FF

Last-modified: 2025-09-11 (木) 10:26:21

クルマの駆動方式のひとつで、前輪駆動(FrontEngine・FrontDrive=フロントエンジン・フロントドライブ)を意味する。
名称の通り、車の前方にエンジンを搭載して前輪を駆動する方式。*1

この駆動方式の長所・短所を挙げると、

長所

  • エンジントランスミッションなどの重い部品が前方に集まっているため、前輪に荷重が多くかかる。
    そのため、直進時の安定性が良く4WD(四輪駆動)よりは劣るが雨や雪などの悪天候下でも走行安定性が高い。
  • 床下にプロペラシャフトや独立したディファレンシャル・ギアボックス*2が不要なため、部品を減らせる事から車両重量を軽減、車室の低床・平床化が図れる。
  • エンジンを(車の進行方向に対して)横向きに搭載した場合、エンジンルームの省スペース化が可能なため、車体の全長を短縮したり、車室を広く取りやすい。
  • 駆動力を伝達する部品が少なく横置きエンジンの場合は伝達軸がすべて平行であることから、伝達損失が少なく省燃費走行に向いている。*3
  • 直近の楠先生が高く評価してるクルマのひとつがFFのスポーツモデル。*4

短所

  • (長所とも重なるが)エンジントランスミッションなどの重い部品が前方に集まっているため重量配分が前のめり、つまりフロントヘビーになり、バランスが悪い。*5
  • 前輪が駆動と旋回を同時に負担するため、旋回時にアンダーステアやタックイン*6傾向が避けられない(サスペンションとタイヤの改良により、実用上はほぼ問題のないレベルの操縦性を得ているが、他の方式に比べると運動性・操縦安定性が劣り、路面が濡れている・凍結しているなどの悪路では顕著である)。
    同様の理由で駆動輪となる前輪の消耗が後輪と比べて非常に早い。
  • 横置きエンジンの場合*7、左右のドライブシャフトの長さが違うなどで駆動力の伝わり方が左右で異なることでトルクステア*8が発生する。*9*10このため、高出力・大馬力には不向きである。
  • (縦置き・横置きにかかわらず)自在継手*11を用いる構造から、前輪の切れ角が大きくとれず、旋回半径が他の方式と比べて大きくなりがちで取り回しが悪い。
  • 振動が出やすいため、乗り心地が求められる高級車には不向きである。しかし決してFFの高級車がないと言うわけではない。*12*13
    • 類似の問題として、上述した「重量バランスがどうしても偏る」「旋回性に癖が出る」「高出力のエンジンを搭載しても構造上それを受け止めることがFR・MRや4WDよりも難しい」という点から高度なチューンを施すのが想定される車種、つまりスポーツカーにも不向き。ただしこれも実現不可能なわけではなく、国内メーカーでも例えば本田技研工業のシビックやインテグラ、CR-Xなど、FFスポーツカーを得意としているところは多い。他メーカーで言えばトヨタ・スターレットなどもFFかつホットモデル扱いを受けることが多いか。

・・・などがある。

 

現在のFF車はジアコーサ方式*14というエンジントランスミッションを一直線に繋ぎ横置きするという方式が主流である。以前はジアコーサ方式以外にも1959年に登場したBMC・MINIで採用されたエンジンの下にトランスミッションを搭載し、2階建てのような構造にするイシゴニス方式*15と呼ばれる構造も存在した。
しかし設計の自由度が高い、コストが安いという理由でジアコーサ方式が主流となり、イシゴニス方式を採用する車は現在は存在しない。

 

湾岸マキシでは未だにこの駆動方式の車は出ていない。
5DX+でホンダからのライセンスが下りたため、先述したシビックやインテグラなどのFFスポーツカー*16を期待する声も多いが(というかインテグラに関してはモデリングは完成しているのが確認されており、ホイール・ウイング・ボンネットの付け替えはドレスアップ面のプログラミングも完成している可能性がある)、現実では世界ツーリングカー選手権(WTCC)等のレーシングカーレベルでようやく400ps程度*17、2015年のル・マン24時間レースに参戦したFFのLMP1マシン日産GT-R LM NISMOでようやく550馬力程度だった。*18

 

その点から考えて今後も「FFマシンの湾岸マキシへの参戦」は厳しいと思われる。
事実、FFでのシェアが好調だったカローラやR2も、湾岸マキシではマイナーな4WDモデルが登場していることからも諸事情がうかがえるはずである。*19
ちなみに、FF車で300km/h以上出せるかという疑問の答えは可能である。
だが、それ相応の改造と金がかかり誰もやりたがらないのもまた事実。
というのも、実質リアはボディのみが載っかってる状態なので駆動していない。つまるところリアはフリーになり浮く可能性というのが出てくる。
なお、世界最高速度を叩き出した市販のFF車は、アメリカのチューナーが組んだダッジ・ネオンSRT-4。221mph(約350km/h)を叩き出したのだが、ドライバーは「踏んだらもう少し出る。しかしそれ以上出すと間違いなくリアがどこかに吹っ飛ぶから踏めなかった。」との事。

 

もし登場させるのであれば、基本チューニング段階で「パワートレイン載せ変え」「駆動方式改造」等として4WDもしくはFR化するといった何らかの配慮が必要になると思われる。*20*21

 

一方で湾岸マキシともつながりが深いドリフトスピリッツでは馬力の概念がないためか、シビックやインテグラなどのFFスポーツカーはしっかりオリジナルの駆動方式を保って登場している。*22


*1 車の後部にエンジンを搭載して前輪を駆動する場合も前輪駆動と呼ばれるが、一般の乗用車ではこのレイアウトにするメリットがないため存在しない。しかし二輪駆動のフォークリフトでは、運転席下部や後部にエンジンを搭載し前輪を駆動する方式が主流である。これはエンジン自体をカウンターウエイト(車体バランスを確保するためのおもり)にするためと、用途上バックで運転することが多いからである。
*2 差動装置ともいう。左右の車輪の回転差を検出して動力に差をつけて振り分ける装置のこと。
*3 そのため省燃費・経済性が求められるコンパクトカーやハイブリットカーなどにも積極的に採用されている。
*4 ホンダ・シビックタイプR(FL5型)。事実上の現行の『湾岸』作品である『首都高SPL』でも登場人物から高く評価されるなど、扱いが良いため今後の実装が期待されるカモ
*5 前:後=70:30~60:40の車両がほとんど。
*6 旋回中にアクセルを戻す(スロットルを閉じる)とハンドルを切っている方向に急激に切れ込む(オーバーステアになる)現象。そのまま内側のガードレールに激突したり、慌ててアクセルを開けると今度はアンダーステア傾向に変化してカーブの外側へ飛び出したりと、思わぬ重大事故につながることもある。しかし、この特性を逆手に取ればタックイン(オーバーステア)とアンダーステアを利用して連続するカーブを速く安定して走りぬけることもできる。
*7 エンジンのクランクシャフトが、車の進行方向に対して横向きになるエンジンの搭載方法。軽自動車をはじめとした多くの乗用車はFFの横置きが多い。
*8 ハンドルを切ってもいないのに車が曲がろうとする現象。急激にアクセルを踏み込むことで大きなパワーが車体にかかると発生しやすい。横置きFF車登場時より「悪癖」とされる。
*9 近年では電子制御技術の向上によってあまり発生しなくなっているが、高出力のエンジンを搭載した場合(例:マツダスピードアクセラや先代フォードフォーカスRS等)は発生しやすい。
*10 アウディスバルはこのトルクステアを嫌い、エンジンを縦置きに搭載している。左右のドライブシャフトの長さを同じ(対称)にすることで駆動力の伝わり方の差を無くしてトルクステアを解消するためである。また、縦置きエンジンのFFは四輪駆動(4WD)化しやすいレイアウトになるため、両社ともにこれを付加価値ともしている。
*11 ユニバーサルジョイントともいう。継手のなかで2つの材の接合する角度が自由に変化する構造で、自動車ではドライブシャフトなど回転力を伝える必要があるが揺動などの屈曲があるために1本の軸にできない場合、その角度変動を吸収するために使われる。
*12 トヨタ・カムリやホンダ・アコードなどは高級車であるがFF方式を採用している。また、近年では電子制御のエンジンマウントが普及してきたことで振動減少に大きく貢献している。
*13 フランスの自動車メーカー・シトロエンは1934年にデビューしたトラクシオンアバン以降、積極的にFFレイアウトを導入している。デビュー当時トラクシオンアバンは直進安定性と室内の広さから非常に高い評価を得、その後もFFにこだわり続けて現在は最も下のクラスからフラッグシップモデルまでほぼ全てFFを採用、上のクラスにはハイドロニューマティックサスペンションを採用するなどして乗り心地の向上を行ったりした。更に一部のモデルには直6やV6ガソリンエンジン、V6ディーゼルエンジンをラインナップしつつも振動などをうまく抑え、FFとは思えない走りと快適性を実現している。
*14 名称の由来は、開発者であるダンテ・ジアコーサから。
*15 こちらも名称の由来は開発者の、アレック・イシゴニスから。
*16 他に有名なFFのスポーツカーは、同じくホンダのCR-X、トヨタ・セリカ(4代目・T160以降)、三菱・FTOなどがある。
*17 規定によりリストリクターでパワー制限されているため、500ps前後までは可能かと思われる。しかし前述のトルクステア等のFF車特有の挙動をどう押さえるかという問題がある。また、大前提としてWTCCの車両は全幅1900mm級で幅24cm×外形610mmのスリックタイヤが使用されている。
*18 そのLMP1マシンもコーナリングで大きく遅れてしまいクラス下の車両とコーナーで競り合うという状態であった。
*19 しかもカローラは本来存在しない「1.5L/1.8Lエンジン+5速MT+4WD」というオリジナルの組み合わせで登場している。
*20 前述のシビック、インテグラは、スポーツグレードのタイプRはFFのみであるが、ベースとなる車両には4WDの設定があるモデルもある。この通常モデルや兄弟モデルの4WD用パーツを使用して駆動方式を変更する設定にする、など。アメリカでは比較的こういった駆動方式からいじってしまうチューンは定着しているらしく、ドリフト業界ではインテグラにCR-V用の駆動系をアレンジして取り入れFR化してしまったケースが過去にあった。
*21 また、FFの4WD化では兵庫県佐用郡にあるプロバイルというショップで、本来FFしかないダイハツ・コペン(初代L880K型)にダイハツの他車種4WD用パーツを用いて4WD化したコンプリートカーを製作したことがあり、一般ユーザーからの製作依頼も受け付けている。
*22 チューニングの要素は存在するが、戦闘力という数値で車の性能を表している。一応駆動方式を参照するモード自体は存在するが、そこまで厳密に再現するゲームデザインにはなっていない