『モンスターハンターフロンティア』において、
「PC版MHF」にのみ2014年12月10日に実装された、高グラフィックスバージョン。通称「HGE」。「HAGE」ではない。
ここではPS4版MHFにおける高グラフィックス対応についても記す。
目次
概要
- 百聞は一見に如かずということで、まずは公式動画をご紹介する。
- 上記はPC版のものであるが、PS4版も基本的には同じである。
大きな違いとしては、PC版の高グラフィックス化は拡張機能であるのに対し、
PS4版は同機能が標準仕様であることが挙げられる。
従ってPS4版は「High Grade Edition」とは銘打たれていない。
理由や経緯については後述する。
なおHigh Grade Editionを適用していないPC版MHFは「オリジナル版MHF」と公式で呼ばれており、
当記事でもこの通称を用いる。
- ムービーを見ていただければ一目瞭然であるが、
具体的にどこが一番変わったかというと「モンスターのテクスチャ」。
オリジナル版のMHFは2006年発売の『モンスターハンター 2(ドス)』を基盤としており、
今まではPlayStation2基準のグラフィックスと呼べるものだった。
土台がそのような事情を抱えており、HD画質でも昨今の携帯機ゲームとの比較ですら旗色が悪かったのである。
しかし、High Grade Edition版ではモンスターの鱗や皮がよりきめ細やかに描き直されており、
携帯機との差異はあれど、少なくとも見劣りすることは全くなくなっている。- 他のモンスターハンターシリーズと比較しても、
PC版MHFはシリーズでPS4版MHWorldと同じくらいであるため、
一から書き直されたモンスターテクスチャのきめ細やかさが非常にわかりやすい。
- なお、モンスターそのものが新たに描き直されたわけではなく、
メインシリーズでいうMH3以降・MH4以降のグラフィックに変わったりはしていない。
MH2のグラフィックを基準に細やかな部分に手を加え、大幅に美麗化させたといった印象である。
- ちなみにモンスター以外には、背景も手が加えられている。
こちらはモンスターほど極端なものではないが、森丘や昼の砂漠などで実感することができるだろう。
- 他のモンスターハンターシリーズと比較しても、
- さらに光源、光処理も専用のものに置き換わる。
この2つを用いて、ハンター自身、武具、オブジェクトと言った高グラフィック化されていない部分に、
光源が光を当て、処理をしてリアルな光表現を加えることによって質感を強化し、
それによって高品質化を実現している。*1
この質感強化要素と、上記で述べたモンスターと背景の高グラフィック化。
この2点がHigh Grade Editionの基本機能となり、
PC版では更に下記で解説しているオプション機能を追加で加えることができる。
なおPS4版ではオプション機能が盛り込まれた状態が基本となっている(後述)。
PC版(High Grade Edition)
- 上述したようにオリジナル版MHFは2006年のゲームをベースとしており、
しかもサービス開始直後(2007年当時)のPCでも、スペック要求が非常に軽い事で知られていた。
2014年以降のPCであれば、iGPUやAPUと呼ばれるグラフィックス機能
(外付けのグラフィックボードに搭載されたGPUではなく、
CPUに内蔵されているGPUを用いる、というモノで、従来のオンボードグラフィックスの進化系である。
intel社はiGPUという呼称を、AMD社はAPUという呼称を用いている)ですら動作するほどである。
そのため、プレイヤーのPC環境は上から下まで非常に幅が広いものとなっており、
高グラフィックス化できるからといって基本機能にしてしまうと、
当然まともに動作しないPCも多数出ることが考えられる。
その為作り直しという形の基本機能ではなく、拡張機能として用意されたのがこのHigh Grade Editionである。
- 高グラフィックスバージョンが実装されるという情報はTwitterで初めて開示され、
2013年12月24日のクリスマスにアップロードされた
「MHF-G『第13回 開発運営レポート(動画版)』」にて実際の画面が公開。
MHF感謝祭2014 in渋谷ヒカリエ前には特設サイトが開かれ、
High Grade Edition版MHF-Gの体験コーナーが同イベントにて催された。
試遊場では隣の廊下の端まで長蛇の列が並ぶほどの注目ぶりとなり、
その後、冒頭で述べた通り12月10日に正式実装となっている。
- High Grade Edition版に切り替えるには、ランチャーの「環境設定」から
『High Grade Edition版を有効にする』のチェックボックスにチェックを入れることでONになる。
要はゲーム本体のシステムの1つなので、専用のコースを購入したりと言った有料サービスではなく無料である。
- 後述するが、High Grade Editionは元々あったゲームに後付で高グラフィックス化を行っているため、
非常に高度な処理が行われる。
その分、PCにかかる負荷は非常に大きなものとなるため、要求スペックはオリジナル版MHFの比ではない。
また、基本機能だけでもグラフィック処理要素はオリジナル版より増えているため、
オプションを有効にせず、High Grade Edition機能をONにするだけでもPCへの負荷は大きいものとなる。
- 以下はHigh Grade Editionの動作を確認した公式表記のスペック。
なお、ゲーミングPCを買う場合にとくに選択肢として重視される部分を抜粋する。
- 上記以外にも要素は種々あるが、このようにHigh Grade Editionの推奨スペックは
なんと超ハイスペック要求(当時基準)でパソコンゲーム界隈に衝撃を与えた
あの『ファイナルファンタジーXIV 新生エオルゼア』と同等スペックである。*4
さらに後述で詳細も述べるが、下記のオプション機能をフル解放した最高画質では、
そのFF XIVを動かせたパソコンですら挙動が重くなる場合がある*5など、
High Grade Edition版MHF-Gの凄まじいハイスペックぶりにMHF界以外にも話題となった。- とはいえ、激震が走ったのは事実だがその話題は2014年のものである。
PCのコストに対するパフォーマンスは年々上昇し続けており、
グラフィックスボードでGTX660以上の性能は、現在では安いエントリークラスでも発揮できる。
2018年発売のMHWorldで比較すると、フルHD/30fpsでNVIDIA Geforce GTX 1060*6以上推奨であり、
あくまでも2014年の水準であるHigh Grade Editionは現在ではハイエンドPCでなくても十分である。
分からない場合は公式が推奨しているBTOメーカーのゲーミングPCを購入するのがいいだろう。
ただし、上記の通り、PCのパフォーマンスが急上昇するのに合わせ、
VRの登場や4K解像度に限らず、2024年時点でも主流の解像度であるフルHD解像度ですら、
ゲーム側の作り込みが細かくなった事によって要求スペックが跳ね上がったり、
付加価値止まりとは言え、HDRやレイトレーシングと言った最新の表現技術の登場により、
新しく開発されるゲームの水準もどんどん上昇している。
MHF以外の最新ゲームも快適に遊びたいなら、購入時点でミドルからハイに属するPCを選んだほうがいい。- それでもよくわからない人向けに深掘りすると、
PlayStation4、Xbox One世代のゲームを快適にプレイするなら、
同機のGPUより2周り程高い性能を持つNVIDIA GeForce GTX1060またはGTX1650、
PlayStation5、Xbox SeriesX/S世代のゲームを快適にプレイするなら、
同機のGPUと同等の性能を持つNVIDIA GeForce RTX3060、
及びそれと同等以上の性能を持つGPUを搭載したラップトップPC、
またはデスクトップPC向けグラフィックボードを選べば間違いないと考えて良い。
- それでもよくわからない人向けに深掘りすると、
- とはいえ、激震が走ったのは事実だがその話題は2014年のものである。
- 非常に負荷が大きいモードになるため、
動作スペックギリギリでは環境によっては動作が鈍くなることも起こりうる。
その場合、ランチャーの環境設定にてMHF設定解像度を変更、調整することも重要である。
簡単に理由を言うと、解像度が高いほど描画処理量も増えるため。
High Grade Editionが少しカク付く程度のレベルであれば、
解像度を下げるだけで改善が見込めることも十分あり得る。
解像度の調整をする場合は必然的に「ウィンドウ画面にてゲーム画面を表示する設定」になるため、
全画面表示等、大画面でのプレイを諦めることになってしまうが、
それでも品質を重視したい人は調整を試みてほしい。
また、下記オプション機能をOFFにすると改善が望めることがある他、
地味ながらWindowsVista、7ユーザーの場合WindowsAero機能をOFFにすることでも改善が見込める。
自分のPCのスペックにあった設定を探すと良い。- 上述したように必要スペックがオリジナル版の比ではないため、
オリジナル版で快適に動いていても、High Grade Editionでは全く動かないという事もありうる。
その場合は解像度を変更してもどうにもならない可能性があり、
高グラフィックスでプレイしたいなら、PCの増強なり買い替えなりが必要となるだろう。
- 上述したように必要スペックがオリジナル版の比ではないため、
- 元々MHFは3Dゲームとしては比較的低いスペックのマシンでも動作するものであったため、
近年のグラフィックボードが持つ「画質設定の自動調整・最適化機能」には対応していなかった。
HighGradeEdition実装直後でもそれは同じだったのだが、
2015年10月末頃より、NVIDIA社のグラフィックボード(GeForce)を使用している場合は、
上述した画質設定の自動調整・最適化機能がMHFでも利用できるようになった。
ただしあらかじめ、基本設定をHigh Grade Editionに切り替えておく必要がある。
- ちなみに、High Grade Editionはクエストの読み込みやMAPの読み込みなどには一切影響しない。
ハードウェアの状態監視ツールなどを持っている人は確認してみるとよいが、
クエストロード中、エリア移動時にはオリジナル版もHigh Grade Editionも処理負荷が変わらない。
そのため、High Grade Editionがちゃんと動く環境であれば、
クエストロードやエリア移動などで(オリジナル版に比べて)遅延が起こらないことが確認されている。
- 手軽にHigh Grade Editionを体験したい場合の一つの手段として、
MHF公認ネットカフェを利用し、そこでハイスペックパソコンを使ってみるというものがある。
ただしネットカフェのハイスペックパソコンであっても、
必ずしもHigh Grade Edition版推奨スペックを余裕で満たしている…とは限らない場合も少なくない
(遭ってしまうと悲しいが、要はそれほどまでにHigh Grade Edition版の必要スペックが高いということである)。
事前に調べて「High Grade Edition対応店舗」の印を受けた店舗を選ぶのが無難だろう。
- なおグラフィックの美麗さで言えば、
MHFベンチマークソフトはHighGradeEdition最高画質設定と互角、
あるいはそれ以上と言っても良い品質を持っている*7。
しかし、動作条件がHighGradeEdition下のMHFと全く異なるため、
このベンチマークで高スコアを叩き出しても、
実際にHighGradeEditionが快適に動くとは限らないため注意が必要である*8。
- 何故PC版(とPS4版)のみ、高グラフィックス化があるのかについては後で述べるが、
PC版の高グラフィックス処理については、モンスターと背景に関してはテクスチャから作り直している
(そうでなければ鱗などの細かい質感が表現できない)事が明言されているが、
それ以外は光源、光処理の追加変更という、後付処理で高グラフィックス化を行っている。
簡単に言えば、基本設計を変えずに高画質化を実現するために、
オリジナル版のグラフィック設定に加えてHigh Grade Editionが稼働する仕組みになっている
(要は高グラフィック設定の付け足しを行っている)。
これが、High Grade Editionにてオリジナル版を遥かに超えるスペックが要求される最大の理由である。- 他社のゲームで言えば『Minecraft』の「影MOD」と呼ばれる追加MODのやり方がこれに最も近い。
Minecraftも普通に動かすだけなら非常に低いスペックで動作するが、
影MODのフル機能を解放しようとすると途端にHigh Grade Edition並みの高スペックが要求される。
- 他社のゲームで言えば『Minecraft』の「影MOD」と呼ばれる追加MODのやり方がこれに最も近い。
オプション機能
- High Grade Edition版MHFには、数多くのオプション機能が備わっており、
それらをON/OFFすることで自由にカスタマイズが可能である。
当然だが全てをONにしたほうが圧倒的なスケールでゲームプレイを楽しめる。
ただし、それらはいずれも非常に高度な計算処理を必要とするものであり、
少しでもパソコンスペックが足りなければONにした瞬間からゲームの挙動が重くなってしまう場合も多い。
そのため、一項目ごとにOFF設定ができるようになっている。- これらオプション機能はHigh Grade Edition独自の要素ではなく、
今日のゲーム描画処理に使われる各種要素を、ゲーム内で直接設定できるモノである。
故に、ここに書かれている一部の情報は、PC版が発売されているMHWorldやMHRiseにも通用し、
そちらをPCでプレイする際にグラフィック設定を各々で最適化したい際にも役立つだろう。 - 勘違いしないよう、もう一度補足するが、
これらオプション機能は上記で述べた基本機能に上乗せで適用される。
つまり、オプション機能をすべてOFFにしても、オリジナル版MHFと同じ環境ではない。
- これらオプション機能はHigh Grade Edition独自の要素ではなく、
- 上記の解像度にも言えるが、性能面の理由で調整をする際は、
雨が降っていて、なおかつモンスターがいるエリアでテストするのがオススメである。
何故かと言うと、モンスターがいるとそのモンスターの動きの描画が入り、
雨が降っていると追加で雨の描画が入る、つまり最も負荷が掛かっている環境だからである
(広場等好天の場所で調整を行った場合、「通常時は平気なのに雨が降った途端重くなった」
といったこともありうる)。
樹海頂部のクエストだとちょうど雨が降っており、かつ一番安定描画状態が欲しい、
大型モンスターと交戦している環境を手軽に用意できるのでオススメである。- HR5以上であればディオレックスのクエストが最も分かりやすい。
これはディオレックスがクエスト開始直後に大量のエフェクトを纏った咆哮を行うため。
この咆哮でもたつかなければ、大抵のクエストで問題は起こらないだろう。
他にはエスピナス希少種のナパームブレスなども高負荷がかかるため確認には適している。
ただしこの2体は拘束しての動作確認が難しいので、
初期動作を確認したらリタイアして広場で調整するなどの工夫は必要となる。
なお樹海頂部はHR4からでないと赴けないので、
それまでは樹海・昼や密林・夜などの雨が降っているエリアで確認してみると良い。
- HR5以上であればディオレックスのクエストが最も分かりやすい。
- ちなみに2017年4月アップデートから、各種エフェクトを控えめにする機能が実装されている。
これは上述した負荷対策の一環であり、
これを設定することでエフェクト発生時のもたつきなどを抑えられるかもしれない。
リアルシャドウ
- ハンターやハンターの武具、モンスターの影の処理を、実際の影の形で表現する機能。
丸かっただけの影からハンターの武器の形、モンスターの身体の特徴などが、
非常に正確に影として地面に投影されるようになる。
対象物が少なめのクエスト中専用のON/OFFと、
ハンターが最大100人も同時に存在できるメゼポルタ広場専用のON/OFFに分かれている。
当たり前だが影を投影しなければならない対象物が多めの後者のほうが負荷が大きい。
- リアルシャドウをONにしても、
キリンやディスフィロアなどに見られる「光影」はそのまま描画される。
そのため、光影の中にリアルシャドウの影が映るという、摩訶不思議な現象が起こる。
- なお、特定条件下では従来の影表示も行われる。
例えば他シリーズ同様、モンスターがエリア移動してきた場合、その影は丸くなる。
これは狩りにおいてHigh Grade Edition版プレイヤーが一方的に不利にならないための仕様である*9。
- このリアルシャドウをON/OFFによって、モンスターが扱う一部の攻撃への対処法が変わってくる。
具体的には、ヴォージャンや辿異種ヒプノックなどが扱う超高空から落下してくる系統の攻撃がそれである。
リアルシャドウがOFF(及びオリジナル版)だと、
モンスターの影は常時真下に表示されるため落下地点が視認可能だが、
落下タイミング自体はほぼ感覚から判別するしかない。
一方でリアルシャドウをONにしていると、対象が高空にいるほど影も遠くなる仕様により、
パッと見では落下地点がまるで分からなくなる。
しかし落下地点が分かっており、なおかつ落下に伴い迫ってくる影を捉えられたのであれば、
そこと影の重なる瞬間が攻撃判定の発生するタイミングということになり、
攻撃判定の視覚化が事実上可能になる。- たとえば辿異種イナガミは、必ずエリア中央へ落下すると決まっている。
他のモンスターの場合でも、原則として狙いをつけたハンターの元へ落下してくるため、
誰が狙われたかを確認しておけば対処はさほど難しくない。
- たとえば辿異種イナガミは、必ずエリア中央へ落下すると決まっている。
- 総じて、本オプションに拘るか否かは、
上記したような要素を含めた上で個人個人の価値観によって変わってくるだろう。
- ちなみにリアルシャドウと同等のものは他のモンスターハンターシリーズにもあるが、
High Grade Edition版MHFのリアルシャドウでは、
そのようなシリーズの処理とは全く別の処理を行っている。
更に突っ込むと同じ形で実現できたとしても、3DSのGPUはこういった光描画関連の処理が得意であるため、
実際の所負荷は3DSとそれ以外で差が開いてしまう。早い話簡単な問題ではない。- 掻い摘んでいえば、
「MHFの基本設計は(High Grade Editionの実装時点で)約8年前のもの」であるため、
最新式の影の演出方法や計算を直接採用することができなかったという事情があり、
対象物に実際に光を当て、影の形を一瞬一瞬正確に計算し続けるという高度処理が行われている。
採用されている方法が根本的に異なるため、かなりのスペックが要求されてしまうということである。
そして後述するが、この基本設計を変えるのは極めて現実的ではない。
上述したようにPC環境が上から下まで幅が広すぎるMHFでは、
根本(オリジナル版)の要求スペックを上げてリアルシャドウだけ搭載するのも難しい。*10
- 掻い摘んでいえば、
被写界深度
- 状況に応じて「ぼかし」を出し、遠くのものほどぼやけさせることによって、
カメラ(=プレイヤーが見ている画面)との距離感を演出する。
つまりはカメラレンズのピントを考えるとわかりやすいかもしれない。
リアルな臨場感を生み出すのに必要な機能である。
フィールドが狭いと実感しづらいが、砂漠など広いフィールドでは非常に分かりやすい。
ブルーム
- 光の表現をオリジナル版よりもさらにリアルなものにする機能。
具体的には、明るい場所はぼやけさせる、つまりブラーをかけるなどである。
明るければ明るいほどむしろ見えにくいという人間の目の見え方に基づいている。
ただ、ブルーム機能は場合によっては見えにくくなることがあり、
例として、辿異種フルフルの一部攻撃に付随する攻撃が、
本オプションによって強化された、昼の雪山の地面と同化してほぼ全く見えなくなる、
と言った事があるため、特に好みがわかれやすいオプションだと言える
(High Grade Editionに限らず、一般的にそう言われやすい)。
SSAO
- 『Screen Space Ambient Occlusion*11』の略称。
影の濃淡をより自然な形で表現するオプション。
たとえば現実で想像してみても、草が一本しか生えていない場所では影は薄く、
草が何本も密集している地面は影が濃く、やや暗い雰囲気がするはずである。
これを、光源から物体に光を当ててどう見えるか?を計算することで、
デジタルグラフィック内でそれを再現、実現する技術がこのSSAOである。
リアルシャドウの欄を見た後であれば察せるであろうが、
光源処理の1種であるが故に、SSAOは非常に高い処理能力を必要とすることでも知られている。
ゴッドレイ
- 木漏れ日などを正確に表現するオプション。
光源から光が差し込む方向とその距離を計算し、放射状にブラーがかかる…
というと何やら難しい印象になってしまうかもしれないが、
要するに窓ガラスから部屋のなかに差し込む光の形がぼんやりと見える、というようなことである。
アンチエイリアス
- オブジェクトの「ジャギ」と呼ばれるものを減らし、
より滑らかに演出させるためのオプション。
どんなに高画質でも、細部をよく見るとややギザギザな線になってしまっている、
そのような場面に遭ったことがあるはずである
(モンスターハンターでも携帯機などで特に言われやすい「ドット感」というもの)。
そのギザギザしたジャギーをなくし、あらゆる場面で滑らかな画面にするためのもの。
- 一概に「アンチエイリアス」と呼ばれており、「ジャギを減らす」点は共通しているが、
その実態は「様々な計算手法を用いて、ジャギ削減を実現する」という、概念に近い用語である。
そのため、種類によって効果も計算負荷も異なるのが特徴で、
PCのグラフィック知識の中でも複雑な部類に入る。
MHFにおいては公式サポートされていないが、High Grade Editionでは公式に対応、
ゲーム内設定のオプションにアンチエイリアスの項目が設けられている。
なお、High Grade Editionのアンチエイリアス機能は比較的軽いタイプのモノが採用されている。
- なお、High Grade Editionが登場する以前から、
GPU側のグラフィック設定にあるアンチエイリアスを用いて、
MHFのグラフィック品質を改善する…という事が一部のユーザーで知られていた。
ただしこちらは、
High Grade Editionが利用するアンチエイリアスとは別の種類のアンチエイリアス機能を用いるため、
上述した公式サポート対象外に引っかかるため、自己責任となる。
なお、アンチエイリアスの手法は複数あると述べたことから察せるかもしれないが、
アンチエイリアスは、複数の手法を併用することが可能で、
それを利用する事で更にジャギーを抑えられる事ができる。
しかし、その場合は推奨スペック以上の、エンスージアスト向けGPUですら、
快適な処理ができるか微妙になる程の負荷が発生するため、
諦めるか、自己責任のうえで微調整する必要がある。
ソフトパーティクル
- モデル(対象物)と背景の境界部分をぼやかす機能。
モデルの輪郭がはっきりしすぎると、何か他のモデルと接した際に境界部分が過度に表現されてしまい、
その部分が他のモデルによって切り取られたような印象を与えてしまう。
ソフトパーティクル効果が加わるとモデルの輪郭側に向かうほど表現が薄くなるので、
この「そこだけ切り取られたような」印象を軽減することができる。
特にエフェクトのほうがこの問題が起きやすい傾向にある。
意外にも計算自体は高度な処理なのでスペック要求が高くなりがち。
PS4版
- PS4版MHFが2016年11月22日よりサービス開始されることは2016年8月28日に発表されたのだが、
この時点ではグラフィックス対応については後述の経緯もあり、全くの未知数であった。
その後長い間情報が無かったが、2016年10月19日よりスタートする
「モンハンF みんなでテスト」(先行テスト)に先立ち、
PS4版でも高グラフィックス対応が実施されている事がMHF公式Twitterにて明らかにされた。
- PS4版の高グラフィックス対応は基本的にHigh Grade Editionに準拠しており、
リアルシャドウなど、上述した各種オプションも有効になっている。
ただしこれらはPS4版の基本機能として設定されるため、
プレイヤーの任意でHigh Grade EditionをOFFにしたり、オプションを調整することはできない。
そのため、「High Grade Edition」とは銘打たれていない。
- PC版に比べ設定自由度が低い理由は、
コンシューマー機故に、ハードウェア性能が基本的にはどのユーザーも同じである事が挙げられる。
そして上記の各種オプション機能は「個々で異なるPC性能を最適化する」ために用意されているため、
一律で同じ性能であるPS4では「個人の好み」以外では導入する意味がない。
- なおPS4は最高画質(=オプション機能オールON状態)のHigh Grade Editionが要求する、
ハイエンドクラスの性能を持つPCと比べるとさすがにスペックは低い。*12
そのため、フルオプションON状態のPC版と比べると劣る部分は存在する。
- 各種インタビューによると、やはりHighGradeEditionをベースに開発されているとのことだが、
PS4に最適化し、PS4で見た際に一番綺麗に映るように調整したようである。
UIに関しても最適化され、解像度1920×1080設定を想定したものにしているとのこと。
- ちなみにPS4も、PS4 Pro(CHU-7000)というアッパーバージョンが2016年11月10日という、
PS4版MHFサービス開始直前に発売されたが、
MHF公式はこちらの事を重視してはいないようで、
PS4Proで起動すると更に質感が強化される、と言ったことはない。
他のコンシューマ機とHigh Grade Edition
- PC版のみの機能であるため、コンシューマー版MHFのユーザーからしてみれば、
High Grade Editionはまさに羨望の的であり、PS3やPSVitaでの対応や、
次世代機におけるHigh Grade Edition実現を期待する声も非常に多かった。
実際に、High Grade Edition実装から約2年後となるMHF-ZよりPS4版で高グラフィックス化が実現しており、
PS4版はPS3/Vita版とセーブデータを共有可能であることから、
同ユーザーはPS4に乗り換えることで、高グラフィックスの恩恵を享受できるようになった。
- 少なくとも実装時点では、PC版と他プラットフォーム版との差別化を図るという目的で実現したのが、
High Grade Editionであった。
そしてHigh Grade Editionは非常に高度な処理を行っているため、方向性と実現スペック双方の問題から、
コンシューマー機で高グラフィックス化が行われるには長い時間を要することになった。
- 方向性という点で解説すると、MHFは既にXbox360を始めとし、
2013年末にPS3、WiiUで、更に2014年夏には携帯機初となるPSVitaでもサービスが展開されている。
これらはロード時間を除けば*13PC版と遜色なくMHFがプレイでき、
PCと違って値段も安く、入りやすいコンシューマゲーム機。
つまるところPC版の特徴と言えるものがなくなってしまう。*14
その中で「PC版はPCの性能を活かした、PCならではの要素で差別化を図る」という方向性を打ち出し、
その1つとしてこのHigh Grade Editionが実装されたのである。
- スペック面においては、上述したようにオリジナル版の比ではない性能が要求されるため、
PS3/Vita/Wii Uで同じものを導入した際にはスペックが不足し、
満足に動作しなくなってしまう事が容易に予想できる。
上で例示したFFXIVはPS3版でもサービスが展開されているが、
これはハイエンドPCにおける最大設定時のグラフィックスそのままではない。
PS3でも動作するようにグラフィックス設定を調整(というより劣化)させたものであり、
全オプションをOFFにしても必要スペックがオリジナル版より跳ね上がる、
MHFの高グラフィックス対応はかなり難しいものがあると言えるだろう。
- 高スペック化の最大の原因はHigh Grade Editionが「元からあるものに後付された」設定だからであり、
この点が、初めからテクスチャや、その他データを新しいものに切り替えた、
いわば「最初からハードウェアの性能に合わせた状態で開発した」ために実現できた、
MH3GのHDverなどとは大きく異なる点である。
故に「(MHFの)基本設計が既に定まっている」という制約を抱えたなかで開発された、
High Grade Editionとは事情が大きく異なる。
ではその元を変えればいいのではないかという点については、それをすることによって、
PCのオリジナル版MHFの要求スペックが根本的に変わってしまう
(何度も述べた通りMHFは2006~2007年時点基準のゲームであり、
ゼロから作り直しても間違いなくこの当時のスペックは超えてしまう)ため難しい。- 逆に言えば、このことよりハードに合わせて0から開発し直せばXbox360等の据え置き機だけでなく、
携帯機のPSVitaでもHigh Grade Editionの環境を実現できるとも言える。*15
が、これをMHFでやってしまうと各ハード毎に専用のMHFが存在することになり、
ある程度の共通化が不可能になってしまうため、
アップデートデータも各ハード向けに専用のものを開発する必要性が生じてしまう*16。
それにより開発費が高騰するだけでなく、アップデート周期にも影響が出る可能性がある。
性能以前に、そこまでして各ハードでHigh Grade Editionを実現させたいかと言われたら、
答えは否、であるだろう。
この点はMHFに限らず、他のクロスプラットフォームゲーム全てにも言える問題点である。
- 逆に言えば、このことよりハードに合わせて0から開発し直せばXbox360等の据え置き機だけでなく、
- 次世代機(PS4やXboxOne)については、上述したように実装直後の時点においては
「CS機との差別化としてのHigh Grade Edition」に重点が置かれていたため、
High Grade Editionを導入することは考えづらく、そうするとサービス開始のメリットもないため、
そもそも次世代機のサービス展開自体はされないという考えが大勢を占めていた。
それから1年半以上が経過した2016年8月にPS4版のサービスが発表され、
実装当初の方向性についても時間の経過とともに変わった可能性があり、
グラフィックス対応については注目が集まっていた。
その結果は上述した通りである。
余談
- 概要で述べた通り、ハンター、武具、オブジェクトに専用の高グラフィックは用意されていない。
何故かと言うと、これらは数が多すぎる(MHF-G6時点で数万種類を裕に超える)ためで、
それら全てに手を加え、高グラフィック化をしようとすると膨大な時間が掛かってしまうためである。
また、このことについてはインタビューでも度々触れられている。
一応リアルシャドウや光源処理はハンターなどにも適用されるため、
質感そのものについては、オリジナル版に比べれば強化されている。
- モンスターの攻撃のエフェクトそのものなどにも一応手が加えられているが、
現時点でHigh Grade Editionはそれを重視はしていないので、大きく変化はしていない。
エフェクトを書き直すのにも当然時間や手間がかかるのでリリースまでの期限もあるし、
「ゲーム自体は同じ」なため、あまりオリジナル版から変えすぎてしまっても混乱が生じるためと思われる。
とはいえ、エフェクトのHigh Grade Editionを希望する声は非常に多く、
運営側も要望として受け取る姿勢を見せているが、今後の展開は今のところ不明である。- 一応、2015年以降はベース部分でのモンスターのエフェクトの改良が少しずつ見られるようになっている。
ベース部分のため、High Grade Editionでなくともそれは享受できる。
- 一応、2015年以降はベース部分でのモンスターのエフェクトの改良が少しずつ見られるようになっている。
- なお、High Grade Editionの光源、光処理は4以降のメインシリーズ同様、光の反射もリアルに処理される。
これは赤く光る溶岩なら赤い光が照りつけると言ったように、
光源の色にあった光反射が表現されるということである*17が、
一方で後付故だからなのか、近しい光表現が取り入れられているMH4以降と異なり、
光を反射しやすい色の弊害が強く起こっている。
例えばガルバダオラの体色等メタリックな色は少しながら眩しく見えやすい、
雪山の地面で反射した光のせいでフルフルの電撃の色が同化して見えないと言った具合である。
また、ブルームやSSAOと言った光源、光処理に関連するオプション機能をONにするとかなり眩しく見える。
あまりに眩しすぎるのであればこれらオプション機能をOFFにし、軽減するか、
拘らないのであればオリジナル版に戻してプレイすると良いだろう。
- 上記のように非常に美麗なグラフィックを実現しているHigh Grade Editionであるが、
メインシリーズのそれと比較すると、こと質感的な側面では劣る場合がある。
これは3DSがHigh Grade Editionと同等以上の光処理を可能としていること、
そしてメインシリーズではほぼ作品ごとにモンスターのグラフィックが刷新されており、
テクスチャの向上が繰り返されていることが主な要因となっている。
MHFのHigh Grade Editionで鱗や皮などのグラフィックが描き直され、
質感が強化されたのは事実であるが、大元となっているのは飽くまでMH2時代のそれである他、
実装から2017年4月に至るまで、アップデートでグラフィックが変更されたという例がないため、
どうしても新規で描き直されたグラフィックとの差が出るというわけである。
- ちなみにMHF-G7アップデートでは同じくPC版専用機能として
「アクション等でハンターの表情が変わる」機能が実装されているが、
こちらはHigh Grade Edition専用機能ではなく、オリジナル版でも適用される。
- High Grade Edition版についての詳しいインタビューはこちら。