幻のF1タービン

Last-modified: 2023-03-18 (土) 05:56:17

ストーリーのサブタイトルの一つ、および超一流のタービン屋である木村のとっつぁんが隠し持っていたいわく付きのF1タービンのこと。

劇中では1度ブラックバードに装着されるが、後に悪魔のZに装着されることとなった。

 

作中F1タービンとして語られるモデルはIHI*1製 RHC6 RACINGで実はF1タービンとは違う。

F1タービンはF1がターボエンジン全盛期だった1980年代に製造されたIHI製のビックタービンの事。当時はギャレット・三菱・KKK*2・日立*3といった主要タービンメーカーも過給器の開発戦争を行っていた。そんな最中の1980年代後半にアイルトン・セナが当時在籍していたチーム マクラーレン・ホンダにタービンの供給を行っていたのがIHI。
他者と比べレスポンスは良いがセッティングがシビアだったIHIタービンはコンプレッサ・EXハウジングのバリエーションを他社より多く販売・提供し、細かなセッティングにも対応。
ひと目見てわかるビックタービンにツインターボ化すればセッティング次第で1000馬力も優に到達するこのタービンこそIHI RX6タービン、通称ペケロク・ F1タービンである。

F1タービンはマクラーレン・ホンダで確かな実力を発揮した後は世界中のフォーミュラやCカーに搭載された。そしてそれをそのまま販売した。
運悪くバブル後の不景気に突入したため、そんなレース用のビックタービンを購入するユーザーもあまりおらず、商業的には失敗し早々と姿を消した。だが、この確かな実力はチューニング業界にも知れ渡っており、最高速トライアルでは重宝された。

 

では湾岸作中のRHC6というのは?というと、言うなれば同時期に出た市販チューニング向けビックタービン。
扱いにくさこそあるが、同時期の三菱・TD06*4よりもパワフルかつ意外に手頃な価格で当時の最高速レーサーから支持を受けていたモノ。また、コンプレッサやEXハウジングを加工・移植することによりペケロクを買うより安価でF1タービンもどきが作成できることから、今現在のまとめサイトや車系コラムにてRHC6もF1タービンとして紹介されることがある。


*1 旧社名:石川島播磨重工業。石川島重工業・播磨造船所・呉造船所の3社が合同合併した会社で、石川島重工業時代から数えて約160年以上の歴史を持つ三菱重工業(HKI)・川崎重工業(KHI)と肩を並べる日本三大重工業の一角。
*2 独Kühnle Kopp und Kausch社 現在はボルグワーナーに買収されボルグワーナー・ターボシステムズに名称変更
*3 後にボルグワーナーと合併
*4 作中ではとびきりのGT-R辺の際に北見が手を加えたL28改に装着されているのが分かる。当時から現在に至るまで愛されるタービンで、ピークパワーこそ劣るが扱いやすくハイチューンドエンジンにも重宝される。