ハンターと共に
未開の地を切り拓け!
MHFのスピンオフ作品。プロデューサーはMHF同様杉浦一徳氏。
2017年3月30日をもってサービス終了となった。
目次
概要
- 2014年11月27日にサービスが開始されたMHFスピンオフ作品。
MHF-Gの世界観を引き継いだシミュレーション要素のあるRPGである。
アイテム課金制であり、基本プレイは無料のブラウザゲームである。
- 配信の1年以上前からプレビューサイトを開設し、ハンターのイラストを一般公募、
さらにはMHでは類を見ないフルアニメ調のPVなどでサービス開始前から注目されており、
サービス初期のDMMゲームのランキングでは、当時の状況もあって「艦これ」すらも抜いて1位となっていた。- アニメPVで歌われていたテーマ曲「ふぁいっ!」はこの作品のために作曲された楽曲。
歌っているのは本作の一部キャラクターボイスも担当している声優、竹達彩奈氏。
- アニメPVで歌われていたテーマ曲「ふぁいっ!」はこの作品のために作曲された楽曲。
- MHF同様にCOG(カプコンオンラインゲームズ)アカウントでプレイが可能であると発表されたが、
DMM.comオンラインゲームで単独先行配信が行われたのみで実現しなかった。
ちなみに、COGの各ゲームを連携させるカプリンクのトップページには「対応予定」として掲載され続けていた。
- さらに、体験会においてはタッチ操作でプレイできるタブレットのプレイアブル展示もされていたが、
正式サービスはPC(Win・Mac)版のみの展開となった。
ストーリー
- 「近くの村が一晩で滅んだらしい」
不穏な噂がメゼポルタ広場で囁かれるようになった。
森の奥に住んでいた狂暴なモンスターも頻繁に人里で見かけるようになっている。
一体、メゼポルタ広場の周りで何が起こっているのか!?
あなたはメゼポルタ広場のギルドマスターとして、この謎の真相解明に乗り出す。
システム
- プレイヤーはギルドマスターとなり、ハンターを指揮してクエストに出発し、
未開の地を開拓したりメゼポルタに襲い来るモンスターを撃退するという内容になっている。
MHF-Gのスピンオフ作品ということで、MHF-Gに実装されていた一部モンスター達が登場するほか、
登場するハンターもMHFに登場するオリジナル武具を着用している者が多い。
- クエストは双六状のマップを移動する形となっている。
採取ポイントでアイテムを入手し、モンスターと遭遇すると戦闘に突入する。
戦闘はシンプルなターン制であり、HPやST(スタミナ。行動によって消費する)を管理しつつ
採取ポイントで素材を集めたり、行く手を塞ぐ小型モンスターを討伐したりしながら、
最終的にエリアの奥地にいるターゲットのモンスターの討伐を目指す。
- ハンターは、モンスターの討伐で得られる経験値でレベルアップする。
能力が上がるほか、レベルが一定値に達するとハンターごとに新しいアクションを習得し、
大ダメージや状態異常を与えたり、味方を強化したり保護することができるようになる。
レベルの上限やアクションの質はハンターのレア度によってかなりの格差があり、
後述する問題にも直接的に関係している。
- 従来のシリーズ同様、集めた素材から武器を生産し、より強力な武器を装備することでも強化できる。
武器には各種のパラメータ上昇値と属性が設定されている。
ボウガンも属性が固定されており、弾を使い分ける等の要素は無い。
さらに、ハンターごとに装備できる武器種は決まっている。
なお、防具の概念は無い。防御力は武器で上昇し、スキルはキャラクター自身に備わっている。
- プレイヤー自身はギルドマスターであってハンターではないので戦闘には参加しない。
ハンターはフィールド上でスカウトしたり、ガチャによって入手する。
パーティメンバーは最大12人まで組むことができる。
1度に戦闘に参加するのは4人だが、クエスト中はメンバーを入れ替えることが可能。
- ハンターにはそれぞれに声優によるボイスが付いている。
さらに趣味や特技、ハンターになった動機など、ゲームとは関係ない個性も細かく設定されている。
これらの設定は後にストーリーに関わるものであると発表されていたが…。
- ハンターの入手はランダムなので、同じ人物が出現することもある。
この手のゲームの常として、同じキャラクターはパーティに同時加入させることはできない。
よって、余ったハンターは基本的には合成に使うことになる。
異なるハンターに合成するとパッシブスキルを引き継がせることができ、
同じハンターに合成すると4回までパラメータを強化(ブースト)することができる。- なお、ブーストの効果は時間制限があるがSTの上昇は永続的に引き継がれ、
4回ブーストを行うことでブースト効果そのものが永続する仕組みである。
- なお、ブーストの効果は時間制限があるがSTの上昇は永続的に引き継がれ、
問題点
- リリース約半年後となる2015年4月に実施されたイベント「総力戦」の実施以降、
新規イベントの開催やイベントのフィードバックはもとより、定期メンテナンスも一切行われなかった
(不定期でのメンテナンスは行われていた)。
他の中小規模のオンラインゲームと比較しても活発な更新が行われているとはお世辞にもいえず、
DMMゲームのランキングでは最下位の37位にまで転落してしまった。- 大きな理由の一つは、サービス開始直後に起こった不具合とその対応にある。
それは、狩猟中に「データ更新」などが発生して強制終了してしまい、
次回ゲーム起動時に全滅した状態で開始してしまうという不具合を、
なんとサービス開始二日目にして「仕様」と発表してしまったのである。
オンラインゲームである以上サービスローンチ時の不具合はほぼ不可避とはいえ、
このような明らかに致命的であった現象を不具合ではなく、
仕様と断言するという非常識な対応にユーザーからの批判が殺到する事となった。
この仕様(不具合)が修正されたのはリリース一週間後の12月4日であったが、
この時点でサービス開始以前から期待していた大多数のユーザーも離れていってしまっており、
大型イベントである総力戦の開催時には時既に遅しであった。
もはやメゼポルタ荒廃記である。
- また、メインであろう戦闘システムも所謂ポチポチゲーに近い仕様であり、
罠の設置はおろか回避や防御も出来ないなど、モンハンのシステムを全く生かし切れていない。
イベントは周回型のものが主であり、戦闘の単調さもあって魅力が薄い。
早い話が、「モンハンである必要性があまり感じられない」と言ったところである。- 正確に言えば、防御はダメージ軽減効果を持つハンターのアクションとして一応登場はしているが、
ハンティングアクションシリーズのガードほど戦略に変化をもたらすものではない。
罠に関しても、インタビューによると後々実装する予定はあったようなのだが……。
- 正確に言えば、防御はダメージ軽減効果を持つハンターのアクションとして一応登場はしているが、
- 更に、課金関係もかなりきつめに設定されており、
無料プレイでは高性能のキャラクターを入手することが(ほぼ)できない
(=実質課金前提)という前時代的なソーシャルゲームの如きゲームバランスである*1。
戦闘に関して求められるのは工夫や戦略ではなく"(ガチャで引ける)強いキャラクター"となっており、
一部のソシャゲと同じく「札束で殴り合うゲーム」などと揶揄されることとなった。
上記のような状態であったためか頓挫してしまったようだ。
そして、実質的な更新停止から約2年後の2017年3月30日にサービス終了となった。まさにメゼポルタ廃村記である。
「モンスターハンター」という大ブランドを掲げて大々的に広告を打ち、
内容自体もエフェクト関係にかなり力を入れて製作されていたと思われるだけに、
このゲームの大コケは開発、ブランドの評価に大きなダメージを与える結果となった。- 一応、同じゲームで人気最高順位と人気最低順位をとったという点に関しては、
未だかつて前例がないゲームととらえることもできる。
しかし、当初寄せられた大きな期待を見事に裏切り、
挙句にランキング最下位に落ち込んだことを見れば、
結果としてそれが良いか悪いかはいうまでもないだろう。 - DMMにてMHF本編がサービスを開始して直後は、その効果か若干順位が上昇した。
しかしながら、こちら側で特に動きはなかった。
また、サービス終了が発表された直後にも僅かながらランキングが上昇した。
しかし1、2日経てば無論元通りである。
最終日であっても変わることはなく、最下位の61位のままで幕を閉じた。 - なお、同じタイミングでCOGの複数のゲーム*2がサービス終了となった。
理由はいずれも「外部環境の変化により継続困難となった」としている。
同年の春以降にはMHFのサーバー強化及び再統合が控えており、ちょうどいい止め時だったのかもしれない。
- 大きな理由の一つは、サービス開始直後に起こった不具合とその対応にある。
余談
- 本作リリースの時点では、MHF本編におけるガイド娘の衣装はリファインされていたが、
本作では旧衣装のままで登場する。
これは本作が本編(MHF-GG以降)よりも過去の話であるからと説明されているが、
裏話としてMHF-G感謝祭において「ガイド娘の衣装リファインを急遽決定したが、
その時既に(開拓記における)ガイド娘のデザインを発注した後であった」ことが明かされている。
- PVは当作のコンセプトムービーとして作成されていたため、
メゼポルタ広場は2014年時点のMHF本編におけるデザインが使われており、
歌姫など、設定上でも比較的最近登場したことになっている登場人物も姿を見せる。
敢えて整合性を求めるならば、舞台設定はMHF-G3の頃だとすると矛盾は無い。
- アニメーションPVには、メゼポルタへ襲撃する謎のモンスターのシルエットが登場している。
そのモンスターだが、超大型モンスターにも分類されるであろう巨躯であり、炎ブレスを扱う、
赤く輝く目を持つ、翼のようなものも見られるなど、
現状確認されているどのモンスターにも合致しない特徴を持つ。
順調にサービスが継続されていれば戦うこともあったのだろうか……。
- 作中のBGMは、大半がMHFに登場するもののアレンジとなっている。
MHFにおける屈指の名曲として名高い「底なしの畏怖」や「天空の聖域」などのアレンジもあり、
BGMに関しては高く評価する声も。
ただし上記の問題点ゆえにプレイを継続していたユーザーは非常に少なく、
なおかつそれらのBGMが流れる場面まではかなりストーリーを進めなければならなかったため、
結局はアレンジBGMが使用されていること自体があまり知られずに終わってしまった。
- モンハンでRPGと言えば本作の後に出たMHSTの方が遥かに有名であり、
公式・非公式問わず「MHSTがシリーズ初のRPG作品」との紹介がなされている。
本作もジャンルとしては一応ながらシミュレーションRPGに属するシリーズであり、
リリース時期的にはモンスターハンター初のRPG作品と言えなくもない*4のだが、
上記のような有様だったためか黒歴史も同然の形で忘れ去られている。
…それどころか、MHSTの2024年移植版が発表されて以降は「モンハンシリーズ初のRPG」と各方面に強調して紹介されており、
公式の動きを見る限りメゼポルタ開拓記の方は全力で無かったことにしようとしているのが現状である。- MHSTもRPGである以上、戦闘に関しては本作同様コマンドを入力していくのが基本のゲームではある。
しかし、あちらは「ライダー」の存在をはじめとした数々の独自要素が盛り込まれており、
なおかつモンスターの行動や罠の設置と言ったモンハンらしさをうまくターン制バトルに落とし込んでいる。
そういったこともあって、発売前の期待されていなかった空気とは裏腹にプレイした人からは好評な意見が多く、
後に他機種への移植が行われ、続編や更なる派生作品まで登場するなど、本作とはまるで真逆の評価となっている。 - なお、MHSTの開発はカプコンとマーベラスの共同という形で大々的に行われ、
メインシリーズとのタイアップイベントなども複数展開されたのに対し、
こちらは上述の通りCOGがMHFのスピンオフ作品として独自に開発したものであり、
公式としてはメインシリーズとは何の関わりもない作品となっている。
- MHSTもRPGである以上、戦闘に関しては本作同様コマンドを入力していくのが基本のゲームではある。
- MHRiseでヨモギ役を演じた阿澄佳奈氏はカプコンからのインタビュー記事で
「モンハンシリーズを遊んだことはありますか?」という質問に対して
「遊んだことはありませんがオンライン作品のアフレコをしたことがあります」という趣旨の回答をしている。
実際に彼女はMHF-Gの有料追加ボイスと、今作のいくつかのキャラの声を当てている。忘れられてなかった。