ゲーム用語/プロローグ

Last-modified: 2024-03-01 (金) 23:35:13

Prologue。口上、文章や物語おける導入部。
創作物の内容や設定を読者・視聴者にかみ砕いて伝える簡易的な説明の事。
演劇の場合は「序幕」、詩の場合は「序言」と呼ばれる。
前書き(preface)が作者の行うお断りや前説なのに対して、
プロローグは既に作品の一部として含まれている点で異なる。
因みに対義語は「エピローグ(Epilogue)」。後書きは「postscript」。

目次

概要

  • モンスターハンターシリーズのプロローグは「説明」よりむしろ「詩」の様な文章で、
    世界観やそのシリーズの名場面を切り取った秀逸なもの。
    どれもハンターであれば深く共感できる内容であり、
    ハンターとしての初心を思い出させ、モンスターハンターの世界観に引き込んでくれる。
    また背景にその作品のメインモンスターが描かれていることもあり、詩の演出に一役買っているとともに
    いずれ相対する強敵への畏怖と期待を読み手に想起させてくれる。
    新作の発売と同時にこの内容を楽しみにしていたハンターもいるのではないだろうか。
    • パッケージや説明書のほか、幾つかはシリーズ毎に発刊されるハンター大全にも掲載されている。
      中にはMH4のプロローグのように、説明書には載っていなかったが
      後にハンター大全に掲載されたという変わり種もある。
    • MHWorldのプロローグには、無印のプロローグと全く同じ一文が存在する。
      新生モンスターハンターとしての第一歩という意味で、
      全ての原点となった無印の詩を引用したのかもしれない。
  • メインシリーズでプロローグが掲載されたのは、MH~MHP3、MH4、MHWorld。
    逆に存在しないのは3DSをハードとするMH3G、MH4G、MHX(X)、
    およびMHWorldの続編のMHW:I、MHRise、MHR:Sとなっている。
    • 3DS作品については、説明書が紙媒体から電子化する過渡期にあったこと、
      パッケージサイズの関係でプロローグを記載するスペースがなかったこと等が理由と思しい。
      MH4のプロローグはハンター大全に掲載される形で陽の目を見たが、
      Xシリーズには現時点でハンター大全に相当する設定資料が存在しないのも一因か。
  • 対になるのはエピローグだが、基本的には登場しない。
    モンハンというゲームに終わりは存在せず、強いて言うなら「プレイヤーが終わりを決める」ゲームだからだろう。
    • MHRiseでは、追加ストーリークリアで見られるエンディングムービーにおいて
      「カムラの里に平穏が訪れたことを祝う詩」という形でヒノエとミノトがエピローグを読んでくれる。
      長い歴史を持つモンハンシリーズで初のエピローグである。

各作品のプロローグ

  • 以下にシリーズ別にプロローグを紹介する。
    たまには、このページに戻ってハンターを始めた頃に思いを馳せるのもいいだろう。
    忘れてしまった大切な何かを思い出すかもしれない……

MH/MHP

後の世の者は、この荒々しくも眩しかった数世紀を振り返り、こう語る。
大地が、空が、そして何よりもそこに住まう人々が、
最も生きる力に満ち溢れていた時代であった、と。

世界は、今よりもはるかに単純にできていた。

すなわち、狩るか、狩られるか。

明日の糧を得るため、己の力量を試すため、
またあるいは富と名声を手にするため、人々はこの地に集う。

彼らの一様に熱っぽい、
そしていくばくかの憧憬を孕んだ視線の先にあるのは、
決して手の届かぬ紺碧の空を自由に駆け巡る、
力と生命の象徴―飛竜(ワイバーン)―たち。

鋼鉄の剣の擦れる音、
大砲に篭められた火薬のにおいに包まれながら、
彼らはいつものように命を賭した戦いの場へと赴く。


MHG(PS2版・Wii版)

走れなくなった馬がやがてその命を失うように、人も歩みを止めては生きられない。
彼らは新たな道を、新たな力を求め、ただ黙々と足跡を刻む。
鉄の剛剣はより鋭く、天を睨む巨砲は更に重く、身を包む鎧はなお固く。

だが、それは彼らだけではない。

相向かうは天空の、砂漠の、そして密林の覇者たち。
盾をも徹す牙はより鋭く、空を裂く尾の一撃は更に重く、砲弾すら弾く鱗はなお固く。
ほの白く煙る朝もやの向こう、道は交わる。
荒ぶる鼓動と、迫る獲物の息づかい。
先へ行くか、ここで伏すのか。
遠く角笛の音が告げるは、火花散る死闘の始まり。


MH2(Dos)

一条の光が、雲を貫き大地を照らす。
にわかに遠雷が轟き、降り始めた雨が森の香を舞い上げる。
気づけば、姿は目前にあった。
天を飲み込む嵐の下。逆巻く風のすぐ向こう、美しく荒ぶる絶対者。
そう、すでに両者は知っていた。出会いが必然であることを。
そして、間もなく彼らが分かたれることを。

狩人と、その獲物。どちらかが、どちらかに。

世界が未知で溢れていた時代。
辺境の空を飛竜が舞い、未踏の森林を牙獣が闘歩する。
その骨は、家屋を支える柱となって人の営みを見守り、
その皮は、風をはらむ帆となって船を新たなる海へ導いた。

やがて再び一条の光が、雲を貫き大地を照らす。
にわかに遠雷が轟き、降り始めた雨が森の香を舞い上げる。
そしてまだ見ぬ何かを求め、狩人は静かに歩を進めてゆく。


MHP2

雪を踏みしめる音が、いやに高く聞こえた。
両眼を焼く白一色の中、動くのはこの身ただひとつ。
しかし気配は満ち満ちている。
大地が、空が、知覚が、直感が、声なき叫びを上げ続ける。
時は、目前に迫っている。

零下の世界。

凍える雪風の中、氷に閉ざされた山々の狭間にも、
しかし確かな鼓動が息づいていた。
それは例えば、細い火を囲む温かな笑顔たち。
それは例えば、洞窟に潜み獲物を待つ爪と牙。
極限で紡がれる命は、常に掛け値ないしなやかさを得る。

時は満ちた。
無慈悲な大気は淡々と震え、彼の者の咆哮を乗せてくる。
それは例えば、霊峰を統べる旧き暴君。
粗野ゆえに崇高なその猛りは、時に他の命をも吹き消さんと荒れ狂う。

さあ。狩人たちよ、心せよ。静謐の世界は牙を剥く―。


MHP2G

その者は待つ。
いまだ朝靄の濃く煙る、色のない木々の大海で。
足音を潜め呼吸を殺す、心ない影の狩人。
ゆらり揺らぐ、紅の灯火は二つ。

その者は行く。
幾度も脳裏へめぐり来る、恐れと躊躇いを振りはらい。
得物を抜き低く構える、揺るぎない眼差しの狩人。
彼が奉ずるその剣の、儚い輝きは一つ。

彼らは感じる。
新たな獲物の訪れを、さらなる強敵の存在を。
己がうちに湧き起こる、抑えがたい鼓動の高鳴りを。
この先に続く、まだ見ぬ世界の広がりを。

そして、不意にきらめく光。

この日も変わらず訪れる、森の目覚めのその瞬間。
日が射せば霧は溶け、空は青く、花は赤く、息づく緑はどこまでも深く。
囲むすべてに見守られ、持てる全てをそこに懸け。
再び今、狩人たちは相対す―。


MH3(Tri)

自らの命を懸け、山川草木と自在に心通わす者たちがいる。

地を走る獣に、海原を統べる竜に、

技と知恵を頼りに挑み続ける者たちがいる。

何が彼らを駆り立てるのか。何を彼らは求めているのか。

空は言葉を好まない。海は詩句では語らない。

知りたくば、ただ武器を取るがいい。

答えはいつも、そこにあるのだから。


MHP3

朝霧につつまれた山河は何も語らず、
原始より続く生命の営みを見守る。
紅葉に色づく木々は大地を彩り、
高き太陽と共に、放浪者を迎え、
黄昏に染まる廃屋は閑寂のまま、自然の驚異を物語る。

月影が水面に佇む頃。
やがて深森の王は、梢の彼方より姿を現す。

狩人は往く、本能に身を委ね、主たる誇りと力を示さんと。
狩人は挑む、持てる全てを賭して、その本懐を遂げんと。

得物を見据え、地を駆ける狩人。

交わりし雷光の行方は、ただ風のみぞ知る―。


MH4

振り返れば、長く、険しく、けれども素晴らしい旅だった。
故郷に帰ってきた今でも、時折目を閉じて、冒険の日々を思い出す。

そのたびに、長年我が身を守ってくれた鎧を身に付けようと試みる。
そのたびに、いくつもの小瓶やらキノコやらを鞄に目一杯詰め込む。

しばらくして、私は床に座り込む。
冒険を欲する自分の意思に反するように、
筋肉は小刻みに震え、骨が軋み、腹の奥底から熱い何かがこみ上げてくる。
身体は旅に出ることを拒絶していた。
ふと、視界に、節くれだった自分の手が飛び込んでくる―。

節目というのか、潮目というのか。
とにかく、今が"それ"なのだ。


MHWorld

荒海を渡り、ハンター達は新大陸の調査へと乗り出した。

目前に横たわるは、強きが弱きを制する世界。
ハンターは巨大な武器を手に、未知のモンスターへと挑む。

そこにあるのは、ただ一つ。すなわち、"狩るか、狩られるか"。

ハンター達よ、仲間と共に、新たなる生態系と対峙せよ。

MHF

  • 配信形態の関係もあるのか、派生作品には基本的にプロローグが存在しない。
    ただ、例外的に初期のMHFではシーズン毎にプレビューサイトやガイドブックにそれらしき文章が掲載されていた。
    プロローグというよりはメインコンテンツの紹介に近い内容だが、参考として以下に掲載する。

シーズン1.0

それは命の博戯。
狩りの本能が研ぎ澄まされていく。
森の幽寂を異質な嘶きが曳き割いた。
時が刻むのは、獣の哀哭か、失敗に綻ぶ面容か。

それは帰り着く場所。
狩人たちが集まるその広場は、昼夜季節を問わず賑わうという。
一歩足を踏み出せば数多の感情が渦巻く。
未開の地、フロンティア―。

それは地図のない旅。
歓喜、欲得、阻喪、葛藤。
あらゆる情操を屈託なく表現する所得顔たち。
終わりなき冒険は、すでに始まっている。

シーズン2.0 覚醒、エスピナス

上空を覆い尽くさんばかりに茂った葉の中から、白ずんだ陽光が指す
狩人たちの乱れた吐息が、聳え立つ木々に反響し、遠くに聞こえる
あまねくすべてが営みを休止してしまったかのような、静寂

それは忌まわしき偶然であり、待ち望んだ邂逅であった

研ぎ澄まされた神経は、過ぎ去る時間をも緩慢にする
重苦しい、湿った空気の中、静かに迫りくる巨躯
随所に尖る鋭き棘は、他の者が飛竜の領域に入ることを、頑なに拒んでいる

苔むした大地
足裏から広がるぬかるみの感触が
よりどころのない不安を、よりいっそう掻き立てる
これまでの知識も、経験も通じないであろう未知の竜は
もう眼前に迫っている

意を決し、狩人たちは互いに目配せをした
高台に潜む狩人は小さくうなずくと、静かに弓手を持ち上げる
引き絞った弦が、短く、甲高い悲鳴を上げ、音速の矢を放つ
矢は竜の鼻先をかすめ、微小な棘を折るだけにとどまった

しかし、竜の領域は侵された

何者であろうと侵入を許さぬ樹海の主の領域に、今風穴が開けられた
怒りとともに鮮やかな赤が血脈を走り、飛竜の全身を染めていく

天を穿つ咆哮

そのわななきに、全身が粟立つ
生存本能が闘争本能に直結した、その瞬間

忌避すべきであった、一瞬
そして、狩魂を熱く揺さぶる一瞬

雄雄しく天を突いた鋭き角が
今度は狩人の急所に向けられる

さあ、衝撃に備えよ、未知の領域を求める狩人たち

(あるじ)の目覚めだ―

シーズン3.0 変幻、アクラ・ヴァシム

狩人よ、その身のどこかに、ほんのひとかけらでも"慢心"を宿していたならば―

ある者は、それを狡猾な策士と呼び
ある者は、それを不滅の戦車と呼ぶ
ある者は、そのすばやさに翻弄され
ある者は、その圧倒的な火力にねじ伏せられる

その忌まわしき怪物の名は
変幻の黒蠍、アクラ・ヴァシム

狩人よ、その身のどこかに、ほんのひとかけらでも"慢心"を宿していたならば―

アクラ・ヴァシムはその場所を正確に射抜く―

シーズン4.0 雷臨、ベルキュロス

一抹の風が、僅かの砂塵を吹き飛ばし
ささやかな雨粒が、小石をいずこかへと押し流す
取るに足らない瑣末な変遷が
悠久の時を経て
この場所を最も過酷な地へと変貌させた

行く手を遮る容赦なき強風
鋭く切り立った崖
枯渇した赤銅の大地
静寂の支配する、荒涼たる大地
その場所は、永きに渡り外界とは異なる時を歩み続けた

時は移ろい
静寂の時代は突如として終わりを告げる
その足が、赤銅の大地を踏みしめた今、この瞬間に―

吹きすさぶ、乾いた風
砂埃と共に、かすかな緊張感が肌を打つ

やがて、空を切り裂く巨影がひとつ
優雅に、威風堂々と舞い降りる剽悼なる飛竜
全身は強張り、胸の鼓動は高鳴る
束の間の静寂
激しい風の音すら、遥か遠くに

時は満ち
始まりは静かに訪れた

抜かれた得物が陽光を浴びて眩しく輝く
電光の煌きが、雲ひとつ無き蒼天に迸る
あいまみえる二つの光
荒涼たる閑寂の地に、豪雷が舞う―

関連項目

世界観/ハンター
ゲーム用語/主人公
ゲーム用語/説明書