クルマの駆動方式のひとつで、前輪駆動(FrontEngine・FrontDrive=フロントエンジン・フロントドライブ)を意味する。
名称の通り、車の前方にエンジンを搭載して前輪を駆動する方式。*1
この駆動方式の長所・短所を挙げると、
長所
- エンジン、トランスミッションなどの重い部品が前方に集まっているため、前輪に荷重が多くかかる。
そのため、直進時の安定性が良く4WD(四輪駆動)よりは劣るが雨や雪などの悪天候下でも走行安定性が高い。
- 床下にプロペラシャフトや独立したディファレンシャル・ギアボックス*2が不要なため、部品を減らせる事から車両重量を軽減、車室の低床・平床化が図れる。
- エンジンを(車の進行方向に対して)横向きに搭載した場合、エンジンルームの省スペース化が可能なため、車体の全長を短縮したり、車室を広く取りやすい。
- 駆動力を伝達する部品が少なく横置きエンジンの場合は伝達軸がすべて平行であることから、伝達損失が少なく省燃費走行に向いている。*3
短所
- (長所とも重なるが)エンジン、トランスミッションなどの重い部品が前方に集まっているため重量配分が前のめり、つまりフロントヘビーになり、バランスが悪い。*4
- 前輪が駆動と旋回を同時に負担するため、旋回時にアンダーステアやタックイン*5傾向が避けられない(サスペンションとタイヤの改良により、実用上はほぼ問題のないレベルの操縦性を得ているが、他の方式に比べると運動性・操縦安定性が劣り、路面が濡れている・凍結しているなどの悪路では顕著である)。
同様の理由で駆動輪となる前輪の消耗が後輪と比べて非常に早い。
- (縦置き・横置きにかかわらず)自在継手*10を用いる構造から、前輪の切れ角が大きくとれず、旋回半径が他の方式と比べて大きくなりがちで取り回しが悪い。
・・・などがある。
現在のFF車はジアコーサ方式*13というエンジンとトランスミッションを一直線に繋ぎ横置きするという方式が主流である。以前はジアコーサ方式以外にも1959年に登場したBMC・MINIで採用されたエンジンの下にトランスミッションを搭載し、2階建てのような構造にするイシゴニス方式*14と呼ばれる構造も存在した。
しかし設計の自由度が高い、コストが安いという理由でジアコーサ方式が主流となり、イシゴニス方式を採用する車は現在は存在しない。
湾岸マキシでは未だにこの駆動方式の車は出ていない。
5DX+でホンダからのライセンスが下りたため、シビックやインテグラなどのFFスポーツカー*15を期待する声も多いが、現実では世界ツーリングカー選手権(WTCC)等のレーシングカーレベルでようやく400ps程度*16、2015年のル・マン24時間レースに参戦したFFのLMP1マシン日産GT-R LM NISMOでようやく550馬力程度だった。*17
その点から考えて今後も「FFマシンの湾岸マキシへの参戦」は厳しいと思われる。
事実、FFでのシェアが好調だったカローラやR2も、湾岸マキシではマイナーな4WDモデルが登場していることからも諸事情がうかがえるはずである。*18
ちなみに、FF車で300km/h以上出せるかという疑問の答えは可能である。
だが、それ相応の改造と金がかかり誰もやりたがらないのもまた事実。
というのも、実質リアはボディのみが載っかってる状態なので駆動していない。つまるところリアはフリーになり浮く可能性というのが出てくる。
なお、世界最高速度を叩き出した市販のFF車は、アメリカのチューナーが組んだダッジ・ネオンSRT-4。221mph(約350km/h)を叩き出したのだが、ドライバーは「踏んだらもう少し出る。しかしそれ以上出すと間違いなくリアがどこかに吹っ飛ぶから踏めなかった。」との事。
もし登場させるのであれば、基本チューニング段階で「パワートレイン載せ変え」「駆動方式改造」等として4WDもしくはFR化するといった何らかの配慮が必要になると思われる。*19*20
一方で湾岸マキシともつながりが深いドリフトスピリッツでは馬力の概念がないためか、シビックやインテグラなどのFFスポーツカーはしっかりオリジナルの駆動方式を保って登場している。*21