【デスタムーアVSダークドレアム】

Last-modified: 2024-01-20 (土) 12:26:33

DQ6

DQ6の裏ボス【ダークドレアム】を20ターン以内に倒すと発生する(堀井雄二いわく)ギャグイベント。
ダークドレアムが【主人公】に代わって【デスタムーア】を倒してくれるのだが……その様子はもはや「戦い」とすら呼べぬ極めて一方的な「蹂躙」。
あまりに衝撃的かつツッコミ所満載な内容は、最早ギャグ漫画のごときハチャメチャ、というかもうゲームの領域を超越している。
この一戦により、「時に魔王すら糧としてしまう」というダークドレアムの恐ろしいまでの強さと、【グレイス王】の決断も完全には間違っていなかったことが証明される。
 
ダークドレアムが主人公の願いを聞き入れると一瞬にして【ムーアの城】の最深部にワープ。
突然現れた侵入者に狼狽えるデスタムーアを前に、ダークドレアムは彼の打倒を容易いと宣言。
しかもデスタムーアに背を向け、【ハッサン】の説明書での立ち絵と同じ仁王立ちのポーズを取りながら言う始末(リメイク版では普通に直立しているが)。
流石にデスタムーアも「おろか者め! 思い知るがいいっ!」と誰かのごとく激昂し、ダークドレアムに戦いを仕掛けるのだが……。

VSデスタムーア第1形態

デスタムーアは【はげしく燃えさかる炎】【いてつく冷気】【イオナズン】に加え、主人公たちには使わない【かがやくいき】まで放つが、対するダークドレアムはこれら怒涛の攻撃を「ミス!ダークドレアムはまったくダメージをうけないっ!」と呆気なく一蹴。
回避行動すらも一切とらずにイオナズンを笑い、かがやくいきで涼む姿に衝撃を受けたプレイヤーは多いはず。
 
さらに激しく燃え盛る炎や凍てつく冷気は必中かつ【無属性規定ダメージ攻撃】を含んでいる。
つまりドラクエのシステム上、【アストロン】中でもない限りダメージを受けないということは絶対にあり得ないはずなのだ。
主人公たちと戦った時は【ひのいき】【メラ】ですら普通にダメージを受けていたダークドレアムが、デスタムーアの猛攻にダメージを受けない。
主人公相手にどれほど手を抜いていたのだろうか…?
「戦闘システム」という概念すら無視する点からして、このイベントがいかに非常識なものかが分かるだろう。
 
のっけからプレイヤーの常識をぶち壊すダークドレアムだが、最も酷いのは凍てつく冷気への対処。

なんと ダークドレアムは
その れいきを うけとめ なげかえした!

【呪文】でも【ブレス】でもない攻撃を跳ね返す。冷気って受け止めたり投げ返したりできるものだっけ……?
そして投げ返された冷気はデスタムーアに直撃するが、この時のダメージもおかしい。

デスタムーアに 578のダメージ!

凍てつく冷気のダメージは通常130前後。それに対して、投げ返して与えたダメージは578。冷気を投げ返しただけでダメージが4.5倍にも増えている。
もしやこれが【ギガスロー】の原型なのではとも思うが、流石に理不尽すぎる。
 
そしてダークドレアムは【ベギラゴン】のような通常攻撃を放ち、9999ダメージのもと第1形態を撃破する。
ベギラゴンではない証拠として、呪文の効果音が出ない点と「ダークドレアムのこうげき!」と通常攻撃のテキストで表示される点が挙げられる。ヒーローズ2の【デュラン】みたいに炎の剣でも使ったのだろうか。
ちなみにDQシリーズでの9999ダメージは【テンション】が実装されたDQ8以降でも滅多に見られず、ダメージインフレが進んで4桁ダメージが容易に出せるようになったDQ11でさえ容易ではない。
それをバイキルトも守備力ダウンもかけていないただの「通常攻撃」で与えてしまったのだから、この時のダークドレアムの推定攻撃力は20124
こんなイカれた数値に近づくことが可能なのは【魔界神マデュラーシャ】くらいなものである。
流石自称破壊の神…。
 
参考までにデスタムーア第1形態の守備力は250、HPは2000。
第2形態は守備力300でHP3000、最終形態は守340のHP2500。左手2000、右手1700で計6200相当となる。
 
…まあ、こんなふざけた(推定)攻撃力の前では守備力が50だの90だの上がったごときでは何の影響もないだろう。なにせ90も上がってなお精々20数ダメージしか減らないので、あとの9900ダメージは小揺るぎもしない。

しかもよくよく落ち着いて見ると、この9999ダメージですら、手加減で攻撃している事実が見えてくる
そりゃ「容易い」と言い切るわけだ。
 
プレイヤーの理解を軽く踏み越えている事態の雨嵐だが、これはまだまだ序の口。

VSデスタムーア第2形態

「お、おのれ…こざかしいヤツめっ!」と変身するやいなや突進するがもちろんビクともしない。
立て続けに放った【ルカナン】も当然効かない。
 
ならばと【しゃくねつ】で攻めるも、炎を吐いたのを見てからの【おいかぜ】で跳ね返されてしまう始末。
本来事前に発動させないと意味がないおいかぜを後出しで成功させるところにも、規格外ぶりが見て取れるだろう。
リアルタイム制のDQ10なら話は別だが、そのDQ10にしてもブレスは発動が早いので、見てからのおいかぜは困難なのである。
 
後出し追い風だけでも呆気に取られるが、それで表示されるダメージ値がまたもや酷い。

デスタムーアに 753のダメージ!

ちなみに灼熱の本来のダメージは160前後。やっぱり4.5倍もの威力になっている。
相手がブレスを吐いたのを見てから発動でき、しかも4.5倍の威力で跳ね返すなんて、とんでもないインチキ追い風である。
 
そしてデスタムーアは更にバイキルト、【スカラ】×2からの突進を仕掛けるが、ダークドレアムの放つ「凄まじいオーラ」とやらであっさり敗北。しかも、「うぎゃあっ!」と叫びのおまけつき。大魔王がこんな叫び方をしてしまうのだから、よほど恐ろしいオーラだったのだろう。
本人は相当必死に立ち向かおうとしているはずなだけに、ここまでくるとかわいそうになってくる。
この時デスタムーアは4回も連続行動しているのだが、それでもなおこの有り様。
 
魔王の渾身の一撃ですらあっさり返り討ちにしてしまう気迫。それがどれほど凄まじいのかは以降まったくダメージ表示が出なくなる演出が物語る。
あのベギラゴンのような攻撃よりこの気迫の方が強いというのか……。
後に「凄まじいオーラ」はDQMSLにて特技として実装され、スカラは「無駄でスカラ」などとネタにされた。
 
なお「無駄でスカラ」は元々前作DQ5における守備力関係のメッセージバグが由来なのだが、仮にメタル系並みの守備力があったとしても
あの圧倒的な推定攻撃力の前では結果は同じだったろう……。

VSデスタムーア第3形態

流石のデスタムーアも
「はあ…はぁ… もう許さぬぞ… ついにわしを怒らせたな……」
と怒りが頂点に達した様子で、最終形態に変身するやいなや【ひだりて】で掴みかかって締め付ける。
だがドレアムはあっさり振りほどき、同時に左手を粉砕。またもダメージの表示は無い。

 
その後も【あやしいひとみ】【ひばしら】を仕掛けるが、今更こんなものが効くわけがない。
そしてダークドレアムは、

さて……
おあそびは ここまでだな。
そろそろ おわらせよう……。

との宣言のもと、怒濤の連続攻撃フルコースを繰り出す。
そのラインナップはイオナズン→【マヒャド】【ギガデイン】【ビッグバン】【マダンテ】【ジゴスパーク】
案の定、ダメージ表記は無し。
例によってすべて通常攻撃だが、デスタムーアすら恐れた伝説の呪文をもあっさり再現している辺り、さすがにドレアムも本気を出したのだろうか。
システム上ただの「こうげき」となっているが、連続攻撃という点で言えば後に彼の必殺技となる【魔神の絶技】を放ったのかもしれない……。
なんかもうダメージが1億を突破していそうなこの猛攻の前に本体と【みぎて】は為す術なく粉砕されて戦闘終了。
 
ダメージの表示はもちろん、それどころか通常は戦闘勝利時に必ず表示されるはずの「デスタムーアを やっつけた!」の一文すら無い。
 
まさに「破壊と殺戮の神」の異名に偽りなしといったところか。

倒した際、SFCではデスタムーアが消滅する際と同じ叫び声のようなものが聞こえるが、DS版では何も鳴らず、次のシーンに切り替わる。

余談

このイベントのせいで「デスタムーアは大したことない」と思われがちなようだが、いざ戦ってみるとやっぱり手強いと感じるだろう。
というかデスタムーア撃破は歴代【ラスボス】の中でもかなり高難度の部類に入る。本人の名誉のためにも言及しておくが、決して彼は弱くはない。
もちろん同じレベルの主人公たちが戦う分には(このイベントほど極端ではないにせよ)ダークドレアムの方が遥かに強敵ではあるが、チートを使ってダークドレアムを主人公たちと戦闘する時のステータスでデスタムーアと戦わせると、非常にアツい大接戦になる。時にはデスタムーアが勝利することもある。
 
そんな彼ですら規格外の相手の前では一矢報いることもできずフルボッコにされる……そのぶっ飛んだイベントには多くのプレイヤーが驚いたことだろう。
【ピサロ】と比べるとだいぶベクトルは異なるものの、考えてみればこれもある意味「哀しき悪役(可哀想なラスボス)」であり、5ch(旧2ch)で時々立てられる「哀しき3大悪役を再定義するスレ」ではたまにデスタムーアの名前が挙げられることも。
 
【堀井雄二】は「規定ターン以内に倒せたら【エスターク】が仲間になる」という都市伝説をネタに、一種のギャグとしてこのイベントを入れたらしい。
ドラクエの戦闘におけるルールをことごとく無視した展開になっているのも、ダメージ値があまりにもテキトーになっているのも、ギャグイベントであるがゆえか。
ギャグのダシにされ、威厳も潰され、理不尽極まりない蹂躙の被害者にされたデスタムーアが不憫でならない。
 
ちなみにこのイベントで敗れたデスタムーア、SFC版では「いったい どういうわけなんだ…」と、いきなり現れたダークドレアムに怒涛の連撃を浴びせられ、わけもわからないまま無惨に散っていったが、リメイク版では何故か通常の【エンディング】と同じにされてしまっており、SFC版をプレイした者にとっては違和感が拭えない結末となっている。
また、【ゼニスの城】【兵士】台詞が追加される。
 
なお、ノーセーブでデスタムーアを倒した場合、ストーリー上では【ミラルゴ】を倒した時点 (【ドラゴンのさとり】入手のために【スライム格闘場】に行ける最速タイミング) で【お楽しみダンジョン】に挑めるようになるが、【デュラン】撃破前まではダークドレアムを20ターン以内に倒してもイベントは起きない。
逆に言えば、デュランを倒した直後なら【はざまの世界】に踏み込む前であってもイベントを起こせるので、「デスタムーア死亡後に知らない人が話しかけてくる」「【ファルシオン】実体を取り戻してないのに飛んでる」といった不思議な光景を見ることができる。
賢者の名前が出る【欲望の町】あたりがイベントフラグになっていれば、このような不自然な現象は起きなかったかもしれない…。
リメイク版ではお楽しみダンジョンに挑むためにクリア時のセーブが必須になり、そのセーブデータは確実に【ムーアの城】まで到達している状態なので、このような齟齬はなくなった。
 
ところでダークドレアムの姿は、デスタムーアの部下である【デュラン】【サタンジェネラル】と同じ姿の色違いである。自分の部下と同じ姿をした者にコテンパンにやられるというのは中々にシュールである。リメイク版では単なるデュランやサタンジェネラルの色違いでは無くなったが。

DQ11

エンディングにおけるDQ6のシーンで流れる。公式から名誉ある3つの場面の1つに選ばれたわけだが、これもまた「エンディング」。
こんな時までネタにされるとはなんだか不憫ではあるが、類い稀なるラスボス蹂躙イベント。
それほどまでの強烈なインパクトを残したということなのだろう。