ターボチャージャー、スーパーチャージャーなど過給機付き内燃機関において使用される冷却用補機・熱交換器である。エンジンと過給機の間に取り付けられ、過給機の圧縮により温度が上がった空気を冷却する事で燃費効率や出力の向上、ノッキング防止によるエンジンの信頼性を向上させる効果がある。
エンジンなどの内燃機関は、同じ圧力では吸気温度が低いほど単位容積当たりの吸気質量(吸い込む空気)が増えるため、吸気温度が低いほどより多くの燃料を燃焼させる事が可能になり出力・効率を向上させる事ができる。しかしターボチャージャーなどの過給機付きエンジンでは過給機によって空気が圧縮されると吸気質量が増える代わりに断熱圧縮*1によって吸気温度も上昇するため、圧縮比を自然吸気エンジンと比べて低くせざるをえず効率が低下してしまう。*2
そのためインタークーラーを設置して吸気温度を下げる事で吸気圧力が低下する(空気の密度は変化しない)ため、その分圧縮比を高く設定できるようになり、出力を向上させやすくなる。またノッキングが発生しにくくなる事で信頼性を向上させる、大排気量の自然吸気エンジンをターボ過給した小排気量エンジンに置き換えることにより燃費効率を向上させる事もできる。*3
ただしデメリットも存在し、インタークーラーを設置する事で空気が圧縮されてからエンジンに供給されるまでの吸気系距離が長くなるため、輸送時間が増加しエンジンのレスポンスが低下する問題がある。*4*5
そのためフォルクスワーゲンのTSIなど一部のメーカーでは、吸気通路の短縮による応答性の向上と冷却性能を両立するため冷却に水冷式を用いる場合もある。(後述)
吸気を冷却する方式は、外部からの空気・走行風をインタークーラーに当てる事で吸気を冷やす空冷式、冷却水を用いて吸気を冷やす水冷式がある。
それぞれの方式のメリット・デメリットを上げると、以下の通りになる。
- 空冷式
- 水冷式
現在ではコスト面などの関係からインタークーラーは空冷式が主流となっているが、CELICA XX 2800GT (MA61)やソアラのM-TEUエンジン搭載車、セリカGT-FOUR(ST185RC、ST205)ホンダ・レジェンド、スバル・レガシィの初代モデルなど、過去の市販車では水冷式を採用した例がある。当初は低速走行・停止時の冷却性能のメリットなどから水冷式の普及も期待されていたが、前述のコスト・冷却システムの複雑化が仇となり期待されているほど小型化できないなどの理由から主流となるには至らなかった。*9
インタークーラーの熱交換効率を向上させるためウィンドウォッシャー液等をインタークーラーに直接噴射することでその気化熱を利用する機構を搭載する車両もある。この機構はWRCを始めとするラリーカーへの採用が多く、三菱ランサーエボリューションやスバルインプレッサでは市販モデルからこの機構を搭載している。熱交換効率が落ちる気温が高い時は特に効果が大きい。
また、インタークーラーの設置する方法にも以下のような様々な置き方がある。
- 前置き:ラジエーターの前に平行になるように設置する。
- 中置き:ラジエーターの後方に平行になるように設置する。水温対策やクラッシュによるエンジンブローなどを防ぐ目的で採られる。
- 水平:エンジンルーム上部に水平になるように設置する。ボンネットには、インタークーラーにエアを導くためのダクトが存在するのが一般的。*10
- Vマウント:ラジエーターとインタークーラーがVの字になるように設置する。
湾岸マキシでは、チューニングにおいて基本チューニングのパワーチューンSTEP5、実戦チューニングのSTEP27においてインタークーラーを装着・交換する描写がある。
ちなみにインタークーラーの本来の意味は、多段過給において過給機と過給機との間に置かれ、1段目の過給機で圧縮された空気を冷却する中間冷却機のことを指す。エンジンの手前の冷却器の場合、本来の名称はアフタークーラーであるが、現在はインタークーラーが後述のものを指す言葉として用いられることが多い。