マチェス遺跡は標高の高い山岳にある。 岩肌の見える遺跡群は入り口にしか過ぎず、山そのものが遺跡ではないかと思えるような地下迷宮が広がっている。 遺跡へ通じる道は崖崩れにより巨石で封じられていたが、ファウストによって砕かれた。
通常 | 魔性 | 宿った | 伝説 | 恐ろしい | 壊れた | |
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推奨Lv | Lv28 | Lv47 | Lv63 | Lv82 | Lv105 | Lv |
攻略Lv | Lv34 | Lv56 | Lv75 | Lv101 | Lv131 | Lv |
階層数 | 4F | |||||
探索判定回数 (1階あたり) | 踏破前:18回 踏破後:6回(4F以外)・12回(4F) | |||||
進行(踏破前) | 110秒 | 140秒 | 190秒 | 260秒 | 410秒 | |
進行(踏破後) | 82.5秒 | 105秒 | 142.5秒 | 195秒 | 307.5秒 | |
探索時間(踏破前) | 02:12:00 | 02:48:00 | 03:48:00 | 05:12:00 | 08:12:00 | |
探索時間(踏破後) | 00:41:15 (2475秒) | 00:52:30 (3150秒) | 01:11:15 (4275秒) | 01:37:30 (5850秒) | 02:33:45 (9225秒) |
※時短無し・探索時間等倍での数値
出現モンスター
- 道中出現
- ボスのみ出現
名称 出現場所 ミノタウロス(魔物) ダンジョンボス
1Fフロアボス
迷宮称号の軟体生物×2 +ランダムな基本編成 |
2Fフロアボス
迷宮称号のブラックチューブ×2 +ランダムな基本編成 |
3Fフロアボス
迷宮称号のファントム×2 +ランダムな基本編成 |
ダンジョンボス
敵はいずれも迷宮称号
レアアイテム
ダンジョン内イベント
マチェス遺跡は標高の高い山岳にある。
岩肌の見える遺跡群は入り口にしか過ぎず、山そのものが遺跡ではないかと思えるような地下迷宮が広がっている。
遺跡へ通じる道は崖崩れにより巨石で封じられていたが、ファウストによって砕かれた。
古代遺跡の多くは、計算し尽くされたような美しい立体構造をしている。
しかしマチェス遺跡は他の古代遺跡とは違い、雑な作りであった。
山をくり抜いて空間を作り、石を敷き詰めて作ったような構造をしている。
作った人種が違うのか、それとも時期が違うのか、考古学者ならば多いに興味を持つことだろう。
しかし冒険者たちの興味はどんな魔物が居るか、どんな財宝があるか、である。
通路を進んでいると、財宝は見つからなかったが気になるものを発見した。
何者かの死体である。
壁に寄りかかるようにしてこの場所で力尽きたようだ。大きな外傷がある。
斧のような巨大な得物でやられたのだろう。
遺留品を調べると奇妙なカードがいくつか見つかった。カードには文字が書かれている。
読み取れたものには「ジェームス」と書かれていた。
名前だろうか。
遺跡の通路は巨人でも楽に通れそうなほど広い。
そして、迷路のように複雑に入り組んでいる。
冒険者たちは地面に大きな足跡を見つけた。
「モォォォォオオオオオ……!」迷宮内に何者かの雄叫びが響き渡った。
何か怪物が居るようだ。
もしかしたらこの迷宮は、強力な魔物を閉じ込めるために作られたものではないだろうか。冒険者たちはそのような思いにかられて緊張が生じた。
通路の奥に何かの気配を感じた。
長柄の武器を持った巨大な人影が見える。
それは強力な敵意を隠す事無く近づいてくる。
荒い息づかいが聞こえる…!
やがてそれははっきりと姿が見える距離まで近づいて来た。荒い息づかいで血走った目を向けるそれは、首から上が牛の顔をした怪物であった。
その姿を見たとき、冒険者たちには強烈な嫌悪感が生じた。
「モォォォォオオオオ!」
怪物は雄叫びを上げながら襲いかかって来た。
冒険の手記(全16)
ここに閉じ込められてどれだけの時間が経っただろうか。
外には怪物がうろついている。
出たら殺されるだろう。
遺跡調査隊の他のメンバーはあの怪物にやられてしまった。
恐ろしい容姿をもち、身の毛もよだつような叫び声を上げる怪物だ。
護衛に雇った冒険者たちも皆やられてしまった。
高い金を出して腕利きを雇ったのに、あっという間だった。
私は夜目が効く事が幸いであった。
暗闇の中をあの怪物から逃げ延びることが出来たのだ。
あの怪物はランプを持つ者を狙って襲いかかっていた。
どうやら明かりを嫌うようだ。
逃げ延びた私は迷宮の奥に奇妙な扉を発見した。
私はこの扉を別の遺跡でも見た事がある。
カードが鍵となる不思議な扉だ。
私はこの扉の開け方を知っている。
途中で拾ったカードが役に立ったのは幸運であった。
この部屋は安全だ。
あの怪物もこの部屋の扉はやぶれないようだ。
しかし、迷宮から脱出するにはあの怪物をどうにかしなければならない。
部屋には様々な資料と不思議な装置が置かれていた。その資料を読んでわかった。
この迷宮をうろついていた怪物は魔造生物だ。
古くから伝わる伝承には、神々は魔造生物を使役していたとされている。
ならば、あの怪物を操る方法もあるはずだ。
ここの資料にもそれらしきものが書かれている。
資料が本当ならこれで魔造生物を支配できるはずだ。
わずかな材料と部屋の装置を使って宝石を加工することに成功した。
精神波を増幅させる効果がある宝石。これで魔造生物を支配できるらしい。
あの怪物に通用するかはわからないが、この部屋を出る時が来た。
以前に襲われた時、あの怪物は明かりを追いかけていた。
幸いな事に私は夜目が効く。
闇に紛れて脱出を試みよう。
あの怪物に見つからずに迷宮から出られるならそれにこした事は無い。
怪物に見つかってしまった。
下手に逃げても追いつかれるだろう。
怪物の走力からは逃げられない。
宝石を試す以外に手段は無かった。
成功した。
怪物は大人しくなった。
宝石で精神を増幅して直接会話が出来るようだ。
この宝石があれば神のように魔造生物を飼いならせるかもしれない。しかし材料はもう無い、残念だ。
そう言えば機械学者の連中が精神の増幅装置を作ると言っていた。何の意味があるのかと馬鹿にしていたが、その装置で怪物を操れるようになるかもしれない。
機械仕掛けならサイボーグに埋め込むことになるのだろう。
きっとまた奴隷を使って実験を進めるのだろう。嫌な連中だ。
脱出に向かう私の後ろを怪物がおとなしくついてくる。
怪物はずっとこちらの様子を伺っている。
襲いかかる隙を伺っているのだろうか。
何を考えているのか……。
ダメだ、違う。
これは支配しているわけではない。
これは操っているわけではない。
ただ、会話ができるだけなんだ。
牛頭の怪物はじっとこちらを見続けている。興味を示しているが服従ではない。
怒らせたら襲ってくるだろう。
どうすれば喜ぶのだろうか。この怪物は何に興味を持つのだろうか。
宝石のおかげで怪物の思いが伝わってくるのが分かる。
試しに持っている食料を与えてみた。
初めは訝しげにしていたが、やがて怪物はとって食べた。
そして喜んでいるのが分かった。
この怪物の知能は高くない、何もわかっていないだけのようだ。心の開いた私の対応に興味を持っている。
うまく行けば本当に従えさせる事も可能かもしれない。
怪物との対話にも慣れて来た。徐々にこちらに心を開いていくのが分かる。
しかし、私の心の何かに反応して警戒している。
今の私はこの怪物に対する敵愾心は無いのだが、いったい何が不満なのだろうか。
暗闇の中、迷宮を脱出するべく歩き続けた。
怪物は後ろからついてくる。
しかし、あるところまで進むと怪物は足を止めた。
それより先には進もうとしない。
何か封印や制約があって出られないのだろうか。
なぜ、この迷宮に一人で居るのか。怪物はその問いには答えない。
暗闇の中、じっとこちらの様子をうかがっている。
私は夜目が効くので暗闇でも問題ないが、この怪物にとっては不安があるのかもしれない。
明かりを付けた方が良いのだろうか。
明かりを付けたとたん、襲われた。
不覚だった。
だが、それでようやく気がついた。
その時に発したお前の心
お前は……
お前は『自分の姿』が嫌いなのか。
自分の姿を見て嫌悪する人々の心に耐えられないんだな。
暗い迷宮に一人で居るのは自分の姿を見ないで済むから。
誰にも姿を見られずに済むからか。
だから明かりを付ける者を見ると、恐怖して消そうとする。
自分の姿に怯える者、襲いかかってくる者に嘆き、叫びを上げながら暴れることしか知らないんだな。
今まで怪物呼ばわりして済まなかった。私のその心がずっとお前を傷つけていたのだな。
この先もお前はこの暗い迷宮の中で一人、やって来る者に怯えて生きるのか……
私はもう動けない。
お前にやられた傷だが、恨む気持ちは無い。
心を交わすという事はこんなにも深く残るものなのだな。
誰か、お前をここから出してやれる者が現れると良いな……
伝説のカイザープレート