度の差が有ると思われる。射程は独戦やGeorgiaより少し短めに設定されている。漫然と近距離戦を挑むのではなく、「着火用」「駆逐追い払い用」などの目的意識を持って使うべきだろう。
- 魚雷
突然先祖帰り?して艦首に水中魚雷発射管を搭載している。
Hawkeより門数が半分に減ったが、ダメージは2倍近くになっているので同等。
更にゲームの仕様上、まず壊れることがないというのは特筆に値する。ラムっても壊れない。
射角が優秀で、少し傾けるだけで正面に発射することができる。
- 対空
長距離対空砲はイマイチだが、3.5kmからの中距離対空砲がそこそこ強力。
対空防御砲火を装備しており、戦艦の中では優秀な部類になる。
航空攻撃を避けようとして、戦艦砲に撃たれる方が痛いので注意。
- 抗堪性
HPは多いのだが、長大な船体故にバイタルのヒットボックスが大きい。
長大な艦首部分も言うまでもなく25mm装甲なので、こちらも脆弱。
- 機動性
速度はかなりの長所。基本でも32ノットとなかなかの速度。
これがエンジンブーストで34.6ノットに。ブースターや艦長スキルで諸々強化すると40ノット近くに達する。
一方32ノット時の旋回半径は900mを超える。減速しないと曲がれない。
- 隠蔽
かなり良好。最良隠蔽は12.1km。
- 総評
無難な形状のHawkeから一転して、独特の船影が艦長の正気度を削ってくる。
塔のようにそびえる艦橋、中央に挟まれた第三砲塔、艦尾に密集した構造物など、「これに乗るのかよ…」と心配になるかもしれないが、他のT8戦艦に恥じない良好な性能に仕上がっている。
優秀な加速性能と速力、良好な主砲旋回性能、高隠蔽、良対空を備えており、T8戦艦の中でも屈指のストレスフリーな艦艇だといえる。
主砲性能はLionからややナーフされているように見えるが、シュペー散布のお陰で手堅くダメージを出してくれる。快速と高隠蔽は、LionやGeorgiaよりも快適に前線・側面に進出する力になっており、中近距離に近づいてからの一撃離脱を実現する能力を与えている。
ただし、撃たれ弱さも巡洋戦艦なので、位置取りを誤るとあっさり沈んでしまう。回復班は優秀だがバイタルダメージは回復できないので慎重に立ち回ろう。
戦艦相手には遠距離で、巡洋艦相手には中距離で、自分の得意な間合いで戦う事で真価を発揮できる。総じて、じっと構えるタイプの戦艦ではない。装甲を頼りにジリジリ押し上げる戦艦ではなく、快速を武器に立ち回る巡洋戦艦らしい性能に纏まっている。
近距離戦は避けるべき艦性能だが、艦首の魚雷は最後の切り札として強力かつ使い勝手が良い。決死の覚悟で相手を道連れにしてやろう。
戦艦を好む艦長よりも、巡洋艦を好む艦長に愛される性能かもしれない。
史実
G3型巡洋戦艦は第一次世界大戦後にイギリスが計画した巡洋戦艦案である。4隻が発注されたがワシントン海軍軍縮条約により全艦がキャンセルされた。
第一次世界大戦後、英国は日米が進めていた八八艦隊計画やダニエルズ・プランに対抗するため、1919年頃より造船局長サー・テニソン・ダインコートのもとで新型主力艦の設計を開始した。
以下で解説する設計案の名称は、戦艦はLを起点にアルファベット順、巡洋戦艦はKを起点に遡って割り振られており、後ろに付く数字は主砲塔1基当たりの門数を表す。
←巡洋戦艦 F・G・H・I?・J・K L?・M・N・O・P・Q 戦艦→
1920年6月に作成された「LII」「LIII」の2案は18インチ(457mm)砲を8~9門搭載する中速戦艦であり、主砲塔を同一甲板上に配置*2した設計となっている。
しかし前後方向の指向門数の少なさが指摘されたため、普通の背負い式配置に改めた「L2?」「L3」と巡洋戦艦版の「K2」「K3」案が同年10月に作成された。
また主砲を15インチ(381mm)砲9門として艦型をフッド並のサイズに抑えた「J3」という巡洋戦艦案も作成された(時期不明だが恐らく10~11月頃)。しかしこの案は防御力が不足していると見做された。
同年11月には18インチ砲8~9門の「M2」「M3」「I3?」が作成された。これらは従来は艦尾に配置されていた3番砲塔(と4番砲塔)を艦橋と機関部の間に配置して防御区画を短縮し、軽量化を図ったものだった。要するに英国面
戦艦については「M3」案がバランスが良く有力候補となったが巡洋戦艦の「I3」は水線長279mと大きすぎたため、艦型を縮小した18インチ砲6門の「H3」と16.5インチ(419mm)砲9門の「G3」が同年12月に作成された。
「H3」は主砲門数の不足が指摘されたため「G3」案が有力候補として検討され、1921年10月に主砲を16インチ(406mm)砲に変更するなどの改正をした「G3」最終案4隻が造船所に発注された。
本ゲームにおけるDuncanはこの最終案なのだが、何故か主砲のみ初期案の419mm砲となっている多分バランス調整の都合
また同年11月には「M3」を改正した「N3」案が承認された。
しかし1922年2月に結ばれたワシントン海軍軍縮条約の結果、主砲口径16インチ・基準排水量35,000トンに制限されたため4万トンを大きく超えるこれらの主力艦案の建造は不可能になった。
条約締結前の1921年11月には15インチ砲6~9門を前方集中配置とした35,000トン型巡洋戦艦「F2」「F3」が作成されたが、日米の新型戦艦が16インチ砲を装備しているため却下された。
そして新たに35,000トン型戦艦案の設計が開始され、16インチ砲9門を前方集中配置とした「O3」、15インチ砲9門を「G3」等と同様に配置した「P3」「Q3」が作成された。
最終的に「O3」案が1922年9月に承認され、ネルソン級戦艦として「ネルソン」・「ロドネー」の2隻が起工されたのである。
イギリス海軍は第一次世界大戦より新時代の主力艦を模索していた。開戦劈頭のドッガーバンク海戦、フォークランド沖海戦では、期待を込めて送り込んだ巡洋戦艦がドイツの装甲巡洋艦を撃沈し、新時代の幕開けを感じさせた。だが、ドイツ海軍の主力艦隊と相まみえたユトランド沖海戦ではいささか勝手が違った。巡洋戦艦は一撃で撃沈され、戦艦は敵の姿をロクに見ることもできないまま海戦は終結した。
このときイギリス海軍は、「もしや我々の主力艦には重大な欠点があるのではないか」という疑問を抱かずにはいられなかった。ところが折悪しく、当時建造中の主力艦はフィッシャー卿の「速度こそ最大の防御」という考えの元建造されていた巡洋戦艦ばかりだったのである。(詳しくはフィッシャー卿の代表作?の史実ページを参考に)
ユトランド沖海戦で撃沈されたインヴィンシブル級と同レベルの装甲しか持たないこれらの艦が、これからの海戦を生き残れるわけがない。イギリス海軍は、建造中のレナウン級やフッドの装甲を厚くするために、工事を一時中断して設計を改めた。このため主力艦の建造ペースは低下していった。
とはいえユトランド沖海戦は戦術的敗北であったが、制海権を獲得することには成功した。この海戦後、イギリス海軍の戦力はドイツ海軍の戦力を遥かに凌駕する結果となり、特に38.1cm砲を搭載したクイーン・エリザベス級、リヴェンジ級の10隻はドイツ海軍に対して圧倒的な優位を保っていた。そのため、個艦の性能を取り沙汰する前にイギリス・ドイツ両国艦隊の勝負は着きつつあった。さらにドイツの国力低下により新造艦の竣工ペースが低下したので、イギリスが建艦を控えたとしても戦力的に問題は無かったのである。こうした理由で大戦終結後イギリスは主力艦の建造を一時中断している。当時世界最大の戦艦であったフッド級も1番艦のみが建造を続けられ、2番艦以降は中止された。これは大戦後イギリスに対抗する海軍戦力が消滅したこともあるが、大戦によりイギリス自体の国力が大きく低下していたことも原因である。
一方遠く太平洋では日本とアメリカの建艦競争が激しく行われ、日本の八八艦隊計画とアメリカの三年計画(ダニエルズ・プラン)に基づいて、新時代の主力艦が次々と建造されつつあった。イギリスとしては第一次世界大戦でのドイツとの建艦競争が、いかに資源の浪費であり、国力低下の原因に繋がったかを熟知しているために、再び建艦競争を行う気はさらさらなく、逼迫していた国家財政から行える訳もなかった。世界最大の海軍国家という看板で世界中の植民地を支配している以上、世界一位の座を明け渡すわけにもいかず、新たな戦艦を造らざるを得ない状況に陥っていた。
こうした政治的状況とは別に、純粋な海軍としての新戦艦の軍事的模索は続いていた。そこで出された結論は、高速戦艦というある意味当たり前の結論であった。だが、当時の三大海軍国の残りの2国、日本とアメリカのうち、日本は八八艦隊という高速戦艦の建造に力を入れていたが、アメリカは高速低防御の巡洋戦艦と低速重防御の戦艦の二本立てであり、先進性と保守性が混在する選択であった。高速戦艦というからには高速であることは当然のこと、防御力も十分でなくてはならない。少なくとも自艦の主砲に耐えられるという戦艦の防御力の基準を満たす必要があった。だが、装甲を厚くすれば自ずと艦は巨大になる。建造費の面からもそれは避けるべきであるため、「如何にして効率よく装甲を厚くするか」という、これまた別の問題に頭を悩ますのである。
装甲を厚くするには防御面積を減らすのが一般的であり、フランスで見られる4連装砲塔の採用も解決策の一つである。が、イギリス海軍はその前に「どの部分の装甲を重視するか」という事を考えた。戦艦に於いてまず守らなければならないのが弾薬庫である。主砲が破壊されれば攻撃ができなくなり、機関が破壊されれば動くことができなくなる。だが、弾薬庫が爆発すれば、艦は即座に爆沈してしまうのである。この事はユトランド沖海戦で弾薬庫の爆発により3隻の巡洋戦艦を失ったイギリス海軍は痛いほど分かっていた。そこで、主砲を前部に集中して配置するという案が考え出された。主砲が一箇所に集まれば主要防御区を短縮することができ、その装甲厚を増やせるからである。それに加え、列強各国でも採用が相次いでいた3連装砲塔をイギリス海軍として初めて採用することになった。こうしたアイデアを満載して設計されたのがG3巡洋戦艦である。
G3級の砲塔配置は、どこぞの前部集中配?置?の戦艦たちとは違い、完全に艦首に砲塔を集めたわけではなく、艦橋を挟んで前に2基、後ろに1基という配置で3基すべてを艦首方向に指向はできない。それでも1番砲塔から3番砲塔までの距離は短く、全体としては艦の前半部に全砲塔が配置されたような形になっている。主砲は406mm砲3基9門であり、レキシントン級より1門多く、天城型や加賀型には1門劣る数であるため、攻撃力に関しては日本やアメリカの新型戦艦と同等といえるだろう。
防御力は重視しただけあって非常に堅固であり、舷側は356mm、甲板は203mmという厚い装甲板に身を包んでいる。この舷側の356mmという厚さは重防御として名高いアメリカ戦艦よりも厚い。それだけでも驚異なのだが、甲板の203mmともなるとレキシントン級の4倍、天城型の2倍の厚さであり、まさかのあの対46cm防御の大和型よりも厚いのである。それでいて速力は32ktと巡洋戦艦の名に恥じぬ高速で、30ktの天城型よりも高速である。
また、艦橋をそれまでの三脚檣から塔型のものとしている。これは爆風対策という面が強かったが、日本の七脚檣やアメリカの籠マストと比べると遥かに近代的で優秀なもので、日米も後に戦艦の艦橋を塔型艦橋としている。副砲もケースメイト式ではなく砲塔化され、射界が広く効率の良い射撃を行えるようになっている。
このように走攻守揃ったG3級であるが、艦の大きさは天城型や紀伊型よりも一回り大きく、46cm砲を搭載予定だった13号型巡洋戦艦にも匹敵する程である。集中防御に徹することで装甲の最大厚は高めているが、非装甲部分は広く、爆沈はしないものの損害を受けやすくなっている。だが、これは艦隊決戦で生き残ることを最重視した設計方針からすれば納得済みの欠点であり、ユトランド沖海戦の悲劇を決して繰り返さないという決意でもある。
それよりも問題なのがG3級の建造はワシントン条約に対する当て馬的な要素を持っていたことである。設計する事自体には問題がなかったのだが、政治的には重大であった。G3級の建造が決定されたのはワシントン海軍軍縮会議の直前である1921年であり、これ以上建艦競争を行えば、イギリスも主力艦を続々と建造するぞ、という他国に対するプレッシャーとしての効果が期待されたのである。それだけに、軍縮会議の前に「実際に作る気はないが、とりあえず建造決定としておこう」という軽い気持ちで決定された可能性が高いのである。事実、ワシントン軍縮条約が締結されるとG3級の建造計画は中止され、実際には起工されなかった。しかしイギリスは16インチ砲搭載艦を2隻保持する権利を得たので、G3級の設計はネルソン級戦艦に活かされている。
以下は要目である。
基準排水量 48,400t
全長 260.9m
全幅 32.3m
機関出力 160,000hp
速力 32kt
武装 40.6cmL45 3連装3基
15.2cmL50 連装8基
12cm高角砲 単装6基
40mmポムポム砲 4連装10基
63cm魚雷発射管2門
装甲 舷側356mm 甲板203mm 主砲430mm
イギリス海軍はG3級に対抗してN3級の建造も予定していた。これらも同じ配置ではあるが13号型と同じく457mm砲を搭載した戦艦である(セントヴィンセントとは別物)。防御力についても舷側装甲はG3級を上回る380mmに達し、甲板装甲も203mmである。速力は23ktに抑えられたが、排水量は48,000tに達し、建造されていれば世界最大の戦艦となった。数値だけ見れば八八艦隊計画の13号型でも正面切っての戦闘は不利、という強敵ではあるがあくまで計画に終わっており、G3級といい実際この通りの艦が建造されたかというと疑問ではある。なお、主砲の前方集中配置の考えは独自に設計を行いつつも、イギリスを師として仰いでいた日本海軍にも影響を与えている。その結果こんなのが誕生してしまった 設計者にとっても主砲を集めることは装甲部分を減らし、装甲厚を増やす上で効果の高い方法であり、採用に異論はないどころか魅力的であった。より装甲が厚い戦艦というのは当然のことながら用兵者にとっても魅力的である。とはいえ後ろ向きの主砲がないというのはいささか不安である。このため大和型ではオーソドックスな前部2基、後部1基という主砲配置を選んだのだが、結果として第二次大戦において艦尾に主砲がないことで問題となることはなかった。弩級戦艦が登場し始めたときに、艦首尾方向の火力も高めようとして複雑な主砲配置が流行したのだが、実用的ではなく最終的には全砲塔を艦の中心線上に配したことを思えば、集中防御配置の是非を除けば悪くない選択だったのかもしれない。
参考:未完成艦名鑑 光栄株式会社
小ネタ
本艦の艦名「Duncan(ダンケン)」はスコットランドに起源を持つ英語圏における男性名である*3。
コメント欄
- 変態巡洋戦艦ツリー作成しました。細かい修正等などはお願いします。 -- 2023-10-10 (火) 05:20:41
- G3級の設計のとこにあるリダイレクトページがコリングウッドになってるがコリングウッドって連装3基前方集中配置じゃ? -- 2023-10-10 (火) 17:55:26
- 何だこの榴弾をブチ込んで下さいと言わんばかりの艦尾構造物は… -- 2023-10-10 (火) 20:26:01
- ガン縦したこいつの艦首から380mmでバイタル2枚入って草 -- 2023-11-08 (水) 09:52:52
- 近接戦で魚雷がほぼ役に立たない原因の一つだな。魚雷の必中距離=艦首からのハカイチだから。艦首が柔らかいのは百歩譲ってしょうがないとして、バイタルが飛び出しすぎなんよ。 -- 2023-11-08 (水) 10:12:35
- ???「なんでこんなふざけた配置にしたんだ!?ダンカンばか野郎!」 -- 2023-11-08 (水) 12:58:13
- この子の読み方はダンケンなので…(小声 -- 2023-11-08 (水) 14:19:07
- 割と好き -- 2023-11-08 (水) 17:36:47
- 第三砲塔辺りを指とかで隠すと割とかっこよく見える……かもしれない -- 2023-11-17 (金) 12:21:40
- それよりは第三砲塔を前に向けた方がまだ… -- 2023-11-17 (金) 15:19:33
- めちゃくちゃどうでもいい話なんだけど、コイツの第三砲塔ってどういう呼び方になるんだろうね。素直に考えたらQ砲塔なんだけど、艦橋の前に砲塔を置いてるネルソン級はX砲塔らしいからコイツもX砲塔? -- 2024-02-06 (火) 17:07:25
- 後部砲塔の扱いだからX砲塔だと思う -- 2024-02-06 (火) 17:56:32