DQ11(3DS版) 
3DS版限定のサブイベントで【ヨッチ村】の祭壇の間から行ける過去の【ドラゴンクエストシリーズ】の世界。
祭壇の間にある10個ある祭壇の上には、異なる世界に生きた伝説の功績─つまり過去のDQシリーズのストーリーが【冒険の書】として刻まれている。
1つの祭壇が1つの作品に対応しており、祭壇の名前は各作品の【サブタイトル】から取られているが、サブタイトルの無いDQ1は「始まりの」となっている。
これらの冒険の書が何者かによって汚されてしまったため、主人公たちは【時渡りの迷宮】に【ヨッチ族】の戦士たちを潜らせて【冒険の書の合言葉】を手に入れ、それに応じた世界を救うことがここでの使命となる。
各祭壇からはそれぞれ3つ(DQ10のみ2つ)のマップに行くことができ、冒険の書の合言葉が増えるごとに行けるマップが増えて行く。
中の世界で受ける【クエスト】をクリアするとそのマップを救ったことになり、1つの祭壇のマップを全てクリアするとその世界に応じた「勇者の像」(ナンバリング作品の【主人公】の銅像)が出現する。伝説の魔物使いも天使も最後のエテーネも【勇者】の像として取り扱われる。
基本的に1つの祭壇の中で全てのイベントが集約されている訳ではなく、他の祭壇(すなわち他の作品)との絡みも少なからず存在する(DQ5の【ビアンカ】が、DQ5の世界には存在しないであろうDQ8の【ラパンハウス】の名前を挙げたりするなど)。
その為、1つの祭壇のクエストを全てクリアするには、別の祭壇か本作の世界のどちらかを経由しないとクリアできないようになっている(例えば、DQ8の祭壇を全てクリアするには、DQ5の祭壇に入らなければならず、DQ9の祭壇を全てクリアするには本作の世界を経由しなければならないと言った具合)。
唯一、DQ1の祭壇は別の祭壇を経由する訳ではないが、本作の裏ボスを撃破しなければならないので、実質的に本作の世界が攻略に関わっている。
10個の祭壇を全てクリアすると【追憶の神殿】への道が開き、そこには11個目にして本作に対応した祭壇(過ぎ去りし時の祭壇)がある。
その中では冒険の書を汚した追憶の番人達との【戦闘】になり、彼らに勝利すると、過ぎ去りし時の最果てでこの事件の発端である【時の破壊者】と戦うことになる。
倒すと本作の祭壇に、他のナンバリング作品の主人公達と同様【主人公(DQ11)】の銅像も出現し、晴れてこのサブイベントは終了となる(時の破壊者を撃破するという事は、裏シナリオを全てクリアして、真の【エンディング】を見た後という事なので、本サブイベント終了を以って3DS版DQ11のシナリオを完全クリアしたという見方もできる)。
「過去作の世界に乱入する」というコンセプトは、DQM1の「○○のとびら」に通じるものがあるだろう。
世界の特徴 
冒険の書の世界では、グラフィックや戦闘中のBGMも該当するタイトルのものに変更されるファンにうれしいサービス付き(ただし、魔物と戦う機会のないDQ10の戦闘BGMだけは残念ながらない)。
ただ、各世界の【主人公】は旅立った後である事が多く、DQ10以外は出会えない。DQ3の【勇者の実家】とDQ9の【天使界】は本編開始前の時系列になっており、勇者の実家に至っては主人公は生まれてすらいない。
ボス戦も【バラモス】以外は通常戦闘のBGMが使われているが、DQ6はオーケストラ版準拠のため、前奏が入っている。
ここでは原作に従い、3D・2Dどちらのモードでプレイしていても一時的にモードが固定され、【モンスター】も2Dもしくは3D固定になっている。
特に、この冒険の書の世界にしか登場しないモンスターの場合、【討伐モンスターリスト】でも実際に出現しうる方のグラフィックしか表示されない(なお、内部データ上には3D限定モンスターの2Dグラフィックもきちんと存在している)。
- DQ1~DQ6は2Dモード固定で【ランダムエンカウント】。
- うちDQ1とDQ4はグラフィック・BGMともFC版のものになり、勝利とレベルアップのMEはFC版DQ1のものに、全滅のBGMはFC版DQ3のものになる。主人公たちの姿は1キャラ【4色】(3色+透過色)のみの正方形スタイルに(【おしゃれ装備】は反映されない)。DQ1は主人公たちだけ横や上を向いたグラフィックが存在する。移動速度は遅く、斜め移動不可。
- DQ2はSFC版『DQ1・2』ベースで、主人公たちは同作に合わせたフルカラーの正方形スタイル(おしゃれ装備は反映されない)。移動速度は遅く、斜め移動不可。
- それ以外はSFC版ベースのマップで、キャラや移動操作はDQ11の2Dモード標準仕様。斜め移動可。
- DQ7~DQ10は3Dモード固定で、【シンボルエンカウント】(【フィールド攻撃】可)。マップは原作に忠実だが、キャラやモンスターシンボルは本作DQ11の3Dモードの仕様になっている。
- DQ7は3DS版準拠で、俯瞰視点。
- DQ8とDQ10は、原作に準じて後方視点。
- DQ9は俯瞰視点だが、【NPC】が2Dだった原作と異なり全て3D描写になっている。
- DQ11の過ぎ去りし時の祭壇では、追憶の神殿の1層と2層が2Dモード、3層と過ぎ去りし時の最果てが3Dモード固定になっている。
始まりの祭壇(DQ1)と目覚めし者の祭壇(DQ10)以外の各々の作品のマップは必ず1つだけは【ダンジョン】になっており(ただしDQ3は同一のダンジョンで2枠使用している)、一部を除いて原作での構造や仕掛けが丸ごと再現されており、【エンカウント】が発生する。
ただし【中断】セーブと【ルーラ】は使用できず、【リレミト】を使用した時は各世界とヨッチ村を結ぶ旅の扉の前まで戻される。
また、3DモードとなるDQ7以降のダンジョン【カラーストーン採掘場】、【トロデーン城】、【見えざる魔神の道】においては、【魔道士ウルノーガ】の討伐後に訪れると、討伐モンスターリストで今いるマップのモンスターを確認する事ができなくなるバグが存在する(詳しくは【討伐モンスターリスト】を参照)。
一方、これらのダンジョンは本編の世界と同様に、下画面にマップが表示されるようになっている。
エンカウントする敵は、対象作品に登場するものが多いが、中には違う作品の敵が混ざっていたりする。
DQ11本編と共通のモンスターが多くを占めるが、冒険の書の世界限定のモンスターも存在する(このうち【転生モンスター】が3種存在)。
冒険の書の世界限定のモンスターは11本編のモンスターと比較すると、【MP】が非常に高い者や全属性耐性が等倍になっている者、【状態異常】の耐性面に穴が多い者が多数いる。例外的に【わらいぶくろ】系統はほぼ全ての状態変化に完全耐性を持っている。
目覚めし者の祭壇ではモンスターの出る場所がないため、DQ10初出モンスターは他の冒険の書の世界に出る。
また、【強モンスター】や【邪モンスター】は仲間呼びを除いて出現しない。
おかげで天馬の塔の【リビングデッド】やロンダルキアへの洞窟の【キラーマシン】などが周囲の強さに追いついていない。
ダンジョン以外のマップはエンカウントの発生しない【町】や神殿などになっているが(チュートリアルでもある始まりの祭壇のガライの町はクエストクリア前に限ってエンカウントする)、一定の範囲内しか動き回ることができず、外に出たり【階段】を降りたり、建物に入ったりすることは基本的にはできない。
またダンジョンと異なり、表示モードに関係無く下画面にマップが表示されない。
クエスト 
冒険の書の世界では、各マップで1つずつクエストが用意されている。
ダンジョン型マップで受けるクエストは、単純にダンジョンを攻略し、奥にいるボスを倒せばクリアとなるものが多いが、それ以外のクエストの多くはその世界単体ではどうする事もできず、他の冒険の書の世界に行って別のイベントをこなす事でクリアできるようになっている。
中には別の世界を3つほどはしごしていくクエストや、元の世界(【ロトゼタシア】)の【本棚】からアイテムを取って来るクエスト、【ふしぎな鍛冶】を利用するクエストもある。
その為、基本的には時渡りの迷宮で集められる合言葉を全て集めればクリアできるが、DQ1のラダトームはシナリオ完全クリア後でなければクリアできない。DQ4の山奥の村も【レシピブック】の関係で、過ぎ去りし時を求めた後までお預けとなる。
冒険の書の世界一覧 
「階層」は、その冒険の書の合言葉を入手できる時渡りの迷宮の階層。*は、その前の世界のクエストをクリアすると新たに貰える。また、過ぎ去りし時の祭壇には、他の冒険の書の世界を全てクリアした後に行けるようになっており、【追憶の神殿】の1層には訪問時から既に行ける(合言葉を必要としない)。
クエストクリア報酬として入手可能なアイテムは、下記の表を見られば分かる通り、迷宮の上の階層で手に入る合言葉から行ける世界の報酬は、他の場所でも容易に入手可能な装備品などが多いが、下の階層に行くに連れて報酬も豪華になっていく。
中にはここでしか入手できない装備品やアイテムもあり、それらは全て冒険の書の世界限定のアイテムとなっている。
目安としては、1階層~5階層で入手できた冒険の書は異変前に、6階層~8階層のは世界に異変が起きた後に、9階層・10階層のは過ぎ去りし時を求めた後に挑むのがいいだろう。
※は3DS版限定アイテム
DQ11S 
3DS版のものを移植しており、今作でも楽しめる。
冒険の書の合言葉はロトゼタシア各地に配置されたヨッチから入手できるようになり、3DS版DQ11のようにすれちがい通信の有無で挑戦タイミングがずれるようなことはなくなった。
逆にしっかり探索していれば、適切な時期を逃すこともなくなった。もし見逃したとしても、「せんれき」の「合言葉ヨッチ」で居場所を確認できる。
冒険の書の合言葉が手に入る時期は、一部を除いて上の一覧の解説で書かれている順番通りとなっている。詳しくはこちらを参照。
これにより異変が起きる前から強力なアイテムを先回りして入手することはできなくなったが、「教育ママの苦悩」で手に入る女神のムチや、見えざる魔神の道の深層の敵からのドロップは、時期的にもずば抜けたスペックを持っている。
DQ11Sの冒険の書の世界は全て2Dモード固定の場所となった。3DS版では3Dモード固定となっていたDQ7以降の世界は新規に2Dでのマップが作られ、逆にFC版やSFC版をそのまま再現していたDQ1~DQ6は、SFC版DQ3に準じたグラフィックにリニューアルされている。勇者の実家、バラモス城、天馬の塔は3DS版からほぼ変化無し。
タルや壷は3DS版と異なり、調べると破壊するようになった。
BGMや各種MEはDQ4以前のものに関してはFC版のものがそのまま再現され、DQ5以降とリメイク版DQ3の曲は新規にFC風に作り直されたものが使用されている(動画サイトでよくある「◯◯をFC音源で演奏してみた」のようなもの)。なおライフコッドのBGMが密かに【フォークダンス】から【木洩れ日の中で】に変更されている。
ニンテンドードリーム2019年11月号の開発者インタビューによれば、PS4版に近いグラフィックで作り直す案や3DS版のグラフィックをそのまま再現する案などもあったが、容量や開発期間の問題もあり、八木ディレクターの提案で全て2Dに統一する方針になったという。
またBGMも「SFC風だとシンセサイザー音源の劣化版にしか聞こえない」との判断により、あえてFC風にしたと岡本Pが語っている。
原作の再現と追体験を重視した3DS版に対し、11Sでは全ての世界で統一感が出たともいえる。
これに伴い、ゲームシステムは3Dモードから来る場合もヨッチ村と冒険の書の世界は2Dモードに切り替わり、戦闘をはじめとする各種システムも2Dモードのものとなる(ターンの始めに全員分のコマンドを入力するなど)。2Dモードなので新機能の「見た目装備」も適用されない。
さらに3Dモードから訪れている場合、冒険の書の世界では【討伐モンスターリスト】が見られないなどの制約がかかる(もともと2Dでプレイしている場合は制約はかからない。【ヨッチ村】の頁も参照)。
なおスキルパネルは2Dモードの仕様で利用可能。
クエストやイベントの内容に変化はなく、3Dモードでの【王たる者】と【ぴちぴちギャル白書】の拾得方法が若干違うのみである。
ただし、合言葉ヨッチの居場所の関係から、冒険の書の世界を全てクリアするには、本編の任意イベントのうち以下が必須となった。
- 【イシの村】の復興。それに必要な以下の4イベントも必須となる。
- 【神の岩】でのヘルコンドル・邪討伐
- 【ダーハルーネの町】での魔物撲滅
- 【グロッタ地下遺構】でのアラクラトロ・邪討伐
- 【ミルレアンの森】でのムンババ・邪討伐
- 【ネルセンの迷宮】を【勇者の試練】まで進める。このために最低でも【ネルセンの最終試練】は2回(【憤怒の海獣】まで)クリアが必要
モンスターは【ナウマンボーグ】などゾウ型モンスターが削除されており、【ナウマンムーア】は【セルゲイムーア】に変更された。
また時の破壊者に関しては、倒してもクルッチが仲間にならないように変更されているが、代わりに追加された【失われし時の災厄】【失われし時の怨念】の出現フラグに関わるようになった。
海外版ではこのDQ11Sで冒険の書の世界が初登場となり、地名や人名は最新版の【DRAGON QUEST】のものが使われている。
各祭壇の名称も英語版であれば、例えば 'Altar of the Cursed King' のように英語サブタイトルのofの後の部分が使われている。ただし始まりの祭壇(DQ1)はOrigin、幻の大地の祭壇(DQ6)は製品版のRevelationではなくDS版発表時に使われたReverieとなっており、目覚めし者の祭壇はDQ10が英語圏でサービスされていないため「未翻訳」を意味するthe Undecipheredとなっている。