ストーリーのサブタイトルの一つ、および超一流のタービン屋である木村のとっつぁんが隠し持っていたいわく付きのF1タービンのこと。
劇中では1度ブラックバードに装着されるが、後に悪魔のZに装着されることとなった。
作中F1タービンとして語られるモデルはIHI*1製 RHC6 RACINGで実はF1タービンとは違う。
F1タービンはF1がターボエンジン全盛期だった1980年代に製造されたIHI製のビックタービンの事。当時はギャレット・三菱・KKK*2・日立*3といった主要タービンメーカーも過給器の開発戦争を行っていた。そんな最中の1980年代後半にアイルトン・セナが当時在籍していたチーム マクラーレン・ホンダにタービンの供給を行っていたのがIHI。
他者と比べレスポンスは良いがセッティングがシビアだったIHIタービンはコンプレッサ・EXハウジングのバリエーションを他社より多く販売・提供し、細かなセッティングにも対応。
ひと目見てわかるビックタービンにツインターボ化すればセッティング次第で1000馬力も優に到達するこのタービンこそIHI RX6タービン、通称ペケロク・ F1タービンである。
F1タービンはマクラーレン・ホンダで確かな実力を発揮した後は世界中のフォーミュラやCカーに搭載された。そしてそれをそのまま販売した。
運悪くバブル後の不景気に突入したため、そんなレース用のビックタービンを購入するユーザーもあまりおらず、商業的には失敗し早々と姿を消した。だが、この確かな実力はチューニング業界にも知れ渡っており、最高速トライアルでは重宝された。
では湾岸作中のRHC6というのは?というと、言うなれば同時期に出た市販チューニング向けビックタービン。
扱いにくさこそあるが、同時期の三菱・TD06*4よりもパワフルかつ意外に手頃な価格で当時の最高速レーサーから支持を受けていたモノ。また、コンプレッサやEXハウジングを加工・移植することによりペケロクを買うより安価でF1タービンもどきが作成できることから、今現在のまとめサイトや車系コラムにてRHC6もF1タービンとして紹介されることがある。